ご近所さんにご挨拶とショタジ…
【クレイバール島の東地区】
「ソノミお婆ちゃんとソグルさんこれから宜しくお願いしま…あっマフェットも居たのね」
「ルヴェル…ボクに対して酷くないかい?」
ルヴェルはうつむき聞き流す振りをした。
「劇薬作るからな」
「ビワトもなかなか言ってくるねぇ」
「ふふ…主人も悪気があってやってな……」
「妻よ、なんで君まで黙るんだ」
「ふふふっ」
「ふぉふぉ!劇薬作りをやらなければマシなんだけどねぇ」
「ソノミお婆まで言ってくれるねぇ」
「でも回復薬とか万能薬とか作るの上手いのにどうして劇薬を作るんだといつも思ていたよ」
「いずれボクは自身の手でエリクサーを作りたいと思っているんだ。そこに行くまでの工程が結構厄介でね…失敗する事が多いんだ」
「その失敗作が劇薬って事だな」
「ポーションに関してはどんなポーションでも作れるからその辺は感謝して欲しいものだけど?」
「タオも作れるけどね」
「ソノミお婆たら…」
「まぁ…ポーション作りについては作れる者が多ければ困ることはないからな。その辺は皆が感謝てるぜ」
「そろそろ本来なら夜に近づいて来てるね。明日からご近所さんとして宜しく頼むわねぇ」
「こちらこそ主人共々、宜しくお願いしますね」
「えぇ!宜しくね!」
「宜しく頼む」
親子とカップルと夫婦がお互いに挨拶してそれぞれの家に戻っていった。
【ビワトの家】
《リビング》
「なんか…二人っきりなんて久し振りで落ち着かないな」
「ワタシは…懐かしいと思うわ」
「そっか…夏になるとオルシェルアピンク王国に二人で預けられてたもんな。そして今日から同棲が始まるのか」
「ワタシも母様から止められると思っていたけど…「良いですよ」だもんねー」
「家の家事は分担するか」
「料理についてはサンゴが教えてくれるって言ってくれたから頑張るわね」
「母さんは…」
「シアレ様はタズルやシルト街の外の出身の人たちに料理を教えると言っていたから…ワタシが遠慮したの」
「そうか」
「うん」
ルヴェルと母さんの事だから関係が悪化しないと思うけど…父さんとルウカたちに様子を見て貰おうかな。
いや今日からオレたちはアシュクラフトの姓は名乗れないんだよな…家を継がないって宣言しちゃったから気軽に父さんや母さんと話せなくなりそうだな。
「どうしたの?ビワト」
「家名の事を考えていたんだ…家を継がないって宣言したから。それと両親にあんまり頼みごとが出来なくなったな~と」
「そうだったわね…ビスカちゃんはフジトラ様の妹だから継ぐ継がない問題は無かったのよね」
「そっ……だからどうしようかと思って」
「フジトラ様たちの事だからそこまで気にしないと思うけど」
「でも何代目の長子が家を継がないって宣言して泥沼になった事が合ったんだよな」
「それって…」
「全く違う名字を作って絶縁した家系の奴だな」
「心配ないわよ」
「だと良いんだが」
「それよりも、もう休みましょう」
「そうだな。まだ同棲だから部屋は分けるぞ」
「分かってるわ」
オレたちは2階の部屋に向かって行きオレの部屋の隣にルヴェルは入って行った。
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【サンゴの持ち運び式の家】
《ダイニング》
「まさか白理たちが裏でそんな事をしていたとはな」
「実際に見て聞いてないからホントなのか知らんけどね」
「……持ちつ持たれずの関係でやっていたのだがな」
「時空維持系統の組織は白理たちの組織以外にもいくつか組織はあるからねー…まぁ気にする事はないさ。私たちは私たちでいつも通りにやっていくだけさ」
「お前は変なところ冷めてるな」
「なにを言ってるんだか。私たちは今まで外側の…私たちよりも長生きしている【観測者】たちから「やるなよ?」と言われていることはやってないじゃないか」
「そうだが…俺たちに記憶を維持したまま転生してくれと言っていた奴らとも連絡が取れなくなったしな。白理たちはどうして【転生者狩り】をしたんだろうな?」
少し沈黙したが…。
「…何か目的が出来たんじゃないか?私たちは白理たちの深い所に踏み込むような手伝いはしたことはないから分からないけど」
「……それぞれの理のルールで【記憶の持ち越し】が禁止されている所もあればこの次元や別の時空では【一部例外として記憶の持ち越し】が許可されていたりするからな」
「こういった転生がいつまで続くか分からないけどね」
「そうだな……それとまさか前前世の記憶まで返却されるとは。この世界が歪むことはないよな?」
「その心配は無いさ、代償は取られたままだよ。大昔に永遠を誓った伴侶の事を思い出せるかい?」
「……!」
「子供たちと友人たちの事はなんとなく思い出せるけど伴侶に関しては完全に思い出せないだろ?」
「伴侶以外の事はぼんやり思い出せるが…確かに代償は取られたままだな」
「でもこれで強制的に転生先に戻らず居たいだけこの世界に居られるようになったことだし…今は異世界からの客人として過ごさせて貰おうかね」
「スローライフと行くか!(実は人間だけしか存在しない転生先の地球じゃ物足りなかったのだ!)」
「ある程度の用事を済ませたらね」
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【ビワトの家】
《ダイニング》
「今日はオレが料理をつくるよ」
「んー待ち遠しいわ」
「軽食しか作れないけどな」
オレは形が歪なホットケーキとホットミルクを作ってルヴェルと共に食事をした。
「んー…美味しいわね♪」
「そうだな(オレも上手く作れるようにしないと)」
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【日天の宿屋…前】
「さて集まったな」
「それで先生たち、今日向こう側に行くんだよな?」
「向こう側に行くがいざというときの為に強いのに残って貰いたいと思っているんだが」
「それなら私は残らせて貰います。やりたいことがまだ残っているので」
エンロウさんはさらっと言い放ちさっさとエンロウさんの家に戻っていった。
「……そんなに魔王に会うのが嫌か」
「えっ」
「なら私も残らせて貰います」
「シアレもやっぱり嫌か」
「はい、あのデンジャラスなじい様に会うとろくなことがないので拒否します」
「なら俺もパスだな」
「俺たちも用事があるんだった」
ぞろぞろとこの島の住人たちが家に戻って行った。
「……え?」
「……やはり残らないか」
「残ったのはビワトとルヴェルと元村長のカーウェンだけか」
「……魔王たちに会うなら仕方ないのう」
「そんなに厄介なの?魔王」
「厄介じゃないんだよ。面倒くさい奴なんだよ」
「スルースキルが必要なだけじゃ」
「…この5人で行くの?」
「ちょうど良い人数だからこの5人で行くぞ」
一瞬で魔神に支配されつつあるオレたちの自世界に向かうメンバーが選抜された。
「今から向かう世界には俺の運転で行くからな」
「ほぉ!ピーに乗れるのですか!」
「じっちゃん知ってたよ。馬車モドキの名称…」
「そりゃあワシも長生き組のほうじゃからな。地球にも行ったことあるぞ」
元村長はハイエルフの先祖返り出たことで長生きして喋り方は老人そのものなのだが。
見た目は13の人間の少年の姿をしているのでカーウェンじっちゃんの事を昔から知っている人からは【ショタジジイ】と呼ばれショタジジイと言った人物にじっちゃんは魔法を使い牽制している。
「何だか楽しみになってきたのう」
「…昨日の内に魔王たちがどの辺にいるか調べておいたからそこに向かうよ」
「ふふっワタシは生身で乗るの初めてだから楽しみ」
「まぁ…うん、そうだな」
不安しかないがサンゴがアイテムボックスから例のピーを取り出し運転席にルウカが乗り込みサンゴが助手席に乗り後ろの席にはルヴェル、オレ、じっちゃんの順番で乗り込んだ。