SS 女神の待ち人来る
【深き森の神域】
『おや……また1つ目覚めを迎えたみたいだ……目覚めたのは【天光の宿屋】またかなり厄介なのが目覚めたものだ。
大昔に作り出されたいくつもの建物と異世界の機械は我ですら壊せないから困って居ると言うのに……なぁ?ラブナシカよ』
「全く、アナタも相変わらずねぇ~旅神」
『ソナタたちの様な大昔から生きる超越した存在で合っても【オーバーテクノロジー】があると困るのではないか?』
「そんなことはありませんよ。現にこうして【オーバーテクノロジー】があることで私たちはアナタと対等に出来ているではありませんか」
『ふっ……二人が乗り込んでいるのは女神殿の父上が作り出した機械だったな』
「えぇ、私のお父様が本気で考え作り出した物ね」
「あの子たちに頼んで残しておいて貰って良かったわ。コレらは悪いことに活用できないのだから良いじゃない」
「ホントですね」
『ソナタら…』
「まぁ、良いじゃないですか。アナタもここでゆっくりして白理や黒司たちが何をやらかしたか話してくださいな」
数多の世界を渡り歩く者が話し出した。
『……………白理たちは外側の【観測者】たちに喧嘩を売り、今は様々な空間がその影響を受け異世界のとんでも現役賢者やとんでも元勇者たちが【自世界】の空間を安定させている。
白理たちはこの世界の元観測者である奴らを亡き者にして2つの例の【宿屋】や貴殿が乗っている【トラクター】を奪うつもりだったが出来ずにバレたみたいだな』
「……地球系列は大丈夫なのですか?」
『その辺は地球に隠れ住むの不老不死の元勇者や隠者たちが影響を受けないようにしている。地球系列に手を出したらそれこそ白理たちは消されるだろう』
「この世界も平和が綻び始めたね。こんなに風に転がるとは甘く見ていました……私も耄碌したものです」
『……数多の世界を見てきた者として言わせて貰うが。ある程度のいざこざや争いが起きたとしてもここまで数十万年もの平凡な時代が続いた世界を見たのは初めてで良く持ったものだ』
「ホントよねぇ」
そこへ煌めく美しい魂が現れた。
「ようやく辿り着いた…」
「「!」」
『お前は……少々特殊な魂みたいだな』
「……ちゃん、待たせたね」
「あっ…」
「こんな時に来てゴメンね。いつもいつも待たせちゃうね」
「本当に……本当に遅いんですからっ!」
「あらあら」
「ラブさんお久し振り、相変わらず綺麗ですね。僕の妻の次にですけど」
「妻の次が余計よ」
「ははっ…本当に変わらないや。ラブさん、……ちゃんを連れていくけど良い?」
「良いんじゃないの?その辺はアタシの管轄じゃないもの。それにこのトラクターの乗り手はもう生まれてこないしもう返すのでしょう?」
「…悪用されぬようにします」
トラクターに乗っていたラブナシカはいつの間にか外に出されてトラクターが光輝くといつしか消えていった。
「あら、もう返したのね」
「はい」
「それじゃラブさん、今まで妻を見守ってくれてありがとうございました!」
「ラブナシカ様、今まで助かりました……また今度」
ふたりでお礼をしてそして二人は光となり消えていった。
『いきなり現れて女神を連れ去り消えるとは…あの魂の輝きを持つ者は一体…』
「とある地球に生まれ、この世界で天命を全うし【幾世星】になったアタシの知り合いの魂よ」
『【幾世星】!…まさかそんな縁起の良い魂に会えるとは…ここまで来たかいがあったな』
「アタシたちにあった時より嬉しそうね」
『当たり前だ。【幾世星】は1つの世界で数百億以上の命が生まれ天命を全うする中で10個の魂が育てば良いとされる縁起の良い存在だからな』
「アタシもそろそろ…」
『遂にお前も転生するのか?』
「まだしないわよ。まだまだこの長生き出来る神生を楽しみたいもの!」
数多の世界を渡り歩く者は心の中で舌打ちした。
「今あなた心の中で舌打ちしたでしょ」
『するわけないだろう(嘘)』
「…次舌打ちしたらヤるわよ」
『ふっ……(やはり恐ろしいほど勘が鋭いな)』