一瞬で決着が着いた
ラセスたちにお留守番してもらい、オレたち三人で村を取り戻すと決め隠れ里と村の中間にある藪に隠れて様子を見ながら息を潜めていた。
「村が占拠されたわね」
「ハゲ猿以外にも愉快な仲間たちが居るみたいだしね」
「…村の中に入りたくないな」
「村を取り戻しても使いたくないわ」
「ハゲ猿が聖職者の女と魔法使いの女と村長の家で盛ってるもんね」
「それにしても、山賊に変装しているのにも多少は腕の立つのが居るみたいだな…それにしてもコイツら取っ捕まえ他国に引き渡すか…気分が悪くなる」
「どこの国出身の集団なのこの発情した山賊どもは?」
「カウバルトル王国よ、偽りの身分証を出してもわたしには効かないわよ…それにわたしをジロジロ見てきた気持ち悪い騎士も混じってるわね」
「気に入った娘が居る村を勇者に向かわせて失礼を働いたと言って襲撃して男たちを殺して女性と少女を慰み者にするなんてな」
「この村に連れ込んで卑猥な事をさせるなんて…ぶち殺す」
オレもミストルに同感だ。
「さて、早めにケリを着けちゃいましょう」
「どうやってケリを着ける気ですか」
「…昔ちょっとヤンチャをやっててね、その時に使えるようになった魔法があるのよ…その魔法をぶちこむと大半がボロクソになるからそこを攻めてくれるかしら?」
フェルチェさんのこの黒い笑顔見たことあるな…その笑いかた。
「ごめんなさいね、巻き込んでしまって」
「構いませんよ、ぶち殺したいんで」
「始めましょう」
「「了解です」」
フェルチェさんが呪文を唱え始めると村と周辺の上空にとても濃密な魔力が集まりだし放たれた。
「愚か者ども!裁きを受けよ!【ライトニング・ジャッチメント】」
数多の雷と光の剣が降り注ぎ男たちの悲鳴が聞こえ、オレとミストルで村に攻めこんだらフェルチェさんの言うとおりに大半がボロクソになっていたが、それでも立っているのもいた。
「オラ!覚悟はいいか!ド三流山賊ども!」
「何が起きた!貴様らは「変態集団が去ね!」
オレとミストルで飛び蹴りをぶちこんで山賊に変装した騎士を三人まとめて気絶させた。
「オレは村長宅に居るハゲ猿を狩る!」
「残党は僕とフェルチェさんでやるから良いよ、気を付けてね」
オレは邪魔してくる山賊に魔法をぶちこみながら村長宅に向かった。
「何が起きた!」
と勇…ハゲ猿が出てきた。
「この発情期のハゲ猿がぁ!死に去らせ!」
「貴様は今さっき会ったばかりの旅人!」
すると勇者が決めポーズを取って聖剣ブレイブリーカリバーを出したが全裸だったためにカッコ悪かった。
オレも闇の剣を呼び出して、聖剣ブレイブリーカリバーを真っ二つに斬ったら回りにいた山賊が腰を抜かしていた、呆然としていた発情期のハゲさ…勇者ルストの股間に前回の気持ちも織り込んで蹴りを入れてやったら何が潰れる感覚がした。
「ギィャアアアア!?」
「勇者!?」
「旅人ごときが勇者様に何をした!罰を受けろ【セイクリットセイバー】!」と避けんだのは良いが発動しなかった…勇者ルストは泡を吐きながら気絶した。
「どうして!?」
「あたしが替わりに入れてやる!【フレイムランサー】!」と叫んだがこちらも発動しなかった。
「オレがお前達に上級魔法を使えなくしたからだよ」
「何ですって!わたくしは選ばれた聖女なのですよ!?」
「あたしだって大魔法使いなのよ!?あり得るわけない!」
「あなたたちが聖女と大魔法使いですって?笑わせないで頂戴」
「なんですっ…えっどうして!?」
「こんな辺鄙な田舎に居るわけないわ!」
エシレールとシクアが驚き腰を抜かしていた。
「あなたの様な品のないすぐに股を開くようなアバズレが聖女に選らばれる訳があるわけないでしょう?」
後ろを向いたらそこには身分が高そうな服を着たフェルチェさんが立っていた…あの服装見たことあるぞ…えっまさか。
「他のお仲間も全て捕縛しておしました、あなた達は人道に反した事をし、欲望のままにやりずきました、追って聖女と名乗っていた貴女にはマクスウェル教皇より沙汰が降りるでしょう」
「!…違うのです!わたくしは勇者に騙され無理やり!」
「おだまり!!」
「ひっ!」
「騙された?無理やり?ならばどうして聖職者が使える勇者でも壊せない結界術を使わなかったのです、そうなれば手を出そうとしたそんな野蛮な勇者を捕らえ称号を取り上げる手続きが行われたのですよ?」
「ですが!」
「弁解は聞きたくありません、村を襲い男性たちの命を奪い女性や年端もいかぬ少女に忌み事をさせた罰もあるのです。そして聖女は常に純潔でなくてはなりません、貴女は純潔を捨てた瞬間に聖女ではありません」
エシレールはその言葉を聞き倒れた。
「自称大魔法使い殿?」
「!」
シクアが突然呼ばれビックと反応した。
「貴女もシェイルーン教会にて罰を下します」
「それだけは止めてぇえ!!」
「貴女も同罪です…捕縛!」
フェルチェさんがふたりを拘束してミストルが勇者の愉快な仲間をす巻きにしている所に魔法で放り投げた…ミストル、オーバーキルだから止めて上げて追い撃ちするの。
「…フェルチェさんはシェイルーン教会の教皇だったんですね」
「今から七百年前にやってたのよ、今は教皇じゃ無いんだけど特別門外顧問としてバカをやる勇者問題が起きた時にする格好なのですが」
「コイツらどうなりますか」
「それはマクスウェルちゃん次第ね」
「…今の教皇をちゃんづけですか」
「あの子はわたしの生徒なの、今も教皇になる候補生たちの教育をシェイルーン教会の枢機卿たちに頼まれるのよ」
「この村にどうして重々しい教会が地中にあった理由が今わかりました。」
「さすがルトラウス様とサニカ様に育てられた子ね、この教会は魔神教との戦いの時に避難所として使うのと教皇候補生の教育の場所として使われるの」
「フェルチェさんが麓の村出身って知ってるのですか教会の人」
「畏まった言葉使いしなくて良いわ、同郷の子なんだから…シェイルーン教会の枢機卿と教皇だけが知ってるわね」
「これからどうするんだ?」
「ルトラウス様の力を借りる訳には行かないから、カリーナに手伝って貰おうかしら?」
「カリーナ姉さん秘薬作りにハマってるから来ないよ」
「ミストル君捕縛終わったのね…全くカリーナはパパに似て錬金大好きなんだから」
「ん?」
「娘?」
「あら言ってなかった?わたしカリーナと家出中のルチェルのママよ」
「「えぇ!!」」
とミストルと一緒に叫んでしまった。