次の大陸に向けてとクレイジーな漁師の集団
【ラクライメルス町】
《ナルカミールギルド…前》
「ナタージュさん。お世話になりました」
「もう、次の大陸に渡るのね」
「ここで修行させて貰って3年が経ったからね」
「ナタージュ、また遊びに来るよ」
「ふふっ絶対よ?タズルちゃん何かあったら手紙を頂戴ね?」
「わかってます。ナタージュさん」
「では【マーリケット大陸】に向けて出発だ!」
「ビワト兄貴!またこっちに来いよ!」
「タズル姐さんも元気で!」
ナタージュさんやこの町で出会った人たちや冒険者仲間に見送られオレたちは【マーリケット大陸】に向かって行いった。
「寂しくなるわね」
「でもルウカのアニキたちが作った防壁などが有りますからな!こちらも負けられませんぞ!」
「そうね…あなたたちもビワトちゃんたちに負けないくらいの冒険者になるのでしょ?」
「我々は海竜狩りに行って参りますぞ!」
「相変わらず先生たちは恐ろしいわね…次いでにと言って見定めて最低ランクだった冒険者たちもビワトちゃんたちと一緒に鍛えてAランククラスの冒険者にしちゃうのだから」
「そこは本当に感謝してますよ。ギルドマスター、あの四人がこのギルドに来なかったらあたしたちはずっとギルドマスターに期待されながらも落ちこぼれな冒険者グループなんて呼ばれてましたよ」
「あの修行は…何度死にかけたか…」
ビワトたちがこの町で出会った冒険者たちはうん、うんと頷き合っていた。
「でも良かったのか?兄貴の事が…」
「もう、止めてよ。ビワトさんとタズルさんの間に入る度胸はないわよ。確かにあたしの初恋は破れたけど次に行けば良いのよ。この世界には星の数だけ男がいるんだから!」
「おれも負けられないな!いつかギルド本部が元に戻ってSランクの冒険者になったらいつかきっとビワトの兄貴の隣で戦えるようになってやるぜ!」
「ちょ!スーヴェ!」
「あっ!いっけね。口に出しちゃ行けなかったんだ!」
「ふふふ」
「ギルドマスター!すみません!」
「居なくなった後だから大丈夫よ。依頼が終わってからまた訓練しましょうか?」
このパーティーのリーダーはナタージュのプレッシャーにやられ震えながら返事をした。
「………はい」
「もう…」
「調子に乗ったら…シバかれるぞ?」
「まったく…ウチらのリーダーは」
「ホントよもう…」
「我々は傲慢な冒険者にならぬよ…そう誓ったではないかな?」
「…すまない………ギルドマスター、海竜狩りに行ってきます…」
「気を付けて行ってくるのよ?」
「はい!」
ナタージュは海竜狩りに向かった冒険者たちの背中も見送ってからいつものギルドマスターの業務に戻って行った。
「さてと…私もここのギルドマスターとして頑張らないとね…ギルド本部が超荒れてるし、その事を隠して報告しなかったけど先生たち怒らないわよね。それにしてもヤライったら手紙を寄越したと思ったら女の子を侍らせて、先が思いやられるわ…お姉ちゃんたちがヤライの元に向かったから。フジトラちゃんたちシルトギルドが大変な事になってないと良いわね~…くわばら、くわばら」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【雷鳴の海辺】
《見晴らしの浜辺》
「ここからはどうやって【マーリケット大陸】に向かうんだ?」
「ここは相変わらず、凄いのが見える」
「ん?どうするかって?決まってるだろ渡るんだよ。この海をな」
「…3年前から言ってたけど本当なんだ」
「他のルートからでも行けるけど、こちらのルートの方が一部を除いて次の大陸に渡りやすいからね。【ルウカ特製の船】に乗って行くよ」
「本来ならあそこの漁師さんたちの様にカヤックかヨットに乗って行くんだがー」
話をしているとガラガラピシャ!と避雷針の付いたヨットに雷が落ちてきた。そのヨット乗っていた漁師さんはガクガクと震え海に落ちた。
「避雷針の意味ないよ!!」
「あー…ゴム製品付けるの忘れたなー」
「他の漁師仲間に助けられてる」
「カヤックの人が凄……そっちの人も雷にヤられてる」
「ふたりとも漁師のリーダーらしき人物に救われてから、ふたり怒られてる」
「当たり前だろうよ。1人はゴム製品付けるの忘れて、若いカヤック乗りの若いはまだ越えちゃ行けない線を越えて向かったし」
「それにしても逞しいなこの浜の漁師さん」
「ベテランになると【雷耐性】が付くからな。ほら沖の方見てみ、雷に打たれてもベテラン漁師は普通に漁をしてるぞ」
タズルと二人で若い兄ちゃんたちがワチャワチャしている先の沖の方を見るとベテランらしい避雷針付きのヨットとベテランカヤック乗りが漁をしていた。
「沖に居る漁師に「雷に打たれても平気なんですか?」って聞くと、電気マッサージを受けながら漁をしてるって言うからな。ベテラン…いやクレイジー爺さんと中年の集団」
「若い人たちは?」
「沖の漁ではなく海辺の近くで魔物退治しながら海辺に浮かべてあるゴムと木で出来ている釣り場で釣り漁だ」
さっき雷に打たれていたヨットの人とカヤックの人がもうケロッしてるし!あっ釣り場に行って魚釣りしてる。
「もう釣りしてるよ、雷に打たれた人たち」
「あぁやってベテランになって行くんだ」
「この地の漁師になりたい子供たちは浜辺て潮干狩りしているよ」
「えっ」
オレたちより年下の子供たちは雷を避けながら潮干狩りしていた。雷に当たってもビクンビクンと体が反応していたが数分後に起き上がり何事も無かったかのように潮干狩りを始めていた。
「なんなんだこの浜の漁師候補と漁師見習いたちは!オレより強いんじゃないか?」
「この周辺の雷って意思持ってるの?ってぐらい狙うよね。浜辺に居る僕たちを狙わないし」
「あぁ…それな」
「…ふたりは知ってそうな感じがするけど」
不思議そうにしているとサンゴが語ってくれた。
「この周辺は空を飛行するのは禁止されてるんだよ。古い時代から生きる落雷の竜【サンドラス】と呼ばれるドラゴンがまだ居てわざと漁師たちに雷を落としてるんだよ。その辺の話をしようか少し長いけどね。
昔とある冒険者が漁が出来なくなって困っている村の為にそのドラゴンに雷を落とすのを止めろと挑みに負けてドラゴンを倒すまでと言って村に住み着つく所から始まる。
とある冒険者は浜辺の村の村長から依頼を受けて幾度となく挑むんだけと負けを繰り返していくウチに【雷耐性】を身に付けドラゴンを後一歩まで追い詰めるんだ。冒険者がドラゴンにこう聞いたんだ「どうして村の周辺の海に雷を落とすんだ」と。するとドラゴンはこう言った「この周辺に海賊船が蔓延り始めた、この周辺は自分の領域だから自分の領域を守るために雷を常に発生させている」と冒険者は取り敢えずドラゴンを狩らずに村に戻った。
そして村に戻りドラゴンが雷を発生させている原因を話すと。浜辺の村の村長と村人たちが実は争いに負けこの領域にたどり着いた様々な元海賊たちが集まった集団だったと冒険者に打ち明け言った「古くから生きるドラゴンの領域に踏み込んだのは我々だったのか」と。
冒険者はドラゴンの元に再度向かい提案した「村を作った元海賊たちをこの領域に住まわせて欲しい」と、するとドラゴンは『我の領域を侵さぬこと、我の雷の音、雷に撃たれても平気な人間のみ許そう』と言った。
冒険者はその事を村の村長に話し村長は冒険者にこの地に残って定住して欲しいと願がった。由は雷に打たれても平然と魚を狩り動物を狩り畑仕事が出来る唯一だからだと。
冒険者は定住するための1つの条件を作り出した、自分と同じように雷に打たれても良い丈夫な若者を用意して欲しいと、村長はそれを了承した。
そして冒険者は自分が雷に打たれてもそこまで痛くなかった装備を作り出し若者たちに装備させ【雷耐性】を身に付けさせた。
暫くして耐性を持った若者を指導して雷に打たれても平気な家を作り漁の仕方も教えこの地域限定の漁を確立したと言う話」
「へっへぇ…」
「壮大?な話だ」
「その冒険者はどうなったの?」
「浜辺の村長に指名され次の村長になって村をさらに発展させて町にした」
「まさか【ラクライメルス町】じゃないよね?」
「ラクライメルスじゃないぞ。この浜辺より西にある港町がそうだ」
「それって…ガハハハといつも笑ってる厳つい町長さんが居る港町だよね?そんな昔話がある町だったなんて…でもギルドがない理由がわかった」
「今さっき話した昔話がある港町が特殊なだけだから」
3人で苦笑いをしているとルウカが船のメンテナンスが終了したと呼びに来たが船を見るとオレとタズルが知っている船とは違う何かが浮いていた。
「……船だよね?」
「船だが?」
「僕たちが知ってる船じゃない…モザイク加工されてる」
「これは木製の船じゃないよ。ルウカが作った【オリハルコンとアダマンタイト製の船】でどんな荒波にもどんな天候であろうと自動で乗り回せる奴だね」
「オーバーテクノロジーを見た気分だね」
「これっを動かすのって馬車もどきと同じ奴が使われてる?」
「あぁ【ぴーーー】と【ぴーーー】が使われてるな」
「その辺はまだなんだな」
「この技術はこの世界ではまだ使われてくないね」
「それだけの物が作れるようになっちゃうからだね」
「そう言うこと。話の続きは船に乗ってからにしようか」
「モザイク加工されてる船に乗りたくないけど乗るしか無いんだよね」
「コレが嫌なら漁師たちの船に乗るしかない」
こうしてモザイク加工された船に乗り次の大陸であるマーリケット大陸に向かった。




