メロンの茎の様子が…
「くっ!固い!土が固い!!」
「鍬が通らない!」
「うぅ…鍬の柄の部分が顔面に当たったですぅ」
「ここに居るクラスメイトが鍬でダメージ受けてるし」
「ビワトお前にもたんこぶが出来てるぞ」
「エクルもな」
「女子にすらこの態度なのね?」
「畑の癖に生意気なのよ……痛っ!」
生意気なのよと言ったサティに足掛けをしやがったぞ、この畑。
「くっ!」
「やっぱり種族とかの差別ってあるのですかね?」
「えっ」
少し離れて畑作業をしてるシェルファとシナエが鍬を使っているとサクッと土に鍬が入った。
「お前たちには畑さんに対する態度をあらためる必要が有るんじゃないか?」
「先生もじゃね?」
「先生ぇ…」
「土に纏われてるわ…」
「なつかれているのか?」
「どちらかと言いますと恐れられてますね」
「今日中に種を植えられるか?」
「種蒔きが終われば交代制で水撒きになりますからね」
「シナエとシェルファと一緒の班だとちゃんと出来そうだな」
「それはわからないぞ~」
「先生さっきから遮らないで下さいよ」
「お前たちも口を動かしてないで体を動かせ」
「わかってるよ」
先生と共に黙々と体を動かし始めた数分後に悲鳴が聞こえた。
「きゃぁあああ!!」
「なんだ!何が起きたんだ!」
悲鳴が聞こえた方に向かうとヤライが急成長したメロンの蔦に絡まれていた。
「女子じゃないのかよ!」
「叫び方が乙女!」
「どうして急成長したんだ!」
「それはね」
「うぉ!ルーミか理由を聞いても?」
ピンクブロンドの髪を持つ魔女の格好をしているルーミが背後から現れた。
「うん、シェルファちゃんが突然ぐへへと言い出したと思ったら変な液体を種に撒いたらあぁなったの」
「まさかのマッドだったのか!アイツ!」
「ひぇ~!」
「見た目とのギャップが凄すぎて…」
「い~ひひひひひひ!」
「どこどの魔女じゃ己は!」
離れないとヤバそうだと一斉に畑から離れたクラスメイト12人と担任1人。
「先生!どうにかしてください!」
「ほぉ~見事なメロンの木になったな~」
「呑気に言わないでくださいよ!」
「木じゃないよう!茎が太くなっただけだよう!」
「あれはこの畑の守り神に出来そうだな…いっちょやってみるか!」
「人を襲った時点で無理だから!」
ジレン先生は素手でメロンの木…もとい茎に向かって走り出した。
そして蔦を使って先生を攻撃しているが先生は攻撃を避けどんどん本体に向かっていき本体の茎を掴むと「フン!」と魔力畑からミシミシと音が出始めていた。
「おっ!凄いぞ!」
「あっ根っこが見えてきた!」
「いずれあの域に達するのが現れるのですね」
「でもメロンの茎が木みたいになるの初めて見ましたね~」
「普通はねぇよ」
「全くよ」
ホワァチャァアアア!!
「メロンの蔦に捕まったのはヤライだけか、逃げ足が早いのは良いことだな」
「学園でやる団体戦とかでまた捕まったりして」
「まさか~男だよ?そう言ったのとかって普通は女子じゃないの?」
「フラグを立てるな」
「でも団体戦は暫く有りませんよ」
「毎年の冬にやるんだっけか」
おんどりゃぁぁああああ!!
「BGMがうるさいな」
「僕たちはB組の上級生の人たちと一緒にやるんだよね」
「どんなに才能がない人でも最上級生から最高指令官なのよね」
「…冬にやるからその辺の対策しとかないと」
「まだやって…シェルファたらメロンの木もどきを従えてるわ」
「鞭捌き上手いわね~」
「先生も先生だけどな、鞭食らっても物ともしてないぜ」
「あっ!」
遂にスッポーーーーンと根っこが根こそぎ取れた。メロンの木もどきを従えていたシェルファの奇声はなくなり普段の大人しい感じに戻りシェルファは顔を赤くして物陰に隠れた。
「………ふぅ!」
「先生!」
「このメロンの木をこの畑の守り神にするか」
「凶悪なメロンの木もどきが守り神なのは嫌だよ」
「従える事が出来たら最高の守り神になると思ったんだが」
「止めてくり」
「先生、ヤライを回収しましたか?」
「あっ」
「忘れたんかい!」
「回収してくるからまってろ」
先生はメロンのかなり太い蔦の元に向かいヤライを回収しに向かった。
「…なんか甘くて豊潤な香りが立ち込めてきてないか?」
「確かに…」
「おい!メロンの太い茎を見てみろよ!メロンが生ってるぜ!」
良く見ると所々に高級そうなメロンがたわわに実っていた。
「すごい量だな!」
「メロン…」
「食い放題…」
「ひゃはー!」
オレたちは全力疾走でメロンの元に向かっていった数名のクラスメイトを見送った。
「勢いが凄いな、行く前に危険じゃないか調べないのか」
「どこどの山賊よ」
「ダンジョンでトラップに嵌まる系ですね~」
「ウィンドカッターで器用に切ってるな」
「あたしメロン苦手なのよね」
「フリアは苦手なのか」
「食べると舌がピリピリと来るのが嫌なのよね…だからスイカの方が好みよ」
「あー食べまくるとなるよな」
しばらくするとジレン先生に横抱きされながらヤライが生還した……先生もメロンも抱えながら。
他のクラスメイトたち?はウメェ!とか美味しい!と言いながらメロンを食べていた。
「ぷっ…先生もメロンをさりげなく収穫してるし」
「ヤライ君なんてまだ蔦に巻き付かれてるわ」
「既に本体と蔦が切り離されて居るのにまだ締め付けてますからね…物凄い生命力を感じますね」
「ヤライの奴なんか」
「それ以上先の事は言わないでやれ」
なんかその…うん…言わないでやるか、すると先生がこちらに近付いてきた。
「お前達も収穫を手伝ってくれ」
ドサッとヤライを無造作に置いた。
「収穫って…他の者たちは食べてるが」
「これだけあるからな食いながらでも良いだろ」
「先生種蒔きどうします?」
「この太い茎とかを肥料にしてからまた埋め直せばいいな、それに昼食も取れて最高だな」
「メロンが昼ごはんなんて聞いたことないですよ」
「俺もだ」
「アイテムボックス持ってないですよ」
「それなら大丈夫だ学校指定のこの収穫かごに収穫したら入れてくれ」
先生の指示でオレたちもメロンの収穫に向かった。