番外編 日本で過ごすクリスマス
【〇〇県△★町】
【六月一日家】
「ワタシは六月一日美鶴と言います。
サニカさんから話は聞いてるわ!可愛いしそれに綺麗な白い髪ね〜!雪の妖精さんみたい!好きなだけ泊まって行ってね〜!しかも女の子なんて!白虎やるわね!」
「母さん勢い、それとキユクが引いてるから」
「よっよろしくお願いします」
「いやーん!お行儀良いわ!それに日本語上手ね!」
「クレイバール島での標準語なので」
キユクは大きな旅行鞄を持って少々引いていた。
「白虎はキユクちゃんが泊まる部屋にキユクちゃんの荷物を持って案内してあげなさいよ?
それと春兎さんと義母さんは仕事が忙しくなって帰れないそうよ」
「……後でメールでもして置くよ」
「そうしてあげて」
「姉さんは?」
「あの子ったら突然「アンナプルナに初登頂しに言ってくる!」と行って出てたわ」
「とっ突然だな」
「行った所で追い返されて明日の朝方2時ぐらいに戻ってくるんじゃないかしら?」
「だよな」
「アンナプルナ?」
「ネパールと呼ばれている国にある山なんだが日本からだと飛行機で乗り継いで行く場所にある」
「あぁ〜…地球での移動手段の一つでしたか?」
「そうだ」
「ほらほら話し込まないで白虎は案内してなさい。風をひいちゃうわよ?」
俺はキユクを空いている部屋に案内して荷物を置いた、母さんが部屋を隅々まで掃除してくれていたみたいだ。
俺はキユクを家のリビングに案内した。
「それで他の子供たちはどこに泊まるの?」
「金森旅館だって」
「あー…サニカさんの宿屋じゃないのね」
「少しでも地球の日本を味わいたいそうだ…それと秋葉とか観光するんだとさ」
「そうなのね…キユクちゃんはどうするの?」
「僕はこの街を白虎に案内してもらう約束をしてます」
「あらあら」
「あと10分したら町探索してくる」
「そうだ、夕方の5時までには戻ってくるのよ?」
「わかった」
「はい」
リビングで少し休んでからキユクを連れて家を出て、異世界が存在している事を知っている異世人と日本人のハーフのマスターが経営している喫茶店に向かった。
【フェリオライト喫茶】
【テーブルカンウター席前】
「いらっしゃい……おや白虎君…久し振りですね」
「久し振り、マスター」
「……始めまして」
「おや……異世界からのお客様ですね。わざわざご足労いただき、ありがとうございます」
「いえ」
「マスター、もしかして今日休みだった?」
「いえ、今日限りはクソ忙しくなるのでテイクアウト限定の予約制にしたのですよ」
「あっなら出直します」
「大丈夫です、夏休みになるとクソ忙しいバイトに入ってくれる君が来たのですからゆっくりとしていきなさい。
町の地図やらをゆっくりとふたりで確認したいのでしょう?」
………全部読まれてる。
「良いんですか」
「大丈夫です。その代わり店の奥の席でお願いしますね」
「了解しました」
マスターはそれだけ言うと店の奥に入って行った。
「なかなか個性がある方ですね」
「鋭い人だからな、困った事に巻き込まれたりした時なんかヒントをくれるから小さな頃からお世話になってるんだ」
「えっ」
「それにマスター自身がハーフだからな。キユクはどういう場所に行きたいかあるか?」
「えっあっ…白虎は何かオススメの場所はありますか?」
「この時期になると巨大なクリスマスツリーが飾られる商店街とかかな…町を観光できるバスがあるからそれを使って町を回ってみるか?」
「良いですね」
「後はこの町の名物の喫茶店のランチは如何ですか?」
マスターが喫茶店のミルクティー2つとこの時期限定のビーフシチューがパンの中に入っている料理とナポリタンを持ってきた。
「お昼ご飯を食べて一休みして出かけると良いでしょう。白虎君の父君の奢りですよ」
「えっ」
「…春兎からさっき連絡が入りました」
「俺、バイトしてるからあるけど」
「そこは春兎に奢らせてあげなさい。息子の「自立が早すぎて泣いちゃう」と夜な夜な連絡して来るんですよ?
昔なじみだから話を聞いてやりますが…そうで無ければ無視してますよ」
「………………」
「…家族仲が良いんですね」
「そうなんですよ。春兎は家族大好きですからね」
一方その頃…観光組は…。
【秋葉原】
「…………おぉ…コレが大都会と言う奴か…」
「人が多すぎて酔いそうです…」
「ピリア達を留守番にさせたの正解だったかモ」
「そうだな」
「はっはっはっはっはっはっはっ…」
「レフィ、お前は犬か」
「髪に関してはサニカ先生によって日本人と同じくされてますけド……それにしても人が多いですネ」
「それはここが秋葉原だからだよ」
秋葉原に来たのはフルーレ、マコト、レフィ、ルニス、ラタム、メルファの6人である。
一応、引率としてルウカも来ていたが……撒いた。
「……帰っていいですか?」
「もー…早くないか?マコト」
「先程から目線が気持ち悪くて」
「あー…確かニ…」
「ラタムも感じるか?」
「感じるわヨ」
「そうか?」
「……………」
レフィは気づいてなかったがマコト、フルーレ、ルニス、ラタム、メルファの5人は人々の目線に耐えられなくなりアイコンタクトで目線を送りレフィを生贄として捧げる事にした。
「取り敢えず移動するか」
「そうネ」
ルニス達は人混みに紛れる事に成功しレフィただ一人となったがあれ?どこ行った?と思ったが特に気にしなかった。
それどころか何者かに付けられてると感じたので服屋に入りマコト達がいない事をいい事に女装して追跡を免れたが夜の8時に皆がいる町に戻ることで不思議な出来事に巻き込まれ、その場に居合わせた探索者達と共に動き回り、現実世界には12月25日の夜に戻ることになった。
マコト達も大都会よりサニカや白虎の祖先達やその他の協力者達と共に作った町に戻り5人で町を回る事にした。
撒いたと思わせて子供らを後ろから見守っていたルウカは…。
(……子供らもこの地球のエージェント達から上手く撒いたみたいだし俺もそろそろ探索させて貰おうかな……懐かしき我が故郷、極まれりだな……それに)
「千太郎、俺とサニカの生徒をストーカー行為をするのは止めろな?」
「……お前は相変わらずだな。ストーカーしてねぇぞ?」
「…何年ぶりだ?」
「お前と感覚的に再開するのは約400年振りだな、何だか元気が無いみたいだが?」
「あぁ、懐かしすぎて何とも言えない気持ちだ…それで向こうの地球の流れはどうだ?」
「どうもこうも無い、人間とはいつの時代も変わらんよ」
「そうか」
「それにしても本当にただの人間に生まれ変わったんだな。
それにしてもよくそこまで鍛えたものだ」
「時間だけはあるからな」
「…………そろそろ△★町に移動しないか?」
「奇遇だな、オレもそう思っていた所だ」
子供らから引き剥がした輩をルウカと千太郎でさらに撒いて△★町に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【△★町にある商店街】
《アーケード商店街……広場》
「よぉ!タイガー!久し振りだな元気だったか!」
「隆太郎、久し振り」
「お前の隣に居るのはコレか?」
「友人」
「情けねぇ」
「もう隆太郎たら…いきなりそんなこと言って失礼よ」
「いつも大変だ、美鈴」
「いつもの事よ。里帰りに戻って来たの?」
「正月休みが終わる2日前にはまた向こうに戻るけど」
「そう…それと始めまして…で良いのよね?」
「あっはい、始めまして僕の名前はキユク・ルランフェルと言います」
「あたしの名前は【金森美鈴】っていいます。
ふふっ白虎と隆太郎とは小学校からの幼馴染みだから…そこまで畏まらないで?あたしはエルフのクォーターだから異世界の事も知ってるのよ」
「えっ」
キユクはホントに地球にて異世界人の血を引く者がいる事に驚いていた。
「俺も異世界人の血を引くだぜ?…改めてオレの名は【土屋隆太郎】ってんだ。
この街にある植物園と農園を家族で経営してる」
「はい、よろしくお願いします」
「唯糸はどうしたんだ?」
「唯糸?」
「あたし達のもう一人の幼馴染みなんだけど…3人でこの場所に待ち合わせてたんだけど来ないわね」
「……もしかしてまたアレに巻き込まれてんじゃないか?」
「そんな筈は無いわよ……巻き込まれないように唯糸のお母さんにおまじないしてもらってるんだから」
「アレ…?」
「不思議な出来事の事だ、俺たちは小さな頃からいつも巻き込まれてたから耐性付いてるんだがな…」
「町の人とか特に異変は無いから大丈夫だと思うんだけど」
「どうしたの?誰か捜してるの?」
そこにはキユクと同じぐらいの身長の可愛らしい人物が俺の隣に立っていた。
「唯糸、いつの間に…俺の隣にさらりと佇むな」
「白虎、お久だぞ…それと里帰り?」
「うん、久し振り。唯糸」
「おや、異世界の人を連れてるなんて」
「えぇと?」
「あっめんご、めんご、始めましてだぞ。おいらの名前は【善和唯糸】って言うんだ。よろしく」
「はい、キユク・ルランフェルと言います。よろしくお願いします」
「唯糸、なんか変な事に巻き込まれなかった?」
「大丈夫、美鈴が心配するは起きてないぞ?」
「ホントでしょうね?」
「うん、大丈夫だぞ?それと白虎は何しにこのアーケード街に来たんだ?」
「キユクにこの町を案内しようと思って」
「あぁ…それでか」
「白虎、いろんな場所を巡るなら展望山は避けてね?なんか最近物騒な出来事が起きてるって学園で噂になってたから」
「わかった」
「またな白虎。今度は待ち合わせして初詣でに行こうぜ」
「予定が空いてれば」
俺とキユクは大きなクリスマスツリーの前で3人と別れて再び町の探索に出た。
美鈴から言われたので行こうと思っていた【展望山】には行かなかったから早めに俺の家に戻ることになった。
「良かったのですか?」
「大丈夫、あの3人とは中学の頃に巻き込まれた不思議な出来事の時に本性を曝け出して大喧嘩してるから」
「…………えっ?」
「友情のクロスカウンターとかしたから…」
「……えぇ」
「心で繋がってるから大丈夫。不安は無い」
「そういう事を言えるって良いですね…?」
「俺もそう思ってるよ。どこか寄りたい場所はあるか?」
「いえ、特に大丈夫です。こんなに人が多い事に驚いて居るだけですので」
【六月一日家】
《リビング》
「あら!おかえりなさい。早かったわね?」
「うん、予定より早く見回ったんだ」
「なんだかとても多く食事を作ってますね」
「そうなの!もしかしたら春兎君と義母さんが早めに帰って来られそうって連絡が合ったのよ!」
「それでか」
「あと、蜜花から連絡があって山に登れそうだから登ってくるそうよ」
「えぇ……危険度マックスな山なのに登れるの?」
「慣らしたりの訓練とかするから帰りは遅いそうよ」
「…まさかの山登りをするのか…初心者が」
「大丈夫よ。賢悟君や藍海ちゃんも巻き込んで行ったみたいだから」
「えっ…あのふたりも巻き込んだの?」
「えぇ、写真が送られてきたから確かみたいよ」
母は俺とキユクに姉が無表情の賢悟さんやマジで連れてきやがったな表情をしている藍海さんを巻き添えにしたスマホで取ったであろう写真を俺たちに見せた。
「ほんとに登山するための装備装着させられて、見たことない山の景色が映ってる…」
「白虎のお姉さんは何色の服を着てますか?」
「橙色の登山ウェアを着てるのが姉で青色の服を着ているのが藍海さんで緑色の服を着ているのが賢悟さんだよ。
姉さんと写真に写っているふたりも俺とあの3人みたいな関係だよ」
「そうなのですね」
「さて、白虎にはクリスマスツリーの飾り付けして貰おうかしら?」
「わかった」
「僕も協力します」
俺たちはコタツから出て室内に飾ってあるクリスマスツリーの飾り付けを始めた。
クリスマスツリーの飾り付けが終える頃にはちょうど良い時間になってそこに父と祖母が帰って来た。
「ただいまー。今帰ったぞー」
「春兎君、義母さん、おかえりなさい」
美鶴はバタバタと玄関に向かった。
「美鶴さん、留守番を頼んで悪かったね」
「大丈夫ですよー。それと白虎は戻って来てますよ。しかもサニカさんかメインで暮らしているクレイバール島?だったかしら?からも一人だけお泊りに来てるわ」
「白虎はもう友人が出来たのか…」
「そうかい、そうかい。そういえば蜜花はどうしたん?」
「あの子「突然山登りする!」と行って海外に飛びました」
「この時期に行ったのか」
「しかも藍海ちゃんと賢悟君も巻き込んだみたい」
「後でご両親に連絡しないと…」
そして3人はリビングにやって来た。
「おや、君がキユクさんで良いのかな?」
「はい、始めましてキユク・ルランフェルと言います」
「丁寧にどうも。白虎の父親の六月一日春兎と言います。そして私の母である六月一日亀稲です」
「宜しくの」
「はい、よろしくお願いします」
「皆が揃った事だし始めましょう!」
「その前に手洗いして来るよ」
こうして慎ましく六月一日家……日本でのクリスマスの食卓が始まった。