レピスシールド跡地と二人の転生した先の話
【旧レピスシールド領…現在ヨファレーン領】
《レピスシールド本宅…跡地》
「…随分と寂れていたな」
「それにしても山賊や盗賊が蔓延っていると思っていたけど、居なかったね」
「そりゃそうだろう。旧レピスシールド領土にある街とレピスシールドの当主たちが暮らす家はかなりの距離があるからな」
「この跡地に誰かが来て漁る事は無いんだな」
「マオトたちの前の世代…いや初代当主から質素な生活をしてるのは有名だったからな。ゴテゴテの装飾品とか嫌がって置きたがらないから」
「それじゃ僕は父さんたちが隠しているであろう秘術を探しに行ってくる」
「おう、本宅の周辺は俺たちが見張ってるから安心して行ってこい」
「私は本宅の周辺に何かないか探ってくるね」
「オレはルウカの手伝いだな」
タズルは上っ面がなくなっている本宅に入っていった。
「ルウカたちは手伝いに行かないんだな」
「まぁ…どんな秘術なのか気になるが…そこまでして見たいとは思わんぞ」
「オレの家に伝わってるのは刀術と水系統の魔術だけだ…何か秘術とかない」
「ティルクスが強すぎたからな。他の当主たちも周りの人間より少し強いのと稀に先祖返りで【妖精の血】が出るくらいか」
「凄い言われようだ」
「実際にそうだからな。フジトラも歴代の当主の中でも武力ではティルクスに近いかもな」
「へぇ…父さんマジで強かったのか」
ルウカと話し込んでいるとサンゴが戻ってきた。
「周辺の様子はどうだった?」
「気持ちが悪いくらい当時のままだね。普通は荒らされたり劣化したりする筈なのにね」
「もしかしてレピスシールドの秘術とか?」
「その辺はわからん」
「私たちは貴族の子息たちを預かって鍛えたり。観測するのに徹して居ていて新興の家に関してはそこまで突っ込まなかったからね。そう言う所に気が回らなくなったのを含めて次世代に渡すことにしたんだよ」
「俺もサンゴもまたこの世界に転生するかな?と思って居たが、実際は地球系列でその中でも高度の科学力が進んだ世界の転生だったな」
オレはへぇと相づちを打った。
「前世の記憶を持っての転生は大変だったよ。魔法が使えなかったからね」
「魔法に依存した生活が長かったからな」
「そうだね。でも【アイテムボックス】と【宿屋召喚】が使えたのは嬉しかったよ」
「使えたのか……もしかして異端者だ!って命を狙われたりした?」
「おっ冴えてるな。狙われ出したのは15を過ぎてからだな」
「狙われたんかい!」
「自国に居たときは一切使わなかったけど…国が滅ぼされて子供だけで生き残らなければ行けなかったからね」
「えっ滅ぼされた?」
「俺たちの国は八つの国のちょうど中心に合ってな」
「ん?」
「こういう事だよ」
1番目の国――――2番目の国――――3番目の国
4番目の国―――――【自国】――――5番目の国
6番目の国――――7番目の国――――8番目の国
「と言う感じで囲まれいたんだよ」
「うわー…随分と不憫な所に自国があったね」
「国の成り立ちから特殊な国だったからな」
「どんな?」
「まだ国が出来る前に2つの部族が争っている頃にトンでも兵器を作った俺たちの祖先が争っていた部族に壊滅的なダメージを与えて1度は全ての土地を奪ったんだ。
1度負けた部族は外から助っ人を呼んで争いが更に泥沼化していく内に遂にある時に連合側から休戦をしないかと提案が届いたんだ。俺たちの祖先も争いに疲れていたのかそれを了承したんだ」
「助っ人を呼んだ部族は私たちの祖先から奪い返した広い土地を争いに参加した外の国が土地の権利を寄越せと巻き込んだ部族に責任を追求してね。そこからさっき地面に書いた感じに土地が8当分されたんだ」
「えっ」
「実は助っ人をした国内では様々な部族が土地の奪い合いをしていてな。オレたちの祖先と助っ人を呼んだ部族の広大の土地に元々目を付けて虎視眈々と狙っていたんだ。
完全に勝者が決まっていたわけではないからなあんな風な感じになったんだ」
漁夫の利を狙ってたのか…。
「そう、ビワトが思った通りに漁夫の利を狙っていたんだよ」
「休戦はどれくらい持ったんだ?」
「確か500年は持ったんじゃないか、小競り合いとかは度々起きてたが…オレたちの祖先が作った兵器はそれだけ強かったからな」
「強かった?」
「平和ボケしてたオレたちの暮らしていた国の民たちは8つの国が秘密裏に協力して作った兵器の可能性を考えてなかったんだ」
「高度の科学が進んでいた世界線だったことで私たちの祖先が作った兵器よりもヤバい【ピーーーーー】を作り出し私たちの国の中心に使用したんだ」
「…この世界で起きた奴よりも酷いのか?」
「こっちの世界では人間同士がガチでやり合わなければ酷い状況にならないからな。確かに前世の記憶を持っての転生はキツかったが、前世の記憶を持っていたからこそ助かったな」
「一瞬で壊滅したからね」
「………そう言うものなのか」
「自国が滅んで瀕死の状態から私たちが安全を確保して意識が飛びそうになっていた辺りに転生先の神様からの啓示が来たね」
瀕死の状態の二人にそこで言うんかい!怪我とか治った辺りで良いじゃん!せっかちだな!
「話して良い内容の辺りで」
「実は俺たちが転生した世界は何度も滅びに向かって突き進み何度もループさせていて先の未来に進めなくなり困っていて、そんな状況を打破するために俺たちを記憶を持たせたまま世界に転生させたと言っていたぞ」
「………ここの世界に戻って来ていると言うことは…多少は問題が解決されたんだ」
「かなり大変だったが落ち着いたよな?」
「…多分」
「そこは落ち着いたよって言わないんだ」
「うん」
「まだ完全には安定してないと思うぞ」
「その状態で召喚されたんかい!」
「危機的状況を乗り越えられたんだと思うようにしてるぞ」
「そもそも転生先の神様が何か言う前に白理たちにこの世界に召喚されたし」
「えっ」
「この世界でやって欲しい事は聞かされてないから、どんな目的でこの世界に呼ばれたのかはわからないがきっと俺たちが関わった範囲で何かが起きるのかもしれないな」
不安になる事をさらっと良い放ったルウカを見ながらタズルが戻って来るまで過ごした。