その頃、上空では
【島々が海に浮かぶ世界】
《南東の上空》
「白理、遂にこの時が来た」
「分かっているわ。黒司」
「ようやくですね…お二人様」
「サニカを殺して【無敵の宿屋】を奪えばアイツらも簡単には攻められなくなる…!」
「赤義たちは?」
「赤義たちはー「もうこの世界に居ないデスよ?」
白理たちが上空で浮かんでいる所に見知らぬ少年と少女と思われるフードを深く被った二人組が立っていた。
「どうして……どうして貴様らがここにいる!」
「遂にあの二人も【至竜へ至る進化】を完全に捨ててミーたちと同じ【理※※※※※※】になると決めたみたいデスよ」
「何だと!?まさか奴らがそんな選択を!完全に何度転生してもその魂を持つ者はー」
黒司が最後まで言葉を発することはなかった。
フードを深く被った少女が黒司の首もとに小刀を突き刺しからである。
「いつも煩いのよ。黙っていてくれない?」
「黒司!!」
「殺してないよ?邪魔をしようとしていたからついヤっちゃっただけ」
「きっ貴様ら」
「藍堵!動くのは止めなさい!」
「でっですが」
「消滅させられるわよ?」
「え」
藍堵は黙り、白理の近場に立った。
「今日は約15億年振りに【後輩】が二人も誕生する日だから……邪魔したら貴様らの存在を消し飛ばすデス。
誰の恩恵で貴様たちが生きていられると思っているのデス?勘違いしないでくだサイ。
何時でも貴様らの存在を……消せるのデスから」
「ひっ」
「…………我々を消したら今度こそ【至竜】たちとどちちらかが滅ぶまで殺しあいをすることになるぞ?」
「お前たち末端の為にそこまでやる至竜は居ないデスよ。慈悲深い至竜2体は今、深い眠りに就いているデスから。
貴様たちもその辺は良く理解している筈デス。それに至竜に取って都合の良い手駒は今現在増え続けていますデスよ」
「そんな事はない!我々は【幻幾星の竜《至竜》】から力を与えられている!その証明にコレを!」
白理は青白く光り輝く石を取り出した。
すると石は輝きをますと、その場に【幻幾星の竜】の左側の顔が現れた。
「へぇー…至竜が末端の為に姿を表すとは…慈悲深くなったものだな」
『………………』
「幻幾星様!この愚かな者共に裁きを!」
『………………愚かなのは貴様らの方だ』
「幻幾星様?」
『そこにいる【※※※外※※※】どもとは当の昔に【議定条約】を取り決め干渉しない事になっている。
それに貴様が持っているその石は863年前に盗人に盗まれた朕の物だ…返して貰おう』
「なっ!何を言うのですか!この石はあなた様に!」
『黙れ!!愚か者ども!!喝っ!』
白理が持っていた石はその場で砕け散ると砕けた石から膨大な魔力が溢れその魔力を吸い尽くすと『確かに力を返して貰ったぞ…』と言ってそそくさと帰っていった。
「なっ!?」
「所詮、貴様らは至竜に取ってそれ程度だと言うことだ、見事に自身で証明して見せたな」
「ぷっ……だから言ってやったのデスよ。所詮、末端の手駒でしかないと…それを貴様ら自身で証明するとはなかなか面白いデスね」
「貴様らぁあ!!」
藍堵はフードを深く被った二人組に向けて魔弾を放とうとしたが射てなかった。
「何で射てない!」
「力を限界まで吸われたからだ」
「限界まで吸われた…?」
「貴様ら自身が努力して強くなった力も持っていきやがりましたデスね」
「なっ!!」
「力を失ったまま【元大魔法使い】と【元浄化の魔王】が育てた者共に挑むか?」
白理は下唇を噛んでいたが自身に起き始めた現象を見て驚いていた。
「こっコレは!老化!どうして!」
ヒステリックを起こしながら白理はフードの二人組を見た。
「魔力もごっそり持っていったみたいデスね」
「やはり慈悲深い2匹の至竜以外の至竜は【超人】となった者の力を限界まで強くしてからの搾り取りで自らの力として奪ったら捨てる…なんて愉快な存在なのでしょう」
「……1度貴様らが本拠地に戻って態勢を整えまたこの世界に現れても我々と同じ【※※ら外※れ者】になった者がいる限り【超越者】であろうと消されるデスよ?」
「クソッ!クソッ!クソガァア!」
白理は言葉を発することはなく暴言を吐く藍堵と黒司を自らの側に寄せて消えていった。
憎悪の表情と「覚えていろ老害ども」とドスの聞いた声を残して。
「あー怖いデスねー…」
「お前がおちょくるからだろう?」
「あなた様もおちょくっていたではないデスか」
「ふふっ……さて本来は【理※※※れ※※】となった者同士はあまり交流を持たないのだが……久方の地球出身者がいると聞いて来たんだけど」
「どうしますか?会い行きますデスか?」
「そうだな…会いに行っちゃうぞ。二組がいる場所はここからだいたい東の方角だな」
「相変わらずズボラな把握の仕方デスね」