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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【2度目の人生編~世界散策の章~】
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親子の語らい

「奇跡を起こせなくなる?」

「あぁ、奇跡はこの世界では時空間が安定してないと起こせてしまうんだよ。良く俺たちも奇跡を起こしてたな」

「モーリンなんて良い例だね。ギャンブルで大負けする時に限って使ってるし…まぁ何となくのタイミングで起こすんだよ。たまに失敗してモーリンが「ウォオ!!」って叫んでるね」

『カジノで見かけますし』

「えっ」

『おっさんたちに混じってじゃらじゃらじゃらじゃら麻雀やってるしな』

「ギャンブル依存…学園のトップがか」

「ラブの奴が矯正しようとしたが出来なかったし匙を投げて諦めたからな」

「その辺の話は後々出来る…タズル、ロザイアとマオトと良く話すと良い…お前たちはこの泉から直ぐに転生の環に行くのだろうからな」

『良いのですか?』

「まだ時間はあるのでしょう?」

『はい』

「それにこれ以上の事は推測と正しい情報を手に入れ行動するよ。お前たちの来世に悪影響が出ないここで止めておけ」

「ビワトこっちに来てくれる?私たちはこの森から出る準備しよう」

「…うん」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「………………………」

『『………………』』

「………………………」



何を話せば良いかわからない…どうしよう……。



『……はぁ、このままだと話が進みませんので切り込ませていただきます。チハヤ……いいえ、今はタズルの名を名乗っているのですね』

「はい…お兄様の生きた証を残したかったので」

『タズルはもうわたくしたちより先に転生の環に向かいました………わたくしたちの娘は愛らしく育ちましたね』

「お母様…」

『子供たちはわたくしよりマオトの方のレピスシールドの方の血が色濃く出てますね。性格は傲慢で高飛車なフレイスヴィレッジではなくのほほんとしてて時々変なドジかましますし』

「えっそんな風に見てたのですか」

『えっ俺をそんな風に見てたの?』

『ふふふふ…能天気…いいえ、おっとりさんですかね?わたくしはその性格や習性を持つあなたたちを見て癒されてましたわ。わたくしの実家は殺伐として休まることは無かったですから』

「……確かに…伯父上は厳しいだけでした」

『ちっ……もっと話したいのにそろそろ行かないとですね。母から貴女に伝えることはただ一つです。フレイスヴィレッジに戻る事なくチハヤ…いいえ、タズル…人様に迷惑を掛けない様に自由に生きなさい』



ん?お母様、今舌打ちした?



『もうか…俺からはレピスシールド家を復興させなくて良いの一言だな。俺たちが居なかった事で幼少を苦労を掛けさせたから余計にな……これからの人生に沢山の幸が訪れます様に』

「お母様、お父様…」

『そうそう、1度だけレピスシールド家の跡ー』


マオトは何かを言う前に光の粒となって消えた。


「えっ、おっお父様?」

『ぷっ……全くマオトらしいですわね。1度だけ行ってあげてくれますか。多分だけど家宝が有るみたいですから』

「はい」

『それと…若くして転生の環に来たら許しませんよ?』


それだけ言ってロザイアも光の粒となって消えていった。


「お母様…」


タズルは泉の前で静かに涙を流した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【幻魔境の森】


《裏の出口》


「こっちが出口だっけ?」

「違うよ、ここは一部の人しか知らない出口の方だよ」

「本来の出口の方から禍々しい魔力を感知してな。森がこちらの出口の方に向かわせてくれたんだ」

「禍々しい魔力?オレは感じなかったな」

「一瞬感じただけだからね…本当は歩きながら移動しようと思ったけどコレだと危ないね。【ぴー】に乗って行こう」


すると普段はサンゴが出しているのに今回はルウカがアイテムボックスから一段と大きい馬車もどきを取り出した。


「なっ何コレ」


気分が沈み暗い表情のタズルが今度は何をと言う表情をしていた。


「これか?コレは【ぴーー】だ!」

「規制が入ってて聞こえないから!」

「コレも…オリハルコン製とアダマンタイト製の奴…」

「この【ぴー】にはギアと賢者の石で永久機関が組み込まれてるぞ」

「実現不可能と言われてるの実現しちゃってる!」

「この世界も少しずつだけどギアを使った物が出始めてるからね。さすがに知ってるか」

「ギアを使われた製品って物凄い高価でそう簡単に手に入らないけど」

「シルトの街は昔から動力機械が在るからね」

「えっ」

「秘伝の技術として外に出さないように規制を掛けて居たから街に暮らしている人たちしか知らなかった筈だ」

「合ったの?そんな昔から技術が」

「だからこそシルトの街から外の世界に出るとギャップが在るんだよね」

「外からお嫁さんや婿殿を連れてくると皆「えっ」って言って驚くけど慣れると「辺境の地なのに暮らすのが便利すぎて実家に帰れねぇー」と言って実家とは手紙のやり取りだけになる」

「その割には馬車もどきとかの発明は無いんだ」

「その辺は規制を掛けてるからだな。科学が進むと魔法の力が失われるから」

「ギアを作るには良いんだけど、それ以上の代物を作ると国から魔法の力が消えるからと世界各地の王に教えてるからね」

「昔のとある国が魔法の力を棄てて科学を特化させた国が合って何代かした後に調子に乗った王様が世界に喧嘩を売ったんだが返り討ちに合って滅んだ」


意気がっちゃったのかー…確かに便利で楽だよ動力があると。


「この世界は科学文明より魔法文明の方が進んでて根本的な部分で魔力に依てたからね。どんな凶悪な兵器を作ろうが世界中で魔力の防壁を張ってその国が作った武器を全部弾いてその国が合った大地以外は傷が付かなかったね」

「全部の兵器をその国に跳ね返したんだ…結末は自分たちが作った武器で滅んだのね」

「そう言うこと」

「だからこの世界のトップたちはギアを生活を安定させる物にしか使用しないだろ?」

「確かに…井戸や下水道の仕組みなんかはそうだね。僕が暮らしていた【フレイスヴィレッジ領】も5年前にギアが入って生活の基準が一気に向上した」

「さて【ぴーー】に乗って行くか。運転はサンゴに任せた」

「手を汚したくないからって…君って人は」

「大丈夫、大丈夫。この世界の奴等は魔法で体に防壁張って死なないだろ」

「次の目的地はレピスシールド家跡地だね」

「まだこの大陸に残るんじゃないのか?」

「レピスシールド家跡地はこの大陸にある。もしタズルが嫌がるようなら無理に行かないが」

「僕の事は気にしないで行こう」



次の目的地が決定してオレたちも座高が高い馬車もどきに乗るのに苦労したが乗り込みテープみたいなのを使って体を固定した。

馬車もどきは動きだし取り敢えず森から出ることにした。



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