過去と数あるうちの未来を写し出す霧
隠れ里セントバーン
「出発にはいい天気だ」
「フェルチェさん旅に必要な道具用意しておいてくれた見たい」
「ミストル手に持っているものはなんだ?」
「魔王探知機だよ、お爺様が渡してくれたんだ私には必要ないからって」
「コレがあればいつ魔王が降ってくるかわかるし二次災害防げるな」
「…しばらく来れなそうだけどね」
「同じ場所をぐるぐる回っているからな」
「出発しようか」
ラセスとセルクシアを呼び出し隠れ里を出てカフロルト王国に向けて進みだした。
「ラセスとセルクシアのスピードなら今日の夕方には着くね」
「ますます早くなってきてるな」
「ラセス!セルクシア!スピードを緩めろ!」
『ボスどうした』
『この感じ…わかりました!』
「うわぁ!」
ラセスが風魔法を使いセルクシアのスピードと自身のスピードを緩め止まった、ミストルは落ちそうになったが持ちこたえた。
「テス!急にどうした?」
「ミストル、この霧の中を抜けられる自信はあるか?」
「………上からショートカットできそうな感じがするけど」
『ミストルの指示でも突っ込む気にはなりませんね』
「えっ…嫌なの?」
『嫌です…私の目でさえ先が見えませんからね』
「ラセスの地図スキルに地名は書かれているか」
『地名は書かれていないが…サニカ殿が言っていた厄介な現象だ』
「ばあちゃんが言っていた突然起きる現象のひとつのキャラストミストか」
『我々が居ると足手まといになるな』
『ラセスの言うとおりですね…』
「契約石の中からヤバくなったら僕たちに伝えてね?」
「キャラストミストは数ある未来を見せたり過去を見せるときがあるんだっけか?」
「別々の行動をとった方が良いかな?」
「キャラストミストによって別行動させられるだろう」
「ここを越えないと行けないんだよね」
「ミストル、気を付けろよ」
「テスもね」
別行動を取りキャラストミストを越える事にしたが、お互いに別行動をしておいて良かったと思う体験をする事になったが。
「本当に見えないな…コレがばあちゃんが厄介な自然現象と言った奴か…あれは何だ?」
そこには赤ん坊を連れて走っている金髪の女性がいた。
《はぁ…はぁ………この山には子育てするのが大好きな天使と妖精が出るって数多のお母さんたちの間で言われているけど本当かしら?》
子育て大好き天使と妖精ってじいちゃんとばあちゃんだよな?
《ここの魔物は何故か赤ん坊と幼児だけは襲わないって有名だものね……豪胆な子ね…こんな時なのに寝てるわ…》
……えっオレが拾われた山の魔物は赤ん坊と幼児襲わないの?
《ここなら魔神教だろうとある時期しか手を出せないって言われているから…あなたに名をあげる事が出来なくてごめんなさい…あなたは私たちを恨んでもいいわ…あなただけでも生き残って欲しいの…ごめんなさい…そろそろ移動しないと隠れているってバレてしまうわね…ルフェール私もあなたの元に私たちの子供はきっと大丈夫よ》
女性は赤ん坊を置いて離れていった…すると。
《ふぇ…うぎゃー》
《爺さん…じゃなかったルトラウス居たよ!》
《ホントに居たぞ》
《ふぇ…》
《お帰り…であってるか?》
《赤ん坊の頬っぺたは最高だな……寝たな》
《豪胆な子だねぇ…このままいたら赤ん坊が風邪を引いてしまう》
《俺たちの家に連れて帰るか》
《やはりこの子を私たちの手で育てるのかい?》
《【巻き戻しのブローチ】が壊れとたんに物凄い魔力を感じ取ってここに来たら、この子がいたと言うことは…一度目に俺達がこの子に渡して後悔が残る人生を味わったんだろう》
《私たちがブローチを渡したと言うことはこの子は悲劇の星の下に生まれたのか…なら今度は後悔がないように老人の振りをするのはやめた方がいいかね?》
《今まで育ててきた子供たちにはバレてるしな!…ぽかんって表情してたのは俺たちの正体がバレてなかったと言うことか》
《前回の私たちの様に後悔しない様に鍛え上げようか》
ばあちゃんとじいちゃんとんでもねぇ事言ってたんだな…あの金髪の女性オレの母親だったのか…魔神教に追われていたのか?オレは厄介払いで捨てられたわけではなかったのか…じいちゃんとばあちゃんは子育て大好きな天使と妖精って外に暮らす数多のお母さんたちに言われているのかよ!
「霧が晴れてきたな…進むか」
霧の中を進んでいると今度はオレ達が住んでいる村を写し出したが魔神教に襲われている所だった。
《あれは何だ!》
《俺たちじゃあ勝てねえぞ!》
《サニカ様とルトラウス様は霊峰スクリクスに向かわれたと言うのに》
《三千年前に討ち取られたエンシェントドラゴンを魔神教の奴らが蘇らせやがった!》
《女と子供を安全な場所に移動できたか!》
《あぁ!》
《なら後は俺たちが足止めをしないと!》
《カリーナが作ってたんまり溜め込んだポーションがある、どれだけ持つかわからないが気合い入れろ!小僧ども!》
カリス村長やクイントさん達が普段狩っているドラゴンの数百倍の大きさのドラゴンに向かって行ったのが見えた…場面が変わりシルトフォレスト山の頂上付近に変わった。
《イシェーラすまないね》
《構わないのじゃ、本来ならわらわは死んでいたはずの人間なのじゃ…それよりシカナ殿わらわは何をすればいいのじゃ》
《シェリナとハーシュの子供達とマグナ爺さん達のご老体達をルトラウス様とサニカ様の作った緊急シェルターへ!》
《わたしのお花の兵隊さん頼んだわよ》
《リシア!花の兵隊を先に進ませて活路を作りなさい!…早速来たわ!シカナさんこのオタマ使って!》
《随分固そうなオタマだね!》
《私が育てた植物の剣と盾も置いていくわ!使って!》
《ありがとうラミーちゃん、カリーナはゴーレムを使って先に進みなさい!わたしも足止めをするわ!シカナ安心して突っ込みなさい!》
《フェルチェ後ろは任せたよ!魔神教ども!こう見えてあたしゃあ強いよ!シバかれたい奴から掛かってきな!!》
シカナさんのオタマ無双ヤベー…その辺のおばちゃんが出来る技じゃねえ…フェルチェさんの魔法も凄い…上級魔法同時に4つ放っていて杖で近付いきた魔神教を杖で殴り倒している。
…どのような状況なんだ?魔神教とドンパチしてるのか?オレとミストルは居ないのか?またまた視点が変わった。
《お前はただの旅人だと思っていたがこの化け物どもの仲間だったのか》
《ハゲ勇者ルストそこまで堕ちたか!》
《この方たちは俺たちを救ってくれたんだ、地獄からな!》
《わたくしをブルネリスの豚から救ってくださりましたから手助けをしているのです》
《あんたには借りがあるから返しに来た!》
《貴様の妻は俺と魔神教の信者が後でたっぷり味わわせてもらう…楽しみだなぁ》
《…………を何処に隠した!ハゲとダッチワイフとアバズレビッチ!》
《誰がハゲだ!!》
《お前だよ!》
《俺はふさふさだ!》
《ふふふふふ…殺す》
《誰がアバズレビッチですって!八つ裂きにしてやるわ!》
そこで霧が作った幻は消えてなくなった。
ミストルがいない、別行動取っているのか?バルセイルさんもいないし、何が合ったんだ?オレたちの旅が終わった後にあることなのか?
この霧は数ある未来を見せたり過去を見せて惑わせ危険な魔物の元に導くとばあちゃんは言っていた…この霧の中を抜けなければ行けないときが来て霧が見せた未来の霧を払えと言っていたな。
「ラセス、上級風魔法の準備を」
『心得た』
『「人を惑わせる迷惑な霧を払う風を呼ばん!【聖風の疾風】!」』
とても心地よく暖かい風が吹き迷惑な霧を払った。
「…綺麗さっぱり迷惑な霧がなくなったな」
『ボスらしい風が吹いた』
「…ミストルはまだ来てなかったのか」
『近くに気配を感じるが…』
「捜すか?」
『私は契約石の奥に入っています』
「急にどうしたラセス」
『嫌な感じがするからだ』
「野生の勘って奴か…大人しくしているのはオレの性分じゃないな」
周辺を捜しているとうずくまったミストルを発見したが、様子が変だった。
「……ミストルお前!」
声をかけた瞬間に何故か暴走状態になっているミストルに襲われた。