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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【3度目の人生編】
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追放者と冬休み休暇

【無敵の宿屋】



《玄関》



「いい加減にしてください。流石のボクも怒りますよ」

「機械人形の癖に何を言ってるんだ」

「この宿のオーナーであるサニカがいないからと言って好きにして良いと言ってないですよね?それとも遅い反抗期ですか?」



ハノンがひとりの人物に向かってプリプリと怒っていた。



「ハノン、どうしたんだ?」

「あっおかえりなさい、白虎、キユク。そして玄関に来ないで離れてください」



ハノンに言われて俺とキユクはその場で立ち止まり近くの大木まで後ろに下がった。



「んぁ?……白虎なんてそんなガキは居たか?」




灰色の髪の片目に眼帯をしている飲んだくれがコチラを覗いて来た。



「貴方はっ!」

「おうキユク、随分と別嬪になったじゃねぇか」

「貴方に言われても嬉しくないです」

「へっ口も達者になったじゃねぇかよ」



すると宿屋の食堂からとんでもないスピードで綺麗な男性がグライゼルと呼ばれた人に殴り掛かるとグライゼルと呼ばれた人物が俺たちとは真逆の方向に吹き飛ばされた。



「カイリさん!」

「いっ痛てぇな〜………元気そうだな…カイリ」

「この世界から出て行きなさい、貴方の居場所はもう既にありませんよ」

「俺とお前の仲じゃねぇか?」

「元幼馴染みの1人だっただけです」




とても綺麗な人で喋り方が丁寧なのになんかこう…海賊の格好が合ってない……何で下っ端の恰好なんだ…せめて船長の格好にしないのだろうか?


そして今度は玄関からゆっくりとルウカ先生…だっけか?が鞘に入った剣を持って現れた。



「グライゼル、何をしに来た……返答次第では斬るぞ」

「嫌だなぁ〜ルウカ先生もそんなに殺気立たないでくださいよぉ…貴方の生徒なんですから」

「……まだ俺を先生と呼ぶか、お前は異世界の探索で幼馴染みに対して残虐な行為をしておいて…良くもいけしゃあしゃあと来れたな」

「俺の故郷に帰ってきて何が悪いだ?」



するとグライゼルと呼ばれた人物が今度はコチラを向いた時点で父さんから教わった【結界術】を施したことでグライゼルと呼ばれる人物を跳ね返した。



「なっ!天使の系譜だと!そのような血族はこの島には居ないはず!」

「……」



多分だが普段、魔法を使う時にも隠しているはずの天使の翼が出ているのだろうか?ガチでやばい人物に襲われると天使の翼が自然と出てしまう。



「よりによって天使の系譜が使う結界だと…!こんなの聞いてねぇぞ!」



突然、グライゼルの足元から光の鎖が現れ体を貫いて縛り上げ宙に浮かんだのを確認すると天使の翼は引っ込んだ。



「こっこの魔法はサニカ先生かっ!」

「白虎の判断最高に良かったよ。全く…お前は変わらないな…突然この世界に戻ってきたと思ったら誘拐を企てるとは落ちる所まで落ちたようだね。

学校の生徒たちが急に連れ去られそうになったと思ったら…」

「サニカ先生はまだ異世界に居るはずだろうが!」

「誰の指示なのか、わかりたくもないけど今度は子供たちに手を出そうなど…許さんよ」

「クソがぁ!あの嘘つき共が!何が今ならクレイバールの老害たちから子供たちを解放できるだ!」

「ルウカ、今回ばかりは鑑定か」

「………あぁ」



普段、眼鏡をしている先生は眼鏡を外してグライゼルを見た。



「………ハノン、レシェットは二手に分かれて島の子供たちを呼んできてくれるかい?」

「了解ですわ」

「レシェットは西地区の子供たちを呼んできてください。ボクが東地区と中央地区を呼んできます」

「わかりました」



ふたりは結構な速さで宿屋から飛び出した。



「……またか」

「先生、何が見えたんだ?」

「この島とは別の島にも人が住んでると教えたでしょ?その島に居るフェミニスト達が今ならクレイバール島の子供たちを私やルウカの洗脳から解放出来るぞ?と光の鎖に繋がれている奴を唆したのが見えた」

「えっ…」

「カイリ!どうしてお前はこの島から出ない!老害たちから離れろ!お前は洗脳されてるぞ!」

「何を言ってるのですか、洗脳されてるのはそっちです。

ボクはこの島から出て行きませんよ?この島の外でも暮らしましたけどこの島の方が安心して自分の好きなようにストレス無く生きれるのにどうして出ていくのです?もはや外の世界で暮すなど絶対に嫌です」



グライゼルはカイリさんの話を聞いても「この島から出ろ」と何度も叫んでいる。



……地球で暮らしていた時の先生は俺たち家族や先祖が困って相談しに行かない限りは【火天の宿屋】をとある山で経営しながら惰眠をむさぼってたぞ。



「私やルウカそれにラブも別にこの島に残って永遠に暮らせと強制はしてないよ。

この島から巣立つのを邪魔してないし、出て行きたいのであれば向こうでやって行けるように手伝うけど」

「この世界が過ごしやすすぎて外の世界とのギャップに困るくらいなんですけどね…ボクも出戻り組ですし」

「わかる気がします…僕もルウカ先生から探索をさせられた時にこの世界がどれだけ過ごしやすく縛りがないのかわかりましたよ」



そしてぞろぞろと島民達が騒動をハノンたちから聞いてか学校にいる者以外の全て島民がやって来たようだ。



「…まじでグライゼルが戻って来てたのか…恥知らずが……てめぇのせいでっ!」

「アジュガ、止めな。コイツはもう何を言ってもダメだから放置しな」

「アジサイ婆さんも相変わらずだな、ちっとも変わってねぇ」

「…………………この様子じゃ…ムーメルが報われんな」

「…だのう」

「うげっ!魂が真っ黒じゃない!」

「ジュナーテが見ても真っ黒かい」



どこからか弓矢が飛んで来てグライゼルの頬を掠った。



「いい加減にしてくださいますか?」



ソウビの姉であるイダルベールが弓を構えながらやって来た。



「お前は…イダルベールか」

「……ディッ君はいざとなったら私を止めてね?」

「そもそも貴女は弓矢をしまいなさい」

「シェシア母様…」



ソウビの母親のひとりでイダルベールとソウビのもう一人の姉ヒペリカの母シェシアが隣で仁王立ちしていた。



「この愚兄、いい加減にしなさいよ?」



シェシアはイダルベールから弓と矢を引ったくると矢を構えて言った。

そのスキにハルディオラはイダルベールを自身の元に引き寄せ姫様抱っこをして距離を取った。



「こんなんじゃ、ムーメルが報われないわ!アタシが引導を渡すわ…アンタの元妹としてね…!」



シュッと光の矢が放たれたがその弓をパシッと受け取った者が地面から現れ光の鎖を引き千切り「実の兄妹で殺し合いかよ……ろくでもねー」と言っている途中でルウカが問答無用で矢を取った者を斬り捨てたが…避けられルウカは体制を崩しその場で直した。




「サニカ!コイツを追い返せ!無詠唱じゃないほうで!」

「くっくくくく………酷いなぁ…元勇者たちは」

「【原罪を犯せし者】とその眷属をこの世界から追放し、侵入の道を作りし者達ごと【異界の果て】に送還さん…開け【動天の門】よ、かの者たちを送還せん」



今度はグライゼルと矢を取った者の足元からいくつもの手の様なものが現れ引きずり込んでいた。

そいつはにこやかに笑い大人しく吸い込まれて行ったがとある発言を残して言った。




「元勇者たちよ、貴公らとはまたどこかで遭うであろう…その時を待っているぞ」

「同じセリフを吐いたのは俺とサニカで何人目だ」

「お前たちで19と20人目だ」

「そうか、それなら合うことはないな」



なんかシュールな絵面なのにこの受け答えを聞いて笑いそうになったが向こうは抵抗せずに吸い込まれて行った。

周りを見ると何人かは尻もちを着いて震えていた。



「あっ………アレは何なん…だ?…真っ黒かったぞ」

「気にしない方が良いですよ、メルゴ」

「……愚兄はそこまで堕ちたのね」

「シェシアちゃん、大丈夫?」

「大丈夫よ……心配かけさせたわね…ヒセット」

「……久しぶりに冷や汗かいたぞな」

「……」



ひとまず危険は通り過ぎたとの事なので【無敵の宿屋】で休憩を取ることになった。

暫くすると学生たちとカーウェン校長先生もやって来て全島民達が揃ったが一先ずは休憩した。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【無敵の宿屋】



《リビング》



「君はボクとは初めましてですね、ボクの名はカイリ・ネプチューンと申します。ニイザ一家とは遠い親戚です」

「始めまして、俺は六月一日白虎と言います」

「サニカ先生からボクの船に連絡はあったからだいたいの事情は知ってるよ。改めて宜しくね」

「はい」



軽く挨拶をすませるとカイリさんはメルゴさんやロルスさん達の元に向かった。

一部の大人達は酒を飲んだりしてもう既に騒いでいる。



「さて、今日は宿屋に泊まるのは決定です。シューゴやロルスに協力して貰って館のお人形さん達にそれぞれの家の戸締まりをして貰いつつ見回りを頼んでいるから安心してくれよな」

「そういえば…モーリンが居ないけど、どうしたん?」

「あっ!サニカに言うの忘れてたわ。あの子は1か月前に【魔神の脅威から解放された世界】に旅しに来ていた異世界の戦士にプロポーズされてお嫁に行ったのよ」

「えっ、嫁に行けたの?あのギャンブラーが?良くラブナシカも嫁に行くのを認めたね」

「あの子はもう成人してるし、大人だから良いんじゃない?って言って送り出したわ、それに異世界に渡る旅をしていればいつか出会えるわよ」

「そうか…ラブが満足そうにしてるなら良いや」

「サニカのそういう深く聞かないところは流石よね?」

「それで、なんの話をするのですカ?」

「クリスマスに関してだよ。ほら学校は明日までで冬休みになるでしょ?この島でのクリスマスも良いけどどうするって話をしたかったんだよ」

「サニカ、もしかしてだか日本で拠点を作ったのか?」

「うん、ナナヤの子孫達が協力してくれたのともう一つ。千太郎が私達が過ごしていた世界線の地球に遊びに来ていてね」

「千太郎だと!随分と懐かしいじゃないか!そうか!アイツも境界を超えれるようになったのか!」



ルウカ先生は勢い良く立ち上がったが直ぐに席に座った。



「千太郎も拠点づくりに協力してくれてね、問題行動さえなければ少しの間だけど過ごせるよ」

「それって……秋葉に行けますか?」



レフィは静かに言った。



「問題行動さえ起こさなければ行けるよ、日帰り限定でね。

でもレフィが望むような物があるとは限らないよ?君が知っている秋葉とは違う世界線の日本の秋葉だから」

「あっそうか…アニキがハマっているアイドルやアニメが作られているとは限らないのか」

「そういうことです」

「それでも良い!またそこで推しを見つけアニメも見つけてやるぞー!ジ〇〇ョ―!」

「地球で過ごすクリスマスとお正月か〜一度は過ごしてみたいな〜」

「この島で行っている事とそう変わらないよ」

「それでもヨ!」

「白虎はご実家に戻られるのですか?」

「あぁ、長期休暇には一日だけでも良いからと戻るように両親とばあちゃんから言われてるから戻る」

「もし行きたければ、ちゃんと両親と話し合うんだからね?それともし少しでも奇行を行ったらこの島に強制送還するからね」


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