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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【2度目の人生編~世界散策の章~】
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秘薬の角

今現在、オレたちは組み手をしている。

強さを計るためだというけど…どうなんだろうな?

オレはノエルたち相手に全勝したが当の本人たちはビワトはズルいと言われてしまった……そんなことを言われても…なぁ?






【クレイバール島】


《星の泉》


「本気でお願いしたい」

「角を出しての勝負……あなたの覚悟しかと受け取るわ。得意な武器を取りなさい、私も本気で取り組みましょう」



カルエもエクルと同じく普段隠している角を露にさせそれぞれの得意武器を構えた。



「決闘かい!」

「好戦的でござるな」



するとルウカは突然立ち上がった。



「あの角は!」

「ずいぶんと珍しい角を持って生まれたみたいだね」

「ルウカの興奮の仕方が凄いな」

「当たり前だ!エクルが生まれた持ったあの角は【秘薬の角】と呼ばれかなり希少なのだぞ!気分を悪くするかも知れんが通常【秘薬の角】を持って生まれた子供は幼いうちに親に角を折られ売られる事が多いいのだ」

「それだけ高く売れるのですか?」

「そうだね…小さい角の欠片ですら数億の値が着くからね」

「ひえっ!本当なのですか!」

「かなりガチな話だよ」

「俺たちが唯一所持が出来なかった物でもある」

「数千年も生きていたのにか?」

「私たちそこまで堕ちるつもりはないから」



外道の様に角を無理やり採取したりしてこなかったって事だな、それだけ本当に希少なんだ。



「シルトの街で生まれ持った人は居なかったのか?」

「生まれて来たことはないはずだよ」

「はずだよ?」

「もしかしたら生まれていたかも知れないって事だ。魔族の親が角の事を隠せば俺たちシルトの連中もそこまで詮索はしないからな」

「そうなのですね」

「あそこまで大きく育った角の実物を見たのは初めてだ」

「ここではある程度の万能薬は手に入るから、あの角は必要ないけどね」



いつの間にか姉弟での勝負が始まっていた。

最初はエクルが攻めていたが途中からカルエさんのカウンターアタックが入り逆転していた。



「あなたも本当にずいぶんと強くなりましたね」

「ここに来てから更に強くなりました」

「では次の一手で決めます。覚悟はよろしくて?」



カルエは薙刀の刃先に魔力を溜め始め、エクルはそれを剣で受け止める体勢を取った。



「はぁああ!」

「くっ!」



カルエの薙刀の刃先をエクルは受け止めたが刃先に込められた強力な魔力までは受けきれず魔力を全身に浴びた。



「ぐぁっ!」

「止めですわよ!」



カルエは薙刀の石突を掴み柄部(へいぶ)をエクルの腹に押し付けそのまま地面に叩きつけた。

エクルは凄い勢いのまま叩きつけられ武器を手放したがカルエは容赦なくエクルの手両手を足で踏み動きを封じた。



「コレであなたの負けですわよ?」

「参りました」

「…私のこの技はシルトの子供たちには効きませんでした」

「え」

「真剣白刃取り!っと言われて受け止められ刃先に込められた魔力を上に上げられ花火にされました」

「……」

「もし向こうの世界に行ける時が来ても私は行けないでしょうね。そもそも行くつもりはないですけど」

「それは向こうの世界に行きたかったらシルトの子供たちと同等の強さを得なければ行けないと言うことですか?」

「えぇ、そうしなければ向こうの世界に行った時に足手まといになってしまいますからね」

「…そう考えると遠いものです」

「何を言っているの?私たちは長い時を生きれるのですよ?それを利用する手はないでしょうに」

「そうですね」

「ビワト君は妖精の力を捨てるらしいですからね。残り数十年しか居られないのよね……ルヴェルちゃんに直談判して1日借りようかしら」

「そんないかがわしい事はさせませんよ!」

「なにを慌ててそんなに熱くなってるのよ?…あらごめんなさい、私の技で服が破けてるわ…ほら私の服を着なさい」

「!」

「ふふふっ……それじゃ戻りましょう」

「はい…」





「サニカの判断力が恐ろしいわ」

「男たち全員をカルエさんのヤバい発言を言い放つ前の一瞬で気絶させるとは恐ろしいです」



サニカはビワトを含めたヤライ、ルウカ、ひょっこり突然現れたナハトをカルエさんのヤバい発言を聞く前に気絶させたのである。



「サニカさん…素早いですね。それにエクルのあの慌てる反応からしてエクル君は女の子だったのですか?」

「いや違うよ。そもそも【秘薬の角】の持ち主は9割が女性だけど残りの1割は…何て言えば良いんだろう…性別が安定していないと言うのが正解なのかな?」

「サニカが知ってるってことはルウカも知ってる筈なのに気絶させたのね」

「うん、そうしなければ行けないと私の勘が訴えてきたから」



この二人にとっては通常運転なのだろうとこの場にいる全女性はそう思った。



「私たちもそこまで調べることは……無理やり調べることは出来ただろうけど私たちはそれをやるのはちょっと…って言う感じでやらなかったんだよ」

「あー…エクルはその1割の方なのですね」

「たぶん」

「カルエったら凄いことを言い放ったわね~…あちしの同期が悪いわね」

「別に気にしてないわ。むしろ強い(オス)はたくさんの女性(メス)に囲まれるのは結構あるし…ワタシとしてはそれが誇らしいし、種族的にそう言う気持ちになるのかも知れないわ」

「ルヴェルちゃんは物凄い豪胆です」

「ビワトはハーレムをあんまり好かないけど…ワタシは相手の女性が本気でビワトの事を愛してくれるなら増えても構わないと思ってるわ。…本妻は譲らないけど」

「男たちを任せていいかい?」

「どうしたの?」

「カルエとエクルの魂に付いている黒い靄を取ろうと思ってね。今なら二人の近くに行って取ってくる」

「行ってらっしゃい」

「うん」



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