適正職業という不回避な件
【クレイバール学校】
《高等科3ー1》
「……と言う事だから宜しく」
「サニカ先生、話が短すぎじゃね?」
「モーリン先生の情報はそれくらいで良くない?」
「良くない?って……」
「後は本人に直接聞きに行くと良い」
「先生ー」
「何でしょうか?ピリア君」
「先生が始めて異世界に召喚された時の話はいつ話してくれるんですか〜?」
「ピリアやルニスがテストでいい点を取ったらだねー」
「この二人にいい点を取れって無理難題です」
「ぷっ…マコトたら言うわネ」
「くっ!」
「そんな事言ってたらいつになっても聞けないじゃん」
「確かに…」
「サニカ先生〜わたしのクラスメイト達が毒を吐きまくるんですけど〜」
「いつもの光景だねー小学校の頃から変わらないね」
「くっ!」
「二人して同じ反応してまする〜……うふふっ」
「…でも今日はもう教える内容は全部終わったからね……かなりざっくりだけどその当時の話をしてあげようか?」
「えっ!良いのか!」
「あんまりいい話じゃないけどね」
「「「えっ」」」
「それで一応確認するけどそれでも聞きたい?」
クラスメイト達は心を1つにして頷いた。
「そうかい…それじゃ召喚された直後からだね……確かバスごと異世界の王宮に召喚されるとバスを囲んでいるお爺さん魔法使い達が召喚に成功したぞー!ってテンションが凄かったのを覚えているよ」
〜サニカの回想〜
「おお!勇者よ!待っておった……ぞ?……子供らが沢山おる………魔導師達よこれは一体?」
「王よ……それが…召喚に成功したのですが…誰が勇者なのか検討が付かぬのです」
「鑑定するにも王の許可が必要なのですぞ」
「なら許可しよう、一刻も勇者が必要なのじゃからな」
このまま、流れるようにノンストップ鑑定祭りが始まったんだ。
「おお!勇者が遂に見つかったか!」
「この者がそうです!」
「おっおれが勇者なんだな!」
「作用でございます!」
「ですがまだ最後の一人が残っておりますぞ」
「おぉ…すまぬ、ソナタが最後か。たとえ勇者じゃなくとも安全を保証しようぞ」
「はぁ…」
「では少年よ、水晶に手をかざすのじゃ!」
サニカは手をかざし水晶に職業がでた。
「青の魔導師よ、その少年はなんの職業なのじゃ?」
「…おぉ…神よ……なんと無慈悲な」
「どうしたのじゃ、青の魔導師よ」
「この者の職業は奴隷商人です」
「!?………そうか…」
「(きな臭くなって来たなー…)何かあるんですか?」
「すまぬ、少年よ……たとえ少年であろうと奴隷商人とう言う職業を持つものは保護が出来ぬのだ………誰が奴隷商人のこの小僧をつまみ出せ!!」
急に手のひらを返してきてみんなの前で急に一文無しで王宮からつまみ出されたんだよ。
私もタダじゃ転がりたくないからバスと運転手さんを回収しちゃったよねアイテムボックスに。
前世の記憶を持っているのとアイテムも待ちこせたから不安になることはなかったよ。
だから勇者たちの足となるであろうバスをアイテムボックスを使って回収してやった。
そして直ぐに私は奴隷商人だからと言う理由で指名手配されるし王国周辺施設も使えなくなったけど【無敵の宿屋シリーズ】があったから不安にならなかったよね。
そして追い出されてからも魔法で追跡されていたのか王国の騎士がガキ相手に襲ってきたから………異世界の武器を使って返り討ちにしてやったよ。
殺しはしないけど両足を潰して騎士生命を終わらせてやった、日常生活は出来るように処置はしておいたけど。
「子供相手に大人気ないんじゃない?」
「こっ小僧…!……貴様何者だっ!」
「私は何者でもないよ。ただオジサン達の方が運がなかったね?私を召喚しちゃってさ」
「人質として若い人を3人ほど貰っていくね?」
「なっ!」
「大丈夫、殺しはしないからさ」
「ぬぉおおおおお!」
「「「ん”んーー!」」」
「バスの運転士さん出発してください」
「…オ嬢サン、ドコニ向カイマショウ?」
「取り敢えず国境の街の近くまで」
「アイヨー」
「…バスの運転士さんを試しにその世界の魔法で奴隷にしちゃったよね」
「男に間違われててしかもバスの運ちゃんを奴隷にしたんかい!」
「うん」
「サニカ先生……理由は?」
「「俺をどうするつもりだっ!」っていつまでも大人げなく騒いだから…」
「そりゃあ…言うわよ」
「それでバスの運転士さんの職業は何だったのかしら」
「詐欺師」
「えっ」
「詐欺師だったんだよ。地球での姿も実は詐欺師だったんだよね」
「それって大問題じゃないか!」
「うん、バスの運転士と詐欺ってたんだよ。結構なボンボンも通う学校だったから身代金目的の誘拐を行おうとしてたのかもね」
「うわー」
「どの道、召喚された王国に残っていても利用されるだけ利用されて処分されてたかもしれないんだなバスの運転手さん」
「それか最後の最後まで利用されるかですね」
「……そろそろ話の続きを」
…奴隷にした元騎士×3をこき使いながら国境を越えて様々な町や村に立ち寄り数年の時を過ごしていると魔王軍と王国軍がドンパチしている場所に居合わせた時が面白かったよ。
なんと魔王軍が地球産のバスを運転して王国の騎士や勇者たちを追い込んでいたのだから。
私はそれを観戦し、そして王国軍と満員喪失の勇者が撤退した時に魔王軍とコンタクトを取ったらいつの間にか交渉してたね。
魔王軍の幹部からどうして争っているのかを聞くとくだらない理由で王国と周辺の国は領土の取り合いをしていたが豊かで笑顔の絶えない魔族領が羨ましくなったらしくある日突然戦争を仕掛けてきたそう。
なかなか侵略出来ずにいると私を召喚した国の魔導師たちが異世界人召喚の儀式をどこからか見つけてきて行いそれからどんどん泥沼化して争いは100年にも及んでいたそう。
私はその交渉の場にいたルウカと暗躍するための策を考えて実行に移し始めた。
そして私は王国側にいるクラスメイトたちを王国の無能な貴族と無能な王族を奴隷商人の力を使って操り足を引っ張ってもらって戦力を削ったとさ。
「サニカ先生のサイコパス!」
「失礼だねルニス。死ぬ心配はなかったから…蹴落とされれば地球に強制送還で私たちを呼んだ世界の神様は良心的な方だったみたいだから…それに早めに大人の世界って奴を味わって人間不信になっていくの見てルウカは笑ってたよ」
「そう言えば共同作業だった…!」
「それを味わったクラスメイトたち……か」
「想像しただけでもゾッとするわ」
「怖っ」
「例えば…異世界の令嬢が誘惑し「ストップです!」
「おいおい、マコトなんで止めるんだよー」
「卑猥な話はここでは相応しくありません」
「…奴隷にした3人の騎士が気になりますね〜」
「そう言えば騎士が奴隷にされた居たわね」
「その3人の元騎士たちはー」
王国以外の場所を旅し見聞を広めた元騎士たちは自分の王国側にどれだけ外の国から嫌われていたのかを知って悲しんでいたよ。
暫くすると私に従うための条件として自国の人間とは争いたくないと言ってきたから、私はそれを了承したけど戦地での罠とか仕掛けるのは手伝わせたけどね。
そしてルウカとの裏工作を騎士たちと魔族たちを使って実行に移し10年の月日が立つと少年騎士たちはいつの間にか精悍な男性になって恋の季節を迎えていた。
「「「「「え」」」」」
「恋が出来る時間があったでござりまするか!」
「ナリノはこう言った話に反応するよな」
「王国側の勇者たちが何度も何度も負けてるから小競り合いぐらいしか起きなくなって来てたからかもね」
「ルウカ先生たちの策略に嵌って勇者たちが落ちぶれているのが見える…」
「その頃には26人いた私のクラスメイトたちは12人になってたね」
「それでも結構な数が残ってるね」
「確かに」
「それで元騎士たちはどうなったでござるか!」
「全員所帯持ちになったよ。お嫁さんたちも今は奴隷であろうとこの人なら間違いないと言ったし」
「そのお嫁さんたちって…」
「確か…弓使いのツンデレエルフと魔王軍の幹部の魔導師とスト……幼なじみのシスターだったよね」
「今ストーカーって言いそうになってませんカ?」
「あと魔王軍の幹部の件も気になるわ」
「幼なじみのシスターに関しては私に奴隷にされる前からずっと村から追いかけてられていたのと魔王軍の幹部に関しては何度か顔合わせしてたらいつの間に…と言う感じだよ」
「ツンデレエルフのお嫁さんは?」
「旅をしていて魔族の拠点のエルフの里に立ち寄って依頼をこなして居たらだね。一目惚れだったとツンデレエルフさんからポロッと聞いたよ」
それから元騎士たちが安寧の地が欲しいと言われて丁度良い拠点を魔王と共作で作り生活を始めると王国からの難民(スパイは弾いた)が来るようになったから町を大きく作っちゃうか!ってなって安心して暮らせる町が出来てきた。
王国が勇者を使って何度も仕掛けようとしたけど魔王軍とルウカの邪魔が入り未遂で終わり数十年の時が流れ和平が結ばれる時が来た。
和平が結ばれる時には優秀な人材が生まれて育っていた、そして勇者を召喚した王国以外は魔王と和平を結び交流を始め生活の水準が上がりそういった国は魔族と共存することを嫌がる人たちが居なくなった。
そして結婚してから直ぐに奴隷から開放した元騎士の子供たちと魔王とルウカが和平の交渉に向って少しイザコザがあったが和平する事が出来て世界平和となりましたとさ。
「…その少しのイザコザが知りたいんだが」
「……王様を玉座から引きずり下ろして解決した」
「うわー…」
「末期だった。その王国は既に民が逃げ出し王族と一部の貴族しか暮らしてなかったのと隠し玉として召喚した勇者の能力でどうにかなっていたんだ。
…どうしても見つからなかったクラスメイトが1人居たんだけど和平の時に発見した」
「それって」
「王族の秘密の牢屋に40年も監禁されて精神も体もヤバかった、ルウカですら引いてたよ」
「ルウカ先生が引くってどれほどの事よ…」
「そのクラスメイトは送り返したのですか?」
「うん、私の方のバス運転手さんと共にね。私とルウカは和平が結ばれてからもこの結果を認めないって言う奴らが現れるのを予期していたから残って…そういった残党と戦って10年かけて平和な時代の訪れを見て【勇者認定】され地球に帰えったよ」
「ざっくりじゃなくちゃんと何をしたか聞きいなー」
「その辺は秘密とさせて貰うよ。その後の世界がどうなったか私とルウカでも調べることが出来ないからねー」
「そんな事もあるものなんだな」
「先生たちなら調べられるんじゃない?」
「無理やりすれば出来なくはないけど…とある組織に呼び出されて説教されるからパスで」
「先生たちよりも長生きな人たちにか」
「そういう事です」
「………もう3時過ぎ」
ソウビの言葉に一斉にアナログ時計を見た。
「ホントだ」
「あっそうだ明日の授業は町全体を使ってのリアル人狼ゲームするからね」
「えっ」
「リアル人狼ゲームだけど死人は出ないから安心だね」
「安心だねじゃないですよ!リアル人狼ゲームした後は暫くは人間不信になるから!」
「今回は私とルウカは審判になるから前よりは酷くならないと思うよ?」
「なんでそこで疑問風なのヨ!」
「狼に選ばれないと良いね?」
「何を人狼にさせる気ですか、不安要素をぶっ込まないでください」
「それじゃ、また明日ねー」
「ちょっ!」
それだけ告げてサニカはそそくさと教室から出て行った。
「おぃいい!マジか!マジなのか!」
「………面倒…(休みたい)」
「……何か含みを込めてたな」
「そもそも誰が企画したのよー」
「ルウカ先生じゃないでしょうか?」
「あり得るわネ」
「厄介でござりまするわ」
「………(ワタクシへの嫌がらせ行為か?)」
「どんな感じに組分けされるかによって結果は変わってくるだろうなー……今回の罰ゲームはどんなのになるかなぁ」
「前の時は男子は女装で女子は探検家の服を着させられクレイバール島の山頂まで歩かされましたし」
「そうだな」
「あー……明日が来るのが憂鬱になりそうです〜」
クラスメイトたちが重々しく教室から出る準備をしてそれぞれの部活に向かっていった。