【】が生まれいずるとき
【魔の大陸】
《共同生活区間》
「ベルールカ、アイツらは消えたか」
「えぇ、もうこの世界から跡形もなく消えたわ」
「コレで我々の世界が作れる。さっさとモンスターを学園にいる者も使いながら始めるぞ」
「あっちょうど良いわ。そこに居るわたしの部下も最前線に出して使って良いわよ」
「良いのか?」
「えぇ」
「お前も早く動けよ?ここの陣を捨てて学園に合流するのが決まっているのだからな」
「あの学園なら迎え撃つ場所として一番の最善の場所だから仕方ないわね」
獣王ファングスは聖王ベルールカの部下を連れて外に出ていこうとした瞬間にベルールカの天幕が突然半分になり獣王ファングスはギリギリ避けることに成功していたが聖王ベルールカの部下は上半身が無くなり下半身だけになっていた。
「いっイヤァアア!?なにが!なにが起きたの!!」
「落ち着けベルールカ!」
「触らないで!半獣の癖に!」
「なっ!貴様!我のことを半獣だとぉ!?」
「ファングス!ベルールカ!無事だったか!って一触即発の状態になってんじゃねぇ!」
「うるさい!うるさい!魔族が偉そうにしてるんじゃないわよ!」
「テメェ!!」
「そんな事していないでさっさとこの場所から離れるぞ!お前ら!」
「うるさい!人間っ!」
ギャーギャーと騒いで無駄な時間が流れ状況はどんどん悪化していった。
「何なの!?このモンスターたちは!殺したらその場でリビングデッドとして蘇るし何なのよ!?」
「知らん!口を動かさないで体を動かせ!!」
「切っても切っても湧いてきやがる!クソが!」
「泉で陣取れば!」
「残念な知らせがある。そのエリクサーの泉だが真っ赤な月が現れて数分後に渇れた」
「何ですって!?」
「だから早く移動しようと言ったんだ」
「本当にどうなってやがる!つい最近まで何の変化は無かったと言うのに!」
「学園へのゲートはどうなっている!」
「まだ魔力が流れているから通じている筈よ!」
獣王ファングスと魔王ベリックスが先頭でモンスターをバッサバッサと切り刻みゲートの近くに着くと、自身の部下たちが傷だらけでそれぞれの主を待っていた。
「おっ流石俺様たちの側近だ。強いモンスター相手にこれだけできれば良いんじゃないか?」
「ベリックス様、命令通り死守し部下のほとんどがあのように…」
「やはり、死んだ途端にゾンビになってやがるか」
「ベリックス様、申し訳ごさまいませんが…ワタクシめにエリクサーを分けていただけないでしょうか?」
「そうだな…ここまで持ちこたえたんだ。褒美としてくれてやる」
最後まで生き残った魔王の側近は安堵の表情をしベリックスからエリクサーを受け取ろうとしたが。
「ベリックス様?」
「くれてやるから俺様たちが無事に学園へ渡れるように頑張れや」
「え!」
ベリックスは側近の腕を掴むと魔王ベリックスたちを狙うモンスターが向かってきている所に放り投げられた。
側近は受け取ったエリクサーを即座に使ったが完全回復しなかった。
「どういう事ですか!」
「お前見たいな捨て駒に完全版のエリクサーを渡すわけないだろ?」
「!?」
「あらあら可哀想な側近ちゃんね?」
「聖王ベルールカ様………あぁ!…何て事を!」
聖王ベルールカや獣王ファングス、そしてクベールグファス王国の国王イデアが瀕死の側近に止めを刺していた。
「殿役を頼むぞ。そう簡単に死んでくれるなよ?劣化版のエリクサーを渡してやったのだからな」
「ベリックス!家族を見殺しにさせワタクシの部下たちを無理に引き剥がし撒き餌として使ってもまだ足りないか!ワタクシは死んだとしても貴様らを末代まで怨んでやる!!」
「フハハハ!だとよ、ベリックスよ」
「ふん、こんな弱い魔族にそんな呪詛が吐けるわけがない。行くぞ」
魔王ベリックスたちはモンスターに食われながら呪詛を吐いている側近を見ながらゲートを通って行った。
「覚えていろ…!…貴様らに安息の日はな………」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【エイスワイズ学園】
《ゲート前》
「このゲートどうします?」
「壊すぞ。モンスターがこのゲートから湧いてでないようにな」
「エリクサーの泉が無いなら必要ないものね」
「さて学園の学園長室に向かうとするか」
そこへ学園の教員3名が現れた。
「お待ちしておりました」
「先に学園に向かったレンゲたちはどうしている」
「今、学園の生徒たちを班分けし、それぞれの持ち場に向かい対応しております」
「そうか」
「わたしは薬学室に向かって薬を作るわね」
「頼んだ」
「そうそう、……さっきはごめんなさいね?」
「お互い様だ」
「ではそれぞれ活動を始めよう」
「了解です」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【流星の谷】
《1年B組の生徒たちの持ち場》
「はぁ……はぁ……」
「シナエ!ルーミ!」
「フリア、サティたちは?」
「あの真っ黒いドラゴンゾンビによってバラバラに散ったから…消息はわからないわ」
「そう……」
「もう一度変身して…空から探しましょうか?」
「それはやめた方が良いですよ。それこそ的になりますからね」
「なのよね…ハイビーストに変身できるけど…ここまで攻撃が通らないのは初めてで困るわね」
「仕方ありませんよ」
「…………あたしたちも」
「彼らとは関係が絶たれましたよ……私たちが選んだ道ですからね。最後まで悪あがきしてやりますよ」
「………そうね」
「フリアは特に未練は無さそうですね」
「えぇ、エクルに悪いことをしたけど。向こうに無理やり行かせたから確実に生き残れるだろうし、シルトの方にあたしの親戚が居るからハイビーストの血も残るし未練はー」
「!……フリア、ルーミ来ましたよ」
「……下級のアンデットね」
「わかったわ。戦闘準備しましょう…(エクル…あなたは生き残りなさいよ?魔族の中でも珍しい角を持って生まれて…それから……魔王ベリックスたちに利用されたとは言えちゃんと幸せになりなさいよ?)」
一方……【共同生活区間】では様々な死霊系のモンスターやリビングデッドたちが【】を崇めその時を待っていた。
『我は呪縛の鎖に縛られし異界の8つの魔神の魂を喰らいこの場の怨念を飲み込み生まれた【】なり………封印から解放されし【狂いの紅き月】よ。本来なら既に滅びの時を迎えていた世界に終焉をー告げる時なりー』