夜の学園
【エイスワイズ学園】
《1年B組の教室》
「うぉわ!!」
「驚かせてごめんなさい~」
「マジで悪い」
「……ごめんね」
そこにはシナエとヤライとクスノアが蝋燭に火を灯し肝試しの様になっていた。
「頼む、心臓に悪いことをしないでくれっ」
「ふふ、ビワトも年相応な反応してくれて良かったです~」
「このメンバーになるのは初めてだよな」
「確かに新鮮ですね」
「それで、何でオレを囲っていたんだ?」
「トイレに行きたくなりまして」
「3人なんだから行けるだろ、それに1人よりましだろ」
「このメンバーだと心細くてな」
「この学園のホラー話は一切聞いたことないぞこの学園の【学園七不思議】はホラー話じゃないし」
「そうなんだけどね…夜の学園ってその…怖いでしょう?」
「寮生たちは学園に入れないから…この学園に居るのは実質おれ達とメルナとサティとノエルとルーミの4人と学園長先生だけですし」
「学園長先生は寮では寝ないでいざというときの為に学園に寝室作ったって母さんから聞いたよ」
確かにな…オレも父さんと母さんから話は聞いてる。
父さん達でもこの学園にある秘密の部屋を5つ見つけたと言っていたが他にもありそうだとぼやいてたな…そして悔しそうにしてたし。
「所でクスノア」
「なに?」
「サティたちも含めて寮に入ったんじゃないのか?」
「あぁ…手続きに時間が掛かっていましてまだ入居出来ていないんですよ」
「どこで寝泊まりしてるの~?」
「学園と提供している宿で泊まってます」
「へぇ」
「でも…何か後ろ指を指されてる感じがして寝た気はしませんが」
「泊まってる意味なくね?」
「ははっ」
少し投げやりな感じが凄いな。
そして話をしている間に学園の事についての話になった。
「この学園自体がなんか秘密に満ちてるもんな」
「トラップ部屋もたくさん有りますが…」
「そこなんですよね~」
「秘密の部屋か…」
「ヤライは見付けようとするなよ」
「何でだよビワト」
「絶対に罠に掛かってオレたちクラスメイトが探すはめになるだろうからな」
「そんな事はないと思うぞ」
「フラグ立てているのですから~」
「夜の学園に泊まった事がある母さんたちが苦労した話をおれは聞いたよ」
「その辺はこの学園の卒業生を親に持つと聞くんだよな」
「そうですね~」
「そうなのか?」
「ヤライ君は新規の入学組だから知らないか」
「親父たちは実家の町の学校の出身だからな」
「それよりはお前たち、トイレはどうした」
「…窓からやって良いか?」
「止めとけ」
「仕方ない、トイレに行ってここに戻ってから続きを話そうぜ」
「うん」
4人で教室の外を出ると特に変わりがなく今までにない速さでトイレに向かいまたまた素早くトイレを済まして教室に戻った…オレも使った。
【エイスワイズ学園】
《1年B組の教室》
「あら、お帰り」
「サティたちどうしたんだ?隣の教室で過ごしていたんじゃないのか?」
B組の教室に女子の4人が居た。
「なんかふと目が覚めてね」
「4人でお手洗いにいったのです」
「いつも通りの場所にあったんだろ?」
「それが…」
「何かあったのか?」
「遠かったんですぅ」
「えっ」
「いつもの場所にお手洗いが無かったのよ」
「マジでか…」
「それとお手洗いから戻って見たらC組の教室がなかったです」
「えっ」
「だからこの教室に戻ってきたの」
「えっ!」
「やっぱりなんかあるのこの学園!」
「曰く付きじゃないが…この学園自体が不思議な空間らしいくて…朝になると元通りになるみたいでな。帰宅組をどんな用件が残っていようとも絶対に時間ピッタリに帰らせるだろう?」
「そうですね~」
「ふふふ…この学園全体を囲む魔力は何なんだろう?」
「ちょっルーミ!」
「悪意が有るわけでも悪影響が有るわけでもないからな」
「分かる人には分かるやつなのね…感知魔法もう少し鍛えようかしら」
「まぁ…3000年以上前からある学園ですからね~大きな戦争の戦禍に巻き込まれた時にもこの学園だけは落ちた事がないのは有名な話ですね~」
「夜に侵入者を学園に入れてもこの性質のお陰か重要な部屋には入られたこともないと逸話になってるからな」
「へぇ、そうなんですか…」
「あら、ノエルは聞いたことないの?」
「はい、父がエイスワイズ学園出身ですが、その辺は興味がなかったみたいなので」
「所で皆」
「どうしたのですか~ヤライ」
「今からこの学園を探索してみないか?」
「私は辞退します~」
「絶対に嫌ですぅ!」
「んー…確かに気になるけど」
「嫌です」
「嫌だ」
「面倒そうだからパスで」
「あたしもやだ」
「…度胸がないな」
ピンポンパンポン~♪と放送室から放送が流れた。
「ひっ!?」
「放送室からですかね~」
「なに!なに!」
「次から次に何なんですぅ!」
「あら、何かきたわ」
「そうだな」
【あぁ~マイクテストぉマイクテストぉ~これから~ゴーストたちにヨル、順回ノ時間ですぅ~もし人間ヤ獣人等が居るノデアレバ~大人しくB組の教室に居た方ガ懸命ダと言っておくダズ~】
「何か流れたぞ!」
「ですぅ~!」
「放送聞いても呪われませんよね?」
「クスノアの心配事はそこかい」
「…サティ気絶してます~」
「ホントだ…ツンツンしても反応しないわ」
するとガタガタ、ダンダンダンと扉を開こうとする音と叩く音がしてきた。
「「「ひぃいいいい!!」」」
「直ぐに来ましたね~」
「開けられないから平気だな」
「それに昼間は校庭や廊下が見えるガラスなのに今はマジックミラーになってて見えなくなってるわ」
「ホントだ」
「少し聞き耳を立てて見ましょうよ~」
「シナエェ…」
と言った後は静かに聞き耳を立てて見た。
『ココニガキガ居ルゾ』
『クソ!ヤハリ開カヌカ!』
『仕方ナイ、次の部屋にモ確認シニ行クゾ』
『夜ハ我々の時間ダ!』
ガラスを見ると4つの青い炎が別の部屋に向かっていくのが見えた。
「もう行ったですか?」
「行ったですぅ~」
「これでも行きたいかい?ヤライ」
「………………」
「あいつら位ならもしかしたら打てるかもな」
「ん?打つ?」
「ゴーストを物理で打つ我が家に代々作り方が伝わるっている奴がな」
「そんなのがあるの?」
「あぁ、トレニアも作れるかもな」
「そういえばトレニアも帰宅組なのにここに居ないよな」
「……オレたちがぐだぐだしてた時の教室には居たよな?」
「あれ~?居たっけ~?」
魔術ではこのクラスのトップだろうからな…平気だろ。
「さて話を変えるぞ」
「話を変えちゃうですね」
「安心して話せるこの教室に居れば安心だから…たぶん」
「どうしてこの教室なの?」
「この教室…違うな全B組の教室には【退魔の聖樹】と言われる木が使われているのを知っているか?」
「へ?」
「何でもこの学園を初めて卒業した人たちの中にとてつもない程のビビりの人が居てな」
「うん」
「その人の為にオレの先祖がB組の教室だけどんなゴースト系統全ての侵入を防ぐ様に作り直したらしいんだ…実際に事が起きないとわからないなが」
「わからないんかい!」
「どうしてビワトは知ってるの?」
「この話が代々、親から子へ伝わってるんだ」
「そういえば父さんたちも学園で何度も寝泊まり経験すると必ずB組の教室を使うようになる言ってましたね」
「ワタシのパパとママも言ってたですぅ」
「メルナの両親もか」
「なら、あたしたち女子がC組に寝かされてた理由は何かしら?」
サティが復活し仁王立ちしていた、目を三白眼にして怒っていた。




