天の島の終わりと世界の創造
「…そんなことが可能なのですか?」
「決めるのはフジトラと村長のカーウェンだな」
「……もし…もしも可能ならばやって欲しいが、それ程の力を発動すると…因果率が」
「…ワシはもし可能ならばやって欲しいですな」
「カーウェン…」
「我々だって本音を言えば死にたくないしな」
父さんは難しい顔をしていたが意を決めたようにルウカとサンゴに言った。
「…先生たちに任せる」
「心得たぞ!サンゴ!呪文覚えてるよな?」
「その前に寝坊助を起こさないと」
サンゴは自身が背よっているリュックから釜見たいのを取り出した。
「カマドウマ起きなさい」
『誰がカマドウマや!ワイはカマドウマやないで!あんなキモい虫と一緒にするなや!』
「釜が喋ったー!?」
『そこなガキめ!ワイはその辺の釜とは一味違うんやで!ワイは【錬金釜】や!』
「まぁ…錬金釜なんて初めて見ました」
「ずいぶん前に失われた技術が…目の前に」
『さy』
「今の私はサンゴだよ」
『…誰だけの年月が流れたん……てか、なんやアレ!禍々しいのが上空にあるやないかいー!!なんでこういう時にいつも起こすんや!止めてーや』
「時間がないから悪いけど杖ちょうだい」
『いきなりやな。何の杖や』
「創造樹の杖と終わりの杖」
「ん?…【創造樹の杖】って言いました?」
『またドエラい物を取り出すなーホレ受け取れや。終わりの杖は本当に必要なんか?』
「もう良いかなって」
『まぁ…サンゴが決めたんなら文句はないわ』
「さて始めるか」
「魔方陣は?」
「必要ない」
サンゴは両手に持った杖にそれぞれ魔力を注ぎ始めた。すると上空にも変化が現れ始めた。
「サンゴ!そろそろ来るぞ!」
「わかってる………【世界が新再した時から空に浮かぶ天の島の時を終わりにする時が来た、天の島を大地に還すときが来た【アースグランドゼロ】」
すると上空に有る禍々しい黒いゲートから魔神の上半身と見られるものが出ていた所に空から天の島が落ちて来た。そしてドゴーーーンと閃光と黒い靄がぶつかった。
「ルウカ!宿を渡しておいた物と呪文で回収!」
「おう!【古の時代に始まりの神により創造された物よ!我の元へ還れ】」
ルウカが呪文を唱えると空から降ってきたクソデカい家に居たトレニアと目が合った瞬間にルウカが持っていた袋に宿屋が吸い込まれていった。
「えっ」
「回収した宿は作った世界…もしくは反転世界に着いたら取り出して宿の中に居る人たちを解放するから」
「反転世界?」
「世界創造が出来なかったら皆で飛ぶ先さ」
「えっ」とその場に居た人たちで言った。
「そう言えば反転世界…ミラーワールドが合ったな」
「そっちもかい!」
「サニカ様!闇が光を!」
上空を見上げると魔神らしき存在が苦しそうだが光を飲み込もうとしていた。
「では今のうちに世界の創造に移るよ【理よりも古く全ての始まりとされる樹から作られし杖を媒体に新たな世界の創造と世界の概念を越えての世界の始まりを創造せよ】…ルウカ!」
「わかっている!世界を創造するのに必要な我々が放てる風、水、火、土の魔法を!【エレメント・カタフトロフ】」
すると瞬間に閃光がサンゴとルウカの体から発せられオレは意識を失った。
【????】
《???》
『…その姿でこの場所に来たのは初めて見たいだな』
「おや?……この場所は【????】ではないね」
『この世界の理と真理の所は資格がないと行けないから…ね?君はそれがわかってながら【ここ】に来たね?』
「うん」
『全く…君と言う人は…』
「今回はどうしようもなくってね」
『まぁ…君も彼も人間だからね。君たちが転生した先の兵器を持ち出されるよりか幾分かマシか……それで今回はどんな無茶をしようとしてるんだい?』
「魔神の力が及ばない様に世界を創造したくてね」
『それ相当の代償を支払うとしてもかい?』
「その前に【世界の素】を使って欲しいんだけど」
『!……確かに【世界の素】があれば君たちが支払う代償は少なくなるね。それにしても良く見つけ出せたね。かれこれ数十万年前の代物を』
「見付けたのは偶然なんだよ。石集めが好きな子が居てね。その子が拾ってきたんだ」
『この【世界の素】の中はどうなってた?』
「数十万年の時間が経っていたからまっさらな状態だったよ。ゾンビや生物が一切居なかったね。水と植物の楽園になってたよ」
『そうか………世界を作る為の代償にさせて貰おう』
「残りの代償は私とルウカの前世の時に所持していた【杖】2本と【黒刀】4本と私がずっと昔から所持していた【創造樹の杖】」
『あと少し』
「後は私とルウカの前前世の記憶が詰めてある【命のクリスタル】で足りる?」
『!……本当に良いのか?その記憶は特に君たちが大切にしてたんじゃないか?』
「確かにとても大切な記憶だけど背に腹は変えられないからね」
『ボクとしては前世の記憶を差し出してくるかなと思って居たんだけど、これだと充分過ぎる代償はだね。
君たちふたりの前前世の記憶は偉業を成し遂げ過ぎてるから、それだとこちらが代償を貰い過ぎるから君には【黒刀】の1本と彼の【杖】を1本返すよ。本当に【前前世の記憶】をこちらに渡して良いのかい?後悔しない?』
「構わないさ。決めたことだからね」
『そうか…………ここに契約は成された!新たな世界がこれにて作成されるだろう!』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【?????】
《????の浜辺》
光に包まれた俺たちが目を開けると砂浜の上に立っていた。
「ここは何処だ?」
「この感じ…我々が居た世界の魔力を感じない?何か違う魔力を感じるぞ。これなら直ぐに使えそうだな」
「と言うことは…本当に世界の創造を成し遂げたのか!」
「………それが本当ならどれだけの物を支払えば済むのですか!」
「大丈夫だよ。私とルウカはここに居る」
声がした方を振り向くとふたりが居た。
「世界を創造した神様が居るぞ」
「我々は神様じゃない」
「でも世界を創造しちゃったよね?」
「それとコレとは違うぞ。その辺の話は面倒だからパスさせて貰うぞ」
「本当ですか?」
「うん」
二人の体には特に異変もないし…まぁ大丈夫か?
「代償の事は気にするな。体の一部を差し出した訳でもないし魔力も失ってないからな」
「全くどれだけの偉業を成せばふたりは無茶をしなくなるのです」
「今回のは偉業ではないよ」
「え…?」
「世界を作る為の【世界の素】があったから出来た事だからね」
「この世界にまだそんな物があるのですか…」
「そう言えば…トレニアたちも居るんだっけ?」
「早く宿屋から出してやらないとな」
俺たちは浜辺から移動して島の中心に向かって行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【??????】
《????》
『はぁ~……ボクも随分と優しく成ったな~世界の創造は成功したみたいだし。ふたりから貰った【命のクリスタル】にあるとてつもない程の量の記憶からボクが必要としている情報を取り出さないとねー…疲れる作業になるなー…でも仕方がないか。ふたりの前前世の記憶を辿ればボクが行きたい【あの場所】に行けるかも知れないからね…かれこれ数千万年待ったんだ…ボクなら出来る』