学校にある大樹の様子が…
【クレイバール学校】
《屋上》
今は昼休みの時間なので皆で屋上に出てそれぞれのお弁当を食べたあとにクッキーやらを摘みながら話し込んでいる。
「へぇ………怖っ」
「地球にも科学で解決できないことが起こるんだねぇ」
「昔からだよ、俺が住んでいた地域ではな」
「あーもう昼休み終わりだ…そろそろ教室に戻ろうぜ」
フルーレの合図で立ち上がろうとしたが先生が屋上にやって来た。
「5時限目と6時限目は屋上で島の観察だよ」
「どうしてだよ?」
「大樹が突然変化して怨霊樹になったから」
「なんでだい?」
「わかんない」
「ホントに駄目?」
「うん。ホントに危険だから無理」
そう先生が言った瞬間に学校に掛けられている結界が発動してこちらに向かって来た何かを弾いた。
「うわっ!」
「皆、悪いけどもしもがあるから白虎を囲って守って」
「了解したぜ」
「全く…こんな事が起きるなんてね」
「……囲まれてます」
「……なんか寒気がすル」
「皆、結構な数の攻撃が来るからビビらず円陣を作るぞ」
白虎を中心に入れた円陣を屋上にいる者たちで作り結界を更に作り結界をすり抜ける攻撃に備えた。
宿屋に逃げ込めは何ともないが逃げてばかりでは居られない、何れは自分達が将来生まれてくる子供を守る立場になるのでこういう経験をするのである。
結界の外に現れたのは巨大化した怨霊樹となった大樹とその大樹にはオーナメントなのだろうか?何故かミイラが5体付いていた。
「おいおい、もはやバケモンじゃねぇか」
「気を抜いたらこちらがやられるかモ」
「どうしちゃったの?校内の大樹」
「本当にわからんのよ」
「サニカ先生達って重要な時にたまにポンコツだよね?」
「人であることを捨ててない事の証明でもあるのさ」
「ラブ先生から聞いてたけど昔の先生達の様には行けないんだな」
「転生前は人間辞めてたから出来たけど今は無理だね」
「そんな事よりすり抜けて技が来てますヨ!」
先生は喋りながら杖を取り出し無詠唱でバリアを張り向こうの攻撃を全て防いで見せ、次は光の剣を作り出し屋上にまで届いていた巨大化した怨霊樹をそのまま真っ二つに斬ると浄化されて消えていった……ミイラ型のオーナメントも。
「んー…なんだろうねぇ……手応えがないね」
「一瞬で消し去ったのに?」
「それにしても手応えがないって?」
「もっと消えるのに時間が掛かってもいいはずなのに早く浄化されたから」
「サニカ先生、もう危険がないようなら校庭の大樹があった場所を調べませんか?」
「…そうだね、調べてみようか。白虎は動けるかい?」
「あっあぁ、動けるよ」
校内に戻ると所々に何が発生していたのだろうか…壁にドス黒い血や何かの肉片が付いとるやん。
非日常は知ってるが…流石にこれは……。
3年生達は大丈夫なのだろうか?
「物理でやったろ」
「……壁に付いてるのは全員で校庭に出たら校舎全体を浄化するから今は目を瞑っておいてね」
「姉さん達は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃない?」
「簡単にやられる様な人達ではないし」
ドス黒い血溜まりで滑りそうになりながらもどうにか校庭まで転けずに行けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール学校】
《校庭……大樹があった場所》
「……血溜まりがあるのは大樹があった場所から玄関の一直線ですね」
「大樹の抜けた所から発生したんだな」
「かなり深くまで根が張ってたんだネ」
ラタムが大樹のあった場所を覗いていると突然、巨大な穴から白い服を着たイケメンな男性が現れると問答無用でラタムの頭を引っ叩いた。
「なに覗いてるんだヨ」
「………えッ…」
「勝手に覗くんじゃないヨ、バカタレ」
「…なんか叩かれたんだけド」
全員、ラタムの身に起きたことを見ていたが起きたことが衝撃すぎて固まったままであったが先生だけがラタムを引っ叩いた人物を見て笑いを堪えていた。
「もう覗くんじゃないヨ?」とだけ言って白い服を着た男性は下にゆっくりと落ちていった。
「あれ誰?」
「てかサニカ先生笑ってるし」
「サニカ先生あれ誰だよ!」
「ん?……あの男はラタムの先祖のタオだよ」
「えッ…」
「だからたまに魂を輪廻の輪に返す為に冥界の使者が探しに来てたのね……そうか…まだ現世に留まって輪廻の輪に行ってなかったのね」
「えェ……おれ先祖に引っ叩かれたノ?」
「そういうことだね」
何とも言えない雰囲気が流れた。
「それじゃ自分が覗くは大丈夫そうですね」
次はフィリムが覗くと次は違う人が現れ「だから覗くなって言われたばかりだろうが」とフィリムの頬を引っ叩くとその人もゆっくりと落ちていった。
「おいおい!違う人が出てきたぞおい!」
「えっえぇ…黄泉の国と繋がってるの?」
「繋がってないよ…輪廻の輪に関してはちゃんと廻れるように繋げてるし」
「……なのに出てきてたよ」
「非常事態ってことですかね?」
「そんな事はないと思いたい。マジェリルカを呼んできて調べようか」
「では呼んできますね」
キユクはササッと軽やかに校門に向かって走り去った。
ものの5分も経たないうちに戻って来た。
「はやっ」
「キユクから移動しながら聞いたけども……祖先が出て来たのはホントか?」
「現にラタムとフィリムが叩かれたぞ」
「サニカ、聖水の準備」
「聖水ならもうあるよ。ラタムが叩かれた時に黒い靄がラタムを包んだから「もしや?」と思って上位の聖水を作っておいたよ」
「ラタムとフィリムはそこに並びな」
マジェリルカ先生の指示通りに素直に従い一定の距離を保ち並んだ。
そして聖水を二人に向けて浴びせた。
すると二人から黒い靄が出てきて浄化されたようである。
「サニカ、まだ聖水作れるか?」
「どれだけ作るの?」
「25メートルプール5つ分?」
「流石に魔力が枯渇するわ」
「そこに置いておいた魔力回復のポーションを飲むのじゃ」
「…………………………」
「コチラもポーションを飲みながらやるでな。シェルフィナは協力しな」
「あいよ」
先生は無言でポーションを拾うと水魔法が得意なシェルフィナも協力しマジェリルカ先生と二人で協力して水を作り出しそれを先生が聖水に変えて大樹があった場所に流し込んだ。
そして2時間後には満タンになり紫色の水溜りが出来た。
「むっ紫色の水溜りが…」
「上手く中和されたみたいじゃな」
「中和されて紫色の水溜りなのかよ!マジェリルカ先生」
「そうじゃ、それに今回の怨霊樹に関しては何者かに作られたみたいじゃな」
「誰かって?」
「……この島の者じゃろうな」
その場にいた者はえっと戸惑った。
「この島の者って……えっ?」
「その様子だと…マジェリルカ先生、犯人わかってるんじゃないの?」
「………」