オレは帰って来た!
光に包まれたオレたちは飛ばされた先に着くと光が収まった。
「ここは…」
「おやまぁ!ビワトちゃんじゃないかい!」
「ソノミ婆ちゃん!どうしてここに!」
「それはこっちの台詞じゃ!」
「母ちゃん、どうし……!ビワトか!後ろの3人は誰だ?」
オレは後ろに振り向くと水槽に閉じ込められガラスを叩いている3人が居た。
「3人はオレの協力者だよ!」
「信用出来るのか?」
「大丈夫だ!」
「よし!母さん!」
「あいよ!」
ソノミ婆さんたちに助けられた3人は息を整えていた。
「水槽に閉じ込められるとは…」
「水中は怖いわー」
「死ぬかと思った…」
「どうやって転移したんだ?」
「それは…」
ドタドタと騒がしい足音をならしながら懐かしい魔力を感じた。
「ソグル!ここに私たちの愛息の魔力を感じたのだが!って居た!」
「やっぱり戻って来てたわ!それにチハヤちゃんも居るわよ!」
「ホントだ!解けたのか!封印が!」
「おじ様とおば様…」
「後ろの二人は?」
「オレたちの保護者」
「「えっ」」
「同い年だよな?」
「話はここを出てからな」
取り敢えずオレたちはソノミ婆さんの鮮魚店から出て大広間に向かい会場に着くと宴会真っ盛りであった。
「相変わらず。宴会好きだねー」
「昔からの光景だな~…酒盛りに行きたいが無理だろうな」
「ビワト、この二人は何者だ?」
「あぁ。この五年間なにがあったか話すよ」
オレは五年間の出来事とふたりについて話した。
「サニカ婆さんとルトラお爺さんの転生体か!こんなにも早く会えるとは!」
「時間の流れは世界で様々だからね」
「白理様たちに呼ばれたとなれば…やはりふたりに出来る範囲で解決策があるのでしょうか?」
「シアレもそう思うかい」
「シルト街は今どのような事になっている」
「…シルトの街に居た学園の生徒や先生たちは魔神の力を持った使徒が現れる前に【アシュクラフトの妖精の秘術】を使い外に逃がそうとしていたら良い具合に現れた学園に続く時空の裂け目が現れたのでそこに逃がしました」
「それはそれは…素晴らしい偶然だね」
「はい」
「…エクルたちは逃げれたのか」
「えぇ…最後まで残ろうとしていたのだけど…私たちで説得して向かわせたわ。そんなエクル君から伝言を言付かったわ」
「どんな?」
「言うわね。……ゴホン……お前の事だからどんな事をしてでも絶対に街に戻ってくるだろうと思う。お前とは約5か月しか過ごせなかったがお前の事は友人だと5年経っても思っている…お前と面と面を会わせず話せなかった事が少し後悔するだろう。…どうかお前とまた会える事を願って居る………だそうよ」
「…エクルとはなんか波長が合ったんだ……うん、そうか」
少し間を開けて父さんが話してきた。
「ロザイアとマオトの件は…我々は履き違えていたみたいだな」
「考えとしては五分五分だったな」
「……それにこのまま行けば魔国も獣王国もその他の国も落ちるわね」
「だかその国々の跡取りたちは運が良いことに全員がビワトの世代に生まれ学園に居るからな」
「えっ」
「えって…まさか知らないの?」
「軽い挨拶しかしてなかったから…」
「エクル君は魔王国、シェルファちゃんは神聖国、スノエルちゃんが獣王国、ルーミちゃんも人魚王国で中央国がノエルちゃん」
「王族と貴族の子供はA組なんじゃないのか?」
「A組に集められるのは問題を抱えている王族と貴族よ。B組はマトモな王族と貴族の子供やモーリン学園長が直接スカウトした才能がある子供たちね」
「へぇ…凄い奴らの集まりだったんだな」
そこへシルトの街の周辺を監視していた町長が恐ろしい形相でやって来た。
「フジトラ!シアレ!この山の上空に真っ黒いブラックホールが出来たぞ!」
「チッ…やはり悠長に話している時間はないか」
「ビワトたちを外に出さないとね」
「どういう事だよ、母さん」
「先生たちも含めてここで死なす訳には行かないからな。戻ってきてそうそうに悪いがお前たちはこの街から出ていって貰う」
「街の人たちは!」
「それなら心配なないぞ、ビワト」
「村長?」
「我々はこの街で最後の時まで過ごす。フジトラたちだけで行かせない」
「街の子供たちはどうするつもりだ!」
「子供たちは平気だよ。学園の連中に預けたからな」
「年上組が残ってるじゃないか!」
「悪いですが御二人も外に出しますが宜しいですね?」
二人の方を向くと考え込んでいるようだった。そして二人は口を開いた。
「もしかしたら【アレ】が使えるかも知れない」
「良いのか?」
「もう充分だろう…それにきっと【彼】も許してくれるんじゃないかと思うよ」
「先生?何を言っているのですか?」
「私たちから1つ提案させてくれないかい?」
「提案とは?」
「私とルウカで【世界】を作って見ようと思う」
父さんたちもサンゴたちの提案を聞いて呆気にとられていた。
「せっ世界創造など出来るわけがありません!」
「それを唯一実現したのは太古の昔にこの世界に異世界から落ちてきたとされる【至りし大魔法使い】だけだぞ!」
「それに世界を作った時に持っていたとされる杖はおとぎ話にしか出て来ませんよ!」
「さすがの御二人であろうと!」
父さんたちが二人を避難していたが当の本人たちはただ静かに言った。
「もしそれが可能ならばどうする?」
「それがあり得ないだろ!」
「可能性を狭めるな」
「もしそれが可能だとしても世界を創造のための代償はどうするのですか?」
「シアレ!」
「代償なら私たちが払えるだけの物は持っているよ。聖域と学園がこの世界から消えたのが偶然ではなく必然だとしたら…」
「そして俺たちがこの世界に強制転移させられた事実はどうだ?今回の件は白理たちも言いずらそうしてたから【至竜】が関わっているだろうし…それにコレは遥か過去からの因縁も含まれているだろうしな」
「遥か過去?」
「その辺の話は悪いが話せない。許してくれ」
「…失敗のペナルティは?」
「ペナルティは俺たちに来る。お前たちには来ない」
「方法はどうなのですか?」
「魔神がこの世界にこの街の頭上にあるブラックホールを使って入ってくる瞬間に私が保有している空島をこの地に落とす」
「その空島には沢山の人たちが!」
「大丈夫、空島にある【宿屋】に逃げ込んでるから。空島の【宿屋】は破壊されることも壊れる事はないから」
「どうしてそこまでの自信があるのですか?」
「空島の宿屋は本当に特殊だからだ」
「私たちからはそれしか言えない」
二人は真剣にそう言った。
「空島を魔神の頭上に落としても効き目があるのですか?」
「空島は太陽と月の光を数十万年分溜め込んでいるから3匹分の魔神の力を持っていたとしても一溜まりもないだろうさ」
「3匹分?」
「さてどうする?俺たちの案に乗るか?」
「もし魔神が倒せなかったら他の世界はどうなるのですか?」
「その事なら心配はない。いざとなったら私たちの前世の様な化物は世界の枠を越えればそこら辺に居るから。それこそ【井の中の蛙、大海に出る】状態になるよ」
「アレくらいの魔神など外に居る化物たちになぶり殺されるぞ」
「えっそんなのが世界の枠を越えれば居るの?」
「あぁ、居るぞ。そこら辺にな」
「だから一応【至竜】たちは役目として結界を張って自世界の事は自世界の生き物が解決させる方針を取っているけれども。それが不可能でアレば外に居る奴らに討伐をさせるだろう」
「だから御二人も前世の時からいつもケロッとしてるのですか」
「そうだな」
「うん、世界の枠を越えればマジで強いの居るから」