ペっペンタス…?
【流星の谷】
《星の天文台…展望台フロア》
「イテテ……ここは何処だ?…皆、平気か」
「平気ですの」
「擦り傷もないぞ」
「転移とは凄いで候う」
「…………」
「えっ」
「あっ…巻き込まれてる…」
「あれ?お前はダイブしてないよな?どうして来ちゃったんだ?」
「ここにおる者は誰1人として引っ張って無いで候う。きっと誰かに押されたのかも知れぬ」
お互いに別れの挨拶を済ませたと言うのにエクル本人がこの場に居るのである…顔が真っ赤だ。
「オレとしては嬉しいが…」
「…………………」
「可能性としてはナハトさんの言うとおり誰かに押されたしか可能性はないですね」
「あの教室のまとめ役が居なくなったからヤバくね?」
「生真面目なおなごが二人居るで候う」
「ここに来たからには戻れないからね?恥ずかしいかも知れないけど受け入れることだね」
「サニカさんの持っていた杖が壊れてない?」
「……寿命だね。【返還の杖】とは別物だから大丈夫さ、さてこの天文台の中心に行くよ」
すっとエクルも立ち上がりサニカの後を着いていった。
【星の天文台】
《中央フロア》
「戻ってきたな!…数人ほど引き連れてきたか!」
「この子たちは大丈夫、あの杖に弾かれずに来られたから」
「そうか」
「あらエクル。あなたも来たのね」
「あっ姉上!なぜここに!」
「何もかも嫌になったから着いて来ちゃった♥️」
「え」
「モーリンも居るんかい」
「別にワタシが来ても良いのでしょ?ルウカが渡してくれた写本の最後のページに共に来るか来ないかの選択があるんだもん。
あの学園は一部の王族に乗っ取られたから来たわ」
「だもんじゃないから。乗っ取られない様に管理しなさいよ」
「あっ姉上は…」
「私?私は学園長の読んでいた本を覗いて私も共に連れてきてもったの。他の生徒会のメンバーと絡むの本当は嫌だったのよね」
「「えっ」」
エクルとモーリン学園長が間抜けな声を出した。
「犬耳のグルートは迫ってきて気持ち悪いし、エルフのシノーフェスは私の胸触ってくるし、ドワーフのドルンナは堂々とスカートのの中を覗くし、副会長のムステルはサボって女子をナンパしてるし言い出したら止まらないわ」
「カルエ、そんな事されてたの!?」
「えぇ、魔族だからそれくらいしても文句言うなよってね」
「どうしてワタシに言わなかったの!」
「最初は大変だったけど途中で避わせるようになったのと魔族で生徒会に入った人が代々どのようにすればいいか残してくれていたから大丈夫だったけど」
「まさか…姉上がそんな事を」
カルエさんがふっふふふ…と不適に笑っている。
「……あれ?カーウェンのじっちゃんは?」
「カーウェンはリックスたち着いていった子供たちの元に向かってもらったぞ。そろそろ帰って来るんじゃないのか?」
「えっもう?」
「学園の外に居る奴らに連絡をいれたからね。君たちもこの天文台をウロウロしてきて良いよ。天文台の外には出ないでね、外に出たら君たちじゃ戻れないから」
「マジですか」
「マジです」
「サニカ、天文台の回りに一定の生きた魔物が集まってるぞ」
「それは本当かい?……だとすると死霊系のモンスターを弾く魔方陣を頼って来たと言うこと?……映像をだして見てみよう」
「そうだな」
ルウカがカタカタとステータス画面の様な透明な奴?を打ちならしていると映像が映りこんだ。
「あれってお馬さんと牛さんと羊さんと鶏さんとヤギさんです!」
「牧場の仲間たちって言う奴か?」
「しかも開けてくれとカリカリと牛が角を使って入口付近を掻いてるな」
「どうするんだ見捨てるのか!?」
「君はなかなか心を抉る言葉を言ってくるね」
「……よし少し待ってろ。サニカ行くぞ」
「わかったよ」
すると幼女とショタはこのフロアの隠し通路らしき場所に入って入口に向かったようだ。
映像には二人が入口らしき場所に付き壁に何かを描くと入口が開いた。
一斉に入口付近に集まったモンスターたちが流れ込み死霊系のモンスターが入ろうとしていたが透明な壁に弾かれ入れず二人は描いた何かを布で拭くと入口が消え元の壁に戻った。
「あっだから君たちじゃ戻れないって言ったのか」
「中に入った魔物が疲弊してますね」
「馬が威嚇してるな一触即発か?」
「二人が制止させたわ。何か交渉してるのかしら?」
「二人が馬のリーダーに何か言ってるぞ」
「あっ馬たちが大人しくなったわ」
「動き出しましたね。どこかの扉の前に案内してるです」
「どこかに5ヶ所に分けて収納されたでござる」
「二人ともこちらに戻って来るわね」
二人が元々いた場所に突然穴が開くと二人を持ち上げている台がウィーンと下から二人を乗せて現れ定位置にガシャンとはまり何事も無かったかのようにしている。
「…あの魔物たちはどうしたんだ?」
「牛と羊とヤギと鶏は素直にこちらの条件を飲んでくれたから過ごしやすい場所に案内したんだ」
「馬はここが安全だと知って調子こいて威嚇して俺たちの天下だ!的な事を言ったから奥の手を出してビビらせて従わせたんだ」
「奥の手とは何ですか?」
「…まずは馬が動けないようにここの管理者権限を使って動けなくして、このままならお前たちを外にほっぽり出して放置するけど?と言っただけだ」
「そしたら直ぐに大人しくなったね」
ここにいる間は二人の指示をちゃんと聞こうと思った。
そしてもう少し時間が掛かるかもと言うことでオレたちは暇を潰しに展望台に向かった。
【展望台フロア】
「この部屋に着いたいですけど景色が綺麗ですね」
「ノエル、下を覗いてみ」
「嫌です……真っ赤な月が不気味ですが…安全な場所が実は合ったです」
「この天文台も赤い月の現象を封印したその大魔法使いが作ったから魔物が近付いて来ないのだろうか」
「……骨の魔物やドラゴンゾンビ…やはりここは死霊系が多いでござるな」
「生きているドラゴンが逃げ遅れて喰われている…それに魔物どうしで共食いしてるわ」
「これを見て外に出たいと思いませんし…牛さんたちもわかっていたから従うです」
「星空がキレイダナー」
「最後のカタコ………」
「ビワトどうし…………」
「ぴえっ………」
オレたちの展望台フロアのガラス張りの外にはオレたちでも敵わなそうな黒くデカいドラゴンゾンビがバサバサと羽をばたつかせている。
「………ペンタス義祖父様?…魔力をここだと感知できないから本体か分からないけど」
『ビワト……やっぱりビワトにもそう見えるの?…悪意が集まるかも知れないけど外に出て良いかしら?』
「うん、出てこい。オレが絶対に守ってやるから」
ペンダントから光が溢れるとルヴェルが出てきた。
「ビワト、突然現れたその美人さんは誰だ?」
「オレの将来の嫁で恋人だ」
「へっ!?」
「恋人だとぉ!?」
「まさか恋人でござるか…」
「エクルさんの予想が当たりましたです」
「あらあら」
「やっぱり作っていたか…」
「この姿で会うのは初めてね?」
「この姿で会う?………ビワトの騎乗竜か!」
「正解よ。あなたとは初日の帰りの時に会ったわ」
「こんな風に人化が出来るとは…不思議ねぇ…」
「竜と言っても知恵のある竜種だからかしら」
「スッゲー美人…」
「確かに」
「竜が人に変化したのを見るのは初めてです!」
「あら、貴女は竜人なのね」
「はい、先祖に竜の血が入っていますが…変化出来ませんからね~…唯一竜の特徴が出ているのは鱗が体の至る所にあることですかね」
「でも、内に秘める力は充分あると思うのだけど…」
ちょうどそこに放送がなった。
『子供たち、そろそろ中央フロアに戻ってきてくれ。カーウェンたちが戻ってきた』
「戻るか」
「こちらを見てくるのを放置して行くのかよ」
「それじゃ…ヤライはあれどうにか出来るのか?」
「無理っ!」
「即答じゃないですか」
「喋ってないで行きましょうか。エクルのクラスメイトは面白い子ばかりね」
「個性が強いのですよ。姉上」
ペンタス?の亡骸に見守られながらオレたちは中央フロアに戻って行った。