飛び出せ!
【大海と島々から連なる世界にある狭間の世界】
《✕■の★※▲偶※》
「してやられてから結構な日にちが経っちまったがどうすっか?」
「この空間で動ける爺さん連中が壊そうとしてるが壊せないからねぇ」
「サニカ先生が救助に来てくれないけど…何をしているんかね?」
「緊急事態が起きているのは確実だろうが…サニカ先生ぐらいの実力なら簡単に〆られると思うんだけどな」
などと会話しながらこの空間から出るために様々な事を試しているがー…。
「あっ少しですがヒビ割れが入ってませんか?」
「ん?………確かに入ってるけど……あれ?なんか聞こえないかしら?」
「えっ」
ユウコが見つけたヒビから微かにだがクレイバール島の様子が見られ、そこにから流れる音声に黙った。
『あー…狭間の世界に閉じ込められている島民達よ。悪いけど3年生と卒業生によって荒らされた島の建物の修復が思ったより長引きそうなので自力で帰還してね』
「自力で帰還させるきだゾ」
「流石にそれは酷くないか?慣れなくってジタバタとしか動けない状態から自力で抜け出せって言ってるぞ。あの人」
「投げやり感が半端ねぇ」
「……マコト達はどうなったのでしょうか?」
「あの声のトーンからするともしかしたら………少々だが力を使うか」
「ここでかよ。…まぁ、仕方ねえか」
「防壁術を使え」
「へい」
ルウカはこの場に今の島民達ですら見たこともない夜空の様な透き通る光輝く大剣を呼び出した。
「この大剣がルウカ先生しか使えない【天創の大魔剣】ですか…あたしゃもまだまだじゃな」
「ルルエールさんも今で充分だと思うけど」
「結構な衝撃が来るが踏ん張れよ?…………でりゃぁああ!」
ルウカは天創の大魔剣を誰もいない場所に向けて振るとそこから切れ目ができた、そして空間に切り込みを更に入れた。
「お前ら!行け!」
「うぉっマジか!空間を斬っただけで繋げやがった!チートだな!」
「それではお先に失礼。ヒセット、シェシア行こうか」
「はい、あなた」
「…ポーリア、ヒペリカは自力で帰れそう?」
「大丈夫よ。母さん……あたしらの事は気にしないで先に帰ってて」
「シェシア母様、大丈夫です。わたくし達はお祖母様たちと帰ります」
「わかったわ」
「…こういう時に限ってサキュバスの血を引いてて良かったと思えるわな」
「夢魔であるわたしもこういうの特に効かないから〜」
「……ナオハル、すまないが引っ張ってくれ」
「わかってるわよ〜」
「おっ流石のイザワガワ一家だな」
帰還の第一号は代々島長をしているアシュクラスト家の夫婦と神社を管理しているイザワガワ一家であった。
「メルゴ君、大丈夫?」
「ルファーナ、すまないがユウコ達と先に帰ってろ。結構な深さにハマって抜けそうにねぇや」
「図体だけはやたらでっけえからな〜」
「アナタ達は本当に昔から変わりませんね…だから今でも子供扱いを受けるのですよ」
「「うっせ!」」
「男どもは無視してさっさと帰りましょうよ」
「あら、ピナも抜けられたのですね」
「いつも同じ時間に面白い転がり方で落ちてレンコン畑の泥に頭からハマってるだけはあるのぉ」
「それをいつも目撃して救助して朝しか取れない薬草の採取に向かう。それがあたしの日常」
「ちょっ!マナリオもお父さんもやめてよ」
「かれこれ200年以上になるわね」
「あれ?ニヴァちゃんは?」
「ニヴァはお祖母様の家に引きこもってるから巻き込まれなかったみたいよ」
「ニヴァちゃんのこういう時の感は良いわよね」
「えぇ、あたしよりも鋭いわ」
「では小僧ども先に失礼させてもらうぞな」
「くっそぉー」
第二陣で帰還したのは雑貨屋のユウコ、工務店の副店主のルファーナ、魔法屋の店主マナリオ、花屋の店主ピナと鮮魚店の店主ニイザである。
「次はワシらが行けそうじゃな」
「お祖母様、左側を宜しいですか?」
「良いぞ。ヒペリカは大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫よ。アジサイちゃん」
「おっ流石のアジサイちゃんじゃねぇ」
「リウビィもイグファルドも無事に抜け出せた様じゃな」
「はまってた時に懐かしい思い出が蘇ったわー」
「お主らも本当に変わらんのウ」
「当たり前じゃよ」
「まだまだ長生きするぞな」
「おやまぁ、ルルエールちゃん」
日常会話するように花屋の定員のヒペリカ、クレイバール学校の温室の管理人ポーリア、クレイバールの島長のアジサイ、呉服店の副店主リウビィ、呉服店の店主のイグファルド、病院長のファムロス、鍛冶屋の店主のルルエールはクレイバール島に戻って行った。
「どんどん追い越されてる!」
「まだはまってんのかよ。ダッセ」
「ロルス!って抜けたんか!」
「それじゃおれも帰るとするか」
「まて、ズリぃぞ!」
「ロルスもいい加減にしなさい。メルゴ、ボクの手を掴んでください」
「すまねぇ…カイリ」
「ほら、ロルスも協力してください」
「仕方ねぇな…少しだけだぞ?」
ロルスは渋々と言った感じであったがメルゴをカイリと共に引っ張り出した。
「お主らで最後かのう?」
「カーウェン先生は大人しくしてましたけど何かあったのですか?」
「何もないぞ。ただボォーとしていただけじゃ」
「ルウカ先生!それじゃおれ達はカーウェン先生を連れて先に戻ってますから!」
そしてクレイバール学校の校長のカーウェン、クレイバール警備隊の総括をしている人形使いのロルス、工務店の店主のメルゴ、漁師と海上警備隊を兼任しているカイリもクレイバール島に向けて戻った。
「さて、オレも戻るとするか」
「誰もミーを助けてくれないんだけど?父と母にも無視されたし」
「お前に関しては思うところがあったんだろう」
「仕方ないじゃないかー。マコト達に関しては…借りがあって言えなかったんだから」
「場合によっては地球に永住するか?」
「お断りだよ。地球は遊びに行くのは良いけど、ミー達の様な存在には住みにくいから…それから」
「そういった愚痴はまた今度聞いてやるから帰るぞ」
ルウカはレフィを自身が開けた空間に放り投げて先に帰還させた。
ルウカは足に力を込めブーストを掛けて飛び上がりクレイバール島へ渡る空間に入り込み、天創の大魔剣で開けた時空の扉を通り大魔剣に込められた魔力を更に使いしっかりと閉じたのを確認すると背を向けて戻って行った。
【クレイバール島】
《大広場》
「漸く戻ってこれたか。この様子だと結構な時間閉じ込められていたみたいだな」
「あーん…カウントダウンイベントが過ぎてたわ!」
「…その様だな。所でラブよ、どうして十字架に張り付けにされているのか教えてもらっても良いか?」
大広場の中央……もともとラブナシカが育て上げた義娘のモーリンの石像が置かれていた場所に張り付けにされていた。
「サニカってたまに容赦ないのよね♥」
「解くのはよしたほうが良さそうですな」
「あぁ」
「ハルディオラ達はどうしていたんだ?あの場所に閉じ込められなかったと言うことはお前がドナドナされていた世界にお前がこっそり連れて行っていたのか?」
「正解よ、ルウカ。3年生たちの事もあって不安になったから今の神族のトップの方に許可を取って連れていかれたその日のうちに舞い戻ってハルディオラ達ごと連れて行ったの」
「その事にサニカは怒ってないと思うが何をしたんだ?」
「ラブ先生は3年生達が裏で色々とやってたの知ってたのにそれを放置していた罰だとさ」
そこにはフルーレが一人でホウキを持ってやって来ていた。
「フルーレか……お前達は無事なのか?」
「無事だよ。何もされなかったから。今はサニカ先生に色々と手伝いをさせられてるよ。現に島の清掃をさせられてるし」
「フルーレはもう全て知っているんだろ?3年生は結局の所どうしたんだ?」
「…………結果で言うと、この島から追放と言う形で3年生達が目指していた世界に飛び出して行った」
「あー…そうか、ルウカ先生達3人の内で2人が許可をすればできるんだっけか。
サニカ先生と時期を見て帰還したラブ先生が許可を出したんだな?」
ロルスがフルーレに聞いた。
「うん」
「そうか…こういう形で出て行ってほしくなかったんだがな」
「………まぁ俺達が反対していたからな。まだ若いからって」
「…仕方ないわよ。自由をモットーに島全体で育てていたから。でもフルーレ達が残ってくれいるから危機感はないわね」
「……マナリオさん達、そこまで怒ってないんだな」
「怒れませんよ。我々も一度はこの島から独り立ちとして異世界で生活をしてい事があるのですから」
「……3年生に何があって計画したんだろうな」
「考えること…想像する事は出来るけど心の中までは想像出来ないからね。過保護にし過ぎたのもあるのかもね。
幼少の頃の事件からね」
「……わたし達も娘達が裏で荒らしていた島をキレイに掃除しないとね!まずはサニカ先生達の所に行かなきゃね」
「そうだな」