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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【2度目の人生編~世界散策の章~】
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少年は幼なじみの捨て身を受ける

誤字報告ありがとございます!


【サンゴの持ち運び式の家】


《リビング》



サンゴはルウカたちが居ないとこうも静かなのかと黄昏ながら本を読んでいるとコンコンとドアを叩く音がした。



「…この島にも生物は居ないから…ビワトかね」



サンゴはドアを開ける前にエクストラスキルである【心眼(極)】を使いドアの前に居る人物を確認してドアを開けた。



「……………部屋空いてる?」

「空いてるよ。……風呂に入って軽い食事をしてから部屋の鍵を渡すよ」

「……わかった」

「風呂の場所はわかるよね」

「うん」



オレはそれだけ言うと風呂場に向かい脱衣場で服を脱いで久し振りに暖かいお湯に浸かった。



「ふぅ………サンゴは普段通りに接してくれたな……そろそろ気持ちの整理を着けないと……」



のんびりと風呂を堪能していると脱衣場から何やらゴソゴソとしている。

サンゴの事だからきっと料理の準備に入ってるよな…もしかしてルヴェルか?ルヴェルなのか?


程なくして男子風呂場のドアがガラガラと空きタオルで女性の部分を隠し少し恥ずかしそうにしているルヴェルが入ってきた。



「ふぉお!?」

「流石サンゴね。ビワトが自らの意思で戻ってきて来てくれたわ」

「ルヴェル!ここは男湯だ!女子風呂に戻れ!」

「そんな事知った事はではないわ」



そう言ったルヴェルは風呂場を走り風呂の中に居るオレの元に飛び付いてきた。



「うぉおお!」



オレはバランスを崩したがそんなのお構いなしに抱きついてきた。



「ちょっ!ルヴェル!この体勢はヤバい!それに当たってる!」

「今さっきも言ったけどそんな事知った事ではないわ」

「ルヴェル頼むから離れてくれ…!」

「嫌よ。ビワトがこの家から一人で出ていかないって言わないと離れないわ」


…オレの心臓がバクバクとなって痛い。ルヴェルの心臓の音も抱き締められているから聞こえる。


「……少し頭も冷えたしルヴェルとサンゴの手料理を食べたら虚しくなって…啜り泣いたよ」



ルヴェルは何も言わずにオレを抱き締めている。



「…皆と離れて1ヶ月過ごして…寂しくもなったけどやっぱり胸がキュッて苦しいんだ…でもオレを迎えに来てくれたんだろ?…二人には感謝してるし…もう一人で行動はしない」

「………ホントに?」

「あぁ、本当だよ」



オレの言葉を聞いて胸元を隠しながらオレから離れたルヴェルは頬を赤くしていた。



「ビワト…目元が赤いわ」

「サンゴとルヴェルの手料理でもうダメだったな…ルヴェルが作ったのはおにぎりと卵焼きだろ?」

「どうしてわかったの?」

「サンゴのは確実に美味しいからな」

「…やっぱり…ワタシのは」

「ルヴェルの料理も美味しかったよ」

「えっ」

「おにぎりの具材がオレの好物だったからな」

「!……ビワトは卑怯よ」

「何が卑怯なんだ――」



良い雰囲気になり掛けていたが「良い雰囲気の所で悪いけどご飯出来たからそろそろ上がって来なさい」とサンゴが脱衣場の所から声を掛けてきた。



「「……はい」」

「それと最初はルヴェルから上がって来なさい」



バレてるだと……ルヴェルは風呂に浮かんでいたタオルを回収して風呂場から先に出ていった。

ルヴェルの着替えが終わるとサンゴが「ビワトも服を着替えたらダイニングに来なさい」と言ってルヴェルと共に脱衣場から出ていった行ったようだ。



「……風呂から出るか」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



《ダイニング》



「「…………………」」

「…食べないと冷めるよ?」

「……いただきます」

「…いただきます」



静かに食事は進み完食してリビングにあるこたつで寛ぐ事にした。



「「…………………」」

「……(少し心眼でふたりの心の中をほんの少しだけ覗いて見るか)」



ルヴェルの場合

《きゃーー!やっちゃった!やっちゃったわ!サンゴにさっき言われて今さらだけど!やっちゃった!どうしましょ!ビワトの方を直視出来ない!失恋してまだ1ヶ月しか立ってないのにやっちゃった!きゃーー!》



(わーお、見事にテンパってるね。失恋してから1日でケロッてして失恋して3日目に新しい恋人ゲットしている猛者も入るから気にしなくても…)



ビワトの場合

《やっべー!オレには幼なじみが居たんだよな!》

(まぁ確かにルヴェルは幼なじみだけども…)

《風呂でのアレは!アレは何だったんだ!?》

(思春期の野郎にとってアレは凄い効き目だろうね)

《オレはまだ失恋して1ヶ月しか立ってないのに不純だ!△▲□ゞ#◇▲■※◇△□▲##\(^o^)/》

(最後の方は混乱して訳の分からん事を…)



リビングに居ても無言が続いた。オレはサンゴの方を見ると大昔にあちらの世界で使われていた古代文字の本を眼鏡を掛けて読んでいるのが見えたがサンゴが一言いった。



「気まずかったら早めに寝て明日の自分たちに任せたらどうだい?」



その言葉にビクッとルヴェルと共に反応して立ち上がりサンゴに渡された鍵の部屋にそれぞれ向かった。



「…ぷぷっ……反応が初々しいねぇ……でも風呂場で少しは話せたみたいだね。あの場面に遭遇したのがフジトラだったら確実に手を出してたね(…あの様子なら心配はないかな?…さて私は戸締まりを確認してこの家の存在をこの家の機能を使って隠して置こうかな)」





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