レピスシールドの魔鏡の盾と秘密
暫くしてとぼとぼとタズルが鏡の様な盾を持って歩いてきた。
「…たぶんコレで合ってると思う。コレしかなかった…!」
「うん、合ってると思う。タズルが持っている盾から力を感じるよ」
「本来の力を封じられてるな。屋敷跡の近くに湖があるからそこで綺麗にするか」
「アシュロ湖…」
歩きで行ける距離なので歩いて向かうことにした。
【アシュロ湖】
「何か…禍々しい湖だな…」
「小さい頃に見た湖はとても美しかったけど」
「タズル、禍々しい湖だけどアシュロ湖の水に盾が反応しているね洗ってごらん」
「うん」
タズルが鏡をアシュロ湖に浸けるとアシュロ湖が輝き出し神秘的な湖になった。
「こっこれは…」
『良く寝たぜ~』
「「ん?」」
「鏡が喋ったね」
『随分と良質な魔力を持つ人間が四人も居やがるな…ここまで澄んだ魔力はコレはまた珍しい』
「君は一体…」
『我は【魔鏡の盾】…レピスシールド家のみ伝わる魔を跳ね返す神秘の盾なり』
「人間が作った盾ではないな」
『我はこの世界の外側から来る魔神の力を跳ね返す為に【始まりと終わりを見守る者】により作られた盾なり。…遥か過去に世界から消えた【魔神ラディオルエンド】が力を付け再び戻ろうとしている』
「奴はこの世界には興味を持っていなかった筈だが…」
『【至竜】からの伝達がある、それを今ここで伝えよう』
すると盾の鏡の部分にとても美しく神秘の光に包まれている竜が映りメッセージが流れた。
『このメッセージを聞いている中に観測者が含まれていることを願う。
…この地より生まれ出でた【魔神ラディオルエンド】は外側に向かい理を外れた存在としてこの世界に連なる世界を五つ呑み込んだ。我々は古の制約に依りてそれより先に進ませぬように道を塞ぐことしかしていない。
そしてそう遠くない未来に【この世界】に奴はやって来るだろう。【至竜】が誕生した世界を呑み込みに…そして力を付け更なる先の世界に向かおうとしている。
まだ奴は【至竜】の力を取り込めていない為にお前たちで奴を消滅させることが出来るであろう…だがもし出来なければ……いいや後は頼んだぞ』
こうしてメッセージが終わった。
「えっ守ってくれるんじゃないの?」
「【至竜】はそんな存在じゃない【至竜】とは世界の壁を超越して世界を作ったり見守る存在だ。直接世界に降り立ち守護する慈悲を持つ【至竜】は2体しか居ないぞ」
「1体はとある世界を救うために力を使いすぎて深い眠りに付いてるし…もう1体は【アンクハンザ世界】の人たちに慈悲を与えるために1億年振りに降り立っているはずだよ」
「だとしたらオレたち家族が暮らしている【シルト山】ヤバイことになってないか!?」
どうすんだ!とアワアワしているとオレたちに向けて悪意のある魔法が降って来た。
だが【魔鏡の盾】がオレたちの前に移動し技を跳ね返した。
「ほぉ…跳ね返すとは流石は【終わりと始まりを見守る者】が作りし盾だな…」
「その声は…」
人としてはあり得ない真っ白な肌をした人が立っていた。
「サンゴ【アノヴァルティ】は死んだんだよな?」
「【転生の環の門番】に直接私が魂を回収して渡しに行ったから確実に死んだはず」
「だか奴が目の前に居るのぞ」
「奴の血は根絶やしに出来なかったから…たぶん先祖帰りだと思うけど…」
「私は魔神ラディオルエンド様の慈悲を受け蘇ったのです!」
「人間のように喋ってるし…それは間違いなさそうだね。言葉使いが変わってるし」
「それより何しに来たんだ?」
「お前たち生まれ変わりに絶望を与えに来たのですよ!」
「絶望を与える?」
「お前たちが根城にしていた山がありますでしょう?その山を依代としこの世界に魔神ラディオルエンド様が降臨なさるのです!」
「そんな事させない!」
「ビワト!下がれ!」
「自信ありげにしていると言うことは何か秘策があると言うことだ!」
オレは二人の声を無視してアノヴァルティスと言う人物に矛先を向けに向かった。
「ほう、相変わらず威勢のあるガキが居るものだ」
「絶対に止めてやる!」
「見よ!コレが魔神様が私にくださった能力だ!」
黒いマントに包まれていたがマントの中から複数の触手と人間としてはあり得ない腕が6本あった。
「うわっ!気持ち悪るっ!!」
オレはサンゴに教わった【急停止リターン】を使って敵の攻撃範囲に入らないギリギリで踏みとどまりそのままの勢いで後ろに下がった。
「イテテ…やっぱり足に負担がくるな」
「でも使えるだろう?」
「ビワト、良く思い留まった」
「……あのまま行ってたら捕まって人質にされてたな」
「確実にそうだろうね」
「どうするの?あの人を止めないとおじ様たちが…」
「オレたちが殺される前に知りたい事が6つ程聞きたいことがある」
「……多いいですが…良いでしょう。冥土の土産として何でも話して差し上げましょう」
「魔国、獣王国、神聖国、人魚王国、中央園、ギルド総本山は今どうなっている」
「魔神様の力を授かった私のような新人類が向かい交渉なさっております。前世のお前たちに鍛えられた人間やハーフどもは【シルト山】以外はもうこの世に居ない。現代の王たちはどのような選択を選ぶでしょうね?」
「天空の島はどうなっている」
「あなたが死んで異世界で生まれ変わり本来の力を使えず我々の侵入を許しましたよ。そしてそこにいた人間たちはあの宿屋に立て籠ってますよ」
「…やはりあの宿は凄いな」
「本当だよ……直接私に受け継がせて貰って本当に良かったよ」
このふたりは何の話を?
「3つ目は学園に関しての事だ」
「…あぁ。【時空の魔女】が作った奴ですか…その学園とやらは何故か魔神様ですら入れなくなっておりますよ。時空間を自由に動ける魔神様ですらね」
「4つ目はシルトの山にある街はどうなっている」
「そこの住人たちが我々の猛攻を完全に防がれて居るので我々も手を焼いてますよ」
「そうか…良かった」
「おじ様…おば様」
「5つ目はオルシェルアピンク王国についてだ」
「あぁ…オカマの集団ですか………オカマの国はもぬけの殻になっていますよ」
「もぬけの殻?」
「えぇ、ある日突然もぬけの殻になったのですよ。空に浮かぶオカマの国も同じようになってます。最後の質問は何でしょう?」
「最後の質問は…聖域である【幻の大陸ツヤトシト】はどうなっている?」
「【幻の大陸ツヤトシト】はある日突然この世界から大陸ごと消えました」
「「えっ」」
「大陸があった場所にはとてつもない程の量の魔力が貯まり魔神様の住居を作成中です……もう宜しいですね?皆様には死んでいただきましょう」
すると魔鏡の盾が敵とオレたちの間に割って入ってきた。
『我は魔鏡の盾、時空の歪みが起き約束されし時が来た。魔神を屠る者を逃がすために溜め込まれた魔力を解放せん!【ミラクルワールド】!』
魔鏡から魔力が放たれる瞬間に盾が壊れた音を聞きながらオレたちは飛ばされた。
「なっなんだ、この魔力は!」
『我は魔神を……完全に消すために作られし……あ……戻れた…?…【彼】が仕出かしてしまった事の責任を少しは取れたかしら………これでもう私は……いいえ……まだ私はやるべき事があるわ…ルトラお爺ちゃんたちが言ってたわ…魂は何者にも縛れない…例え真名を知られたとしても【自由】の意味を知っている者は強いのだと』
「きっ貴様は何者だ」
『私?…私は魔神を作り世界に存在させるために魂と肉体を捧げた者の妻よ』
「そんな人物は知らぬ!」
『…【終わりと始まりを見守る者】に無茶を言って留まって更にワガママを言って夫の罪を償うために肉体として存在させて貰ったけど…』
「戯言を!」
魂が人の形に姿を変えた。そしてアノヴァルティスの攻撃をさっと避けた。
「魂であろうと掴める左腕を避けただと!」
『悪いわね、私はルトラお爺ちゃんたちの修行を受けた者だから強いわよ?』
「なんだと!昔の時代のシルト街を知っているものか!」
『街じゃないわ、シルト村よ。さて、ルトラお爺ちゃんたちを逃がしたし。私は【彼】に近付く為にもう少し魂の修行しなきゃね』
「まて!逃がさんぞ!」
『お母さんたちには悪いけど。例え地上に残り過ぎてこの魂が消えようと私は【彼】を救わない限り行けないわ』
それだけ言ってピンクブロンドの髪の女性は消えていった。
「こうなる事が見えていただと?…どういう事だ…魔神様の敵は【見守る者の使徒(シルトの連中)】以外にも居ると言うのか?【プレリローグの時の巫女】は閉じ込めた…まだ我々ですら把握していない何かが有るのか…帰って魔神様にお伝えしなければ…!」