軽いざまぁとフロクセアの村長
「ついに着いたな隠れ里近くの村」
「食料尽きるギリギリで着いたね…」
「隠れ里に寄ってから来たんだミストルも来いよ」
「約束通り付いてくよ」
オレとミストルはラセス達に乗って村に入っていった。
ミズリオウ大陸
フロクセア村
「すみません、身元がわかる物を見せていただいてもよろしいですか?」
「それにその魔物はあなた方の従魔ですか?」
「身元確認の物は持っていないんだ」
「この馬とドラゴンはそれぞれ僕たちの従魔ですよ」
オレとミストルはラセスとセルクシアが着けているスカーフとチョーカーを見せオレ達も腕輪とネックレスを見せた。
「確かにそれぞれ同じ色の契約石を着けていますね…身元確認の物はこの村でも作れるので作っちゃいましょう」
「発行手続き銅貨五枚ですが」
「この銅貨使えるか?」
「…はい!大丈夫です」
門番の人変な目で見てこないんだな…良かった。
「これで町や王都でも身分証として使えますよ」
「契約獣が居られるならギルドで発行してくれる冒険者のカードの方が従魔の確認されないのですが…」
「オレたちは冒険者になるつもりはないんですよ」
「すっごい田舎から見聞を広める為に旅をしてこいと言われたんです」
「……もしかして…村長と同じ村出身の方ですか?」
「ん?」
「同じ村出身?」
「はい、この村の村長が育ったのが麓の村シルトフォール村なのですが」
「オレ達もそのシルトフォール村出身だ」
「ちょっテス!」
「やはりそうでしたか!村長に知らせなきゃ!ビリー!村長に伝えてくるよ!」
門番さんのひとりがすごいスピードで走り去って行った。
「全く…ムラクの奴…旅人さん申し訳ない」
「オレたちは旅の必需品を揃えに来たんだが…」
「この道を真っ直ぐ進めば雑貨屋等がありますよ、お連れの方そんなに警戒しないでください。ここは他の村と違って村長が麓の村からこの村の村長になっていただいた方でね、麓の村人の旅人がこの村に良く寄っていただくんですよ」
「そうなのか」
「村長は今面倒くせぇ客をもてなしているので取り込み中なんですけどね」
「面倒な客とは?」
「勇者ルストって奴です」
「勇者?」
「えっ」
「国が認定してる勇者だから好き勝手やりやがる…付き人も調子乗ってやがるし」
「そんな事より村に入れてくれる?」
「あっ、すみません…どうぞご自由に」
「一発かましてくれるわ」
「ミストル、相手はまだ何もしてないぞ」
「そう言ったバカは絶対に絡んでくるよ」
「オレからも一発かましてくれる」
意気込みながら村の中心に向かった。
「ラセスもそのまま入っても良いっていいな」
『こういった村は本当に稀だ』
『ルノカ先輩に連れられ数多の村と町を巡ったけどろくなのがないわ』
「公共の長椅子に座っていようよ…絶対に絡んでくるよ」
ミストルと一緒に座っていたら…見事に絡んできた。
「よう?随分いい馬とドラゴン連れてるじゃねえか」
「旅人ごときに勿体ないわね?」
「勇者様とわたくし達に譲りなさい」
エシレール、シクアお前らいつから小物になった。
「どこのだれか存じ上げませんがこの子たちは僕と隣にいる共に旅をしている者と契約で繋がっている従魔でございます、だから譲る事は出来ません」
「なんですって!勇者に向かってなんて事を言うのよ!」
「ただの旅人ごときが!」
「まぁまて…従魔なら人間の言葉を理解しているだろうからな…」
すると勇者(笑)がラセスとセルクシアに命令口調で俺の契約獣になれと命令した。
『無理だな、貴様ごときに私の主人が勤まるわけなかろう』
『生理的に受け付けません、触ったら噛み殺しますよ?』
「念話だと!しかも俺が否定された!」
「随分と生意気な獣風情ね!」
「主が低能だと契約獣まで低能ですのね!」
回りにいる村人がこの発言に引いていた、念話が使える契約獣は恐ろしく鍛えられていると子供でも常識として知っているから。
「俺の契約獣になりやがれ!」
勇者(笑)がラセスのたてがみの毛をブチッと取りキレたラセスに後ろ足で蹴られ、セルクシアの鱗をもいでキレたセルクシアに死なない程度噛みつかれた…そもそも勇者認定されたのに弱っ横暴なことやってると痛い目会うなコイツら…おれが直接ざまぁしなくてもいいんじゃないか?
「痛ってぇええ!」
「獣ごときが勇者様になんて事を!」
「エシレールあたし達も殺るわよ!」
と意気込みは良かったがこちらも瞬殺。
「よくも僕たちの従魔に手を出してくれたね?」
「手を出すって事は覚悟は出来ているんだろうな?」
「これ以上は止めてくれ!」
「あたしたち何でもするから!」
「あなたたちをわたくしたちのパーティーに加えてもいいです!」
「行かないよ…迷惑だし」
「不快なお前らにはオレの従魔に手を出した落とし前をつけて貰うか」
「あと二度と僕たちの前に面を見せないって約束してね?」
ミストルとオレで勇者(笑)の毛根を死滅させてハゲにしてやった、聖女(笑)と魔法使いには魔法をほんの少ししかつかえなくしてやった、ラセスとセルクシアの咆哮にビビってそそくさと逃げていった。
「僕たちの従魔に手を出したからだよ」
「ミストル手加減したのか」
「小物にそこまでやる必要ないし…大罪を犯してる訳じゃないし、やり過ぎるとこっちに帰ってくるってルトラウスさんとサニカさんに言われたからね」
「勇者(笑)パーティーを追い出してくれてありがとう」
ミストルと一緒に振り返りそこには綺麗なプラチナブロンドの髪を持つ女性が立っていた。
「私の家に来なさい、話をしましょう」
ラセス達に契約石の中に入ってもらい村長の家に向かった。
◇◇◇
「良く来てくれたね歓迎するわ、わたしの名前はフェルチェこの村の村長しているわ」
「初めまして、僕の名前はミストルと言います」
「オレの名前はティルクスと言います」
「そんなに畏まらなくていいわ…4日振りの麓の村の子たちだからね」
「4日前に誰か来てたの?」
「えぇカリスちゃんが薬草を届けにね」
「ぷっ…カリス村長ちゃんづけされてる」
「ふふふ…こう見えてわたし千年生きているのよ?」
「「えっ!」」
「わたしもね、先祖帰りなのハイエルフと呼ばれる上位のエルフのね」
「何年この村の村長しているの?」
「直球ね…もう五百年になるわ、この村の子供は長生きしているわたしを見て育っているのと、わたしが村の子供たちを直接鍛えているから滅多なことで怖がらないわね」
「それに何で反撃しなかったの?」
「面倒だからよ、こちらが仕掛けると国が兵士を山賊に化けさせて村を襲ってくるから厄介なのよ。それにわたしに夜伽をしろって言ってきたのよ」
「勇者のくせしてただの発情した猿だね」
ミストルが勇者を罵倒したよ…昔は勇者の冒険譚キラキラした瞳で聞いていて憧れるよね!って言ってたのに。
「オレたちがやったことで迷惑が掛かるんじゃ」
「そんなことはないわ、あなた達は旅人だからわたしたちは関係ないって言い返せるから」
「事なかれ主義を貫けるんだね」
「そう言う事、わたしが麓の村の旅人に向こうから絡んだって言ってやればバカを見るのは向こうよ」
「えっどうして?」
「麓の村には手を出すなと子供の時から教育を受けて育つから」
「へぇ…便利だね…これを使って悪い事をすると怒られるんだねルトラウスさんとサニカさんに」
「じいちゃんとばあちゃんが一方的に付けた条件か」
「その通りよ」
「ルトラウス様とサニカ様とカリスちゃんのお父さんであるスオウちゃんが取り付けた条約…懐かしいわね、わたしも五十年前の小競り合いに参戦したわ」
「小競り合い?」
「小競り合いで終わった感覚何だね、そろそろ旅の支度をしないと」
「ふふふ…わかっているわ【リバンティエル】に向けて行くのでしょう?」
「フェルチェさんも旅したんだな」
「えぇ、楽しかったわリバンティエルへの旅は…そこでわたしの相棒に出会ったの」
「フェルチェさんも居るの!」
「ミストル君ようやくツンが取れたわね…わたしの相棒をここで呼んでも平気だから呼ぶわね…あなた達も呼びなさいな」
「「「召喚!」」」
オレとミストルとフェルチェさんと同時に従魔を召喚した。
『ボス、お呼びで?』
『ミストル、何か用ですか?』
『フェルチェどうしました?』
ラセス達以外にとても綺麗な白と紫色を持つドラゴンがただずんでいた。
『フェルチェこの若者は誰です』
「この茶髪の子がティルクス君で銀髪の子がミストル君でね、こっちがイダテンホースのラセス君でそちらが貴女と同じ種族のセルクシアちゃんよ」
『そうですか…挨拶が遅れましたね、わたくしの名はペリセル…フェルチェと契約してます』
『あなたがわたしと同じ結晶ドラゴン…色合いがわたしと違いますね』
セルクシアは白い透き通る色から赤い色をしているけどペリセルは白い透き通る色から紫色の色合いをしている。
「ルトラウスさんとサニカさんが言ってた契約している人はフェルチェさんだったんだね」
『ルトラウス様とサニカ様…』
「じいちゃんとばあちゃんを知ってるのか?」
『じいちゃんとばあちゃんですって!』
「ティルクス君たち少しだけ身の上を話してくれる?ざっくりで良いから」
◇◇◇
「ルトラウス様とサニカ様が拾った子を育てていると聞いていたけどあなたがそうだったのね」
『……ごめんない、ルノカ先輩にチクるのは止してください』
「ペリセルも犬社会の掟と人間社会の掟を叩き込まれた口だね」
『ペリセル先輩もですか』
『あれはキツいな』
話している途中に邪な感情を持つ者たちが村の近くまで来た。
「……不味いわね」
「発情期の猿が仲間を呼んできたポイね」
「さすがド三流勇者だな愉快な仲間たちも一緒か」
「村の子供達を避難させないといけないわね」
オレたちも隠れ里にフロクセアの村人の避難を手伝ってこれからド三流勇者と愉快な仲間たちVS麓の村の住人になった…どうしてくれようか発情期の猿と愉快な仲間をな。