ナイトメアの迷宮から追い出された
幾つも巡り…そして??目の巡り。
『空から女性が降って来るなんて今日は面白いわ』
『ナイスタイミングね!』
『誰だろうこの人…人間じゃないね』
『〇〇!何しに来た!』
「「「〇〇!?」」」
『ソナタの妻になるため〇〇を辞めてきた!〇〇よ我輩と結婚しろ!!』
『いきなりなにいってるの?…〇〇が何でコレが〇〇って知っているんだろう?』
『キャー!逆プロポーズ!!』
『なかなかの美人さんね…お赤飯炊かなきゃかしら?
勇者の周りにいる人を見たことある人がいるんだが……クレイバール島の島民と血縁あるのかな?
俺はカベルネの方を見ると恥ずかしそうにしていた。
カベルネに似ている魔族の女性は居けど…ここに居るカベルネとそこまで似てない。
カベルネの先祖か?…それとこの光景を見て懐かしく思えた。
「なんか懐かしい感じがするな。この記憶を見るまでは魔王と勇者かお互いにやってのやられてのが多いからたまにはこういう記憶を見ると落ち着く」
「……………」
こうして歩いているが一向に外に出られる気配はない、どうしたものかと思っていると一羽の淡い光を放つ蝶が現れると俺とカベルネの前で羽をパタパタさせついてある方に向い細いなんの木だがわからないがに止まった。
「なんだあの蝶は?」
「もしかしてついて来いと言っているのかも」
「白、もしかして付いていくのか?」
「なんだか待っているみたいだからな」
俺は蝶の元に行くとパタパタと羽を広げ飛び始め森を彷徨っていたのにいつの間にかどこかの城内の景色に変わっていた。
「ここは……」
「我が根城にようこそ」
「うぉっ!」
俺とカベルネはいつの間にか椅子に座らされていて目の前にはパピヨンマスクをした変態が……。
「誰が変態じゃい」
「読まれてる…」
「ソナタがフォルモフォスか」
「流石は〇〇の記憶の欠片だね。僕を一目見て見抜くとは」
「見た目からして目立っている」
「我々を呼び出したのに何かあるのか?」
「君たちをずっと見ていたけどグダグダグダグダと歩くの遅いよね?まだ3分の1しか歩いてないじゃん遅いよ。このまま行けば現実に戻るのに現実で300年も掛るよ?遅いよ?」
「同じこと2回言った」
「我らを呼んだということは」
「面倒だから白君の原点の記憶の所に飛ばしてさっさと見せて帰らせるから」
それだけ言うとこの迷宮の主がぱちんと指を鳴らして空間がねじ曲がりグニャグニャと歪み、いつの間にかぽつんと見たこともない景色の中に立っていた。
【滅※、※※の途※えた※行※界※※】
『………俺はまた守れないのか…?』
『仕方ない…わ…異界の侵略者たちの介入で…この世界はもう…生命が途絶え…輪廻転生も出来なく……本当に終わりを迎えてしまった…から……あのね、〇〇』
『嫌だ』
『………本当に、困った人……でもこの世界を、グチャグチャにした…侵略者たちは何万もの人の命を引き換えに……倒せた…から…〇〇、どうか……後は』
『…お前ひとり先に行かせない。もうこの世界は再生できないだろう。どうして※※系列に手を出す事が禁じられているか、こうなってわかった。
俺が異世界に呼ばれ旅して手に入れたこの力なら…』
『…ダメっ……その力は自分の為に使っては…!』
『使う。この力を使った代償を支払いきるその日まで、お前との約束を果たせる日まで…!』
『どうして……?』
『……このままならお前が生まれ変わることなく消えてしまうからだ……いつかお前の名を呼んでやる。
その時まで待たせるから俺以外と結ばれようとも俺はっ!』
『……私の事は……もう、忘れて欲しいのに……』
『忘れてたまるかっ』
すると死にかけている女性を抱えた男は懐から美しい短刀を取り出すと自身の胸に突き刺した所で場面は終えた。
いったい何が起きていたんだ?それにこの世界と景色は地球にある都会を思わせる景色……それに死にかけている女性はどことなく誰かに似ているけど…。
「……フォルモフォスが俺の原点って言ってたけど……」
「魂の起源と言うことだろう。お前は特別な勇者の魂を持っていたと言う話は聞いているか?」
「ああ、先生から話は聞いてる。勇者の力を無理矢理奪って村人Aと同じようにしたとも聞いた。
理由は…俺の魂の記憶を辿り、なぜか俺の魂が勇者をした場合のみ俺が味方に裏切られたり魔王との戦いで死んで、他の召喚勇者や俺が転生してない時の勇者の場合は実力によって決まったりしてたともな」
「そうか」
「何か気になることでもあったのか?」
「…………ソナタは気にするな」
「君は過保護すぎるよ〜?」
フォルモフォス?がいつの間にか俺たちの背後に居た。
「なっ!」
「ここは僕が管理する迷宮だからいつでもどこでも移動できるから。
白君はこれまでの映像を見て何か感じたかい?」
「………特に何も感じなかった。何か感じないとヤバい?」
「ううん、何も感じなくても大丈夫。君の魂は元観測者たちが保護し守る前にはもう既にボロボロだったから、こうなってても仕方ないから。
白君にやってもらいたい事があるんだ」
「?」
「単刀直入に言うけどさ」
「えっ?」
「君がかなり前の前世の時にした約束を…【約束した魂】を見つけてその時の約束を果たしてほしいのさ。
そうすれば【封じられた世界】に君が封印した【異界の勇者】の魂たちが数千年にも及ぶ苦しみから解放されて勇者が居なくなって【深い眠りに就いている世界】を起こせるかもしれないから」
「意味がわからん」
「今はまだ意味がわからなくて良いんだよ。僕があの記憶を見せたから動き出すと思うんだ。
それに元観測者たちも居るし何があっても大丈夫でしょ」
「無理矢理感半端ねぇ」
「今回は特別に僕の権限で眠りを覚ましてあげるよ。元観測者たちによろしく言っておいてね」
フォルモフォス?が指パッチンすると俺の体が浮き上へ上へと浮き始めた。
「白!」
「どうしたんだ!カベルネ!」
「また明日!」
「何でまた明日なんだ?」
「我はもう既にもう…………いる!」
「良く聞こえない」
とにかくカベルネは俺に向けて手を振っていた。そして光となって消えていった。
「白君、あとコレを元観測者たちに手渡してやってくれるかい?きっと後で役に立つだろうから」と俺の懐にフォルモフォスは手紙をスッと入れた。
「悪い事にはならないから大丈夫だからね」
「えっ」
そして俺は光輝く扉に吸い込まれていった。
【火天の宿屋】
《白虎の部屋》
「……うっ…………ここ、は…」
「あっ……目覚めたようですね」
俺の側に見慣れない女性が立っていた。
「えーと…」
「…始めましてと言うべきかもですかね…。私の名はアスチルと言います」
「……………え?」
あれ?アスチルて確か……イダルベールさんとハルディオラさんのお子さんの名前じゃなかったか?
「若夫婦の、お子さんの名前…」
「そうです。私は貴方が起きていた時はまだ赤ちゃんでした」
「えっ……どうして…?」
「混乱なさっているかも知れませんが、白虎さんの父君が何がどうなったか話してくださいますよ」
アスチルはそれだけ言うと部屋から出て行った。
すると直ぐに忙しない音が響きドアが勢いよく開くと俺の家族が居た。
「おや、目覚めるのが早かったな。はい、飲めそうか?」
俺は父さんから飲み物を受け取った。
良かった…握力とか多少弱くなったぐらいで飲むには飲めそうだな。
「特に変化はないみたいねぇ。良かった」
「大丈夫そうね」
「父さ…」
「起きたばかりだからあまり喋るな。喉に負担が掛るぞ?
何が起きたのかコレから話すが突っ込むのは心の中でやれ」
俺が頷くと父さんが説明を始めた。
俺がナイトメアの迷宮に閉じ込められてからクレイバール島では200年の時が過ぎた。
なぜ俺や家族が変化がそこまで起きてない理由がチート宿屋の隠されていた力を使い流れる時を抑えていたから。
そして肉体、体感的には3年の時が過ぎているとの事である。
そしてクレイバール島に家族が居る理由は俺の世話をしていたからだそう。
姉は俺を見て肩を震わせ笑いを堪えてやがる。
「くっくくく……」
「何を…笑ってるんだ?」
「風呂に入った時のお楽しみよ……ぷっ」
「色々と喋りたい事はあるが…今は不要だな。今度地球に戻って来た時にでも話してくれ」
俺が頷くと父さんたちは満足そうにしていた。
「俺たちはもう地球に帰るよ。この宿屋に着いたときには地球での時間の経過に合わせてもらい、仕事をデスクワークに移らせて貰っていたが、そろそろ現場に戻らないと行けないからな」
「白虎、何かあったらいつでも戻ってきなさいね」
「うん」
「じゃあねぇ〜我が弟よ」
それだけ言うと家族は俺の部屋から出て行った。
なんだろう……久し振りあった感じの懐かしい感じがした。
この淡白な感が懐かしい、そこまで時間は経ってない筈なのにな。
そして数分経ったであろう頃に先生も飲み物を持ってやって来た。
「相変わらず淡白と言うか…必要以上に喋らなかったみたいだね」
「先生」
「喋る前にコレを」
先生に手渡された飲み物はどろりとした何かの液体である。
ドロドロな紫色の飲み物から幻聴が聞こえる。
「ナニコレ?」
「薬」
「それは……わかるけど」
「これ飲めば明日から寝たきりの後遺症なしに普通に過ごせるよ」
「………飲む前に聞きたい事が…本当に200年経ったんか?」 「クレイバール島と周辺も200年経ったよ」
「マジでか」
「でも地球は3年経ったぐらいだよ」
「あー…」
「それと地球の高校に関しては白虎の体調が整い次第、向かって説明を聞いてだね」
「……隆太郎たちと約束したの破っちまったな」
「そのことなんだけどね……」
先生の雰囲気が…。
「……何かあったのか?」
「それも体調が戻って地球に向かったら話すよ」
「……ちゃんと話してくれよ?先生」
「うん」
俺は先生に渡されたドロドロしている紫色の液体を飲んだ。
味を感じる前に目の前が真っ暗になった。