再会
【クレイバール島の西地区】
《大広間》
オレたちは無事に島に帰ってこれたんだな…良かった。
【星の天文台】にいた保護した魔物やオレたちを含め父さんたちの友人?のオーガ姫ならぬルディアさんたち女子パーティーや外側に居た筈のビスカちゃんやラブナシカ様とオカマのお姉さんたちもこちらの世界に運ばれていた。
サニカは一緒に来た魔物を島民が何かを言う前にどこかにしまい、何事もなかったかのように済ませた。
「お兄様!お義姉様っ!無事だったのね!それにビワトも!」
「久しいなフジトラよ」
「おう、ルディオスも元気そうで何よりだ」
「ルディオス?」
「あぁ、ソナタも久しいな。女装をしていた姿でしかあってないから分からぬか」
「……この筋肉質な覇王様……まさか馬車で送ったおっオーガ姫!?やっぱり男性だったんだ!」
「あっ遂にこの子もルディオス様の事をオーガ姫って言ったわ」
「我々はただの一般人だ。そんな風に畏まる必要はないぞ小僧」
「3年経っても変わらないな。この人」
「ラブナシカ様とキトリエスも久し振りだな」
「ホントーに変わらないわね~…シルトの子供たちも相変わらずね」
「ひっ!オカマのボスが現れやがった!!」
「大丈夫よんっ手出ししないわよ。そんな事したらそこの二人に怒られるわ」
父さんたちは幼女化とショタ化した二人を見た。
「そこの幼子たちは」
「ルウカのバカが寿命も充分にあるのにとあるアイテムを使って仕出かしたんだよ」
「もしかして先生たちか!……何がどうしてそうなった?」
「……とある【幻想級】のチートアイテムを使ったのさ」
「それで向こうの世界はこれからどうなりそうだ?」
「ヤバそうな感じだから……この世界に影響が出ないように通路を完全に切った」
「先生たちが道を切るなんて……向こうの世界を覗けないのね」
「いいや、覗けるよ。でもしばらくは覗かない方が良いだろう…何か良からぬ者の気配を感じたからね」
「この世界は本当に向こうの世界の影響は受けないのですか?」
「うん、完全に断ちきったから向こうの世界で作った賢者の石で出来ているこの島が在ろうと大丈夫だよ」
「そうですか」
「この世界は本当にあなたたちが作ったのね……創造主として何か理は作ったりしたのかしら?」
「特に何も作っては居ない。それにもう創造主じゃないぞ。しばらくはこの世界で向こうの世界を覗くことなく、別次元の世界に渡ることをしないでくれ」
「マジでヤバイのが向こうの世界で動いているみたいだから」
「そうねぇ…アタシも向こうの世界からこちらに渡る寸前までに今までにない程のヤバい力を感じたわ」
「あなた様ですらそれを言いますか」
「えぇ」
「本当に夜がないのね、こちらの世界は」
「あっそうだお前さんたちが暮らす場所に行くための地図をまだ渡して無かったな。ほら、コレが渡す地図だ」
「ここから結構遠いわね」
「家を立てるのにこの島の男衆持っていくかい?」
「大丈夫よ。この世界の木やアナタたちが用意してある木材を使って家を作っても良いのでしょ?それくらいアタシたちでも作れるわ」
すると男衆たちがホッとしていた。
「そうそう、この世界で協力して住むためにこれ読んでおいてね」
「わかったわ。では行くわよ!…モーリンもアタシたちの方に付いてきなさい」
「えー」
「良いわね?」
「もう、分かったわよ」
オカマのお姉さんたちとモーリン学園長を引き連れオカマの女王様は浜辺に向かっていった。
砂浜に着いたのか巨大な船が突然現れたぞ。
「次はルディオスたちだな。お前さんたちはこの島で暮らすか?空き家があるがどうする?」
「我々はそうさせて貰うか」
「ふふふっ…そうすればシアレと週に1回はお茶会ができるわね」
「そうですね」
「アタイも賛成」
「ふむ、ならばそうさせて貰おう」
「カルエさんとエクル君の姉弟はとなりの東地区のビワトとルトラ先生たちが暮らす方が良さそうだな」
「良いのですか?わたしたちは…」
「そんなの気にするな。エディスの子供らなのであれば安心だからな」
「父の子供だから?」
「魔王ベリックスは信用ならんがその息子エディスは信用できる」
「エディス様はベリックス様に良く反発して「貴様の様になってたまるか!」と捨て台詞をいつも本人の目の前で吐いてましたし……父の影響を受けぬようにと距離を保ってましたからね」
「でもその父と母は祖父に逆らいわたしが八歳、エクルが五歳の頃に行方を眩ませました…」
「……もしその両親が実はシルトの街で生きていたらどうする?」
みるみる内にエクルとカルエさんの表情が変わっていった。
「え……祖父に逆らい…それから……」
「魔物の腹の刑の最中にシルトの若いのが散歩していてその現場を見かけて魔物を捌いて二人を拐って行ったら?」
「魔王国の役人は処刑を最後まで見ないで帰るもんな」
「普通は終わるまで見るんじゃないの?」
「エディスたちを襲っていたのは【エンプルンスライム】という魔物だから絶対に逃げられないと高をくくり帰るのだよ」
魔物の名前を聞いた瞬間にエクルとカルエさんか引いた。
「【エンプルンスライム】ってシルトの街の周辺にたま~に現れる大型のピンクのスライムだよな?あれって凄いの?」
「「えっ」」
「え?……だってオレたちの子供の非常用のおやつだもんな?」
「そうねぇ…プラム味で美味しいわよね?」
「子供たちの非常用のおやつ…」
「あのスライムが子供に狩られる……」
エクルとカルエさんは引きつつ混乱しているようだ。
「ほらほら!アンタたちもこちらに来なさいよ!」
「暫し待たれよ!心の準備が!」
「あらあら~……」
そこに現れたのはマフェット夫婦であった。
「えぇ!マフェット!?」
「マフェットさんだろ?ビワト」
「いつものチャラチャラがないわ」
「オレが五歳の頃にシルトの街に夫婦で越してきたけど…まさかの?」
「お母様とお父様……なのですか?」
「そうか、すまんな。魔王に生きていると知られては困るから姿を変えていたんだ」
「もう姿を戻しても大丈夫ね」
どこからともなく現れたシルトの街の本屋のロリ婆さんマジェリルカが現れた。
「誰が婆だって?」
「ごめんなさい、マジェリルカちゃん」
「二人とも並びなさい。元に戻すから」
マフェット夫婦が仲良く側に寄りマジェリルカちゃんが呪文を唱えるとポンっと本来の姿に戻った。
「…年相応になった?魔族の方だけあって若いな」
「やはりヒョロヒョロの姿よりこちらがいいな」
「ふふっアタシとしてはどちらの姿も良いのですが」
「あ…あぁ!」
「カルエ、エクル良くここまで立派に育ったものです。本来ならアタシたちは死んだはずの存在でしたが…」
「だか我らは生存し、お前たちをシルトの街に連れ去り育てることができたがそれをせずに魔王国に放置したんだ。文句や罵倒をお前たちからなら受けよう」
カルエさんは何も発せずに走りだしエディスさん?を無視してお母さんの方に抱きついた。
「ご無事で何よりでしたっ!お母様!」
「………本当に大きくなって……エクルもこっちにいらっしゃい」
「はい…」
父さんがエディスさんの肩にポンと手を乗せた。
「ドンマイ」
「うるせぇ」
その光景を見てニヤニヤしてるルウカの隣にいたサニカがいつの間にか居なくなっていたのでキョロキョロと探し回るとノエルとヤライとナハトと話をしながら茂みに入って行った。
「気になるなら行きましょう」
「そうだな」
オレたちもそっと抜け出し後を追った。