ネタばらし
【大広場】
「今から何が行われていたか話すわ」
「やっぱり何か動いてたんだな」
「モーリン元学園長の石化とワックとヤストがボコボコにされた理由って奴だな」
ワックとヤストは簀巻きにされてシューゴが監視役として広場にある高いオブジェから吊らされている。
今回はラブナシカさんが話し出した。
実はとある時空にある人外専用の【裁判所】に所属している人たちからモーリン元学園長の処遇に付いての封筒が来た事から始まったそう。
モーリン元学園長はアレからも時空間を弄り回して様々な世界に影響が出るくらいの事を仕出かし今度こそ庇いきれない所まで達した。
ラブさんはその裁判所に向かい嘆願書を出したそうだか却下され、そこでサニカとルウカが嘆願書をだしてそれが通り猶予を貰いモーリン元学園長を説得していたそうだが失敗してズルズル来ていたそう。
エクルが狙われた理由は薬神の角に秘められた広大な魔力とエクル自身を媒体にこの世界から抜け出し全く関わりがない世界に移動を目的としていたから。
そこでモーリン元学園長に利用されていると最近判明したヤスバたちを利用する事にしたそうである。
サニカたちが裁判所と交渉してモーリン元学園長を裁くのにどの様な刑か良いか取り決め送られて結果が来たのは2日前。
そしてモーリン元学園長がワックたちの手引で侵入してきたのを確認して実行に移したのが今日だったと言うことである。
「ワックとヤストの処遇は既に決まっている」
「明日に刑を執行するから見たい奴は夜のクレイバール教会に来て囃し立ててやると良い……見たい奴はな」
「教会?」
一部の女性たちがハッとしてルウカを見た。
するとルウカは何も発せずに女性やピンクの島から来たオカマたちにグッドのジェスチャーをした。
すると「よっしゃぁぁああ!!」と歓喜したあとに「久々の公認じゃぁあ!」と喜んでいた。
「まぁ…あんまし男に取っては良いもんじゃないな。それにワックやヤストにはかなり効くだろう」
「それって…」
「さて次はこの石像に付いてだが壊れれば確実にモーリンは死ぬ。そこでこの大広場の中心に大切に飾りろうと思う。
この石像になったモーリンは心の底から反省しないと元に戻らない。
だからいつ目覚めるか分からないが皆で見守ろう!」
「…野ざらしにならぬように一応、今日のうちに休憩場所を作ろう」
「あら、ありがとう。そこでアタシもこの島に本格的に移り住むわ。ピンクの島の代表を決めてからだけどネ」
男性の島民がガタブルと震えた。
「そんなに怯えなくても良いじゃないの」
「それならいつでもカフェに行けばラブ様のデザート食べられるのね!」
「やったぁ~!」
女子からは喜ばれていた。
「と言うことで決定した。何か質問はあるか」
「一つ良いですか?」
「どうしたエンロウ」
「向こうの島はどうなりますか?」
「この島から離反した島の住人たちは最初は混乱するが徐々に落ち着きを取り戻して独自に生活をして行くはずだ。
もし気になるなら図書館に行って向こうの島の様子を見れるように鑑賞部屋に仕掛けを作っておく」
「承知しました」
「後は何かないか?」
「後はー」
程なくして現地解散しそれぞれ戻って行った。
エクルに盛られた薬はマジェリルカちゃん特性の薬で事なきを得た。
そして深夜の教会から歓声が聞こえて騒がしかったがサニカがその歓声を寝に入っている人たちの眠りの妨げにならないようにと聞こえないようにしてくれた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【モーリンの精神世界】
「……この魔法は異世界の魔法……それだけ向こうは本気だったと言うことね……まさかサニカかルウカのどっちか【未来眼】を開眼したのかしら?……考えても無駄ね。
ママが言っていた心の底から反省ねぇ………何をどう反省すれば良いのかしらね?
……小さかった頃を思い出して見ようかしら」
わたしが思い出せるのは…ママに拾われ育てられてから5歳の頃かしら?
その頃はサニカとファーリママに育てられている子供たちと一緒に勉学を学んでいたのよね。
わたしが魔術に興味を持ったのはファーリママが「サニカさんにはナイショですよ?」と時間を止める魔法を見せてくれたからだったはず。
その魔法はサニカやママですら使えないと思っていたから衝撃的だったのよね…。
それからママの部下のツキカゲからギャンブルと言う人類の英知を知ってからはもう駄目だったわ。
自分で自分を止められなくなったのよね…。
それから勉学を共に学んだ子達と共に様々な冒険をしたわ。
火山や幻想的な森で迷って死にかけたりしたっけ…。
それから…ファーリママが寿命で亡くなったのを見てそこから時空間魔法や霊薬なんかに手を出し始めたの。
そこからはママには耳にタコが出来るぐらい怒られたわね。
やって良い事や悪い事の区別を付けなさい!って……それでもわたしは止まらなかった。
そこから禁忌の魔法に手を出した。
そして禁忌の魔法の研究しているのを誤魔化すために学園を作った…経営に関しては殆ど人任せだったけど上手く進んでいたわね。
それから3000年が経っても時空間の研究に変化が起こらなかったわ。
でもその間に白理たちと交流を取りサニカとルウカが転生するときに力を取ったりしたわ。
そして魔王や聖王たちと影で手を結び数多の実験を繰り返し失敗して【時空間決裂事件】が起きた。
白理たちに怒られたけどルウカとサニカがただの人間として転生して向こうの世界に渡っていた事が分かったからお咎めなしとなった。
それから……。
何度も何度も繰り返し思い出しているとポツンと人影が浮かび上がり始めた。
「……アナタは?」
「本当に……出られない見たいね」
「!!」
「さっさと引いていれば巻き込まれませんでしたかね?してやられましたね」
「ファーリママ!!」
「……役立たずの小娘」
「役立たずの小娘?」
「何度か体を乗っ取ろうとしましたが……感の鋭いオカマと忌々しい魔法使いの邪魔が入り出来ませんでした」
「どう言う…ことなの?」
「お前は私に事あること…操られていたのですよ」
「え…」
微笑んでる表情から人を下げずむ表情に変わった。
「アナタに魔法を見せた辺りですかね?信頼を勝ち取り心に私の魔力を分け与えて潜伏していたのです」
「……え?」
「サニカはアナタと当時の子供たちや子孫に嘘をついています。
私は老衰で亡くなったと言っていますが、私はサニカに殺されたのです」
「でもベットに安らかな顔で眠っていたしルウカたちも!」
「それは土人形ですよ……サニカに私が行っていた非人道的な魔術の研究がバレましてね。
子供らを拾ってきては教養がある者を使い実験していたのがバレてしまいサニカに暗殺されたのです。
あと少しで研究が完成する所だったのですがね」
「子供の頃に亡くなったシュシティーナやアンドレスたちは…?」
「その頃の私が材料として使用した子ですかね?あまり良く覚えていません」
わたしの中のファーリママが崩れて行く……わたしはサニカの方がヤバい研究をしていたんじゃと……。
サニカたちが子供たちを利用していたんじゃないかって長い年月思っていたのに……本当はファーリママがやっていたの?
「ワタシがやっていたのは……」
「はい。私の研究を引き継いでやってもらったのですよ」
「そんな事って…」
「ふふっ……人の絶望の感情は美味でございますね」
「……それじゃワタシは何者なの?」
「お前は何者にも成れないただの都合の良い人間の女」
『そんな事ないわよ』
「「!」」
『サニカとルウカから全てを聞いた時は本当に驚いたけど……やはりアナタなのねぇ…』
「ママ?どうしてママが…?」
『ルウカに魔力を分け与える封印術を掛けて貰ったのよ』
「忌々しい魔法使いと魔王め!まだ邪魔をするか!!」
『当たり前でしょう?【堕ちた女神の魂の残り香】』
「!」
『何度も何度も何度も何度もたくさんの子供たちの人生を狂わせて何が楽しいの?元女神さまの魂の残り香さん?…苦しみなさい』
「ぐぁっ…!」
ラブナシカに元女神さまの魂の残り香と呼ばれたファーリは苦しみだした。
「きっ貴様ぁ!」
『お座りしてから動かない!!』
するとファーリは地面?に叩きつけられた。
『アナタが反省しなかった場合のためにに真名をユ※※アと書き換えられているのを忘れたわけじゃないでしょう?
でもその真名を知っているのはもうアタシとサニカとルウカのみだけどね』
「くぅう!」
『反省の期限はとうの昔に過ぎてるわ』
「まっ待って!」
『さっきも言ったけど言い訳が出来る次元はとうの昔に超えているの。
魂が消えたのにまだ残り香にこれだけの力があるとは流石は女神の魂の残り香ね』
「アタクシは利用されてたの!」
『利用されていた?』
「そっそうよ!異世界の神族に!向こうの世界をアタクシの手中に納めれば至竜をも超える存在に成れると!」
『アナタって本当に馬鹿ね』
「バカだと!」
『あのね?…数多に広がる異世界であろうと最強の種族なんて居るわけないじゃないの』
「至竜は別格じゃないの!」
「…その至竜を狩れちゃうのが居るのよ?」
「くっ!」
『その至竜を狩れちゃうの者たちから「今の人生に大満足したから次に行く」と言って不老不死を解いて転生したの出始めているのよ?』
「!」
『不老不死だとしても死なない訳じゃないわ。
退役勇者に首を切られて直ぐに胴体にくっつけなければ死ぬし、心臓を潰されても再生に失敗すれば死ぬ…一部例外を除いてね。
不老不死とは年を取らず、細胞が老化しない、少しの傷なら直ぐに治る、腕を失えば生え変わらない(スライムや一部の原生生物などは再生する)でしょ?
それに数十万年…いいえ、向こうの世界が誕生してから生きているアナタは自分は悪くないの一点張りで話を聞かないじゃないの』
「うるさい!煩いわ!!」
『でもそろそろ消えてもらうわよ?行き先はアナタの本体の魂が先に向かった場所である【魂の旅の果てリンカー・ゲート】へ』
ラブナシカはパチンと指を鳴らすと「ちょっ!まー」と何か叫ぶ前に元女神の魂の残り香と呼ばれた存在は一瞬で消えた。
『…コレでもう本当に邪魔するものは居なくなったわ。この空間で自分自身を見つめ直して戻ってきなさい』
「ママ…」
『…アナタの異変に気付いたのは……実はほんの少し前なの。
アナタのママなのに…そんな事も気付けないなんて母親失格よ。サニカたちと一緒に検証してようやく分かったのだから。
だから嘆願したのよ…この場所からアナタが戻って来る日を楽しみにしてるわ』
それだけ言うとラブナシカは光となって消えていった。
「ワタシは……」
それからもモーリンは……自信の心と向き合った真っ暗闇の中で。
「……もし戻れたら…皆に謝らなきゃ」
すると眩い光の扉が出てきた、遂に目覚めの時が来たようだった。
「……眩しいわねぇ……もうワタシは操られることもない。
わたし自身としてちゃんと生きていくわ」
モーリンは光の扉に触れると光に包まれた。
【クレイバール島】
《大広場》
「あっ……遂に目覚めた見たいですよ。ナナヤさん」
「ならラブナシカ先生に知らせないとだな」
「…………あなた達は?」
「話は聞いてましたが…まさか僕たちが担当の日に目覚めるなんて……僕の名前はキユク・ルランフェルと言います」
「俺はナナヤ・ルイゼントナー」
「始めまして、そしておはようございます。モーリンさん」
「えぇ…おはよう(なんでワタシの名前を?)…改めまして、ワタシの名前はモーリン・タリフェリスよ」
「意識はしっかりしてますね。では」
「呼びに行かなくても大丈夫」
「え」
「もう呼んだから」
直ぐに空からガチムチの美しい女性が降ってきた。
「モーリン!目覚めたのね!」
「あっ相変わらず…早いですね」
「ママらしい…登場ね」
「当たり前よ。授業中だったけどすっ飛んで来たわ」
「ねぇ…わたしはどれだけ石化していたの?」
「驚かないで聞いてね?」
えっなんか怖いと思っていたがラブナシカはズバッと言ってのけた。
「アナタが石化してから2000年の時が流れたわ」
「はい?」
モーリンの思考が停止した。
「〜思考停止中〜」
「もーラブ先生は…混乱しちゃってますよー」
「だってホントなんだもんっ」
「大の大人がだってだとかだもんなんて言わないでください」
「別に良いじゃないのよね?ナナヤ」
「俺に言われても困るよ…」
「ふふっ」
「それで固まってしまった人をどうする?」
「アタシがこのまま運んで行くわ。学校にね!」
「ドヤ顔してる…」
「キユク、ラブナシカ先生にとってはいつものことだ」
「ですねー」
モーリンは思考停止状態のままラブナシカによって学校に運ばれて行った。