遂に起きた島移動
翌日の【クレイバール島】
《クレイバール東地区にあるビワトの家》
ドン!ドン!ドン!ドン!
「何だ、何だ?」
「ビワト!早く家からでて広場に来い!」
「うわっこの声エクルか」
「早く寝巻きから着替えて来い!いいな!」
それだけ言ってエクルは広場に向かったようだった。
「どうしたのかしらね?」
「オレたちも軽食食べて行くか」
「えぇ」
服を着替えルヴェルが作った目玉焼きをパンに挟んで食べてから広場に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール島】
《東地区の広場》
「あっ来たわね」
「ノエル……他の皆も揃ってるし」
「ビワト、突如としてクレイバール島の西地区が西側の島本体ごと消えたんだ」
「ビワトのトレニア以外のクラスメイトたちは西区より知り合いが居る方を選んで居るからな」
「西区にはトレニア夫妻と父さんたち結構な知り合いが居るんだけど…」
「今はサニカ先生とルトラ先生、それにショタじーさんとロリばーさんが誰が島を違う場所に転移させたか調べて貰っています」
「あれ?エンロウさんの自宅って西区じゃなかったけ」
「外から来た人たちがとてつもないほどウザかったのでこちらに移り住んでました」
「え」
「西区にはルディオスやフジトラも居ますからね、数人に襲われても対策を取れるでしょう」
島が転移した原因を調べている四人と後一人がやって来た。
「東地区で暮らしている島民全員が集まったね」
「それで結果はどうでした?」
「転移魔法を283人で同時に放って島ごと転移したみたいだ」
「それって…」
「西区には300人もの島民が暮らし、ちょうど外から来た283人全員で行ったようじゃな」
「前々から準備していたのだろうさな、昨日のビワトの件で外から来た人たちは離れることを決定来たみたいじゃな」
「だとしたら迷惑だな、せっかく助けたと言うのに…こんなことをされるとは。向こうの奴らがいつか戦いを挑んで来そうで怖いんだが」
「ヤスバの考えもわかる。ポータルが使えなくされているからな」
「日天の宿屋が向こうにあるがどうするつもりなのか聞かせてくれないか?悪用されるぞ」
「大丈夫さ」
「どうして大丈夫だと言えるんだ?」
「次、悪用されることがあったらあるべき場所に還す事になっているから。もし今まさに悪用しようとしたら最後の警告が入ってそれでも悪用するのであれば光となりあるべき場所に還り消える」
「もしかしてそう仕込んでいたのですか?」
「【始まりの火の勇者】と大昔に約束をしたんだ。無敵の宿屋が悪用されるならあるべき場所に還すとね」
「そうなのですね」
「フジトラたち大丈夫か?」
「もし何かあるようならアタシの可愛い部下が出てアタシたちの楽園にフジトラたちを拐うわ」
「ラブ様、こちらに来たのですね」
「ふふっ本当に大昔から一部の人間しかマトモな思考を持たないわね」
「その島がこの島の隣に戻る可能性はあるの?」
「1度移動させると島を支えているもののバランスが少し崩れるから戻すことは出来ないわ。移動させなければ沈むことはないけどね」
「それじゃ俺たちはこの120人の島民で何とかやっていくのか?」
「そうなるだろうね」
「……うわぁ」
「拙者はこちらの方が良いと思うで候う。煩わしさが一切ないでござるからな」
まぁ…煩わしさはナハトの言うとおり一切無くなるだろうな。
「この東……いや、このクレイバール島にはシルトの街とほぼ同じ設備が全部揃っている。無いのは領主の屋敷とギルドだから何とかこの人数でやっていけるだろう」
「砦の様な警備をする駐在所は無くなったが作り直せば良い。向こうは向こうで、こちらはこちらで生活を続ければ良い」
「もしこの島での生活が嫌になればアタシたちのピンクの楽園に来ると良いわ!」
この時、この島に残った男児たちは心を同じにしていた。「用件がなければピンクに行くことはないな」と。
「もし消えた隣の島の奴らが攻めてきたらな…俺やサニカは容赦はしない」
「何を言ってんですか。二人して弱体化しているのに…二人して出たら殺られちゃいますよ」
「私たちは既に力を着け始めているよ」
「「「「「え」」」」」とこの場に居る大人たちが言った。
「剣系は止してくれと懇願されたから違う方で鍛え始めているぞ?身を守る事が出来ないとやはり嫌だからな(場合によっては剣術辺りも鍛え出すけど)」
「…そうなんですか」
「今からこの島全体に結界を張る。悪意ある者や物を排除するための魔法だよ」
「それならシルトの街の時と同じではないですか」
「同じだが前回とは違うぞ?」
「探検とかは少し時期を待とう。【魔法の世界地図】は全て作り終えたからね。消えた隣接していた島がどこに移動したか既に判明してるし」
「え」
サニカが広場にいる全島民が見えるように【魔法の世界地図】を大きくして空に掲げた。
「この島からかなり離れた南西に移動したのか」
「ちょうど線を引くとトライアングラルの形になるのう」
「何だか気の毒に思えてくるわ…行動がバレバレだなんて」
「人口に関しては減る一方になりそう…」
「大丈夫だろう、ここにいる奴らは大抵が長生き組だからな。減る一方なのは向こうの島の奴らだろう」
「【ピンクの楽園】もヤバい殺し合いが起きなければ減らないわよ?こちらも皆【不老不死の魔法】を自身に掛けている子たちが多いから♥️」
「え」
「一定の時間が経つと【不老不死の魔法】が定着してエクストラスキルとして覚醒して魔法が解除されなくなるからな」
「え」
「定着した場合はとある魔法を使うと次の旅に行けるから安心して長生き出来るわよ?」
「うわ~!マジでか!」
「モーリンも定着した系だね」
「学園長もそうだったんだ」
「今は荒れているだろう【向こうの世界】にも準備を念入りにしていつかは行くつもりだよ」
「その辺はピンクの楽園も協力を惜しみ無いから安心しなさい」
「今は平和な暮らしと力を蓄える時期だと思って暮らすと良いぞ?だからやりたい者は安心して子を成し育てると良い…警備隊の仕事場は明日までには作るから今日のところは明日に向けて休んでいてくれ」
現地解散した。
オレとルヴェルは今日あった事の整理をしているとノエルやエクル、ヤライやナハト、そしてカルエさんたちが集まりたくさん話をした。
一方【転移した島】では…。
《大広場》
「作戦は成功しましたぞ。フジトラ様」
「すまないな、お前たちに押し付けてしまった」
「構いません…ご子息様は良かったのですか?」
「アイツに関しては諦めている。古から転生し続けている老害どもにどっぷりと浸かっていたからな。シアレの奴は最後まで反対していたが…説得すればどうにかなるだろう」
「フジトラ、これからの生活はどうするつもりだ?」
「向こうから接触がない限り放置で良いだろう。アイツらが作った施設やらを破壊して新しく俺たち流に作り直す」
「……なら我は警備や人材を育てよう」
「その辺の技術者は我々の方にも居るので大丈夫でしょう」
「トレニア、タズルは我々にに着いて来たが本当に良かったのか?」
「はい、そのお陰で転生者たちの呪いが弱まり、残るは妻の母が残した呪いだけとなりましたから」
「僕も納得して来たから」
「そうか…それにしても本当に長かった……コレで俺様たちだけの街が作れる」
「材料に関しては使えるものは活用し日天の宿屋から様々な材料を取り出し使う。
ビスカ、木材とかの管理任せたぞ」
「分かったわ。ならさっさと始めるわよ」
「了解したっす!」
「忙しくなるぞー!」
「コレで縛られずに数多の研究が出来るわ~ここなら鬼婆たちの邪魔が入らないしね」
「モーリン、お前居たのか」
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【クレイバール島】
《澄谷家のリビング》
「…相変わらず覗きに関しては凄い」
「今はバレずに覗けるが少し経ったら無理だろうな」
「あの馬鹿娘っ!…ふぅ…なに食わぬ顔行き来するなら取り敢えずいつも通り接して、もし仕出かしたら責任を一人で取らせるわ。もうアタシは許さない」
「ラブナシカ様、お茶でも飲んでのんびりと血圧を下げてください。…コレを見る限り助けを求められても見捨てるのは賛成ですね」
「絶対にトレニアの馬鹿は仕出かすな女問題」
「戒めが全く効いてないからね。まぁコレが人間らしいって事なんだろうけどね…海流を作りアイツらが海に垂れ流すであろう物体がクレイバールとピンクの周辺の海域に来ないように作ろ」
暫くの沈黙の後にこの場にいる全員で深いため息を着いた。
「結界に関してはより強力なのを掛けようと思う」
「結界はそれぞれの場所に半永久的に発動するように張るのではなく魔方陣を描きましょう。それも数ヶ所に」
「それが良いだろうね…どこに描こうか?」
「1つはこの家が良いと思いますぞ」
「自分だけが知る場所にそれぞれが描こう。分散した方がもしスパイがいた場合に捜査が難しいだろうから」
「確かにそうですな」
「魔方陣に関してはそう簡単に消せない数百もの結界を描いてあげようかね」
「サニカがここまで言うとは恐ろしいな」
「すっ数百ですか…我々の魔方陣は意味を持たなそうですな」
「そんなことはないよ。複数の人物が魔方陣を描いた方が良いんだ、そっちの方が魔方陣が混ざり合い更に強力に進化するからね」
「あの若造どもに目に物を見せてやるわ!」
この日を境にクレイバール島は難攻不落の要塞島となり少しして船でやって来た離反した島の住人が入れずそう呼ばれる様になった。
ラブナシカの作ったピンクの楽園にもクレイバール島とゲートで繋がりにより結界の影響が現れこちらも悪意あるの者が攻めるのが難しい場所へと変化した。
そして5年の年日が流れた。