夜の学園その4
【エイスワイズ学園】
《3階の階段前》
「2階だよな?」
「3階のままですね…現実を見てください」
「ホントだ、3階のままね…でも降りたわよ?」
「変な仕掛けでも発動してどこかの教に下の部屋に行ける場所があるんじゃね?」
「上級生の教室を漁るのはちょっと…」
「感知して見ますか?」
「それが空間が不安定になってるから正確には出来ない」
「階段は使えないからヤライの提案を採用するしかないよね」
「そうだな…」
立ち止まるより入れる部屋に向かったがほとんどの教室は鍵が閉まって開けられなかった。
だが【魔法薬学教室】が3階に現れて鍵が開いていて入れそうだった。
「あれ?【魔法薬学教室】は確か別館に合ったわよね?」
「うん、別館だよ」
「3年までは普通科だけど4年からそれぞれ学科が別れるしな」
「そのまま普通科でも行けるけどほとんどの人は自分が極めたい学科に行くものね」
「まぁ開けて入ろうぜ?」
ガラガラとヤライは【魔法薬学教室】を開けて入って行った。
するとまた「キャーーー!」と悲鳴が聞こえた。
「今度はなんだよ!」
オレたちも【魔法薬学教室】に入るとそこには魔法薬学の先生が何かの薬を作っていた。
「なんだい、他にも居たのかい」
「えーと…」
「アタシの事を知らないって事は1年生だね」
「そうです」
「この学園に泊まった子だね、先に来たのはうるさいから縛らせて貰ったよ」
ヤライは魔法薬学の先生が言った通りに縛られ、マンドラゴラたちがヤライに対して小さな枝を使って突っついて居た。
「あの植物達は悪戯好きでね…それとここに来た縁だと思って少しだけ手伝ってくれないかい?」
魔法薬学か…秘伝の製法が多くてなかなか見られないが。
「生徒に秘伝の製法を見せて良いのですか?」
「構わないよ、アタシが作っているのはあまりにも有名な薬だからね」
「万能薬か」
「ほう、見ただけでわかるかい?」
「マンドラゴラたちがその辺をウロウロしているからな、手伝ってマンドラゴラを捕まえて鍋に入れる奴か」
「手伝った事があるのかい?」
「あぁ、やった後に後悔したよ、小遣いは弾んでくれるからたまに手伝いに行くけど」
「ビワトがそこまで言うのって大抵ろくなことがないよね」
「マンドラゴラは以外に素早く知恵が回る」
オレが説明しているとマンドラゴラたちが教室から出そうになったが扉を閉めて鍵も閉めた。
「「「「ぎゃ!ぎゃ!」」」」
「ビワト君の足を集団で踏んづけてるわ」
「うわ」
「可愛くないです」
「可愛くないだろ?コイツら」
「万能薬ってどうやって作るの?」
「作り方の現状を見ても決して他には言っちゃ駄目だぜ?」
「えっどうして?」
「作り方は少々荒くてねぇ文句を言ってくるのが居るんだよ。ではビワトと言ったね、実際にやって上げなさい」
オレは心を無心にしてオレを蹴っているマンドラゴラの葉っぱの部分を掴み錬金釜の上にあるミスリルの板に向けて思いっきり投げ形が崩れ「覚えていろ~!」と最後の断末魔を上げポチャポチャと落ちて行った。
「おじさんの声がしたです!」
「一瞬おっさん顔になったわ!」
「何あれ!」
「なっキツいだろ?」
「それに「覚えていろ~」って言ったけど平気なの!?」
「必ず最後は「覚えていろ」だの「呪い殺してやる」だの言われるからマジで最初の頃は本当にそうなるんじゃないかと不安になったもんだよ」
「マンドラゴラにそこまでの力はないよ、あったら万能薬は秘薬と呼ばれていただろうね…作る者を選ぶからね」
オレの行動を見たマンドラゴラたちが逃げ回り始めたがヤライを人質にしたマンドラゴラたちを容赦なくクスノアたちと共に捕まえて錬金釜に投げ入れたり、切り刻んだりして全てのマンドラゴラを錬金釜に入れ魔法薬学の先生から学園長室の鍵を受け取り部屋を出た。
「どうして学園長室の鍵を持ってたのかしら?」
「夜の学園はこんなんだから預けているのかもな」
「この鍵があると学園長の部屋に行けるって行ってましたね!」
「鍵から溢れでる光を辿って行けば着くとも行ってたし…急ぎましょう」
「俺、マンドラゴラ嫌い!」
「嘗められてたもんな」
「切り刻方がね…」
「それにしてもマンドラゴラって最後の時までじっと見てくるのね…」
「気にしたら負けですの」
学園長室の鍵の導きによって筒がなく進んでいるとバットを振り回すメルナとシナエとルーミを見つけ共に学園の最上階フロアに着いた。
「このフロアあるですかね」
「まっすぐ進めば良さそうだね」
しばらく歩いていると明るい部屋の前にたどり着いた。
「ここですね~」
「オレはなんど学園長室に行くことになるやら」
「はぁ…問いたださないとね」
「夜の学園もう嫌ですぅ」
「…もういいや夜の学園怖い」
「あれ?誰かと話してるね」
「聞き耳立てるです…」
学園長室の少しだけは開いているドアを覗きこんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「やっ……生まれ………て……………世……で!」
「急……び…し……って…何を……えて……んだ?」
「……と思って………どあ………が居な………る気が起………のよ」
「…お客さんが来てるみたいだね」
オレたちに気付いたのか?
すると青みががった白髪の膝下まで伸びた長い髪を持ち、水色の瞳をした同じ年ぐらいの少女がドアを開けて来た。
学園長と共に黒髪の紫色の瞳を持った少年がこちらを見ていた。
「そんな所に居ないで全員中に入りなよ」
「あっ」
「はい」
学園長の部屋に通された。
【学園長室】
「良く夜の学園を出歩く度胸があるわね~」
「あたし達が泊まった部屋がA組の教室とC組の教室だったのですよ!」
「えっ?」
「…もしかして昼間から仕掛けられていたのかもね」
「もしかしてこの中にアシュクラフトの血筋が居るのか?」
「それオレです」
まじまじと見てくる二人組は穏やかに微笑んでいた。
「そうか…」
「それでどうなんですか学園長先生!」
「へ?」
「この夜の学園ですよ!」
「あぁ…それね」
学園長の話だとこの学園は出来た当初から既に夜になると学園の中が不思議な空間になり部屋も勝手に移動を開始してしまうらしい。そしてなぜかゴーストたちが夜になると学園をウロウロし始めて学園に残っている生徒を追い出したり儀式の生け贄にさせかけたりと大昔から変わっていないとのことを話した。
「だからこそ夜の学園に生徒が残らないように注意するでしょ?それからどうして夜の学園がこうなったか?学園が始まった当初からこういったのに耐性がある生徒たちを集めて【夜の学園探検隊】を始動させたのよ」
「どうして先生は入ってないのですか~?」
「ワタシとベネットは例外で平気なんだけどね。大人が入ると必ず迷子になったり、いつの間にか外に出されたりと夜の学園の中に居られないのよ」
「へぇ」
「【夜の学園探検隊】の子たちもあなたたちとは鉢合わせしなかった見たいだけど今も活動してるのよ?」
「えっ」
「それぞれの学年から必ずひとりは入っているのよ、そうすれば先輩から後輩へ夜の学園での過ごし方を引き継げるからね」




