鬼ごっこ
【クレイバール島】
《星あかりの森》
「…何か気配を感じたと思ったんだけど…気のせいかしら?」
「そればかりはわかりません。ですがルウカとサニカ…長生きしている輩には気づかれているかも知れません」
「無理に繋げた事で時空間がメチャクチャになってるからコチ
ラに来ようとしても難しいから時間稼ぎになるんじゃない?」
「そうね……ようやくこの島に入り込めたわ…まさか2000年もの時が掛かるなんてね」
「少しでも意趣返しが出来ればいいわ。どうせ元勇者に捕まったら連行されて裁判所でも極刑、ルウカやサニカに捕まっても殺されるのであれば派手に行きましょ?」
「それにしてもこの島のガキンチョにまんまと逃げられたからどうしますか?」
「完全に逃げられる前に捕まえないと行けないわ」
「どの方向に逃げたかわかるか?」
「さぁ?それぞれ手分けして探りましょう」
「その前に邪魔者を消すわよ」
ナナヤ達の従魔達は話を聞くだけ聞いてそれぞれの方向に一斉に飛び出し一斉に走った。
「あの魔物は見たことがない犬型の魔物ね…しかも統率が取れてるわね」
「…藍………アイテルス、少し早まったけど始めるわよ」
「はい、ハクアリエ様」
「腕がなるわ!」
「コクオウカ様も程々に」
「わかってるよ」
三人それぞれの方向に向かい因縁の決着を付けるために行動に移した。
《クレイバール寄合所》
「遂に姿を現したか…だがやはり前の時より力は失っているみたいだな」
「でも流石は超人種だね。時空間を歪めて侵入してくるとは」
「ほんとーに嫌な人たち!星の泉に生えてる命樹の上で昼寝ちてたら急に入ってきて昼寝がだいなちよ!」
ご立腹なのはクレイバール島にある星の泉の湖畔に咲く【陽光の花】から生れた花の妖精のジュナーテである。
「逃げ足だけは早いのな」
「わたち、まだそこまでの力はないから逃げるちかないわ」
「先生たちは超人たちをどうするんだ?」
「侵入してきたなら歓迎してやろうじゃないか。異界の強者たちにもお前たちの所に来たなら好きにしていいと言われていたしな」
「なるべく捕まえて欲しいとも言われてませんでした?」
「言われてたねぇ」
「どうするかは迎え討つまでには考えとくぞ」
「……アンエルタたちが鉢合わせたみたいじゃが…」
「大丈夫だ、オレたちは生半可な鍛え方はしてないし、逃げ足に関しては小さいうちに鍛えてるから逃げれているはず」
「そのようで」
「…島全体での勝負事になるかもだから宿に居る子供らにも知らせてこないとじゃな」
「シューゴとフェイースも動き出している頃だろうから騒がしくなるか」
「ロルスは作業が終わったら帰っても良いからな」
「わかった」
ロルスはナナヤの父親で今日の寄合所の管理の担当者のひとりである。
「ルルエールとニイザは緊急の案件が発生したと今もまだ仕事してる大人組と家事をしている大人組にも知らせてくれ」
「了解したぞい。ルルエールちゃん行こうか」
「楽しくなりそうねぇ」
ピリアとシェルフィナの祖父とフルーレの祖母も直ぐに立ち上がり寄合所にある通信機の元に向かった。
「ワタシはどうしようかしら?」
「その辺は様子を見てからでも良いんじゃないか?」
「…そうさせてもらうわ」
「さて、オレたちも動くか」
「そうだね」
「先生方々、気を付けてな」
「おう」
「行ってくる」
それだけ言うとふたりはスタコラサッサと星あかりの森に向かった。
「ロルス君で良いのかしら?」
「…そうですが?」
「……本当に二児の父親なのよね?」
「あー…この見た目だと良く言われます……ナナヤと言う息子と家出中の娘の父親です」
「えっ…家出中の娘」
「いやー些細な事で大ケンカしましてね…「こんな家出ていってやる!」と家出されたんです」
「それはまた……」
「まぁ元気にやってるみたいですから」
「そっそうなの?」
「えぇ」
そこから軽い雑談をしたあと、外に出たが特にまだ異常は起きてなくワタシはサニカ達から用意された家に戻った。
……それにしてもロルス君が付けているあの眼鏡見たことあるのよね。
誰が使用してたっけ…サニカの眼鏡じゃないし…カーウェンの読書用の眼鏡でもないし…誰だっけ?
《星あかりの森》
「今さっきのって…ふふっ……裏歴史に出てきた人達よね?」
「そうみたいだ……うー……はぁ……きっつ」
「アンエルタさんが囮になってくださいや」
「フィリム君……いったい何を言っているんだい?」
「アンエルタさんが森に行こうか何て言わなければこうはならなかった」
「えー」
「それよりも…まずは…どう切り抜けるかよね?」
「…そうですね」
「ピリアとマコト…スマンな」
「謝った所でもう遅いです」
「もし攻撃を受けるようならアンエルタを人質にして通るしかないかしら?」
「それも一興ですが……状況整理したいですね。…待ってくれないみたいですが」
「あー…何か敵意をビンビン感じるー……方向からして左の方からきてますぅ」
「従魔たちを呼んで移動しましょう」
「その方が良いかも」
4人はサニカお手製のアクセサリーから犬型の魔物を召喚し、それぞれ乗った。
「巻き込まれたてしまったなら、対応して怪我もなく乗り越えたいものですね」
「………………(このまま空から逃げようかしら?)」
「……人狼ゲームの後だと厳しいモノがありますよ?」
「フィリム、あたしの心を読まないで」
ワチャワチャしている所に弓矢が飛んできた。
「きゃー!何でワタクシの方に弓矢が!」
「……早いですね」
「バラバラになるよりこのまま共に行動を!」
「!……次か来るわ!マコト!クオン!」
マコトを背に乗せながら相棒のクオンはクルッと回り放たれた矢を口でキッチし直ぐに頭を振り矢を捨てた。
「相変わらず、あいつらに鍛えられたガキンチョと従魔は平然とこの技を避けるわ」
現れたのは弓と矢を携えた黒司であった。
「悪いけどさっさと捕まってもらうわ」
「我らは随分とナメられているな」
「捕まえられると良いですね?」
フィリムが悪役顔をするとナイフを腰からさっと取り出しいつの間にか罠を発生させる場所に移動していてヒモを切った。
黒司の居る場所に巨大な丸太×4がグォンと横からやって来たが効くわけないとそのまま黒司の脇腹に直撃した。
「痛ったぁっ!どうしてアタシに効くんだ!それに丸太が壊れないだとぉ…どういう事なの……!」
「まさかこの罠が効くとは…先生たち対策の仕様が効くのかも知れないぞ!」
「それよりも早く逃げるっ」
悶絶している黒司を放置してさっさとその場から逃げた。
逃げ出した先で他のふたりにも遭遇したがフィリムとアンエルタがサニカとルウカの為にと仕掛けに仕掛けた罠を発動させてチクチクと地味に痛いダメージを与えることに成功し逃げきれている。
「どれだけの罠を仕掛けたのよっ」
「異なる双眼を持つ者が…」
「自分らが作ったのもありますが、元々仕掛けられてるのもあります」
「それにしてもマコトとキユクはよく森に来てるみたいだけど罠に引っかからないわね〜?」
「これくらいは見抜けますよ。子供の頃からこうですから」
「まっ先生たちも引っかからないし、今じゃ森を守る為に先生たちにも使われてるよ」
「何度も同じ場所をぐるぐると回ってないわよね?」
「もしそうなら様子だと空間が歪んでますね」
「見つけたぁあ!もう許さんぞ!ガキンチョがぁ!」
直ぐにフィリムは近くの丸太の罠×3を発動させた。
藍堵は何回か避けるが足を木の根に引っ掛け横の腹にモロにくらい「ぐぉおお……!」と藍堵はまた悶絶し始めた。
それを見て移動を始めた。
「出るためには何か法則があるのかも知れませんね」
「ソウデスネ」
「どうしたんだピリア、お腹が痛いのか?」
「そうじゃないわよ…いつ出られるか不安になってるだけよ」
「ピリアのそう言う素直に言う所は昔から」
「藍堵!どうしたの!ってきゃぁああ!!」
今度はアンエルタが近くの丸太の罠を発動させたが白理は同じ手に引っ掛かるかと避けたがほぼ同時に足掛けの罠を発動させていたアンエルタの策に掛かった。
「あっ熊さん柄」
「アンエルタさんのスケベ」
「そんな事より早・く・出・口・を・見・つ・け・て!」
「ようやく見つけましたわ」
「「「ん?」」」
マコト達の側にメイド服を着込んでいる美少女がいた。
「レシェット!」
「この森に居るのはもう貴女たちだけですわよ?出口を教えますのでわたくしの後を付いてきてくださいませ」
「はぁ……コレでようやく出れる〜」
「さぁ、どんどん参りますわよ」
「ちょっと待ったぁあ!」
黒司がここぞと現れたが容赦ないアンエルタとフィリムが近くに仕掛けられている丸太の罠×6本を発動させた。
黒司が避けると他の罠に掛かっている白理や悶絶している藍堵をも巻き込んだ。
罠に掛かっているのを確認し移動を始め暫くして西側の森の出口にたどり着いた。
ルウカの様々なサポートをしているレシェットの案内で安全なサニカの経営する宿屋まで案内されたのだった。