番外編 なんで節分の日にやるの?
【クレイバール島】
《芽吹きの森》
「………こちら、白虎。芽吹きの森は異常なし」
『了解、こちら星あかりの森は異常…』
「えっ」
『…………鬼が来たぁあ!!』
「えっ」
ザザザッと音がなると「グォオオオ!」と言う声が聞こえた。
「ひっ」
俺は背中から血の気が引いたが更に追い打ちを仕掛けてきた。
『降参するなら何もしないので投降しますか?』
「………………………………(おっ鬼から通信が入ったっ!)」
『紅凰様、あのガキに逃げられました』
『ちっ(←小声)報告するのは素晴らしいですがさっさと捕まえに行きなさい』
『へい』
今舌打ちしたぞ。丁寧口調の鬼たちのリーダーが。
俺は通信を切るとこの場から移動した。
なんでこうなったんだと白虎は思い出していた。
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【クレイバール寄合場】
《居間》
「まだタオ達の魂が居ると判明して数年。冥界の使者から節分の日にこの島の地下深くに居る魂を今度こそ回収したいから使わせてくれと連絡が来た」
「………それで先生達は?」
「許可しようと思っているんだが…お前達はどうだ?」
「なら明日は家で大人しくしてないとか…まぁ良いのでは?」
「別に何かされなければですけど」
「それじゃオレが連絡してくるか」
ルウカは立ち上がり何処かに行った。
そしてクラスメイトの男子たちは何故か大人組と距離を取って何かを話し合っているようであったが何か企んでいるのはわかった。
フルーレと目が合うと俺もその輪の中に連れて行かれた。
「何だよ…」
「白虎、こんな機会なかなか無いからさ」
「俺は止めとく。無理だからな」
「話を聞く前に断るとは…臆病者じゃないか」
「臆病者で良い。巻き込まないで…」
「…やっぱり白虎も嫌がってるから無理だヨ……フルーレもフィリムもヤバいと感じないノ?」
「感じないぞ」
「ですね。冥界の使者なんて滅多に見られないですからね」
「当たり前だと思うが?」
「白虎、小奴らの事は聞かなくてよいのでここから去りましょうカ。関わったらろくな事にならなそうだかラ」
「そうだな」
ラタムとそう言ってふたりから離れたと言うのに。
そして節分の日は朝から家に籠もることになった、でもそれは正解だと直ぐに理解できた。
何故なら朝なのに夜のように暗く怪しい感じが外からしているのが窓から見えていたからである。
なぜ俺が外に出ているのかというとフルーレとフィリムが外に出て冥界の使者と鬼ごっこしていてラタムもなぜか巻き込まれていた。
そしてフィリムとフルーレが窓で追いかけられているのを見ていた俺が居る無敵の宿屋のドアを開けやがった。
そしてフルーレとフィリムによって俺も引きずり外に出され宿屋に戻ろうとしたがなぜか入れなくなっていて逃げなければ行けなくなった。
近くの森に逃げ込み今にいたっている。
「………どうしょ……どうやって逃げるべきだろうか?」
「本当にどうやって逃げるのでしょうね?」
「ん?」
俺は背中の方から声がして一気に心拍数が跳ね上がり振り向くことなく走ろうとしたが転けた。
体勢を整えようと立ち上がると目の前には角が生えたキツそうな雰囲気をかもし出すイケメンが居た。
ゴッツい金棒を持って。
そしてそのイケメンは金棒を使いその場にあった岩を叩き壊すと「付いてきてくれますよね?」と言った。
「………はい。スミマセンでした」
「素直で宜しい」
俺はそのままイケメンに連行され大広場まで連れて行かれた。
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【クレイバール島】
《大広場》
「白虎も外に出ていたのですね」
「なんでキユクが居るんだよ」
「自身の好奇心に負けてしまいました」
「負けてしまいましたじゃねえよ」
「そこのふたり、喋ってないで手を動かしなさい」
「わかってます。ニヴァさん」
大広場ではマナリオさんの娘さんのニヴァさんが頭にタンコブを作りキユクや俺よりも先に来ていたとキユクが言った。
「スミマセンね〜。忙しくて手伝って貰うなんて」
「薬の調合は魔女の得意分野だから大丈夫よ」
「……ニヴァさん。どうして頭にタンコブを…」
「白虎を連行して連れてきたイケメンに金棒でやられたらしいですよ」
「勝てると思ったんだけど……してやられたわ」
「この島の人たちはファンキーですね〜。紅凰様に…冥界でも強者の中に入るお方に挑むなんて」
「雰囲気からしてヤバイよな。俺も情けないと思いながらも直ぐに降参したよ」
「それが一番だと思います」
キユクとニヴァさんと共に角の生えた薬師?の方に頼まれ何かを作って居ると先生が俺達を迎えに来た。
「君達はなんで外に出ているんだい?」
「まぁまぁ、サニカ殿。叱らないで上げてください。我々を困らせるために出たわけではないみたいですから。
ここまで手伝ってくれてありがとうね」
「………事情は宿に戻ってじっくり聞かせてもらうかね?」
「はい…」
俺とキユクとニヴァさんは作りかけの何かを完成させてから今度は火天の宿屋の方に戻って行った。
そこで俺はフルーレとフィリムにされた事をチクってやった。
「…そういう事だったのね…事情はわかったけどもしもの事があるかも知れないから部屋に居てねと言ってたんだけどね」
「そこは反省しているよ」
「白虎の場合はわざとじゃないと言う事で今回はここまでにするけど、次はキユクとニヴァのように反省をさせるから。
その場に居ただけの巻き込まれ損って言うのもあるから今回の事を教訓にしなさいね?」
「はい…」
「それと今日は白虎の部屋の風呂場に用意しておいた薬膳風呂に入ってさっさと寝なさい」
「はい」
俺は先生の背後に般若が見えたのでキユクとニヴァさんが反省させられているのを横目に見ながら俺は素直に部屋に向かい風呂に入ってベットに入ってめを瞑った。
次の日、学校に行くとラタムが「フルーレとフィリムを許さなイ………絶対にダ」と呟きシェルフィナに散々だったみたいだねぇと背中を叩かれていた。
俺もシェルフィナに労れた。
フィリムとフルーレは欠席で教室に来ていなかった。
先生に理由を聞いたが先生は何も言わなかった。
キユクはイタズラ目的では無かったが好奇心を抑えられず出たと言うことで罰として今日一日だけ喋れなくされていた。
その日は何事もなく穏やかに1日が過ぎたのであった。