いざ!生態系の調査
【???島】
《??????砂浜》
「……本当にこの海を潜るの?ヤバくない?」
「…島に来たての時に潜らなくて良かったね」
「うん…島に魚の養殖場を何ヵ所か作ろうか。海に解き放つのは止めよう」
「それがいいさね」
「雑談してないでオレを助けてくれぇええ!!」
目の前でシルト街の魚屋さんの店主であるソグルさんが「オレは泳ぐのが大の得意なんだぜ!」と言ったので海に入って貰うと沖の方から巨大な海竜のモンスターが現れソグルさんが襲われ今に至っている。
「…あれくらいなら砂浜まで来るねぇ」
「ソノミ婆さんは冷静だな」
「ちょっ!大事な息子さんが襲われてる!助けないと!」
「ウォオオオ!」と叫びながらこちらに近付いてくるソグル、それを追いかける海竜。
「ギャォオオス!」
「来たぁあ!海竜きぁあ!!」
「ソグル!根性でそのまま真っ直ぐ浜辺に向かいなさい」
ソノミ婆さんはそれだけ言うとゴツいトライゼントを取り出して後ろに下がってそこから走り出し勢いを付けてトライゼントを投げた。
「おりゃぁあ!!」
「相変わらずアスリートみたいだな」
「……お年寄りだよね?」
「シルト街のご老人は生涯現役だからね」
「えっ」
ソノミ婆さんが投げたトライゼントはソグルさんを通り越し巨大な海竜の頭に突き刺さる鱗が飛び散り丸裸となった海竜がぷかーんと浮かび上がりピクリとも動かなくなった。
逃げ遅れたソグルさんも海竜の近くで浮かんでいる。
「ソグルさん逃げ遅れた」
「泳ぐのが大の得意と言っていた癖に逃げ遅れるとは情けないのう」
「………………(こういう事が常に行われていたのか…恐ろしい街だ)」
「海竜が他にもいるかもしれないから生身で潜るのと釣りは暫く禁止にしないとだね」
「どうする?この辺の生態系調べる?」
「海竜の攻撃を防げる船があるから生態系を調べるのは行うよ。注意喚起する看板立ててからね」
サンゴはそれだけ言うと看板を作りの階段とスロープ近くに立てた。
「コレでよし」
「……」
「普通はこんな看板見かけないよ」
「そうじゃな」
看板の内容は「海竜が出没!調査が行われ危険生が無いと判断されない限り釣りと遊泳は禁止!」である。
こちらに向かってソグルさんが海から戻って来た。
「お袋もお前たちも酷いよなーオレを放置しやがって」
「助けは必要無さそうだったからのう」
「広範囲で帯電している海に入れる人はそうそう居ないけど?」
「竿で釣り上げるとかはどうだ?」
「釣竿を伝って電気が来るからお断りだね」
「けっ先生も酷いな」
「だっ大丈夫なのか?」
「そう心配してくれるのはタズルだけだな」
「ソグルはどうする?生態系の調査に付いてくるかい?」
「あー…オレは島に残ってフジトラたちを手伝いに行くよ」
「了解。では残りの人たちで調査しに行こう」
「あれだけの事があっても行くのか…」
「ソノミの攻撃で海竜が狩れたからね。どうにかなるだろうさ。ソグルの他に陸地に残りたい人は残っても良いよ」
サンゴは海辺に向かうと桟橋に停泊させてあるルウカの船に乗り込みエンジンを掛けた。
オレとソノミ婆さんは船に乗り込みタズルは留守番することにしたようだった。
「あれ?あのお嬢ちゃんは残るみたいだねぇ」
「あれだけの事を見れば普通は残るよ」
「安心しなさい!わたしが付いてくわ!」
いつの間にか人型のルヴェルが船に乗り込んでいた。
「おぉう…」
「船が壊れてもわたしが居れば空から帰れるでしょ?」
「それはそうだけど…」
「いい経験になるぞい」
「そうよねっソノミ婆ちゃん♪」
「…まぁルヴェルが楽しそうなら良いか」
出発の準備が整ったのかサンゴがやって来た。
「おや…ルヴェルが付いてくるのか」
「えぇ、宜しくね」
「了解した。ここに居る四人で出発して良いね?」
「大丈夫だと思うぞい」
「なら運転席に付いてきてくれるかい?運転席の場所に乗組員が座る所があるからベルトして貰らうよ」
サンゴに案内されそれぞれ席に座りベルトをするとサンゴは船を動かし生態系の調査に向かった。
【クレバーレ近海の沖】
《珊瑚の楽園》
「そろそろ生態調査の場所につくよ」
「おぉ…!凄く綺麗な水面だな~!」
「ふむ…そこら辺は珊瑚の群生が有るみたいじゃな。潜るのが楽しみじゃ」
「人型で泳ぐのは初めてだから楽しみっ!」
「ソノミは何か道具は必要かい?」
「必要ないぞ。あたしゃー変身出来るからのう」
「オレも水の中で息は出来るから大丈夫」
「了解、それじゃルヴェルは私と同じアイテムを装着するよ」
「サンゴが持ってる綺麗な腕輪はなに?」
「【人魚の腕輪】と言って人魚と同じように水中で息が出来たり泳ぎが上手くなるんだよ」
「へぇ!」
オレは一足先にソノミ婆さんと共に海に入ったするとオレとソノミ婆さんの前に広がるのはとても美しい珊瑚礁だった。
『うわー!ここまで綺麗だと思わなかったよ!』
『確かに珍しいぐらいに美しい珊瑚礁じゃ…人の手が入らないとここまでも美しく育つのか…』
『こう言った景色はなかなか見られないよ』
『ビワト、あたしに付いてきな。少し船の回りを一周しようか』
『うん……ん?』
『どうしたのじゃ…あたしの顔に何か付いておるのか?』
『ソノミ…婆さん?』
『そうじゃな』
オレの目の前にはドレスの様な美しいヒレを持つ麗しい人魚が居た。
『……若返ってない?』
『あぁそうじゃった。ビワトはこの姿を見るのは初めてじゃったな。あたしゃ水に入ると全盛期の姿になるんじゃ』
『マジか!』
『マジじゃ』
『ソノミ婆ちゃんスッゴい綺麗!』
『おや……相変わらず綺麗だね』
『まぁ…水の中限定じゃがな』
『…ソノミの美しさに見とれてないで調査を始めるよ』
『そうだった』
『ソノミとビワトで周辺を調べて貰っても良いかい?私とルヴェルは珊瑚と岩盤の性質を調べよう』
『えー…わたしソノミ婆ちゃんたちと一緒が良かったなー』
『安全が確保されたら3人での探索をさせるよ。だから今日は人の姿での泳ぎの訓練をしながら私の手伝いだよ』
『あー…このままだとわたしだけが3人の足手まといになっちゃうのね…わかったわ。ても今日で人型での泳ぎをマスターしてやるわ!』
『それじゃあたしたちは行くわ』
『『気を付けてね』』
『おう』
そこからは2人1組で行動を取った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
《珊瑚の楽園…周辺》
『特に悪さをするような魚類はいないね』
『うん…それにしてもカラフルな小魚がいっぱいだな』
『確かに豊かな珊瑚礁じゃ…じゃがどこかに主が居ると思うが…』
『時間も時間だし船に戻る?』
『そうじゃな。真っ暗になったら危ないし戻るかのう』
船までかなりの距離を泳いだが何事もなく無事に船にたどり着いた。
【ウォーレン・ヴィーナ号】
《船内》
「どうだった?」
「特に異変はなかったぞ」
「小さいカラフルな魚がいっぱい居たぐらい」
「そうなのね」
「先生たちの成果はどうなのじゃ?」
「結果は明日には出るよ」
「明日は結果が出るのか。凄いな検査機器」
「私とルウカが過ごしていた地球は科学がとても進んでいたからね」
「それでどうするの?」
「どうするとは?」
「陸地に戻る?」
「島に戻るのは7日後になるだろう」
「7日も船内生活するのか…ドアの召喚出来ないの?」
「私の家がアイテムボックスにしまってあれば呼び出せるけどしまってないから無理だね」
「そっか」
サンゴは見張りをすると言って運転席に戻ると言って戻って行った。
ルウカが作ったこの【ライサン・ヴィーナ号】には仮眠室が2ヶ所ありぐっすり休めた。
そして夜更けに目が覚め船内をうろうろ歩いているとサンゴとルヴェルが何か話し込んでいた。
「………ビワトに………出来たけど………なるわ」
「……ビワトなら…………するさ」
「でも!」
「大丈夫………………笑って…………様になるよ」
「絶対………もるわ」
「そう……知れ…………ビワトは………だよ…………が心配し………るんだから」
「本当に………かな」
ルヴェルとサンゴは何を話してるんだ?…あんまりよく聞こえないな…。
「でも………も惜しい事をするねビワトならきっと………にしてくれるのにそれも………が………時に強行に至るとは」
「でもそれが………と…………が選んだ事なのよね?」
「ルウカに………確認を取ったけどそうらしいから」
「1週間後が怖いわ…」
「……は病って言うから…………目が覚める………来るさ」
「………ビワトが…………可能性があるから………を作って………に連絡入れておいて」
「あいよ…ルヴェルも寝な……」
「サンゴもでしょ。体が……のまま……から」
そろそろ眠くなってきたな戻るか……オレは仮眠室に戻って行った。