驚愕の真実
地底湖の奥にさらに進んでいると遂に鈍い輝きが現れだしてきた。
あれ?ここが地底湖の底なのか?3年前と何か違う…真珠が無くなっている。
不思議にしているとルウカが念話してきた。
『3年前と何か違うか?』
『真珠がないのと地底湖の底にあるはずの結晶珊瑚が無くなってる』
『そうか…それよりも河童の野郎どこに行きやがった。カーウェンが直接に地底湖の底に向かったな』
じっちゃんが地底湖の底に向かいコンコンと地底湖の底を叩いた。
するとズゴゴゴゴゴゴと地底湖の底が開いた。
『……結晶シャコ貝が超巨大化したのか』
『えっ』
『それにしてもデカっ』
『貝の中になんか人型の結晶がない?』
『…あっ』
『あれはまさか河童か?』
ルヴェルが念話で言った通り人型?の結晶がありどうやら河童が結晶した物であるらしい。
『ふふっ……河童が動けなくなったのであれば魔物がこの地底湖に湧くな…うん』
『…河童が定期的に間引きしていたのが超巨大化したシャコ貝によって結晶化させられて出来なくなったと』
『……ドジな河童ねぇ』
『それにしてもここまで結晶シャコ貝ってデカくなるんだな~』
『普通は数千年は掛かりそうなんだが…シャコ貝に地底湖の底が占領されれば浄化石も上手く浄化が出来なくなるだろうな』
『じっちゃん何をするきだ?』
『シャコ貝を砕くのだろうさ』
3人でじっちゃんの行動を見守ることにした。
『ふむ……これは誠にだらしないのう…河童め抜かったな。この結晶シャコは何者かによって超巨大化させられたな。悪いが狩らせて貰おうかのう』
カーウェンは両手に魔力を溜めると超巨大な結晶シャコ貝に向けて放った。
高濃度の魔力によって発生した渦によりオレたちは地底湖の底から上昇し始め攻撃を直接受けた超巨大シャコ貝の殻がピシピシ…とひびが入り粉々に砕けた殻は地底湖の底をキラキラと照らしどこか神秘的であった。
『ビワト!ルヴェル!このまま上昇して地底湖から出るぞ!』
『空中に打ち上げられるって事か!』
『それならワタシが竜の姿になるわ!』
『ふむ……そろそろですぞ』
じっちゃんが言った通りにオレたちは空中に投げ出されたが地上ではサンゴがちょうど何者かに飛び蹴りを繰り出していた。
「「え」」
「サンゴは何してんだ」
「あれは…グラトリーか!」
「やはり巨大化の原因は奴でしたな」
耳をすませるとサンゴは飛び蹴りを放ちながら「さっきからチラチラ覗いて何してるんだい!ここの水を濁らせたのはお前か!」と言い蹴られた本人は「スミマセンでした!!」と言いながらモロに飛び蹴りを喰らって回転しながらドシャッと地面にめり込んだ。
「へぶは!」
「……おや?ルウカたちは戻ってきたみたいだね。それに地底湖の中から何か浮かび上がって来てる」
グラトリーと言う人物が直ぐに起き上がった。
「サンゴ!後ろ危ないぞ!」
「わかっている。左から囮のナイフを投げられ右から毒が付いたナイフ攻撃」
サンゴは投げられたナイフを右手で掴みそのナイフを使い攻撃を受け止めると相手を蹴りで地底湖に落とした。
「カーウェン!ルウカ!」
「おうよ!」
「わかっておる」
じっちゃんが地底湖を凍らせルウカが風を起こしオレたちをサンゴが居る場所に下ろした。
「地底湖の底はどうなっていた?」
「超巨大結晶シャコ貝が居たの」
「じっちゃんがそいつを倒したんだ」
「中身が浮かび上がってないから時間を掛けて上がってきそうだね。グラトリーが巨大化の犯人みたいだね」
「地底湖の水面で凍り付く不審者の対応は?」
「カーウェンが砕いた巨大シャコ貝の中身が凍らせた水面を割って飛び出して来るだろうからグラトリーを押し出すその時を待とう」
「それよりも濡れたままだと風邪を引くから着替えるぞ」
「感知してもうこの場所には私たち以外は居ないから安心して岩影に行って着替て来るといい」
蜘蛛子散らすようにバラバラに別れてオレたちは着替えた。
「………あっ凍った水面がひび割れてきた」
「ピシピシって鳴ってるわ」
凍った水面の左側が浮き上がり底からキレイなプリプリの貝の中身と結晶化した河童と凍り付いた不審者も勢い良く空中に飛び出して凍り付いた水面の上に落ちた。
「河童の奴は地底湖の底で結晶化していたのか」
「この不審者…誰かに似てるな…あれ?」
「会ったことあるの?」
「誰だっけな…」
「それってもしかしてシュティーエって言う名字の家柄の吸血鬼の子供じゃないか?」
「その子だ!!…もしかしてこの人…」
「シュティーエの前当主じゃな」
「何してんだよ。こんなところで」
「巨大化の研究かもしれんのう。全く懲りない奴はモーリン先生で充分なのじゃが…」
「グラトリーは凍らせたまま獣王の元に運ぶか」
「結晶化した河童の野郎は怖い置き手紙を置いて行くか…サンゴ、お前は何をしているんだ?」
サンゴはアイテムボックスをガサゴソと漁っていた。
「魔王たちの元に向かう前に水晶で覗こうと思っていたんだが…忘れてきてしまったか…」
「それなら結晶化した河童を使えば良いじゃないか?」
「そうだね。河童結晶でも使えるか…」
「使えるんかい!」
「なら結晶化が解ける前に水晶で覗いて見ようか」
結晶化した河童を使って【覗き見の術】を仕掛けると魔王らしき人たちとオレの祖父母が天幕で話し合っていた。
内容は今後の世界と転生前のルウカたちの悪口や時空間の話やらでサンゴとルウカは途中から無表情となりカーウェンのじっちゃんは拳を握り怒りを抑えていた。
「レンゲの小娘や魔王の小僧たちは何を勘違いしておる。この世界は御二人が居られたから魔神以外の者からの侵略を受けなかったと言うのに!」
「まぁまぁ、押さえろカーウェン」
「ルトラ先生!」
「アイツらの意見は良ーくわかった。まさかコイツらがそもそもの時空間を歪めた犯人なんだな」
「はぁ…【プレリローグ】の奴らは昔から良いように掌で踊らされていたと言うことだね。|魔王や獣王に聖王たちに……思い返して見ると【世界会議】の時に代理人を立てたりサボる分けだ」
「!……申し訳ございませぬ。ワシの魔力を感じ取った様ですじゃ」
「カーウェンは悪くないだろうに。ちょうど良いじゃないか、話が出来るからな」
「ですが…今のワシらでは敵いませぬぞ。この世界に渡った時に向こうで得た力は削られ100レベルの時に戻ってますじゃ」
そう、カーウェンのじっちゃんが言った様にこの世界に来たときにレベルや能力が100レベルの時に戻っているのである。
「私の方に長生き組やこの世界の王族や四大貴族にも教えていない秘技があるから安心しなさい」
「ワシらでも知らぬことですと?」
そう言ったサンゴはニコニコと微笑んでいた。
ちょうど良い距離に会議していた筈の祖父母や魔王や獣王たち数多の権力者が集まってきた。




