夜の学園その5
【エイスワイズ学園】
《学園長室》
「どういう基準で選ばれるんですか~?」
「さっきも言ったけどホラー耐性が凄く高いのと不測の事態をひとりでも対応出来る子ね」
「そういう生徒なかなか居ないですよ」
「そう思うでしょ?でも居るのよ、さっそく1年生の子にも居てね、入学当初から【夜の学園探検隊】に入隊した子がいるのよ」
「初耳だな」
「聞かれなければ話さないし…そもそも聞いてくる子が居ないからね」
「それとあたしたちがB組の教室に居なかった理由を話してください」
「それはね…」
学園長が話そうとするとドアが開き上級生であろう人が入ってきた。
「それはこの学園にある【月光花の部屋】にいるゴーストの長によって先生たちですら気付かない内にクラスを変えられて居たんだろうな」
「あら、フォルテ隊長じゃない」
「【月光花の部屋】ってなんですぅ?」
「隠し部屋の中でも見付けるのが困難な部屋だ、もう200年近く見付けられてないんだ」
「えっ!200年前は見付けられてたってことですの?」
「そうなんだ、見付けられて居た時代はそこまで悪さをしなかったらしいから」
「お説教されるからよ」
「学園長…」
「フォルテ隊長は何しに来たのですかぁ~」
「そうだった、学園長」
「どうしたのかしら?」
「学園長の大切にしている【チータラ】と【柿の種】と【日本酒】をゴーストたちが大量に持って【家庭科室】で酒盛りしてます」
「何ですって!?」
「ほかの隊員達が家庭科室を見張っていますがー」
すると学園長はオレから素早くバットを奪いゴースト狩りしに向かった?
「学園長先生行ってしまいましたね~」
「相変わらず…最後まで話を聞かないんですから」
「その他に問題が合ったのですか?」
「そうではないんだが…学園長先生の関係者の方もその中に交ざっているので」
「もしかしてラブナシカが帰ってきてるのか?」
「!…あなた方は知っているのですか?」
「その辺の話は有名だからね」
ラブナシカと言う神はこの世界では超絶有名な神様で原初の時代から生きている生き証人で性別を凌駕した方としても有名である。
「どうしてその神様が夜の学園でフィーバーしてるんだよ」
「ここのゴーストたちの中にラブナシカ様の好みの方が居るらしくて…」
「それでフィーバーしてる…えっ」
「君たちは関わりを持たなくて良いですからね?こういう言った夜の関連は【夜の学園探検隊】が全て受け持って居るので」
「観戦したいと思うけど…見たら見たで厄介なことになるよな」
「ですね」
「そろそろ寝床を探さないと」
「ビワト、それ言うとなんか…ね?」
「悪い」
「なら本物のB組に案内しましょうか?」
「いや、ここで夜を明かせ、移動する必要はないだろう」
話を聞くことに徹していた黒髪の少年がそう言ってきた。
「良いのですかね?」
「それに学園長室は無駄に広いからね、他にも扉があるだろう?」
「そこを開ければ客間になっててな学園長室で寝る良いと思うぞ」
「なら女子が客間で寝てオレたちがここで寝るよ」
「もうひとつ有るんだな~客間が」
「えっ!まだあるのですか!」
「だから言っただろう?ここは無駄に広いってね」
それぞれの客間に入って行った。
【エイスワイズ学園】
《学園長室の客間…左》
「それにしても学園長と話していたあの二人組スッゴい美形な方でしたね~それに何処と無く高貴なオーラ出てましたね~」
「雰囲気がこの世界の人たちと違うから異世界に居る学園長の知り合いかもな」
「Zzzzz」
「そう言えば学園長って時空間を多少操れるんだよな?」
「うん」
「それか呼び出したですかね~」
「同じ年に見えたけど、かなり雰囲気が落ち着いてたな」
「だな」
「Zzzzz…」
「クスノアはもう寝たのか」
「布団に入った瞬間に寝てたぜ」
「普段は規則正しく寝ているのでしょうね~」
「オレたちも寝るか」
「明日に響きますからね」
目を閉じるとすぅと眠りに入っていった。
【エイスワイズ学園】
《家庭科室》
「はぁ~い!サニカとルトラウスたら久し振りね~!」
「もうその名前じゃないぞラブよ」
「そうだね」
「あら?そうなの?」
「俺たちの最後の弟子たちは迷惑を掛けてないか?」
「らいじょうずれす~」
「もう酔っ払ったのか…ホントに変わらないね」
「どうしてこの世界に来たの?」
「俺たちの生まれ変わった世界で時空間の歪みが起きて白理と黒司に召喚されてな。オレたちはもう魔力が高いだけのただの人間だから出来ることは少ないぞと言ったのだが…」
「お前たちの頭の中にある知識である程度手伝えと言われてね…私たちの生まれた世界のゴタゴタが済んだからこっちに来たんだ」
「この世界に渡った瞬間になぜかガキの姿になったけどな」
それにしてもホントに純粋な人間なのね、魔力が高いだけの…ね。
「サニカ…じゃなかった名前は何て言うの?」
「私の今の名前はサンゴでルトラウスの現在の名前はルウカだよ」
「地球の人たちがつける風の名前ね」
「地球系列の世界に転生したからな。実はオレたちの生まれ変わった世界にオレたち以外にも転生者が居てな。とんでもなくブッ飛んでて俺たちでも手に余るぞ」
「あんたたちですら手に余るって…よっぽどね」
「やることなすことが凄くてね」
「そのへんにょお~はにゃし聞きたいでしゅ~」
「機会があったらね」
「それでどうするの?」
「寝泊まりする場所は大丈夫、転生特典で必ず例の宿屋が召喚出来るから」
「ルウカは相変わらず泊まってるのね」
「あぁ、そうだな…女宿屋主人様にはこのような転生が続く限りお世話になり続けるだろうな」
「それでどの記憶を継承しているの?」
「サニカの記憶の方だね」
「俺もルトラウスの方の記憶だな」
「あら、そうなの?」
「うん」
…始まりの記憶は引き継げなかったのね…そっちの方が色んな世界に行くにしても都合が良いのかもね。
「あんたたち向こうには居ないの?」
「まだ独身だよ…なんかピンっと来なくてな」
「どうせまた駆り出されるだろうし…」
「その転生者は放置して平気なの?」
「暴走しがちだけど…普段は理性的に生活出来るから平気だ」
「その転生者には旦那様がいてね。暴走しがちなのを抑え込めるから大丈夫だと思う…そのふたりから許可を貰ってここに来ているから」
「そう、ならあんたたちふたりもこの学園に入って貰おうかしら」
「それはパスで」
「何でよ」
「俺たちは少しこの世界をぐるっと見て回ってくる。ステルス装甲を装着した車でな」
「良く許可を出したわね…主神ちゃんは」
「何かまた良くないことが起きようとしてるのかもな」
「嫌ねぇ…」
「そうなったとしても俺たちはサポートに回るよ、この世界の人間じゃないしな」
「そうだね、何かあれば車をかっ飛ばしてくるよ」
「ホントにあんたたちは便利な能力もなく純粋な人間なのね」
「あぁ、魔力が平均より高いだけの普段の人間だよ」
そう言ったふたりは家庭科室の窓から校庭に降りてステルス装甲車に乗って学園を去っていった。
「さてと…このバカ娘をこのまま放置してと…久々にアタシの桃源郷に向かいましょ」




