新世代と語らい
【クレイバール学校】
《空き室》
「それで固まっているのか」
「まぁ…目覚めていきなりアレから2000年経ってるって聞けば「はい?」ってなるよな」
「この色っぺーネーチャンがラブナシカ先生の娘か」
「ルニス、ちょっかい掛けたらゴリゴリの刑だから」
「手は出さないよ……(ラブナシカ先生の親族になるのははちょっとな)」
「どうします?」
「このままにして置くのは……ちょっと」
「こう言うのはさっさと目覚めさせて現実を見せなきゃ駄目じゃないでしょうか?」
「……姉さんって何気にエグい事を言うよね?」
「当たり前です。こんな破廉恥な格好してますから」
「話し合いはサニカとアタシで行うからアナタたちは授業に戻りなさい。
他の子供たちにも紹介したいから…明日ぐらいには話せるようにして置くわ」
「一旦ラブの家に運ぶ?」
「サニカの家の方がいいんじゃない?」
「……そうしますか」
ドンブラコ〜ドンブラコ〜と運ぶのではなく、サニカがラブナシカとモーリンを連れてワープした。
「ほら、教室に戻るぞ〜」
「はーい」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール学校】
《高等科3ー1》
「遂にモーリンが戻ったのか」
「……ナナヤさん、妹は何もしませんでしたか?」
「いつも通り明るく挨拶していたが…」
「そうですか」
「ぶー…羨ましいです」
「ピリアさん、どうしましたか?」
「2000年前の人と会話したんですよね?」
「俺とキユクはただ挨拶しただけだ」
「2000年前の人たちなら居るじゃん。目の前に」
「ワシの事か?」
「歴代の卒業生たちの卒業写真に載ってるけど変わってないもんな」
「……ワシ、そろそろ寿命が近付いて来ておるがな」
「え」とクラスの子供たちが一斉にカーウェンを見た。
「だって3000歳をとうに過ぎたし…ハイエルフの先祖返りだって限界が来るものじゃろ?」
「ちょい!ちょい!先生が居なくなったらあの暴走機関たちを誰が止めるんだよ!」
「お主たちじゃ」
「まだ長生きしてください!」
「そんなに必死にならなくても良いじゃろう」
「先生」
「ん?どうしたんじゃナナヤ」
「授業の時間が終わった」
「あ」
するとキーンコーンカーンコーンと馴染みのあるフレーズが鳴った。
「今日は話し込んで終わっちゃったのう……今の時間の授業の内容なんじゃったっけ?」
「先生、内容をわすれたのですか?」
「おじいちゃん先生…だもんな」
「2次関数?」
「違います。クレイバール島の裏の歴史の授業です」
「あー…それなら別に次の日でも良いか」
「先生も適当だなー」
「たまにはいいじゃろうて。……今日はこのまま授業は終了じゃな、解散」
「先生、部活は?」
「今日は無しじゃ。ラブ先生たちが早退して行ったからな」
「このまま家に帰っても……あっ…婆さんから家に帰ってきたら手伝えと言われてたんだった…」
「ルニスは大変ですねー」
「ピリアも手伝うか?」
「無理です」
「わたしは…少し図書室で勉強してから戻ろうかな」
「それならあたしも同行させてください……キユクは?」
「…キユクには授業が終わり次第さっさと家に帰り勉強しなさいと伝えてありますから」
「おぉ…相変わらず冷たくあしらいながらの過保護ですねー」
「別に過保護ではありませんよ」
「カーウェン先生またねぇ〜ん。ナナヤもね〜?いつでも拙者の物になっても良いでござりまするわ〜」
「悪いが断らせてもらう」
「ふふっ…行けずでござるね〜」
改造制服を来た少女がナナヤの腕に胸元を押し付けて絡んで挨拶してひとまず先にとクラスから出ていった。
「あいつ…今日もナナヤに絡んで行ったぞ」
「ルニスはキリキリしないんですよー…ナリノさんはサキュバスの血統なのにアピールが控えめですよね?」
「(アレが控えめ?)何を言ってるのですか。制服を改造してヘソ出し制服を着てるんですよ?何度注意しても止めてくれませんが」
「種族の特徴から仕方ないじゃろうて」
「カーウェン先生たちは甘すぎです」
「………………………帰る」
「うおっ!……ソウビ、お前なぁ…音を立てずにおれの後ろに立つな」
「………邪魔…(ルニスとピリア以外の皆、またね)」
「おい!」
ソウビと呼ばれた少女に見間違えられている青年はスタコラサッサと教室から出ていった。
「ソウビさんは相変わらずですが…今日に限って早いですね」
「あの根暗君は昔からですよねー」
「18年も共に過ごしているけど昔からだよな」
「…………」
「それはそれで最高じゃなかー」
「お前はどこから湧いてきたんだよ」
「湧くとはどう言うこと?ワタクシは漆黒の黒光する昆虫ではないし最初からこの教室に居たぞ」
「アンエルタ、少し良いか?」
「ん?どうしたんだ?ナナヤ」
「サニカ先生に呼び出しをくらっていたがどうしたんだ?」
「あ~……それは……悠久の時を生きる女教師の相棒である漆黒の使者にイタズラを仕掛けたのだ!」
「……ハノンは黒くねぇよ。…イタズラを仕掛けただと?」
「見事返り討ちに合ったけど」
「だろうな」
「素に戻るな。そして負けてんじゃねぇか」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
《高等科1ー1》
「キユク、どうだったんだ?」
「どうとは?」
「あの色っぽい石像が人間に戻ったんだろ?特に感想とかは無いのか?」
「そうですね…2000年も眠っていた事実に固まってしまって話せませんでした」
「どんな人だった?それにあのままの格好だったかっ!」
「…生まれた時からの知り合いが近くに居るのにどうして格好について言わないといけないのですか?」
「だってあの格好だぜ?それにオイラたちが生まれた時から飾ってあった奴だし」
「…………(彼は昔からですね)」
そこにクラスのまとめ役が横入りしてきた。
「いい加減にしな!フルーレ!」
「うげっ」
「キユクも答えなくていいからっ」
「大丈夫ですよシェルフィー。僕もあんまり相手にする気はありませんので」
「くっ…オイラの同じ年の幼なじみたちは冷たいぜ」
「ガッハッハ!相変わらず仲がいいな」
「この状況を見てよく言います……よね!」
穏やかなそうな少年はルウカに向けてイタズラを仕掛けたがかわされた。
「いつもの事だからな…今日は部活動なしだからな」
(ちっ…相変わらずかわすの上手いな)
「ラブナシカ先生たちが居ないもんね…教員を増やせば良いのに…」
「ならフィリム、将来ここの教員になるか?歓迎するぞ」
「えっ?ボクが?ははっ嫌だよ」
「………」
「ボクよりフルーレの方が向いているよ」
「ありえないわよ」
「無いです」
「お前らなー」
「もし、モーリンが気になるなら本人に話を直接聞きにいけ。だか今日は寄り道しないで帰るんだぞ?」
「へーい」
(さてと…ボクは新しい仕掛けでも仕掛けに行きますか)
「キユクは何を持ってるの?」
「星の泉に用がありまして…」
「ジュナーテの所によってくの?」
「はい、彼女と約束をしてますので」
「お姉さんには言ってあるの?」
「ラタムもなかなかプライベートを聞いてきますね」
「このクラスの委員長なので、何かあったら嫌な気分になります…それにこんな日だからだよ」
「大丈夫ですよ」
「…そう?(一応マコトさんに伝えておこうかな)」
【澄谷家】
《ダイニングキッチン》
「……と言う事だから」
「……重いわ……ホントーに2000年も時が過ぎてるのね。それにしても因果がここまで複雑に絡み合う魂を近くで見られるようになるとは…長年サニカとルウカが手元に置いときたいと思う理由はわかるけど」
「私やルウカが居なかった時代があったから…その時代に何か合ったんだろうね。
前々の生の時と違ってそこまでの力はまだ無いから調べられないから…ラブは話してくれないし」
「神族としての制約で話せないのはわかってるでしょ?」
「それに白理たちもまだしぶとく裁判所から派遣された人たちの追跡から逃れて逃げ回ってるし…力を与えた【至竜】は討たれたと言うのにね…」
……サニカが引きつった表情を出している。
至竜が討たれたってサラッとサニカは言い放ったけど…それって大事件じゃないの!って言いたいけどママが騒がないってことは秘密裏に処理されたって事よね……その話を詳しく聞きたいけど…違う話題の話を聞いたほうが良いわね、聞くなよオーラ出している人が居るし。
「ワタシは【魔王】と【浄化の魔王】は一緒の存在だと思っていたけど違うのよね?」
「魔王は向こうの世界の始まりから居たけど【浄化の魔王】は膨れ上がった悪意そのものの浄化槽として…救済措置として作られた存在だったから……いつから【魔王】の立場が【浄化の魔王】と立場が逆転したのはわかってない。
ルウカの転生前が【浄化の魔王】としての王位に付いた時には既に立場が逆転していたといっていたし」
「オレも良くその辺の記憶がないからわからん」
「でも【浄化の魔王】はいつの間にか消えて魔王が返り咲いたわよね?」
「必要ないとされたのだろうな」
「とこしえの宝玉を使って浄化装置を作っても無駄だものね。どんなに浄化しても消えないものねー」
「…とこしえの宝玉?」
「ラブ」
「ふふっなんの事かわかんなーい」
「はぁ…数万年も隠していたのに何でここで言うかねぇ」
サニカがまたとんでもない発言を言ったわ。
「何を隠していたか話して頂戴、情報をもっと頂戴…」
「……とこしえの宝玉は願いを叶える力を持った宝玉で【浄化の魔王】が生まれたと同時に作られた【アーティファクト】だよ。
1度ルウカと私で壊そうとしたけど壊せなかった代物でもあるけどね」
「なっなな!なら宝玉に願えば向こうの世界を元の状態にできるじゃないの!何でしないのよ!」
「それが出来ていたらとっくの昔にやってるよ。出来ないから隠していたんでしょうが」
「願いを叶える力を持ってるんでしょ?」
「何故かその願いだけは叶えてくれないんだよ。だから存在を知っている私とルウカとラブの3人で隠蔽してたんだよ」
「その願いを叶えられないのに何で今もそう呼んでいるのよ」
「それ以外の願いは必ず叶えてきているからだよ」
「え?」
「【浄化の魔王】が消え去ったのにどうして2000年前のコチラの世界に移る前までは暗闇に覆われなかったでしょうか?」
「…とこしえの宝玉を使って浄化していたから?」
「正解」
「浄化槽として使ってたんじゃないの。ならそのまま放置して置けば良かったじゃないの?」
「ある程度の願いは叶えるし悪意ある者に奪われるわけにいかないから手元に置いて置きたかったんだよ。
それに宝玉を作った2代目は抜けてた所もあったからね。
私とルウカがどうしてあなた様が世界から居なくなるの前に「本当にヤバい悪意は消えてとこしえの宝玉は必要なくなったとわかったていたのに壊さず、浄化装置その物があれば大丈夫になったのにどうして浄化装置を作らないの?」って聞いたときなんて…」
…まさかの向こうの世界の【神々のまとめ役】が作った物だったとは…それだけの代物なのね。
「…そしたらなんて言ったの?」
「「あっいっけねぇ、壊すの忘れてた!浄化装置も作るの忘れてた!…もしかしたらまた大変なことになるかも…テへ」って言ったからルウカがパワーボムを掛けたよ」
「宝玉が残ってるって事はそのまま放置して出ていったの?」
「うん…技を掛けられた格好のまま消えていったよ。
だからこそ魔神達が年代ごとに攻めてくるでしょ?本能的にとこしえの宝玉の力を求めやって来るんだよね」
「それが原因だったの!?」
「この事実を言うわけにはいかないから…まさか神様がうっかり壊すのを忘れて出て行きこうなってますって。
もしとこしえの宝玉の事を話していたらとこしえの宝玉を求めて年がら年中戦が起きていただろうし…魂の牢獄【アンクハンザ】の様になっていただろうね」
「………………」
あ然として口が開いたまま閉まらないわ。
「……もしかしてワタシが目覚めるの待ってたの?」
「今現在で時空間魔法がポンポン使えるのは君だけだからもあるけど」
「サニカとルウカは使えないの?」
「使える」
「なら別にワタシを待たなくても良かったじゃないの」
「私とルウカだけじゃ間に合わない、モーリンにやってもらいたい事があるんだよ」
「時空間を安定させるためにもって事ね」
「そういうこと」
「その時になったら協力するわこれまでの償いとしてね。子供たちの教育はまだ終えてないのでしょう?」
「でもそろそろ実戦に一度はねじ込もうかと思ってるけど」
…………ここに鬼畜がいるわ。
「年齢的にもまだ早い気が……それにしても随分と島の人口が減ったわよね…親世代や子供たちの能力が相変わらずクソ高いのは変わらないけど」
「まぁ…この島に暮らしているのは学校に通っている子供たちとその親族と昔からの関係者の血筋しか居ないな」
「あんなに居たのに」
「島の子供たちを連れて様々な世界に行った先で嫁や婿を貰ってきたり逆に嫁に行ったり婿に行ったりしてるからだ。
子供たちの潜在能力が高いのは訓練や不憫な思いをした優秀な人材を引き抜いてそういった人たちの血を引いてるからだろうな」
「アグレッシブ過ぎよ」
「でも顔見知りしか居ないからかなり落ち着いてるわよね」
「…そうなるとワタシの住居があった向こうの島は不安ねぇ」
直ぐに返答が帰ってきた。
「それなら心配ないよ。モーリンが石化して10年後に離反した島にはとある人物の元に突然変異でとても真面目な男児が生まれて島民たちをまとめ上げて秩序を作ったからね」
「え…」
「その子は実の父親と腹違いの兄や弟や姉や妹たちをシバいてハーレム禁止法を作ったよ」
「腹違い?……ハーレムを気付いたのは確か…トレニアよね?」
「えぇ、トレニアは呪いの事をすっかり忘れて4人の後妻たちと宜しくやってた所に本妻との間に男子が生まれたものだから跡取りどうしようって焦ってたわね。
その子はとても聡い子供でピンクの街を通して自分はクレイバール島で勉学を励ませて欲しいですと言ってきたものね」
「それを許可したのね?」
「そうだね。その子を見た瞬間にこの子なら大丈夫だなって思える子だったから」
「それから問題を起こす事なくクレイバール学校を卒業して直ぐに行動に出たわね」
「その子は悪さをしないと確信した兄弟たちと共に悪さをする父親や兄や姉や妹や弟を縛り上げて自分たちが暮らしている島の中心につるし上げてから見せしめとして男たち限定で公開去勢して五つの分家を作りまとめ上げましたとさ」
「えっエグい事をするわねぇ…(実際は発せられている言葉よりヤバい事が……聞くのは止めておこう)」
「時は流れても女好きや男好きの子孫が生まれた時の為にと対策も作っていたから滞りなく発展してこの島より人が多いよ」
「逆にこっちが衰退してたわ…大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。こっちはこっちでその方が落ち着いてるし」
「そっそう………それともう1つ良いかしら?」
「なに?」
「広場にいるあの巨大な犬は…フェンリルよね?」
「あー…ビワトたちの子供が生まれて向こうの世界に助っ人としてお呼ばれした時に「犬だ!犬拾った!子供が生まれたら犬を飼えってよく言うよな!」ってビワトがどこからか拾ってきたんだよ。
今はこの島の子供らを見守る守り神その2になってるよ」
「犬拾ったって……気づかなかったのね」
「それからこの島の子供らは代々あのフェンリルの血を引く魔物かその眷属と契約をするのが定番になっているよ」
「……え」
「子供らに危害を加えようとしたら子供たちの影の中に居るワンコや眷属たちが出てくるわよ〜」
「けっ契約してるの?」
「フェンリルの血を引く犬型の魔物かその眷属の魔物とね」
「……フェンリルじゃないのね」
「滅多な事でフェンリルは生まれないわよ」
「そうね…」
シルトの子供たちの系譜は何千年経とうが恐ろしいわ〜。
それから話を終わらせると明日の予定をサニカとママに入れられたわ。
一応、魔法の勉強の臨時講師として暫く働かされそうね…。
それにしても……トレニアざまぁ!独身の男女の目の前で良いだろうってイチャイチャとハーレムを見せつけた報いよ!
ピーーもげろって思っていたけど…実の息子にしてやられるなんてそこまで下半身バカになっていたのね。
…ホントーにお馬鹿さんね。
「それとその…【とこしえの宝玉】は何処にあるの?」
「…………一言だけ言えるのはこの世界にもモーリンたちが生れた世界にも無いって事かな」
「えっ!」
「…サニカ、隠さなくても良いだろう。モーリンが眠っている2000年もの間に鑑定と保管に特化した退役勇者がとある世界に生まれたりしてな。
ソイツが1度この世界に来て【とこしえの宝玉】を鑑定した時に「この宝玉は程よい中途半端なのが素晴らしすぎますね!私のコレクションに加えたいので譲ってください」と言ったがオレたちが厄介な物で作られた経緯を知る者として譲れないと断ったんだがなかなか引かなくてな。
すると突然、人外専門の【裁判所】のトップと連絡を取り始めて交渉しだしてモーリンの嘆願した時に失った物を取り戻りしやがってな」
………いったい何者なの……その子は。
「「コレでどうですか?」となかなか迫力のあるドヤ顔しながら近づいてきたよな」
「うん、グイグイ来たね」
「もしかしてあげちゃったの!?」
「ガチで欲しかったら悪いけどコレを作った奴と交渉してくれと言った途端に、その場で異次元のゲートを作りゲートから無理やり引きずり出したんだ」
「旅神を引きずり出しちゃったの?」
「そうだ、旅神かつ本人を引きずり出したぞ」
「その旅神に言いたいことがあった私とルウカはその旅神にクドクドと説教した後に探究心旺盛な達成勇者に渡してギラギラな目で交渉して【とこしえの宝玉】をゲットしたんだよ」
「それはまた……あー」
「思考を放棄し始めたな。…【とこしえの宝玉】はヤバいアーティファクトだったから有名な強者たち数名に立ち会って貰ったんだけどな」
「……その有名な強者の中から【とこしえの宝玉】を欲する人は出なかったの?」
「出ないよ」
「え」
「その人たちは私たちが保管していた【とこしえの宝玉】よりも、完璧に【なんでも願いを叶える宝玉】を自分の手で作れちゃうからねぇ」
「………」
「世界は広いし、オレ達もまだまだと言うことだな」
「世界の壁の外が怖いわ」
「だからこそ【人外専門の不可侵条約】があるんでしょ?」
「もしあのまま逃げていたら……」
「確実にそういった方々が動いてたんじゃないか?」
……あの時、ママとサニカが動いてくれて本当に良かったとワタシは思った。
そう言えばこのふたりは嘆願してくれたんだっけ?
「……ワタシの嘆願の時にいったい何を犠牲にしたの?」
「オレは前の身体の時の能力で【無限の器】と【鋼の身体】と【浄化の魔王】だった時に譲り受けた【始原の杖】と【多重結界術】を渡したぞ」
「私は【未来眼】を開眼して進化した【多元の未来を見通す眼】と【強靭な身体】と【魔輝石の魔剣】だね」
「あー…」
「サニカ!アナタ!痛手どころじゃないわよ!未来眼を失うなんて!」
「ラブは興奮しないんだよ」
「ついさっきも言ったが1つぐらい取り戻せたって言っただろ?」
「それで取り戻した物を言いなさい!」
「オレが【始原の杖】でサニカは【強靭な身体】だけだよな?」
「うん」
それを聞いたラブナシカは無の表情をして立ち上がった。
「………ちょっとカチコミ入れてくるわね?」
「入れてこようとするな」
「それだと不公平すぎるじゃないの!どうして講義しないのよ!」
「私とルウカが手放した【多元の未来を見通す眼】などの他は既に他の人の手に渡してしまったらしく取り戻せないと言われて裁判所のナンバー2が謝罪しに来て「もし取り戻したかったら渡してしまった人を【お覚悟】しないといけない」らしくてね」
「向こうの落ち度じゃないの!」
「とある世界の神様が譲って欲しいと何度も何度も懇願してきて根負けしたらしくてな。
悪い事に使うようなら容赦しないと強者たち立ち会いのもと譲ったんだとさ」
「アナタたちは納得したの?」
「そうなっちまったもんは仕方ねぇと思うしかないだろう」
「…代わりにこの世界を【悠久に存命できる世界】の1つに進化させて貰ったから良いかなって」
「…確かに…それなら納得が出来るわね…?(あら…何かはぐらかされてるような?)」
「……【悠久に存命できる世界】ってなーに?」
「遂にモーリンが思考を放棄したぞ」
「簡単に言えば選ばれた星の全ての命が絶えてしまってもその星だけは永久に存命するんだよ」
「それって凄いのぉー?」
「ブラックホールに取り込まれることもないし、超新星爆発にも巻き込まれない、星の海を彷徨う魔物にも襲われない、エイリアンやその星を滅ぼそうとする外から来る奴らを弾く」
「え」
「白理たちの目的はオレ達であって星を滅ぼそうとしてないから普通に侵入して来るけどな」
「ですわよねー」
「……お開きにしようか」
モーリンが壊れ始めたのを確認した三人はこれ以上は無理だと判断し話を切り上げてお開きした。