決断の時
「村長ー!」
「おうおう…子供たち大丈夫だったかい?」
「うん、モーリン学園長先生があたい達の部屋を用意してくれたから変な風に絡まれないし、学園に逃げてくる人たちを助けたり手伝ってたの!」
この学園に送り込まれたシルトの街こ子供たちをモーリン学園長が連れてきて交流が始まった。
「ファーレットばっかりズルいぞ!」
「ブルネットはビワトに絡めば良いじゃないの」
「ファーレット…オレに対して酷くない?」
「仕方ないよ。ビワトってそこまで強くないし」
「キオン…お前の毒舌も更に磨きが掛かったな」
「それで父ちゃんたちはどうしてるんだ?」
「普通にシルトの街の時と同じ様に生活を始めているよ」
「前と変わらないのかよ」
「海に囲まれているから泳げるぞ」
「川と変わらないわね」
「珊瑚礁とかあるから川よりはきれいだろ?」
「んー…魅力を感じないわ」
「感じないわじゃないから」
「本来ならボクらは来年この学園に入る予定ならこのままでも良いと思います」
「お前な~…オルーさんとキディアラさんはお前の事を心配してたんだぞ?」
「両親には世話を掛けますが…こちらの生活の方が楽しいのです」
「おい」
「ふぉっほほほ…生意気な口を聞くようになったものよ。まぁ…その辺は両親から預かってきた手紙を渡さんとな」
「「「え」」」
「当たり前だろう?それぞれの両親から預かってきたから両親の手紙を読めよ?」
3人は手紙を受け取り読み始めるとみるみる内に青ざめ始め震えている。
おっちゃんたち…一体どんな内容を…。
「ぴえん」
「かーちゃんに殺される…!」
「はわわわ…!」
「あれ?まだ3通残ってるけど?……だとしたら残りはマノンとワックとヤストの3人か」
「そう言えばシルトの街のやんちゃな3人組がおらんのう」
「お前たちは何か知ってるのか?」
「その3人組は…えーと…」
「歯切れ悪いな。どうしたんだよ」
「ギルドマスターのリックスさんって言う人たちと旅に行った…」
「………ここにはギルド関係者が居るのか」
「ギルド関係者と言って半々だけどね。一部の王族側に付いたのも居るから」
「分裂していたか」
「あなた達に不満を募らせたのが居るから」
「あー…リックスたちもよくシルトの子供を連れていったね」
「だって強いものシルトの子供たち」
「そうですな」
「そういえばビスカちゃんは?」
「ビスカ……あぁ!寮母さんか確か彼女は学園が表に出た瞬間に「旅してくる!」と言って新な寮母はこの人ですと引き継ぎしてから学園から出て行ったぞ」
「行動派なのは変わらないな」
タイミングを見計らった様にそれぞれの代表者が学園長室に現れた。
「学園長、結果が出ました」
「それでどうだった?」
「学園の生徒を含めてシルトの住人と一緒の世界に行きたくないと全員が申しました」
「そう……わかったわ。……二人とも大昔の魔王と魔法使いがどのように封印したか教えてもらっても良いかしら?」
「……モーリン、耳を貸せ」
するとモーリン学園長がルウカの側に行き聞き耳を立てた。
学園長はにこやかな表情を真顔にしてそこから更に青ざめた。
「常識をいしてるじゃないの!?」
「学園長、一体どんな内容なのですか!」
「言いたくないわ無理っ!ここに居る魔法使いたちや現魔王たちと手を取り合っても無理よ!本当にそれを行ったの!?」
「おう、ちゃんと記録に残ってるぞ」
ルウカはごそごそと懐から一冊の日記を取り出しモーリン学園長に手渡した。
「その日記は【それ】を行った時の魔法使いが書いた日記の写本だからそのまま貰っておきなさい。コレでまたモーリンは知識を得たね」
「鬼どもめ……でもそれだけの事をしないと封じられないのね。ラブ様にも1つお願いしたいのだけど」
「嫌よ」
こちらも即答である。
「どうしてよっ!良いじゃないの!」
「確かにアタシは神族よ?でもね、やれることは限られてるのよ。神族は人間の営みに手を出せないのは知ってるでしょ?」
「ワタシを育て上げたじゃない」
「当時は神の力を手放しても大丈夫な環境だったからよ。大昔の魔王と魔法使いはこの世界の生命を守るために神の力を頼らず封じ込めた。
でもそれを権力者たちがこの世界に生きる命の事を考えずにいらないと捨てたの。
アタシもこの世界に生きる命を守りたいと思うけど無理なのよ。自分勝手な神族でしょ?」
「…こうなれば!ワタシが魔方陣を作ってやるわ!ダブルチビッ子!協力しなさい!コレは命令よ!」
「嫌ぷー」
「知識はあったとしてもここでは無理」
「何でよぉ~!もう!」
「ビワト、クラスメイトにあってくると良い。俺たちは例の馬車モドキの中で待っているからな」
「アタシも乗せて貰おうかしら?」
「ワシの隣ですが良いですかな?エスコートしますぞ」
「あら、ありがとう」
「子供たちはどうする?一緒に来るかい?」
「ボクたちは残る。父さん立ちに恨まれても」
「ほんとうに良いんだな?」
「えぇ」
「おう」
すると四人はぞろぞろと嫌悪感な眼差しを放つ人々の目線を無視して退室して戻って言った。
「ビワト、目線を気にせず皆に会わないか?」
「うん、オレも皆に会いたいや」
それだけいうとオレたちも学園長の部屋からでてオレたちの教室に向かっていった。




