亀さん系です?
【無敵の宿屋】
《食堂》
「風呂から上がって来たね。夕飯の準備は出来てるから食べて」
「おっおう…」
「今日はハンバーガーか俺の好物じゃないか」
「なんか急に食べたくなってね」
「タズルはどうしたんだ?」
オレはビクッと反応してしまったがふたりは気にしていなかった。
「タズル君は私が案内した部屋に持って行ったよ。ちょうど居たから出来立てでね」
「そうか、ならこのままいただこう」
「いっいただきます………あっこれ美味しい…」
「サンゴ、ピーーの電源を付けて良いか?」
「…良いじゃない?ここのピーーなら他の大陸の様子がわかるし」
オレでも見た事のない物を使って何かを付けた。
【びー…ガガガ……】
「あれ?ピーー上手く映らないね」
「本当に今回の時空断絶はねじ曲げられたんだな…この様子じゃ見られないから消すか」
「うん」
ぴっと何かが消えた。
「この様子だとガチで3年以上掛かるかもな………旨っ」
「早くに送りたいけど無理そうだね」
「…学園どうなってるだろ?」
「ビワトとタズルの場合は在籍している状態のままだと思うぞ。それにビワトから聞いた感じだと学園の土地全てが消えてる見たいだし心配する事はないだろう」
「…エクルたちは無事にたどり着いたかな…」
「ビワトのクラスメイトたちか…」
「そう言った情報も次の大陸で調べて見よう」
「そうだな」
食事を取り寝るまでの間は自由時間となった。オレは用意された部屋に向かい、部屋に着くとベッドの上で胡座をかきオレは瞑想を始めた。
目を瞑り…無を保って居る。しかしなぜかボヤボヤ~とお風呂の時に見てしまったアイツが現れた。…煩悩を消すんだ!煩悩をぉおお!うぉおお!
数分後…。
駄目だ…違う事を考えようとしてもアイツが浮かんでしまう!どうしたんだオレ!アイツとアイツの家とは犬猿の仲!普段は頭をツンツンにした男!じゃなかった!水に濡れて普段とは違う髪型に反応するな、オレ!………駄目だ!どうしても瞑想するとタズルの事を考えてしまう!
暫くして悶々として眠れずに過ごし窓を眺めていると。タズルが外に出て行くのが見えた。
「あれ?アイツ何しに出たんだ?ふらふらしながら歩いてる……眠れないしオレも行くか」
パジャマ姿から制服に着替えて宿の外に出た。オレはタズルの跡をバレない様に追いかけて行った。
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【無敵の宿屋】
《無敵の宿屋…周辺》
少し歩くとタズルがしゃがみこみ光る花と話をしているのを見つけた。
「……そっか……僕も寝られなくてね……うん……………」
(何の話をしているんだ?)
「君はずいぶんと…刺激的な…匂いがするね?」
(なんか様子が変だぞ?どうした?)
「……なんか………あれ……?」
突然その場でタズルは倒れた。そして光って居た花から蔦が延び始めタズルに巻き付き始め、ズルズルと引っ張られていく。
「おい!」
オレの声に反応した光る花がタズルを抱え込むと逃走した。
「仕方ない。行くか、行って考えよう!」
オレは近くに合った木の棒を持って光る花を追いかけた…何で人間の足が生えてるんだよ!しかも脛毛まで、気持ち悪ちわる!
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【豊穣の樹海】
《ドライアドの巣》
タズルは蔦に絡まれれ大変な事になっている…?茂みに隠れているがモザイクが掛けられ見えなくなっている。
『…久しぶりに美味しい食事が取れそうだ…しかも処女と来た………最高だと思わんか?小僧』
ばっバレてた……まぁ植物系統の魔物だから。根を張っているからバレてるか。オレはがさがさと茂みからタズルの首元を嘗めているイケメンモンスターの近くに出た。
「ドライアドだよな?」
『いかにも、我はこの森に住むドライアドだ…小僧はこの娘を取り戻しに来たのかも知れぬが。久しぶりの良質の娘を離すつもりはない…悪いことは言わん、ここから去れ』
ドライアドにも顔以外モザイクが掛かってるから真剣に言われても状況がわからねぇ…どんな事が起きてるんだ。
「そうは行かないから返して貰うが」
『やれるものならやってみろ!』
オレは手に持っている枝を構て強化魔法を自分に掛けモザイクだらけのドライアドに向かった。
『小賢しい!数百年生きた我を倒そうなど甚だしい!』
「うるせぇ!変態ドライアド!」
良く回りを見渡すと人間の骨や魔物の骨がそこら中に転がっていた…数百年生きたって言ってたがホントかもな。
『我の技を食らうが良い!【誘惑の吐息】』
ドライアドの回りにとてつもない程の甘ったるい匂いが来た。オレは直ぐに息を止め避けた。
「!」
『ほぅ、瞬時に息を止め避けたか…なかなかやるな…ではコレでどうかな?【植物操作】!』
周辺に生えている植物たちがオレに襲い掛かってきた。
「まさか本当に使う時が来るなんて思わなかったよ【メリアンヌ印の除草剤】を…帰ったらメリアンヌちゃんにお礼しに行かないとな。栄養剤もって」
『貴様、何をぶつぶつと!』
「そーれ!」
ボトルに入っている除草を向かって来ている植物に掛け余った液体を足元に撒いた。
『なっ!一瞬で枯れただと!?…なっなんだ…かっ体が焼けるように熱い!』
ドライアドの体に異変が起きた。モザイクが取れて瑞々しい程潤いが保たれていた体が枯れ始めしわしわになり始めた。
『かっ体と活力が…ぐぁあ!かっ枯れる!たっ助けてくれ!?』
ビリビリイヤーン状態になって居るだろうモザイク付きのタズルがズルズルと蔦から解放されてずり落ちて来た。オレはタズルをキャッチしてはだけている肌を隠すためにオレの制服の上着をタズルに着させた。ドライアドが枯れるのを見ていた。すると今度はガサガサと茂みから音がした。
「今度は何だっ!」
「その様子なら大丈夫そうだね」
「さっサンゴか…驚かさないでくれよ」
オレが潜んでいた茂みからサンゴが出てきた。
「ビワトのシャツが少し破れてる…そこのドライアドとひと悶着が合ったみたいだね」
『死にたくない!死にたくない!!』
「サンゴ、タズルを預かってくれないか?」
「良いよ」
サンゴはヒョイッとタズルを抱えた。
「そうやってお前に命乞いしてきた人間も殺してきたんだろ?どうだ、その立場になった気分は」
『ひぃいいい!お助けよ!助けてくれたら我の隠している宝をくれてやる!』
「へぇ…一体どんなアイテムなんだ?」
『見逃せば【ユグドラシルの秘果実】をくれてやる!どうだ【ユグドラシルの秘果実】を食べれば長生き出来るんだぞ!』
「そんなの入らねぇよ。オレの家の庭と【シルトの街】に生えとるわ!秘技【上から改心の一撃】!」
オレはドライアドの頭上にここに来る前に拾った木の棒を使って殴り付けた。するとドライアドは枯れた。
「終わった?」
「あぁ、終わった…ルウカも待ってるんだろうから帰るか。道案内してくれるんだろ?」
「うん」
サンゴは安全な道を知っているらしくその道を通って戻って行った。