一世一代の告白
【サンゴの持ち運び式の家】
《リビング》
「サンゴ、ルヴェルはまだ寝てるよな?」
「私とビワトを島から島へ乗せてくれてるから体力を回復するのを含めて寝て……もしかして」
「あぁ、ルヴェルに告白をしようと思う。必要な材料を集めて【アシュクラフト5代目当主リンドウ】から続く相手に渡す為の花の冠が昨日完成したんだ」
「そうだったのか」
「告白をしようと思うんだ…」
「告白するならこの島から別の島に移動しよう」
「え?」
「最高のシチュエーションが望めるだろう島が周辺の島に合ったんだよ」
「マジか!」
「私がこの家ごとその島に移動するから、そしたらビワトもその場所に行ってごらん。きっとビワトでもその場所に行けば分かると思うから」
「ならその島に行こうぜ!」
「わかった。この家ごと島に飛ぶよ」
するとサンゴはリビングの中心に見たこともない字で何かを書くと窓の景色がグニャリと歪み一瞬で移動したらしい。
「良し出来た。ビワト早速この島をぐるっと一週して来てごらん」
「おう!行ってくる!」
オレは勢いよく宿から出ていき散策に出た。
「ふぃー…これでビワトの告白を覗こうとしている奴らから守れるかな?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【とある孤島】にて…
「あっ!逃げられた!」
「せっかく追い付いたと言うのに…」
「サンゴめ~」
「それにしても失恋から立ち直るの早かったな」
「そうですね。私も時間が掛かると思っていましたが…」
「ルヴェルが婚姻相手に選ばれるとは…思いませんでした」
「ルーキュストからしてみれば嬉しいんじゃないか?」
「そうですね。ですが本当に宜しいのですか?」
「構いはしない。アシュクラフト本家は様々な種族の血が混ざりあっているからそこまで気にならないぜ」
「こうなったら俺ですら見つけ出せんな。報告はサンゴたちが帰って来てからだろう…くぅ~ビワトの告白見たかったぞ~!」
「………(良かったですねルヴェル。貴方が小さい頃に貰ったビワトが作った花の冠をまだ大切に保管していて叶うはずがないと心を隠していたと言うのに…母として嬉しく思います)」
「今夜は俺たちの島に戻って祝杯だな!」
「気が早いくないかしら?」
「その辺は大丈夫だろ、島に帰って来たビワトたちは島の変化に驚だろうな!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【様々な花が咲き誇る島】
《花園の頂上》
「確かにここなら………ルヴェルはオレが心配しないような男に想いを寄せていると言っていたが……だか前の様に後悔したくない。当たって砕けろだな!」
「何が当たって砕けろよ」
「!!」
「ビワトの帰りが遅いから迎えに来たわ」
「そっそうか」
「それにしてもここはシルト山の秘密の花畑見たいにキレイな場所ね」
ルヴェルは長い白から赤のグラデーションのロングヘアーをなびかせてオレの近くまでやって来た。
「そうだな」
「……さっきからどうしたの?何か落ち着きがないけど」
「そっそれはだにゃ!」
「噛んだ…」
「(落ち着けオレ!)……なぁルヴェル」
「なに?」
「小さい頃よく二人で街から抜け出して色んな花畑に遊びに行ったよな」
「えぇ…」
「(告白の言葉を忘れちゃったどうしよう)…」
「急に黙りこんでどうしたの?調子わるいの?」
「……ルヴェル」
「何かしら?」
「オレが作った花の冠を受け取ってくれないか?」
「良いわよ、それくらい……!?…そそっその花の冠は!?」
「そうだ!アシュクラフト本家に代々伝わる製法と花で作った恋人になって欲しいと願う異性に贈る花の冠だ!もし受けとるのが嫌ならそう言ってくれ!!」
今のオレの顔はきっと真っ赤になっていることだろう。失恋して半年しか経って居ないが…オレは……目を瞑って居たがオレは目を開けるとルヴェルも真っ赤な顔をしてこちらを見ていた。
「…………ぅう!」
「どうしたんだ?」
「ワタシは…ワタシは!」
ルヴェルは感情が高ぶり過ぎたのか本来の竜の姿となりオレに覆い被さって来た。
『もう!ビワトの馬鹿!いきなり告白してくるなんて卑怯よ!まだ心の準備が出来てないし!あなたのせいで心臓がバグバクして痛いじゃないの!それでいてワタシの頭の中がパニックを起こしているじゃない!どうしてくれるのよ!?』
「そっそれは…」
『ワタシは…ワタシは!ビワトが昔からひとりの男として大好きだった!生まれてきたあなたを見てワタシの運命の人だって!だから嬉しいの!』
「……あれ?ルヴェル体が光ってないか?」
『ほっホントだ……ビワト、ゴメンね。少し離れるわ』
それだけ言うとルヴェルはオレから少し離れてると強烈な光に包まれ姿が変わり始めるとツメや尻尾の先が赤色から紺色に変わっていた。
『なんだか力が沸いてくるわ!』
「そっそうか」
『ビワト、その花の冠をワタシが受け取って本当に良いの?後悔しない?』
「後悔も何も…オレからルヴェルにさっきから告白しているんだが?」
『!』
するとポンッとルヴェルは人間の姿になると髪の色まで変わっていた元の白から赤だったがプラチナブロンドの紺色グラデーションであった。
そしてオレが作った花の冠を受け取ると自分の頭に乗せた。
「どうかしら?似合ってる?」
「あぁ…とても綺麗だ……寄り道して悪かった」
「そんな事はどうでも良いの。ワタシを選んでくれたから…ねぇビワト」
「……ルヴェル」
オレはルヴェルと正式に恋人となりそして軽い口付けをした。
そして少し照れながらも手を繋ぎサンゴが居る宿屋に戻って行った。
【日天の宿屋】
《リビング》
「その様子だと…上手く行ったんだね」
「あぁ…この後なんだけど皆が居る島にそろそろ帰ろうと思うんだ」
「そうかい…わかった。でも今日はこのまま食事を取って休んで皆がいる島に戻ろう」
「そうだな」
「ルヴェルも潜在進化して【結晶ドラゴン】から【宝石竜】に進化したみたいだね」
「やっぱりそうなのね」
「おめでとう」
「「ありがとう」」
幸せオーラに包まれ沢山のご馳走とサンゴからお祝いの言葉とオレたちふたりにプレゼントを用意していたみたいだ。
「これは私からの祝福の品だよ」
オレとルヴェルは白銀の鉱石と見たことがない宝石を貰った。
結婚するときにシルトの街では恋人の為に男が不器用ながらでも結婚指輪を作る風習があり、そのための材料をサンゴはくれたようだった。
「こう言うのは普通は…」
「恥ずかしいわね」
「将来きっと役に立つよ。他の奴らが居ない内に渡したくてね」
「ありがとう…貰うよ」
「ワタシのも閉まってくれる?」
「わかった」
「さて、ご飯が冷める前にいただこうか」
こうして楽しく食事をして過ごしリラックスしていたらオレたちはいつの間にか眠っていた。
「お互い緊張してた糸が切れたのか…今日はこのままリビングで寝てしまおうか……お休みなさい」