出戻り組と5年間
【澄谷家】
《リビング》
「どうだった?」
「あー…アホ娘は禁忌までは手を出してないからまだなんとも言えないわ。場合によっては…ね」
「そうか、それでルディオスたちはどうするんだ?」
「我らは下っ端隊員として警備隊に所属させて貰う」
「わたしたちが居なくなって向こうの島は無法地帯になってしまうてましょうか?」
「そうならないためにリックスとマーテルには向こうに残って貰っているだろ?」
「そうですね(押し付けた様なものですね)」
「それでデリアたちはどうするの?」
「んー…バリバリ働きたいけど交代でかしらね」
「家事と育児担当と別れての行動です」
「子供たちが生まれたものね」
「えぇ、ソグルの所の子供と同じ年になるわ」
「ビスカはどうする?」
「それなら決まってるわ。海上警備隊を新たに新設して周辺海域の警備を始めようかと」
「巨大な海蛇は刺激するんじゃないぞ?」
「わかってるって」
「フジトラは今のところは島長代理だな。今は俺がやってるが少ししたら島長の座を渡すぞ」
「わかった…(押し付けられたな)」
「ルトラ先生は島長を止めるのですか?」
「いずれは教師一本だな。その為に飛ばされた先で教員免許を取って来たからな」
その場にいるメンバーはよく教員免許を取れたなーと思った。
「ビワトたちは居ないのですから5年も何をしてたか話してくれません?」
「気になった話ってそこか、別にいいけど。
…私たちはとある地球系列世界に送られて中途半端だと言われた肉体をちゃんと作り直された……赤ん坊から生活をさせられたんだ。
10歳ぐらいだっけか…修行と表して異世界で良くある地球から勇者召喚に巻き込まれて、その世界で魔王と手を組んで50年かけて和平を結ばせたけど」
「ちょい待てサニカ先生。いま50年と和平を結んだって言ったか?」
「50年間の時間を掛けて交渉して和平を結んだ」
「裏工作とか大変だったな」
「ルトラ先生も同じ場所に飛ばされていたんかい!」
「あっそうそう、サニカと肉体を作り直されるときにまたイトコにされたぞ。
血の繋がりがあった方がサニカもオレを縛りやすいだろうからとな」
その場にいた人物たちは考えるのを止め話を聞くことに専念することにした。
「話の続きだけど、その召喚された世界の魔王が思った以上に常識人でね。
人間の方が迷惑を掛けていて魔王たちの方が被害者だったんだよ」
「そこで魔王たちと秘密裏に手を組みどのような事をするか考えながら進め魔族はそこまで野蛮な存在ではないと徐々に広めていき、共存が出来るのだと証明して見せたのだ」
「その後は魔王たちが暮らす土地を欲していた奴らを大人しくさせる為に新しい国の代表たちを育て上げ引退させて託したら俺とサニカが勇者認定されたな」
「年齢を元の10歳に戻されて地球に還されたね」
「俺とサニカは地球に戻ってこれたのは良いのだが…そのまま50年もの時が過ぎて文明が進んでてやばかったぞ」
「え」
「親元に行くことは出来ずどうするかと悩んでいたら知り合いと出会えて助かったんだ」
「経緯を説明したら知り合いがそればっかりは仕方ないんじゃないか?と言ってその知り合いが暮らしている土地に住まわせてもらって、こちらの世界に戻れるまで地球の世界情勢を調べたり資格を取ったりして過ごしていた」
「そうでしたか」
「肉体は約千年の時間を掛けて25歳くらいまでは成長するらしいから」
「ぐふっ!」
茶を飲んでいたフジトラはどうにか耐えた。
「ゲホッ、それ、本当に不老不死なのか?」
「さぁ、私でもわかんないよ。15歳で止まったままなのは苦労するからとも聞いたけど」
「ワシとマジェリルカがその例だな」
「ロリ婆さんなんて呼ばれてるからねぇ」
「この話はこれで良いか?」
「そうですね。ある程度聞けたので良いです」
そこへタオがやって来た。
「昼間っから何してるネ…」
「酒なんて飲んじゃいねぇよ」
「お前たちにしか話せない事を伝えに来たのと、この中に健康診断を受けていない奴がいるんだヨ。そいつを迎えに来たネ」
「さて、私は帰ります」
「エンロウ待つネ、健康診断受けてから帰るヨ」
「嫌ですねー私は健康診断を受けましたよ」
「もし逃げるならガチムチナースを派遣するゾ?」
「遠慮しておきます」
「それで俺たちにしか離さない事とはなんだ?」
「実はー」