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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【3度目の人生編】
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番外編 ココ最近のクレイバール島でのバレンタイン

【クレイバール島】


《家庭科室》



「全員揃ったね。ではバレンタインのチョコ作りを始めるよ」

「………何で俺が呼ばれているんだ?」

「白虎が呼ばれたのはサニカの助手として手伝いをしてもらう為ですよ」



そうエプロン姿のハノンが言った。



「………」

「白虎の家系は手先が器用で料理上手だからもあるけどね」



キユクとシェルフィナは何故か俺の方を凝視した。



「へっへぇ…料理上手のか。白虎は」

「シェルフィナどうしたんだ?」

「………気にしないでくれるかい…」



この反応………まさか。



「それでサニカ先生。今年は何を作るんですか?」

「去年はチョコレートケーキを作っていて爆発したから今年はチョコフォンデュにしようと思ってる」



………えっ。チョコレートケーキを作って爆発した?



「果物やパンを切ったりチョコレートを溶かすだけだから流石に爆発しないでしょ?」

「えー…サニカ先生。僕達のこと舐めてますよね?」

「キユク達にとっての去年のバレンタインを忘れたとは言わせないよ」

「……………」



キユクは目線を下げた。何が起きたというのだ…!



「爆発……」

「まぁ…家庭科室がチョコ塗れになっただけだから大丈夫」

「えっ」

「そんなに身構えらないんだよ!マトモなバレンタインチョコレート料理を作る為だけに集められいるんだから!」

「………えっ?」

「ほら、この島は僕たち子供以外はほぼ既婚者しか居ないので渡す相手は限られてます。

妻側はそれぞれの家で夫に渡すためのチョコレートをちょうど今、作っているところでしょう」

「なんでそこでマトモなチョコ料……まさか」

「そう、我らが母達はサニカ先生から学生の時にバレンタインチョコ料理を習っているのに「なんでこんな料理作るの?」なチョコ料理を作るんです」

「………」

「怖いですよね……男性の集団がガタガタと体を震わせながら「美味しいチョコォオオ…くれぇえ…!」とほふく前進してやって来るのを見ていると」




何そのはたから見たらヤバイ奴でホラーな奴っ!島の女性達は何を作るんだ…!



「その状態の夫を放置してユウコさんやピナさん達は何をしているんだ?」

「バレンタインのお片付けしてます」

「片付け…うん、片付けも必要だけど…なんかほら」

「期待するだけ止めといた方が良いですよ」

「何で」

「…本当は美味しいチョコレート料理を作れるんだよ…とある人物がそれを邪魔するから不味くなるの」

「不味くする犯人を先生は知ってんだよな?誰なんだ?」

「ラブナシカ」

「あっ」



オカマのひがみか!オカマの!



「リア充爆発しろなんだそうです」

「完全に僻みじゃねえか!」

「でもラブも女子から日頃のお礼ですってラブが不味くした義理チョコを渡されてその場で食べさせられるんだけどね」

「自分に返ってきてる…それでもやめないんか?」

「うん、愛する伴侶から受け取って嬉しそうにしている表情が不味くて苦悶な表情に変わる瞬間を見るのを毎年楽しみにしてるんだってさ」

「どうしてそうなった」

「確か数百年前のバレンタインに起きた【贈らせて事件】と聞いたことあるけど?」




贈らせて事件?……先生とハノンを見ると目線をズラされた。

今は聞くなってことですね。わかりました。




「今もクレイバール島の夫婦たちはそれを毎年やってるんだよな?どうして皆やめないんだ?」

「知っててやってるんだと思う…年に一度の感謝を伝える日だから」

「……僕たちの世代は見てはいけないものを深夜の時間に見て悟ってしまったんです。手を出しては行けない案件だと」

「……嫉妬って醜いもんだね」



キユクとシェルフィナは何処か遠くを見ていた。

そして先生が話を切り替えてチョコフォンデュの準備をするよと言って準備を始めた。


………科学の授業はちゃんと出来るのにどうして湯煎のやり方を間違えるのだろう。

チョコレートをボウルに入れるまでは良いが、鍋に水を入れずに火を付けその鍋の上にボウルを置いて湯煎をしたらそりゃ爆発するわ。


見事にボウルが温まり目を離した瞬間にパーン!とボウルが空を舞い熱いチョコレートが散ったのを見てシェルフィナが「あっ」と慌てふためいていた。

先生はこうなる事を見越してなのか防御壁をそれぞれに張ったために火傷とかしなかった。




ハプニングを挟みながらもハノンがチョコフォンデュするための大量のチョコレートを別で作っていてそれをキユクとシェルフィナが加工して先生の宿屋にある温室で今朝取れた果物をフォンデュして味見をしたらとても美味しかった。



さらにホワイトチョコレートバージョンや苦いチョコレートバージョンなども作った。

そして昼が過ぎておやつの時間になるとキユクが言ったようにガタガタと体を震わせながらほふく前進をしているクレイバール島の男性たち(フィリムとフルーレとカイリさんとルウカ先生は普通に歩いている)が校庭に現れたのをみて俺は「怖っ!」と思っていたら、先生もその光景を見てどことなく少し引いていた。



そして先生が先に校庭に向かい俺たちは少し遅れて用意していたチョコレートを持って校庭にでた。


すると島の男性たちはほふく前進から足をガクブルさせているが立ち上がり根性でテーブルや椅子をそれぞれが用意していた。


ハノンと女子が感謝の言葉を送り島の男性たちにチョコレートの料理を贈った。

そして少しすると島の女性たちもやって来てそれぞれの伴侶の側に向かったり伴侶が旅に出ていたりする女性は親子で仲良くチョコレートフォンデュを食べ始めた。

ラブ先生もいつの間にかやって来て食べている。




そしてお開きとなり火天の宿屋の方に戻り先生と雑談を始めた。

 








【火天の宿屋】



《食堂》



「それで【贈らせて事件】って何が起きたの?」

「……昔、恋人に振られて半年が過ぎたクレイバール島の男子がいて励ますためにラブがチョコレート料理を「贈らせて〜!」と迫った事件だよ」

「迫ったんか…」

「その子はラブから逃げ回っていた所を幼馴染みの女子に助けられてラブからチョコレートを受け取ることなくその子とその日のうちにくっついてね……それを見つけたラブが「せっかく用意したのに〜!贈らせて〜!」とクレイバール島にある高台で叫んでからこんな事をする様になったんだよ」

「完璧な八つ当たりじゃねえか」

「クレイバール島の子供は寛容な子が多いからラブの気持ちを落ち着かせるために今でも付き合ってくれてるのさ」

「…あの人は……執念深いな」

「でもラブが待ち望んだ者が生まれたからその子に嫌われないためにも嫌がらせは無くなると思うよ」

「だといいんどけど」


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