夜の学園 その3
「他に何か方法なかったのか?」
「【変風の魔法】を使って振り払う事くらいか?」
「変風の魔法?」
「実体がない系統のゴーストに効果が抜群なんだけど…」
「けど?」
「辺り一面が一瞬臭くなるんだ」
「えっ」
「屁をゴーストに吹き掛けるもんだな」
「………そんな変な魔法があるの?」
「この魔法を知っている魔法使いが死霊系統のダンジョンに向かうと変な臭いが漂ってな…術者本人はガスマスクしてるぞ」
「本気で言ってるの?ビワト」
「本気だよ」
「なら次ゴーストいたらやってみろよ」
「ここで話してないで部屋を出ませんか?」
ノエルが理科室の様子が昼間と違って様子が変だと言い出したので早めに出ることにした。
【エイスワイズ学園】
《?学年の廊下》
「ヤライ、もう捕まるなよ」
「捕まるわけないだろ」
「それをフラグ建築っていうんですよ」
「今さっきの騒ぎが嘘のように静かね」
「これで廊下をのんびり歩けるですね」
「移動するんでしょ?」
「学園長の部屋を目指して歩くか」
「夜の学園がどうしてこうなっているか聞いてもいいですよね?」
「聞くと言うよりは尋問になりそうだな」
「ねぇ、誰か時間が測れるものない?」
「持ってるぞ」
「今の時間教えて貰っても良いかしら?」
「えーと…今は午後の10時半だな」
「まだ10時半なのか?俺からしたら深夜の感覚でなんだが」
「すでに深夜ですの」
「普段なら寝てる時間なのに眠くならないわ」
「たぶん普段とは環境が違うからな」
「それじゃ使うよ?【ライト】」
「ではさっさと歩きましょう」
クスノアが光魔法を使いオレたちは長い廊下を歩き出したが部屋の配置がランダムに配置されている事がわかり、階段を見付けるとオレたちは3年生達が使っている廊下に居ることがわかった。
「3年生たちの廊下でしたか…理科室に入る前は一階でしたよね?」
「次部屋に入る時はこの事も覚悟しないとですね~」
「学園長室って何階だっけ?」
「一階です」
「ならこのまま降りれば良いのね」
「行くか」
一方B組の教室に残っている3人は…。
《1年B組の教室》
「ねぇシナエ」
「なんでしょうか~ルーミ」
「シナエって喋り方が面白いよね?」
「えーと?」
「丁寧語で喋ったり年頃の男の子見たいな喋ったり方になったり…」
「…………」
「あんまりそう言った事に踏み込んじゃ行けないって両親から言われてるけど…気になっちゃって」
「まぁ…別に話しても良いですよ」
「置いてけぼりは嫌ですぅ!」
「カマトト振るの止めなさいよ、ここにはメルナの本性しか知らないのしか居ないから」
「何の事ですか~」
「ビワトとエクルには本性バレてるわよ」
「ちっ…面倒な奴らにバレてるとかマジ最悪ぅ~」
メルナはそう言うと椅子に座り机に足を乗せだらけ始めた。
「これぞ女の二面性です~」
「それでシナエの喋り方の理由はやっぱりご先祖から続くアレなの?」
「そうですね~厄介な物が引き継がれてますからね~」
「その厄介なのってなんなのぉ?」
「あら、メルナ知らないの?」
「ちょっ何でアンタは知ってるのよぉ」
「だって…シナエの家系を辿ると幻の村の人たちに繋がる位の有名な血族よ?」
「その辺は知ってるわよぉ、でも特性までは知らないわ」
「私の家系は代々【男女の間を行き来する】血筋なんですよ」
「だからどういうことぉ?」
「ざっくり話すと性別が変わるのよ。男が女になって女が男になるって事よ」
「私は男として産まれだけど…来年辺りに性別が変わります…」
「女になるって事ぉ!?」
「そうです~1度性別が変わって元の性別に戻って終わる人も居ますが~何度も行き来する人も入るんですよ~」
「シナエはまだわからないのねぇ」
「口調に対してはその辺を考えての事なんです~」
「学園に居るときぐらい自分の好きなように喋れば良いのに」
「ルーミもそう言ってくれるのですね~」
「他にも言われたのぉ?」
「…学園長に言われましたね~「学園に居る時は自分らしくいなさいな」ってね」
「へぇ…ギャンブル好きな破天荒なB…学園長だと思って居たけどぉ良いこと言うのねぇ」
「やること成すことで残念な人になるけど」
「ふふ…そうだね~」
ガチャガチャガチャガチャ!
「「!」」
「なんか最初に来たのとなんか違うわ…もしかして開けられちゃうかも」
「どうするのよぉ…」
「あっ確か結界の作り方を教わってましたね~陣を書きましょうか」
「そんなのがあるの?」
「うん」
「ならそれを書いちゃいましょう~」
ジレンの教卓からチョークを回収し結界の術式を急いで書き3人で結界の中に入り魔力を注ぎ術を発動させた。
するとガラガラガラガラとジュラハン見たいなのが侵入してきた。
「入って来れるじゃないのぉ!」
「ビワトも実際はその状況にならないとわからないって言ってたけど~入ってきましたね~」
「そうね」
「冷静に状況を確認してるしぃ~!」
ジュラハンがこちらにガチャンガチャンと音を立ててこちらに向かって来ているが術式が成功したのか結界に近付いて来なかった。
「これで一安心ですかね~」
「どうなってるのよぉ!」
「ビワト君のご先祖はとても優れた方と聞いてるし…」
「誰だってミスぐらいしますよ~」
開けっ放しになっているドアから恐ろしい事実をメルナは見つけた。
「あっ」
「どうしたの?」
「ねぇ…もしかしてあたしたち最初から騙されてたのかも知れないわ」
「急に素に戻ってるけど」
「学年と所属している組を確認できる木の板なんだけど」
「それがどうかしましたか~?」
「よく見てみなさい、アンタたちでも見れるでしょ?」
ふたりは開けっ放しのドアの方の上の部分を見た。
「…あれ?1年A組って書いてある」
「えーと………【ブライトライト】!」
シナエが【ブライトライト】を使いメルナの左手を掴みルーミがメルナの右手を引っ張り教室から走って出て廊下に出てとにかく走り出した。
「どうする?」
「このままだとビワトたちとは合流出来なそうですからね」
「ふたりとも手を離して」
「わかった」
ルーミとシナエはメルナの手を離した。
「バット寄越しなさい、驚かせてくれたお礼をしてヤるわ!」
「はい」
「さてどこに向かいましょうか」
「B組を目指しながら避難出来る場所を見つけたらそこに避難しましょう」
こうしてシナエたちもバットを振り回しながらビワトたちと同じように教室から脱出してさ迷うことになった。