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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【3度目の人生編】
223/555

番外編 ハロウィンと幽霊船

そして現在に戻り…。



【クレイバール学校】


《講堂》



「8年前はやらかしだらけでしたね」

「……まだまだ子供だったかラ」

「毎年確実に出てるメンバーは雰囲気が違うわね〜」

「…そういえば…アンエルタたちは何処に居たんだ?」

「確かに…アンエルタさんたち3兄弟をその年は見かけませんでしたね」


俺は疑問に思って聞いた。


「あーそれは……3兄弟でハロウィンの前日にイタズラしてアジサイ様に「こんな時期に何してるんだい」と怒られてシューゴとフェイースの世話をさせられてた」

「それで居なかったのか、3兄弟とシューゴとフェイースが」

「どこの会場にも居なかったよな?」

「シューゴとフェイース含めて……」



アンエルタが黄昏れていた。



『それはな、我の背に乗ってハロウィンの日だけに現れる幽霊船へ探検に出ていたのだよ』

「えっ」



銀色の毛並みをなびかせたフェイースがやって来た。



「幽霊船ってルウカ先生ですら近寄るなと言ってるアレでござるか?」

『そう、その幽霊船だ』

「幽霊船で何をしてたんだ?」

『それは秘密だ』

「アンエルタは知ってるノ?」



一斉にアンエルタの方を向くとアンエルタは苦笑いしていた。



「行くもんじゃない事だけは言っておく」

「普段ならここぞな所で中二病的な言葉を使うのにどうしたんだ?」

「ホントーにヤメロ。シューゴは絶対に行きたがらないし、死にかけるし、巻き込まれるし、死にかけるんだ」



アンエルタはぞくぞくと身震いしていた。



「サニカ先生たちは何故その幽霊船を消さないのですか?」

『それは幽霊船に探索に入り真実を見ることだな』

「あたしは一生知る事はないわね〜」



……………サニカ先生にでも一応聞いて見るか。



『我は自身の家に帰るぞ…(サニカに怒られる前にな)』











◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【クレイバール学校の職員室】

 



アンエルタ以外が皆が同じ様に考えていた見たいだが全員でサニカ先生の元に向かった。




「それで聞きに来たんだね」

「それでどうなのですか?」

「…話してはイケない事は無いから話すよ。

あの幽霊船はとある世界線の地球の船なんだけど、その地球で隠れ住んでいる不老不死の元勇者たちですら手に余っていたらしく、どうしようかとなった時にそういえば…と白羽の矢が立ったのがこの世界だったんだよ」


「元勇者ですら手に余る船を預かったのかよ!ヤバくいないか?ヤバイよな?」とフルーレは少々興奮気味で言ったか確かにそう思う。

何故、そのようなヤバい船を預かったと。


「…いくつかの条件が整っていたからだよ。私だって預かりたくなかったよ、異質な特異点となったあのヤバい船を。

でもこの世界には受肉している神族やそういった系統を熟知している魔女や元勇者。

そして何が合っても最高の避難場所(無敵の宿屋)があるから大丈夫という事で許可なく置いてかれたんだよ」

「あっ…だから8年前のハロウィンの時は宿屋に島の皆を集めたのネ」

「そう、牧場の動物たちに関しては宿屋に来る前にハルディオラとイダルベールが上位の神聖魔法で結界を作ったよ。

動物たちも本能で何かを感じ取って絶対に結界の外には出なかった見たいだし」

「それであの船で起きたことはなんだったのですか?」

「…観たくない人は半径30センチ離れてくれるかい?

それと初めに言っておくね、好奇心だけで観ようと思っている子は確実に後悔するからガチで観ない方が良い」


サニカ先生の表情が、かなり真剣に警告している時の表情だった。

俺は…観ない方が良いと感じがしたから30センチ離れた。


「本能が働くのが一斉に30センチ離れたでござるな」

「そうみたいネ」

「オレはこういうのは…祖母さんや母ちゃんから首を突っ込むなと口うるさく言われてるからパスで」

「俺もだ」

「そうだね…」

「ろくなことにならなそうだからアタイもパスだよ」

「……………えぇ」



すると観ることにした人物たちは光りに包まれた。

そして数分後には顔が青ざめガタガタと震え、こんな事が地球でも起きるの?と言っていた。

そして数人から観なきゃ良かったと言う声も上がった。

そしてさっきまで「ヤバイ!ヤバいよな!ヤバくないか!何なんだよ!」などと騒がしかったフルーレが大人しくなった。



「恐怖映像を見ても普段なら騒ぐフルーレが…大人しくなっただって…?」や「コレはもしかして…」とシェルフィナとルニスが言った瞬間に島の危険を知らせる中でも最上級の警戒音が寄合所から流れた。



「…おやおや、コレはまた……厄介なことになった見たいだね」

「さっサニカ先生〜…」



ピリアは震えていたが逃げ出さなかった。

こういう時になるとピリアがパニックを起こし部屋から出る事が多いのに今回は逃げ出さなかった。



「良く我慢したね、普段なら最初にパニックになって騒いで部屋から飛び出していくのに」

「だっだって〜!」

「…良く頑張りました。ちょうどココに子供たち全員がいるからまずは大丈夫だね」

「それでどうするのですか?学校も設備上、安全地帯ですが持ちますか?」

「…多分だけど保たない、前にもハロウィンの時にやらかしたバカが居いて学校に籠もったけど結界が破られて宿屋まで向かったよ」

「………ならどうしますか?」



サニカ先生がボディバックからこの時期になると見かけるロウソクを取り出していた。



「ここに【惑わしのロウソク】が5本と【オリハルコン製のランタン】があると言うことは?」

「……何組かに分かれて宿屋に行くと言うことですね」

「大正解、学校の時間が終わったら渡すつもりでいたから持ってきてたけど、今回の組分けに関しては君たちに任せる。

ピリアとフルーレは確実に私が連れて行くから好きに決めて良いよ」



一組目はサニカ先生とピリアとフルーレ。


二組目はフィリムとアンエルタとルニス。


三組目はシェルフィナとメルファとラタム。


四組目はマコトとナリノとソウビ。


五組目が俺とキユクになった。




「本当に私が最初の組になって良いのかい?」

「ホラー耐性が無い人から先に行ったほうが良いかと」

「出る時間が遅い方が危ないんだよ?」

「はい、危険は承知です」

「わかった、ならそうさせて貰うけど四組目と五組目は同時に出なさい」

「何故ですか?」

「……学校の戸締まりは私が魔法で表玄関以外をさっき閉じたから大丈夫だけどその学校の表門と裏門の鍵の戸締まりを同時にして欲しいから」

「……了解しました」

「マコトたち大丈夫なノ…?」

「裏は俺とキユクだな」

「そうですね」

「人数が多いわたし達の方が良いのでは?」

「逆に人数か少ない方が良い。二人だけならお互いの事だけを気にすればいいから」

「……わかりました。宿までの道のりが長い裏をキユク達に任せます」


マコトは心配そうにしていたが時間が惜しいと気持ちを切り替えたみたいだった。


「本当になんか嫌な感じがするね……気休め程度にしかならないかも知れないけど【繋がりの紐】とナナヤとキユクには【天狗の隠れ蓑】を置いてくね」


サニカ先生はピリアとフルーレに【繋がりの紐】を腰に巻き魔法でふたりを軽くして持ち上げ「それじゃお先に」とふたりを連れて校庭にでるとランタンの中にあるロウソクに火を灯しランタンを宙に浮かべ猛スピードで駆け抜けていった。



「次は我々だな」

「……どうやら相棒たちを頼ることは出来なそうだ」

「ここまで怯えてるの初めて見たかもね」



確かに…リンデが出てこようとしない。

サニカ先生が残した【繋がりの紐】の束を一組掴みフィリムが3等分してルニスとアンエルタに渡しそれぞれが腕に付けていた。

そしてルニスが馴れた手付きでランタンの中にあるロウソクに火を付けた。



「ほら、行くぞイタズラ好きども」

「おっおうとも……」

「…………」



ルニスがランタンを持って先導して先を歩き、その隣にフィリムがルニスのランタンを持ってない方の腕を掴んで歩きアンエルタはそのふたりの背中側の服をギュッと掴んで歩き表門に向かい出ていった。



「こちらも【繋がりの紐】は結び終えたからさっさと行きましょウ」

「そうネ」

「なんかだんだん学校の空が……」

「………皆さん、本当に気を付けてくださいネ?」



三組目のメルファたちは校庭に出るとラタムがハイビーストの姿に変身し、その背中に明かりが灯ったランタンを持ったシェルフィナが先に乗りその背後をメルファが乗りハーネス・リードの手綱をメルファがしっかり掴み進んでいった。



そして俺たちも一斉に校庭に出て表玄関の鍵を掛けてから空を見上げると…普段は星が美しく見える夜空なのに【ヴァルプルギスの夜】の様に暗く何処か赤黒かった。




「コレは…マジモンでござる」

「姉さん、もう行きます」

「……気を付けて」



そこからは早かった。


俺がランタンのロウソクに火を付け持ち裏門に向かい魔法で門を閉じ鍵をしめて全力に近い走りで山道を駆けた。

学校の方を見るとなかなかに凄いことになっていたが【天狗の隠れ蓑】を身に着け走り抜けた。

俺とキユクは訓練通りに走り抜け宿屋前まで来たが何かが変だった。



『アレは何でしょう……』

『…場合に寄っては強行突破だな』


宿屋の前で何かが居た。


『そうですが…』

『周りを見ると俺たち以外の逃げ遅れた島民がいる』

『…………え』



宿屋の周辺にはちょうどの場所に樽が置かれていたりして良い隠れ場がある。

よくよく見てみるとナリノの父のノディさんと漁師で独身貴族のヨファセルさんが積重たった樽から様子を覗き、木箱が積重なっている場所ではリウビィさんとルルエールさんが様子を見ていた。



『ホントです、それにしても動きませんね大人達』

『何かジリジリしているのはわかるが…マコトたちは宿に入れたのか?』

『…だと信じたいです』



それから暫く誰も動く事がなくただ時間だけが過ぎたが宿屋のドアがバーンと開かれ現れたのはサニカ先生で手に持っていたのは悪霊退散と彫られた木製のバット。


宿屋のドアの前に立っていたゴーストに向けてバットを振るとカキーーンと良い音が辺りに鳴り響き飛んで行った。

今だ!と隠れていた島民達が一斉に宿屋に入って行った。


なんと先に出ていたはずのクラスメイトや1年も他の場所で隠れていてぞろぞろと出てきた。



「…間に合わなかったんだな」

「おれたちが到着した時にはサニカ先生にフルスイングを喰らったゴーストがドアの前にスタンバってましたヨ」

「フィリムがラタムに変身を解けと指示したから変身を解いてそのままうちらはルニス達と同じ場所に隠れてたのヨ」

「ナリノとフルーレは居なかったから宿の中だよな」



俺達が話しているとサニカ先生がやって来た。



「…何で制服を着てるの?」

「何言ってんのよ、ボケるのは早いわよ。今日は学校で授業したじゃないの、惑わしのロウソクをくれたでしょ?」

「え?何それ」

「え…」

「それじゃフルーレとピリアさんは……?」


そうフィリムが聞くとサニカ先生は


「その二人ならあの変なゴーストが佇む前に宿屋の前に転がってから空いてる部屋で寝かせてるよ。

それに今日は学校は休みだって連絡したよね?」

「えっそんなの聞いてないよ」

「…昨日のうちに各家を回って連絡したよ?宿の中にいる親たちに聞いてごらんよ」



俺達は宿の中でハロウィンパーティーの準備をしている親たちに話を聞いたが皆の親は「昨日の夕方にサニカ先生が来て学校は休みだと伝えに来て伝えた」と言った。

そして直ぐに俺達様に用意されたテーブルに集まった。



「………わたしたち今日、授業しましたか?」

「えぇ、共同でしたわ」

「…なんか寒気が」

「うちらは皆で白昼夢を見たって事なノ?」

「でも話すかぎりはそうだよな?」

「ふふっ……我らは同じ空間に閉じ込められし同士なのだな」

「アンエルタさんは黙っててください」



「えぇ」だとか「マジか~」とか言いながら過ごしているとある程度の準備を終えたのかサニカ先生がやって来た。



「それでどうだった?親たちは休みだと言ってたよね?」

「はい、確かにサニカ先生が来て明日は学校が休みだとわたし達に伝えたと言ってました」

「……君たちの話を遠からず聞いてたけど私に渡されたと言った例のロウソク持ってる?」

「それが…僕たちのロウソクは燃え尽きてしまって持ってないんです」

「それなら持ってるよ」



シェルフィナがランタンとほんの少し残っているロウソクを出した。



「持ってたんですか?」

「ほら、今さっき言ったけどラタムに乗ってたから宿屋前に着くのが早かったのよ。

だからランタンの中のロウソクの火を消したからあるよ」

「なら早速ここで調べさせてもらおうかね」



するとサニカ先生はランタンに入ったままのロウソクを調べだすと引いた顔つきをしていた。



「この島を守っている結界が少なくなってからこういう事が多くなってきてるね」

「サニカ先生、このロウソクは?」

「このロウソクはゴーストを遠ざけるどころか逆に呼び寄せる為の儀式用のロウソクだよ」

「えー!」

「宿屋の前にいたゴーストもそのロウソクによって呼び寄せられたんだね」

「やっぱり強いゴーストだったのですか?」

「いや、普通のゴーストだったよ」



「それはない」と通り過ぎながらリウビィさんが言った。




「サニカ先生はそれを容赦なくフルスイングしたんダ」

「今回は誰も怪我をしなかったから、ロウソクを渡した奴を私が追うのをやめとくよ、もしまたやらかす様なら……斬るけどね」



サニカ先生はニッコリとした表情でそう言った、正体がわかった様だったが俺たちには教えるつもりは無いらしい。



「サニカ先生、まだ幽霊船ってあるのか?」

「まだあるけど、幽霊船の船長たちには悪さするなよって釘を差してあるから…」

「そうなんですね……今船長たちっていいました?」

「あの船には幽霊船の船長の他に魔女が住んでるんだよ。

私に化けた偽物はその幽霊船の船長と魔女ではないね。

あの術式オタクその1はまどろっこしい事しないし」

「術式オタクその1…」

「あの幽霊船で惨劇が起きたのは確かなのですか?」

「惨劇なんて起きてないよ」



映像を観た人物たちは「はっ?」と言った。



「あの船には地球人の記憶を持って生まれ変わったとある異世界出身の【幽幻の魔女】と【あの船の船長のゴースト】が住んでいて「魔法って奥が深いわ〜」と昔の私みたいに術式にハマっている魔女に研究施設として提供してるんだよ。

この時期になるとハロウィンの日だけ船を覆い隠す魔法が解けて1日だけ船が見えるというわけさ」

「幽霊船ってそういう意味で呼ばれてるのね…」

「それとあの船がどうしてこの世界にあるかと言うと地球で幽霊船騒動があって「このままじゃヤバくね?」とその地球の不老不死の元勇者からルウカが船を貰ってきたんだよ。

魔女が住んでたとは思いもしなかったけどね」



気を張っていたクラスメイトや年下の生徒たちがはぁーとため息を付き椅子に体重を掛けた。




「さて、今日はここまでとして…君たちは清めるためにも風呂に入ってもらおうかな。

特別に薬草風呂を今から作るから男女のグループに分かれて服を家に取りに行ってきてくれるかい?

【魔除けの炎】が入ったランタンを渡すね」

「おっマジか!サニカ先生が作る薬草風呂って匂いとか良いんだよな」

「では早く取ってきましょう」



俺たちは直ぐに席を立ちサニカ先生から【魔除けのランタン】を渡され服を取りに出た。



「………サニカ先生、ナリノ達は大丈夫だったの〜?」

「うん、操られたりはしてないよ」

「それで誰だったんだよ?サニカ先生に成り代わってたの」

「魔力の残り香の感じだとオルフィオーナの子供かも」

「……向こうの世界に嫁に行ったオルフィオーナの子か孫か」

「もしもこれが続くようなら〆に行くけどね」

「あらあら物騒な事を言いますね」

「今の穏やかな生活が脅かされるならそれくらいはするよ」

「サニカ先生らしいです」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







俺たちは服を持って宿屋に向かいそこで風呂に入り冷や汗やらを流しスッキリした。


いつの間にかハロウィンパーティの準備は終わっていて俺たちが風呂場から戻ってきた瞬間にハロウィンパーティを始め楽しんだ。

ハロウィンパーティが終わると今回も8年前の様にそのまま宿屋に泊まりハロウィンの日を終えた。





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