人狼が多すぎないか?
【クレイバール島 東地区】
《マーメイド鮮魚1号店》
「……………………………」
「……………………………」
「……………………………」
「……あの…何か話しながらタスクをこなしませんか?」
「店先に飾られている魚たちに餌をあげたら」
「………………(静か過ぎて落ち着きませんっ!)」
「コレで終わりだ」
ナナヤはパラパラと小魚に餌をあげ終えるとキユクの方を向いた。
「キユクのタスクは残り幾つだ?」
「僕はタスクを全て終えたので他の方の村人のタスクが終わるまで待つだけです」
「そうか」
「はい」
「……………………」
「……ナナヤさんの他のタスクの進行具合はどうですか?」
「残りは……君をキルするだけだ」
「え?」
「スマン」
ナナヤはザクっとキユクに止めを刺した。
『あぁ!やられた!』
「さて狐と人狼しか使えない道を使うとするか」
『ナナヤさんが狐だったんですか!』
「感知しても特に居ないのと……死体を捏造しなければな…マコトが生きていて知られたら村人でも人狼でも厄介だからな」
『何処に隠滅しようと言うのですか!』
「相変わらず軽いな」
『ちょっ軽々と持たないでくださいっ』
「……どうするか」
ナナヤはキユクを持ち上げて鮮魚店の何も置かれていないテーブルに置いて布を被せて隠してから移動を始めた。
『遂にキユクもキルされましたネ』
『見てたのですか?メルファさん』
『人狼ゲーム限定の幽霊化を楽しまないとネ』
『楽しんでどうするんですか』
『でも村人側のとっておきが殺されてないからまだ勝負はわからないヨ』
『えっそうだったんですか?』
『人狼限定の幽霊モードになるとその人の名前の所に役職が照らされるでしょウ?残ってるヨ』
『そうですか』
『うちら人狼はタスクはないものネ』
『皆さんの様子を見に行くのも楽しそうですね』
『見に行こうカ?』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『おやおや〜緊急会議が開かれてるワ』
『おっお前らも来たか』
『そりゃあくるわヨ』
『……キユクもやられたのですか?』
『ねっ姉さん』
『マコトもいつの間にか』
『狐だと思った方をキル使用としたのですが』
『間違えたんだな…てか呪殺師だったんか』
『はい…読みが外れ自滅しました』
『マコトが間違えるなんテ…そんなことがあるものネ』
『アンエルタさんなんて少し離れた場所で【漆黒のなんちゃら】をピリアさんに向けてやってるよ』
『人間の盾にされたら怒るわな。罰ゲームが教えられてない分何が来るかわからないから余計にな』
『うん』
『それにしても…生き残りたちの名前の横の役職が笑えるでござりまする』
『お前もやられてたのかい』
『メルファに声をかけられたと思ったらそのままグサッと一撃でござる』
『簡単だったワ』
『先生たちの意地悪だよ』
『確かにフィリムの言う通りだよな』
『生き残りはソウビとナナヤとシェルフィナとラタムとフルーレか』
「人狼は残りひとりで狐も残っていて更に村人も残っている」
「人狼の三人を追放したけどまだ人狼がいる可能性が残っているのか?」
「まだ人狼ゲームが続いているって事はそうだと思う」
「先生たちも人狼が何人居るなんて言わなかったもんな」
「…………………」
「どうしたの?シェルフィナ」
「えっあっ……ぼーっとしてた」
「人狼ゲームで気を抜いちゃダメだゾ?」
「………」
「残りは5人か」
「…えぇ」
『残りが狐ひとりと人狼3人と村人ひとりだもんな』
『思いませんよね』
『とある村人に関しては自滅だからな』
『それでいて人狼がまだ3人残っているとは思いませんよ』
『しかも二人一組制だったなんてネ』
『さてどのような疑心暗鬼の人狼になるのかな?』
『最後の村人であるソウビをキルしないと終わらないのか』
『そして人狼同士でキルを行おうとしてキルが出来ないだと!って混乱するんだろうなー』
『狐の勝利条件は人狼と村人をキルすることか』
『4人をキルすることが出来ますかね?』
『残った人狼たちは相棒を失ってるからな』
『……そうでした』
そして混乱しながらも全力で戦い人狼たちがお互いにキルしようとして失敗したスキを狙い俺はシェルフィナをキルし村人役をキルしたラタムも特定し闇討ちした。
そして最後に残ったフルーレをキルして終了した。
【クレイバール学校】
《講堂》
「それにしても人狼7人と狐をひとり入れたけど夕方まで良く持ったなー」
「先生たち人狼が多すぎです」
「1度やってみたかった奴だから見てて面白かったぞ」
「長く待ったのは村人たちの機転と立ち回りが上手かったのがあると思います」
「他の村人役も凄かったよ。良く機転を利かせるものだね」
「逆に人狼が多すぎて人狼達の頭上にはてなマークが浮かんでたろ」
「そうよねぇ…あれっ!キル出来ないってなって混乱したワ」
「先生たち、タスクについて何か弁解はありますか?」
「タスク?」
「……タスクと言っても島のお爺さんやお婆さんたちの手伝いだよね?」
「草取りとか餌やりとかが大半でしたねー」
「…ちょうど良かったなって思ったがやはり駄目か?」
「もっとこう…なんかあったんじゃなですカ?」
「必要ないと思ったからね……それにそろそろ実践も混ぜようと思っていたから、今日はその組分けをするために行ったんだよ」
この場にいる全ての生徒に緊張が走った。
「先生それって」
「村人役と呪殺師役をやらせたマコト、アンエルタ、ナリノ、ルニス、ソウビはお留守番組として残って貰いたいと思ったから村人に選んだんだよ」
「えー」
「理由はサポートとしての成績がかなり優秀である為に残ってもらいたい。
だかサポートではなく探索に向かいたいと言うのであれば探索チームに加える。
行きたければオレかサニカのもとに来い」
「そして人狼と狐をやらせていたナナヤ、メルファ、ピリア、キユク、シェルフィナ、フィリム、ラタム、フルーレの8名なら異界に行ってもどんな手を使ってでも生存出来ると今回のゲームで確信したから編成しようと思ってる」
「何人か不安要素が…」
「確かにな、でもそれくらいの奴が居ないと調べるにも調べられなかったりするからな」
「もし責任問題を起こすようならちゃんと本人に責任を取らせるから大丈夫さ。
それに二人一組+サポート(クレイバールからの作業)でやらせようと思ってる」
「探索をやりたくないって言うのもありますか?」
「強制はしないよ。本当に危ないからね」
少し良いですか?とキユクが手を上げて質問した。
「…………探索に向かいたいって言った人と授業が別になったりしますか?」
「異世界での過ごし方の基礎とかを教える。普段この島でやっている事とは別の訓練を教えるつもりでいるからな……そして探索に出たいと言う気持ちは自身で決めるんだ。
特にピリアとマコトは探索に出るなと妹に強制するんじゃないぞ?本人たちにちゃんと考えさせろよ?」
「「…………………」」
「締切までは時間はある良く考えること。
君たちの親は全員1度は若い頃に探索に出て居るから経験を聞くのも一つの手だから聞くと良いかもね」
「今日の授業はここまでだ、今日も部活動は無しだ」
「また明日ね」
いつの間にか講堂には俺たちの持ち物の帰り支度がされており身支度がスムーズだった。
遂に先祖の生まれた世界に渡る為の準備が来たか…良く考えて結論を決めないとな…確かこの後ソウビ誘われているサニカ先生が経営する宿屋の食堂に行くんだったな。
帰り支度は既に出来ていたからソウビと共に宿屋に向っている途中でルニスとメルファとキユクが付いてきた。