表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【2度目の人生編~世界散策の章~】
149/555

真実の泉にて…

【マーリケット大陸】


【幻魔境の森】


「海を抜けたと思ったら…ここは?」

「ここは【幻魔境の森】と呼ばれる森で普通の人間では森の中にすら入れない場所さ」

「そんな場所があったんだ」

「本来なら俺たちですら来たくない場所だ。この森は本当に…この世界で6000年以上の記憶を持つ俺ですら来たくないと思う場所だからな」

「どうして?」

「私たちの様な転生者組はこの森に入ると嫌でも魂の記憶のなかでも見たくない物を観させられ代償として大切な記憶を1つ奪われるからね」

「でもどうしてここに来たの?」

「ここには【真実の泉】と呼ばれる転生の輪に向かった人…死者と話せる泉が有るんだよ」

「もしかして…」

「確実に会えるとは言えないな。強く結ばれお互いに思い合って話をしたい、会って話したいと思わない限り会えないからな」

「……そうか」

「真実の泉では死者としか話せないのか?」

「あぁ、死者としか話せん。生きている人間とは話は出来んよ」

「オレたちも代償を払うのか?」

「いや払う必要はないと思うぞ?この森は本当に必要としている人物が来た場合のみ代償もなく真実の泉の道に進む事が出来るからな」

「もし必要とされていない場合の入る時は1度だけ警告が来てわかるよ。……では進もうか、ここには呼ばれた気がして来たからね」



馬車もどきから降りて四人で森の中に入ると歓迎されてるかの様に奥に奥にと順調に進めた。




【幻魔境の森】


《????の道》


「ルウカやサンゴは異変ない?」

「あぁ、俺たちが支払うべき代償は既にお前がよく知る人物から預かっていると言ってきた…どういう事だ?」

「今回の件は3000年前に起きた奴より厄介な事が起きているかもしれない。腹を括る事になるかも知れないよ」

「……………そうかも知れないな。先を急ごう」



急にルウカとサンゴのにこやかな表情が消えオレたちですら見たことがない表情になっていた。

そして【真実の泉】に着いた。




【幻魔境の森】


《真実の泉》


「なんて…幻想的な場所…地底湖も綺麗だったけど…ここは格別だよ」

「タズル…準備は良いか?」

「うん」



タズルか泉に手を付けると真実の泉がボコボコと泡が立ち底に現れたのは……。



「まさか」

「そうだったのか…これは当分は帰れないな」

「そうだね…私たちも本気にならないとだねぇ」

「そんな事って…」



泉の水面の上には女性と子供出はなく、夫婦2人で揃ってオレたちに微笑みながら立っていた。


『…成長したチハヤに会えるなんて…待っていて良かったわ。それとあなたたちに伝えないと行けない事がありますから。……チハヤはビワト君とまた一緒に居られるようになったのね』


『まさか…二人が一緒に飛ばされた場所にサニカ先生とルトラウス先生が居たとは…これも必然なのかも知れないな』


「お父様…なのですね」

『あぁ、組織と戦いの時には死んでてな……死んだ後の俺の体に300年前に【フューフェル王国の悲劇】を引き起こし処刑された【大罪人バン・クロウ】の魂をストレアに入れられ蘇生されたんだ』


「それならフジトラにマウントを取っていたと言う説明の答えが出たな」

「どういう事?」

「フジトラは300年前のアシュクラフトの当主だった【ヒペリカム】に似ていてな、ヒペリカムは【大罪人バン・クロウ】を無傷で捕まえて処刑台送りにしたんだ」

「その出来事は歴史に書いてないよ?確か歴史の資料には【ルジェンド王国】の国王が討ち取ったって載ってた」


『ルジェンド王国の第1王子が手柄を奪ったの【大罪人バン・クロウ】は秘密裏に処刑されたのを良いことにね』

「お母様はどうして知っているのですか?」

『フレイスヴィレッジ本家……四大貴族たちはその処刑に立ち会い正しい歴史を記録しているからです』


「フレイスヴィレッジの記録…ですか」

『お兄様ったら…チハヤを邪険にしていたのはわたくしも見てたので知っています。だからお兄様にはそのお礼として【ハゲ散らかす呪い】を掛けたわ』

「…だからアイツ俺たちを見送る時に(カツラ)してたのか」



えっ。



「ロザイア、マオト…世界規模で何が起きているんだい?」


『ギルドが2年前にトチ狂った事を世界に発表したのです【アシュクラフト当主フジトラとその妻シアレ】が【時空間亀裂事件】を引き起こし【先代観測者】を殺し【アルフェルス王国】を滅ぼしたと』


「「はい?」」

「待て待て、本当に宣言したの?それは無理だよね?何言ってくれてるの?」

「シルトの街の人たちにそんな事が出来るわけないだろ【アルフェルス王国】に関しては自滅だよ?他の国々も知ってるよな?」

『ギルドの上層部のクーランたちに【オルワーキュレー王国】からの【特別任務】の発注を受けてから行方不明になったんだ…それで中堅層のギルド職員がしゃしゃり出て来て運営を再開したらこの様だ』

「簡単にヤられる連中ではないが…【オルワーキュレー王国】かキナ臭いな」

『ですがコレがチャンスとばかりに【シルトの街】を目障りだと思っていた国々は【シルトの街】を滅ぼそうと言い始めたのです。ナタージュさんはこの事を先生たちに話せばギルド本部がカオスになるのは見えていたのでしょうね。上手く隠したものです』

「ナタージュめ…そんな事実を隠してたとは…上手くやるようになったな」

「それが本当なら…異世界の技術を使って暴れてたね」




父さん!母さん!クラスの皆!どうなってんだヨ!ナタージュさんから時々『御愁傷様』的な目線を感じたけども!そんな事が起きてたんかい!



『そしてこの問題は…3000年前…初代アシュクラフトの当主であらせられるティルクス様の代まで戻ります』

「だとしたら変だね。ティルクスは悪さはやってないし世界を影で救ったよ。その時の秘密結社は完全に芽を摘んだし」

「そもそもふたりはどうして知ってるんだ?」

『【時の番人】からお二人に知らせて欲しいと頼まれたからだ』



時の番人?



『覚えて居ませんか?異世界から呼ばれた【勇者(笑)保江基明】の事を』

「強制送還した筈だぞ?証人として10人で見守ったからな」

『実は帰ってなく彼はこの世界に外側から戻されたとしたら?』

「…まさか」


『そのまさかだったのです。外側に渡った【魔神を食らいし者】が強制送還された筈の勇者を更に送り返していたら?』

「俺とサンゴが知らない所で裏工作をして、そいつの子孫が時間を掛けてギルドに潜んでいたのか…我々もまだまだだな」


『そんな事は有りませんよ。先生たちの最後の弟子であるトレニアとアザレアが3年前授業をサボり天空島に残っていた事でギルドの怪しい動きに勘づいたマトモな思考を持つ者はサニカ先生の所持する天空島に逃げ込めましたから』



トレニアの野郎やっぱりサボってたんかい!



「守りを2つに分けていたけどギルドに貸していた土地の守りを無くそうか。3年前に保護した女性たちはギルドで働いてある程度の稼ぎを得てギルドを辞めて各地に散ったと言っていたから」



そう言うとサンゴは右腕に付けていたアクセサリーを引きちぎった。



「ロザイアさん!マオトさん!父さんたちは!」

『もうビワト君たら…わたくしの事はロザイアちゃんでしょ?』

『ビワト君…俺の事はパパって呼んでくれ』



…そうだった!ロザイアさんはこうだった!マオトさんあなたもかい!似た者夫婦だな!



「お母様、お父様…彼が心の中で突っ込みを入れてます」

『あら?』

『結果を言えばフジトラとシアレは無事だ【シルトの街】の住人達と一緒に攻防してるぞ。相変わらずヤバいなシルトの住人たちは』


「「えっ」」

『子供たちが小石を使ってドラゴンナイトを狩り、青年たちが全属性の上級魔法を使って撹乱して、ご婦人たちが丸太やオタマ等の主婦の武器を使って兵士や冒険者を叩き潰し。

働き盛りの男たちが高笑いしながら全属性の上級魔法とシルト流の剣術や槍術等を使いドラゴンのブレスを物ともせず、ブレスをぶった切ったりして暴れてるなんて』

「何そのヤバいの」

『ホントに起きているぞ。学園の生徒たちドン引きしてたよ』



『ビワト君はフジトラから聞いてないのか?』

「オレ、そんなの知らない」

「私達が助けに行かなくて平気なのかい?」

『…鍛冶の神様と呼ばれたマグナ様と全盛期の先生たちが全力で作った街ですよ?無理ですよ。あんな難攻不落の街に関して誰も手が出せませんよ』


「でもストレアとかと言う女性たちから攻撃を受けてボロボロになってたよ?」

『ビワト君は上部だけのシルト街しか知らないのね』

「えっまだ何かあったの?」



オレ…さっきから驚きすぎて間抜けな声しか出してない…。



「フジトラの奴ビワトにまだ話してないな」

「シルト街は【プレリローグ】からわざとダメージを受ける様に仕向けてるんだよ」

「なんで」

「可哀想だから。最高の戦力、豊潤な財力、本来なら攻めにくい地形の土地、隠してあるオーバーテクノロジーの数々…それを隠すために弱い振りしてるんだよ」

「えっなら本来の家は?」

「普段はオーバーテクノロジーを使って隠してある」



おぉう…。



『フジトラ様とシアはアシュクラフト家に代々伝わる【緊急宣言】を発令し本来のシルトの街を解放してますので【シルトフォレスト山】も本来の姿に戻って凄いことになってます』

『地形も初代当主が暮らしていた時に戻ってますからね。攻めにくいたらありゃしない。そしてルトラウス先生たちの全力の防壁の魔道具が山を包み異世界の兵器の技すら跳ね返し【シルトフォレスト山】を囲う連合軍は自滅しボロボロです』


「御愁傷様です…」

『指揮を取っている人たちは阿鼻叫喚です。その結果を知った攻めいる指示をした国王たちも顔を青くして怯えてます。どんな反撃が来るのかと。ヤられたら倍にして返すがシルトの街のスローガンですもんね』

『その様子を遠くから見ているストレア達も呆然と見てるぜ。しかも「あたしたちがやって来た事って一体なんだったのよ!?」って喚いてるな。ワッハハ!』



「【シルトの街】が本来の【シルトフォールの街】に戻ったならば【プレリローグ】の連中は絶望だ」

「ルウカ、どうして?」

「強力な魔力で封印されていた魔力が一気に解放され【本来ならもうすぐ魔力が消えてなくなる筈だった】が【シルトの街】に約2000年間溜め込まれた魔力が世界に流れ巡回し大地に溶け込み魔力が復活して時空間が安定する事で奇跡が起こせなくなるからだよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ