昔の事の出来事が 現在に繋がる?
【澄谷の家】
《リビング》
「ビワトかどうした?」
「少し4人で話せない?」
「……わかった。少し待っててくれるか」
それだけ言うとルウカは壁に立て掛けてあった杖を掴み左に回すと光の輪が発生して外に広がって行った。
「ルウカ、何をしたんだ?」
「お前が聞きたいことに関して少々聞かれたくない内容もありそうだから大抵の人数を眠らせて貰った。
ラブナシカや一部の者には効かないだろうけどな」
「それで聞きたい内容は?」
「魔結晶の洞窟で話していたアシュクラフトの当主が代々異世界の魂を持つ人との婚姻とか…色々」
「……まぁ、寛ぎながら話し合おうか」
四人でコタツに入り少しして話が始まった。
「Zzzzz……」
「…まず聞きたいのはルヴェルたちの事なんだけど」
「代々アシュクラフトの当主は異世界の魂を持つ伴侶を娶るについてだね。結果を簡潔に言うとルヴェルとタズルは異世界の魂を持ってないよ」
「そうなの?」
「ビワトは少々特殊な魂を持ってる……いやはっきり言うか。ビワトの前世は俺たちがこの世界での最後の息子と言ったティルクスの生まれ変わりなんだよ」
「オレが初代当主の生まれ変わり?」
「アザレアとトレニアに関しては魔法使いてして鍛えた弟子だから養子とは違うからね」
「ビワトはティルクスの生まれ変わりだから異世界の魂を持つ者に惹かれないんだろう。ティルクスの初恋の魂を持つ者が誰なのかも分かるだろ?」
「……タズルだよな?」
「正解」
「タズルの前の魂に関しては1000年前に許されたからね」
「許された?」
「アシュクラフトで家族内で泥沼化した時があったと聞いたことないか?実は最果ての村…今はシュティーエ領と呼ばれる吸血鬼の一族が治めている場所は知ってるだろ?当主の娘にアシュクラフトの跡取りの長男が惚れ込んだ時が合ってな。
その一族とは因縁があったから当時のアシュクラフトの当主がかなりキレて俺たちもその因縁を知ってるから少し仲裁に入ったりして当時のシュティーエの当主と話し合いの場を作ったりしたんだ」
その辺の話は聞いたこともないが…当時のアシュクラフトの当主がこの事を隠して泥沼化したと子孫である俺たちに残した奴だよな?
「でもその話し合いを持ってしてもアシュクラフトの当主は引かなくてな。長男を勘当して存在を抹消したんだ」
やっぱり当時のアシュクラフト当主はこの話を捏造したんだな。
「跡取りだった長男もそれを覚悟してまでもシュティーエに婿入りしたんだ。唯一救いだったのはシュティーエの当主とその家族はその長男を受け入れ手厚く歓迎した事だね」
「へぇ…それじゃA組のあの子は遠い親戚だったんだな。でも妖精の血は出てないけど?」
「アシュクラフトの当主から勘当された子は妖精の魔力を失いその辺にいる町人になるんだ。これまで使えていた妖精の力を失ってね」
「だからこそアシュクラフトの血は現在まで続いているだろ?乗っ取られずに」
「確かに」
「私たちも当時のシュティーエ領に行ったんだよ」
「え」
「そしてその当時のシュティーエの当主と話し合いをしたんだ」
「シュティーエの2代目当主は私たちが知っている子でね。その子が残した言葉を聞いたんだ」
「内容はどうだったんだ?」
「確か…」
未来の子供らへ
わたしの人生は人に操られた人生だった。
大切な人たちを傷付け更には利用され望まない事が連続に起きた。
そしてこれからの子孫たちも苦労ばかりの人生となるだろう。
わたしの血とわたしの夫となった大罪人の血を引くことで償いの毎日がまっているからである。
わたしの子供らの父親はたくさんの人の命、夢を奪った大罪人であり彼は【ネクロマンサー】としての力を持つことで蘇りまた罪を犯す事でしょう。
それでもこれまで奪って来た人たちのために償い、いずれ許される時か来るかも知れないし、許されないかもしれない。
それでも君たちは生きて2度とわたしの代で起きたことを繰り返してはいけません。
子孫たち、本当にごめんなさい…わたしの血筋が途絶えるその時が来るまで人々を傷付ける事なく人々に無償で優しさを与え続けてください。
2代目当主 ミストル・シュティーエ
「最後には自身の血を使った拇印が押してあってその子の物だとわかったね。
当時のシュティーエ領を見て回りシュティーエ一族を一人一人確認して許されていたことが分かってね」
「許された?」
「おう、数十万人の魂は少しずつだがシュティーエの一族を許して次の旅路に出たんだ。
それをその代の当主に伝え当時を知るものとして成人した2代目当主に渡すはずだった【清浄の雫石】を渡したんだ」
「清浄の雫石?」
「この先もしも穢れることがなければ自身の一族のが住む場所が守られる効果を持った石だな」
「……もしかして向こうの世界のシュティーエ領はまだ残っている可能性があるってこと?」
「清浄の雫石は悪いものを跳ね返す力を持っているから、残っていてシュティーエの子供らが保護すれば生き残れるかも知れないね」
「例え清浄の雫石から離れていたとしても護りは有効だからな」
オレたちのクラスメイトたちもシュティーエのあの子や一族に保護されてら生き残っている可能性があるのか……そうなっていると良いな。
「魔王たちはシュティーエ領には入れないから。世界を護っていた物を誰にも告げず勝手に取り外し世界を混沌に落としたし」
「シュティーエの子供らは自身で考え実行する力を持っているはずだ。先祖からの教えを護っていればな」
「あの子の祖父を見ていると心配になるけど」
「アイツは研究者で一度のめり込むとぶっ飛んだ事をする。
でもその子供は優秀な子供らしく父親をさっさと引退させて自身が当主となって実権を握れる子だそうだからな」
「その辺りは時期を待って島民とオネエさんたちと共に覗いてみようと思ってる」
「…そうか」
「後はどんな質問が残ってる?」
「………質問内容忘れちゃった。そっちの方をメインで聞きたかったはず何だけど…思い出せない」
「ど忘れって奴だね」
「思い出したら聞きに来るとよい」
「そうするよ…でも思い出せないとモヤモヤって何か残るよな」
「胸の奥の方にね。私も良くあるから困るよね」
「さて、そろそろ眠りから覚まさせてやらないとだな」
ルウカが壁に立て掛けてあった杖をまた掴むと逆の方向に回して光の輪を発生させた。
「コレで良し」
「祭りの続きをルヴェルと共に楽しんでこい」
「あれ……ワタシ寝てた?」
「おう、寝てたぞ」
「そっかー…それじゃ大人たちに混じりに行きましょう」
オレたちは立ち上がりサニカの家を後にした。
「……………どんなことを聞かれるかドキドキしたけど特にヤバい系の質問じゃなくて良かったな」
「……いつまでこの事を隠していられるかね」
「ティルクスが転生するときに邪魔が入り魂が2つに別れちまった奴だろう?…何事もなくここまでこれたからな。楽しい記憶を引き継ぐ魂の捜索をあの子らに頼んで居るがな」
「悲しみの記憶を引き継ぐここにいるビワトは道を外すこと無くなくここまで来れたし今のところは…ね」
「このまま、ゆったりと生活を続かせたいが」
「警戒するに越したことはないよ。いずれこちらにちょっかいを掛けてくる奴が現れるだろうから準備しておかないとね」