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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【3度目の人生編】
232/555

初顔合わせ会

【クレイバール学校】


【講堂】


「………という事でコレから宜しくね」



サニカは白虎に一通り挨拶をさせて黒板に名前を書いた。



「チョット待って!情報量が多すぎるわヨ!」

「てか宜しくね、じゃねぇよ!」

「何なんでござるか!ナナヤの子孫て!」

「ホントにござる口調がいるんだ」

「…どうして今日、ルウカ先生が来ないのかわかった気がします…」

「えっと……白虎君って呼んで良い?」

「好きに呼んでくれて大丈夫です」

「…生まれ育った地球に帰りたイ?」

「どうだろう……地球での友達とかとは連絡取れるし問題ないからな…それに先生に頼めばいつでも帰れるから、そこまで気にしない」

「そうなんだ〜」



それ以降は島の子供たちは黙り込んでしまったが。



「………」

「勉強に関しては大学レベルまで終わってて連れてきてるし」

「えっ」

「わたしたちより進んでる…」

「…白虎君は魔法は使えるのですか?」

「はい、攻撃系の魔法は地球では必要ないから教えて貰ってませんが浄化魔法や感知魔法は習って多少の心得はあります」

「サニカ先生、教えているんかい!」

「白虎の父親や祖母たちも若い頃は私とハノンと一緒に異世界に渡って旅とかしてるからね」

「おっふ」

「自身を守るために体術も習ってます」

「あーそんなんですネ」

「白虎君は何処で生活するんですか?」

「ここで身を固めるのであれば身を固めた世界に家を用意する事になっていて、それまでは子孫の中から私と行動したいと志願した子を預かって宿屋に下宿することになってる」

「あぁ……」



何だかんだ気まずい雰囲気になりながらも白虎は島の子供たちと共に授業を受けた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








【カフェ・ド・ラブリー】



《カウンター席》



「凄いですね…僕たちより進んでますし」

「先生に教わってるからもあるけど、俺が通っている学校自体が少々特殊だからもあるかも…一般生徒もいるけど俺みたいな異世界人の血を引く人やまんまの異世界人が通っていたりするから、余計かも知れない」

「へぇ…そんなんですね」

「…アナタが生まれ育った地球に住む不老不死どもは思い切ったのねぇ」

「そちら系の方々が金持ちが多いからもあるかも、魔法とかで学校自体が護られて居るから安心して通えるから」

「そうなのね」



白虎は好奇心の塊であるキユクに誘われラブナシカが運営しているカフェに来ていた。

マコトやその他の生徒は何か気まずいのか…後ろからも追って来ずに部活動をしている。



「それにしてもラブ先生を見ても引かないんですね」

「もーキユクったら…酷いわね〜」

「ラブさん見たいな先生が俺の所属している学校に居るから特に気にならないよ。生徒指導を担当してるし」

「あら…その学校なかなか良いじゃないの」

「凄いですね……ところで、白虎さんの実家やご先祖はどんな職業に就いてるのですか?」

「普通にサラリーマンとかだな…身体を使う系の仕事はそこまでいない…握力とかもスポーツ選手並だ」

「えっ……ドラゴンの血を引くのにですか?」

「今はドラゴンの機能は既に無くなっていてどちらかと言えば天使の系譜の方が強いと先生に言われたよ」

「だからロルスもサニカから話を聞かなければアナタがナナヤの子孫だとわからなかったのね」

「そうみたい……俺も自身の力を使うとき、ウッカリ気を抜くと先祖から引き継いできた天使の翼が一般人でも観れてしまう様に具現化する」

「あら…そうなの?」

「普段は魔法を使っても天使の翼が出てくる事はないけど、気を抜くと時々出てしまう」

「だからといって翼が直接生えてるわけじゃないのね?」

「魔力を使う時にウッカリすると隠している天使の翼が現れる」



キユクはドラゴンの系譜では無くなったと聞いた時に固まったままであったがようやく口が開いた。



「そうなのですか………ナナヤさん………あっごめんなさい…」

「別にそんな事で怒らないわよね?白虎ちゃん。

そう思ったのはアナタだけでは無いわ。島の子供たちもそう思っているわよ」

「……俺の先祖は慕われてたんだな」

「えぇ、慕われてたわよ」

「そうか」

「白虎さん」

「…年を聞く限り俺とタメみたいだから呼び捨てで良い」

「わかりました…では白虎と呼びますね。……それでこの島で暮らすのですか?」

「この島で様々な異世界の事を学べそうだから過ごさせて貰う積もりだ。コレからよろしく頼みます」

「では改めまして……僕の名前はキユク・ルランフェルと言います。コレから宜しくお願いします。あと僕も呼び捨てで呼んでください」

「宜しく、キユク」



ふたりはお互いに握手し、その上にラブナシカも手をそっと乗せた。



「何かあったらサニカ以外で相談に乗るわよ」

「ラブ先生もよっぽどのことがない限り絶対に人の秘密を漏らしたりしないので信用できます」

「わかった、なら頼りにさせて貰う」

「任せなさい!……転校初日と言うことでサービスのジュース作るわね〜!」



ラブナシカはルンルンと張り切って特性のジュースを二人分作り白虎とキユクの元に【魅惑のフルーツジュース】を置いた。



「コレからアタシの事も宜しくね♥」

「はい」











その日の夜の【無敵の宿屋】では




《エントランスラウンジ(左)》



「何だか警戒されてる」

「ここの子供たちは仲間意識がとてつもない程強いですから仕方ないですよ……ナナヤの子孫だと言われても外から来たと警戒してしまうんです」

「……まぁ…ここにはハノンも先生も居るから大丈夫か」

「これでよし」

「サニカ、何をしてるんですか?」

「ん?…ナナヤの子孫たちの結婚式の写真やらを整理してるんだよ。ロルスがナナヤの子々孫々たちの写真を見せてくれと言ってきたから」

「もしかして今から来ます?」

「うん」

「先生、俺は少し気まずいから部屋に戻って良い?」

「構わないよ」



白虎はそそくさと寝る準備をして部屋に戻って言った。

サニカはナナヤの子々孫々たちと取った写真の整理をしながら待っているとロルスがやって来た。



「サニカ先生、来ました」

「ちょうど写真の整理が終わっ……と」



ロルスはサニカに殴り掛かってきたがサニカはヒョイッと避けた。



「サニカ先生、どうしてナナヤを異世界の洗礼から守ってくれなかったのですか?」

「…………………」

「どうして……どうして……ナナヤが…ナナヤが死ななければいけなかったのですか?」

「……それは…」



サニカが発言しようとしたらハノンが静止しさせた。



「最近になって様々な世界で転生者や転移者に対しての変化か起きてます、それも複数の世界で。

ナナヤは異世界で大人となり所帯を持ち一人前の男となり何時までもサニカとボクが過保護に覆い囲む事は出来ません。

それにナナヤはボク達と共に過ごすと自らの意思で選びました…サニカは無理してでもナナヤをこの場所に戻そうとしましたが彼自身がボクたちの側に居ると選んだんです。

納得が行かないのはわかりますが裏拳はないんじゃない?」

「……っ……そんな事は……そんな事はわかってる…!」

「あっそうだ……ロルス、受け取ってくれる?コレは君あてにナナヤが書いた手紙だよ」

「!」



ロルスはサニカの手にあった手紙を引ったくりすぐ近くの椅子に座り手紙を読み始めた。




「………………………………サニカ先生」

「ん?」

「さっきはスミマセンでした………ナナヤのことありがとうございました。ナナヤはこの島の子供たちよりも早く大人になったんですね…」

「どんな事が書かれてたんですか?」

「……教 え な い」



ロルスはその場で手紙を燃やした。



「あ”ーー!燃やしたー!」

「手紙の内容はおれだけが知ってれば良いから…教えねぇぞ?ハノン。それにナナヤが残したものもある…寂しくないとは言い難いが…先生たちは律儀に手紙は読まなかったのか?」

「流石にそこまではしないよ、あの手紙はロルス宛の手紙だったから野暮なことはしたくないし」

「……そうか」

「でもさっきまでの凶暴性を一瞬で納めさせる内容は読んでみたかったねー」

「………野暮なことはしないって言ったくせに」

「知りたいと思うのが人間の(サガ)さ」

「…サニカ先生…ご苦労さまだったな」

「私に対してのお礼参りはもう良いの?」

「えぇ、ナナヤから頼まれたからもうしない。その分はルウカ先生に対して上乗せしといたんで」

「ぶーぶーぶー」

「……ハノンは残念だったな?」

「地味な嫌がらせじゃないですか〜」

「くくくっ……まぁ…後で白虎やらと話はさせてもらおうかな…先祖としてではなく一人の島民としてな」

 


それだけ言ってロルスは入って来た時とは逆の穏やかな表情をして手をヒラヒラさせて宿から出て行った。



「ぶー…手紙の内容が気になりましたのに〜」

「仕方ないさ、絶対に読むなよってナナヤに渡された奴だったから。

ロルスも何か気不味そうな雰囲気を読んでいる途中から醸し出してたから身内しか知らない何かが書いてあったかもね」

「確かに」

「……もしかしたら…ロッカの居場所が書いてあったりしてね」

「まさか〜……それであったら大人しくなるのも何か納得ですけど……ナナヤはロッカと連絡を裏では取り合ってたポイですし」

「さて、明日に備えて寝ますか……白虎は普通の一般の方と同じ様に育ったからナリノ対策して置かないと…」

「そうでした」




ようやく、また普段通りの日常が戻って来た事に感謝しつつもサニカとハノンはナナヤと過ごしていた頃と同じ様に準備をしてから寝た。




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