夜の学園 その2
【エイスワイズ学園】
《1年B組の教室》
「ジレン先生なに考えてるのよ」
「男女を分けるためだそうですよ~」
「なら2年B組でもいいじゃないの」
「何か理由が有るんじゃない?明日先生に聞きに行くとよろしいかと」
「そうするわ」
「よし出来た」
オレは特性バットを6本作り上げた。
「この【悪霊退散】って書いてあるバット…見たことない文字です」
「気にするな、これで打つんだよ」
「ゴースト系統って普通は物理効かないよね?」
「この奴なら効くんだ、聖魔法を作るときに注ぐからな」
「これがあれば探索出来るんじゃね!」
「この人まだ言ってますぅ」
「8人でぞろぞろ出ても良いけど…ビワト君、ホントに全B組の教室はゴースト侵入できないの?」
「そう両親から聞かされているけど…実際に確かめるまではわからないな」
「そこなのよね」
「……」
「どうしたの?ノエ…」
「サティもどうし…た…」
ノエルとサティが校庭側の窓を見ている方にオレも振り返ると窓にびっしり青い炎が漂っていた。
「うぉお!」
「おや~」
「確実に狙われるじゃないの」
「もう嫌ですぅ!」
「こうなったらヤるっきゃないですね」
怯えた様子だったのにノエルはやる気に満ち始めた。
「えっ!」
「わたしはこんなのに囲まれて寝るのは嫌です」
「苦手な奴は安全なB組の教室に居れば良いと思うぞ」
「と言うことは!」
「この夜の学園を探索してみるか、滅多に無さそうだからな、最大で5人パーティーが良いだろう」
「あたしは残るですぅ…」
「私も今回はお留守番してますね~」
「あたしは行くわよ…職員室に行って先生の机にイタズラしてやるわ」
「俺は当然行くぜ!」
「あたしも残るわ」
「ルーミさん?」
「あたし見たいなのが残ってた方がいざと言う時に役に立つでしょうから」
「そうだな」
「クスノアとノエルも行くか?」
「…そうだね、こういう体験はなかなか出来なそうだし、おれも行くよ」
「わたしも行くです!」
「決定だな、教室に残る組はシナエ、メルナ、ルーミの3人で探索組はオレとヤライとサティとノエルとクスノアの5人で良いんだよな」
…ひとりだけ不純な考えを持っているのが居るけど良いよな。
「おう!」
「それで良いわ」
「残り組の方にも特製バット2本置いてくな」
「えっどうして?」
「あった方が用心になるだろ」
「使い方はバットを振れば良いの?」
「そうだ」
「5人とも気を付けて行ってね」
「はいです!」
オレはヤライ、ノエル、サティ、クスノアにも特製バットを渡してガラガラと教室のドアを開けて廊下にでた。するとあまりの学園の変わり様に驚いた。
【エイスワイズ学園】
《1学年の廊下…B組前》
「なっなんなの…」
「こっこれは…」
「おっふ」
「ヤバいです」
「これ程とは…」
そこに映る景色はなんだろうな…雰囲気が出ているのと学園に有る筈がない墓石が中庭に沢山建っていた。
「なんで墓石が有るのよ!」
「ダンジョン化してないよな?」
「学園がダンジョン化してたらギルドにしょっぴかれるわ!」
「だよな」
「でもあり得なくないですよ…この雰囲気」
「チェストォオオ!!」
「早速おっ始めたぞ!サティの奴!」
サティは近くに居たゴーストに向かって行き、カッキーン!カッキーン!とバットを振り一心不乱にゴーストを星にしている。
「もう出てきたですか!」
「おっ俺も行かせて貰うぜ!ヒャッハー!」
だがしかし一級フラグ建築士のヤライは…
「きゃぁああああ!何でぇええ!?」
「何でお前が拐われとるんじゃい!」
「二度あることは三度ある…」
「不吉の事を言ったです」
「そんな事言ってないで追いかけるわよ!」
ゴーストはヤライを宙に浮かべ結構な速さでヤライを連れ去った。
オレは風魔法でのスピード上げのコツを3人に教えゴーストを4人で追いかけている。
「ビワト君凄いですね…風魔法にこんな使い方が有るなんて思いませんです」
「これだと早く走れて楽しいわ!」
「後、息切れしないね!」
「お前たちも凄いけどなコツを教えただけで直ぐ出来るよになってんだから、それにしてもコイツらどこに向かっているんだか」
「最初の時なんてガキが居るっていってたわよね」
「もし儀式系であれば学園長は何をしているんだってなるですよ!」
「廊下ってこんなに長かったけ?」
「長くなかったわよ」
「あっ!ヤライ君連れたゴーストが入った部屋がしまってしまいます!」
仲間のゴーストたちがギギギ…と扉を閉めようとしていたがオレはブーストを使って勢いを付け両手に特製バットを持ちクロスして扉に突っ込んだ。
「これでどうだ!」
閉まり掛けていた扉は大破する事なく一切の傷が付かずオレはそのまま扉にぶつかった。
「いっ…痛っ~~…」
「ビワト!平気かい?」
「扉が壊れるかな?って思ってたが…まさか弾かれるとは」
「何て言ったってエイスワイズ学園の扉だからね」
「やはりとても丈夫ですね」
「拐われちまったな」
「カギを掛けられた見たいだね」
「鍵を取りに職員室に行くしかないか」
「一旦おれに任せてくれない?」
クスノアがそう言うとポケットから細長い金属を取り出した。
「やって見て無理ならサティが目的にしている職員室を見つけに行こう」
ガチャガチャと鍵穴を探り始めて居るとさ迷っているゴースト達が襲ってきたがサティ無双が起きてどんどんゴーストが星になった。暫くしてガチャっと鍵が開く音が響いた。
「あっ開けられちゃった」
「これはこれでナイスだ」
「鍵開けが出来るなんて凄いじゃない!」
「そう?人に誉められる特技じゃないけど」
「凄いです!」
「それじゃ先頭進んで見るか」
ガラガラと《理科室》を開けるとテーブルにくくりつけられたヤライの姿が見えた。
【エイスワイズ学園】
《理科室》
『ナニシニキタ…取り込ミ中ダゾ』
「あっすみませんでした」
「違うでしょ」
「どせーいです!」
ノエルが特製バットを投げるとぐるぐる回転しながらメスを持っているゴーストに直撃してビューンとメスを持ったまま勢いよくどこかへ飛んで行き、そしてバットがヤライの急所に直撃してダメージを受けていた。
「おぉお……!?」
「男の子の急所に当たった…!」
「あれは超痛いな」
「男にしかわからない痛みですか?」
「やった本人がそれを言うのね…男ふたりして内股になってるじゃない」
ヤライは股間を両手で隠し震えながら悶絶していた…痛みが収まるまで待った。