決着
金属と金属がぶつかる音が鳴り響く事…5時間が経ち…。
「どうした…さっきまでは本気出してなかったのか?なんか強くなってね?」
「そりゃあそうよ、有名どころの血筋が多いんだから…今年はあの伝説の村で暮らしていた、人たちの子孫が今年も入学してきてるのよ?」
「あぁ…確かババアが言ってたなそんなこと」
「学園長の事をババアって言わないのよ」
「それに空島の【ニホンの街】に居た【観測者のおふたり】に鍛え育てられたアイツの弟【ルミナレス】も居るしな」
「そいつはさっきから木の影に隠れてサボって居るけどね」
「………隠れていると言うよりは「僕は木です」って主張して寝るぞアイツ…姉は真面目なのにな」
「怠そうにしてたもんね…入学式で」
「ババアの見えない攻撃を姉と同じ方法で普通に寝ながら防いでたしな」
「濃いな今年の入学生は…カルエちゃん大変だ~」
「まぁ、あたしたちも卒業までまだ3年間あるもの…それまでにはね」
「俺たち世代が今のところ黄金世代と言われていたが……さてとカルエに全て任せていたがそろそろ行くか」
「カルエがひとりで5人相手してくれてるし」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「君は?」
「わたくしの名はエルメア・シュティーエと言います…エスピエンド街の領主の娘でございます」
エスピエンドと言えば音楽の街で有名な所か……オレの家系はエスピエンドの吸血鬼の血筋とは因縁があるらしいからな…仲良くなれるか?もしかしてアカーンな奴か?
「そうか…オレはビワト・アシュクラフトと言うこれから8年間宜しく」
「はい、こちらこそ8年間宜しくお願いします。そろそろ頃合いですか…わたしは加勢に行きます」
そう言ってエルメアはこの学園の生徒会長の足止めをしている5人のもとへ向かった。
「なんか向こうも複雑そうにしてたな」
「それはそうと君は行かないのですか~?」
「まだ…その時じゃない」
「君と合いそうですね、私はシナエ・ウッドフランドアって言うんです…こう見えて男ですからね~」
「…そうなのか?オレは」
女に見えたが…男か…人を見た目で判断するなと父親と祖母に教わったが…こうも見分けが付かないのも居るんだな。
「そうそう名前は言わなくて良いです。さっきの会話聞いていましたから~」
「抜け目ないなお前は…何となくだが確かに付き合いは長くなりそうだな」
「君とはどこかであった感じがします…不思議です~…それにしても強いですね~」
「今戦っているのは学園のトップたちだからかもな………そろそろ頃合いだな…来るぞ!」
「私も入学式での功績残さないとです…これからの授業とかに響きますからね~」
突如空に七属性の魔方陣が現れ一斉に味方や敵関係なく攻撃し出した。
「うぉ!今度は何だ!空から炎が降ってきたぞ!」
「こっちは水だよ!」
「にゃーー!敵味方関係なしにぶちこんで来やがったにゃ!」
「きゃーー!こっちは雷よぉ!」
「おい!カマァ!魔法の防御膜張れやぁ!」
「アタシはか弱い乙女なのよぉ…てっ!オカマ嘗めんなぁあ!」
突然上級生のふたりがやり合い始めた。
「もう作戦が台無しよ!オネェとヤンキーが喧嘩始めたんですけど!」
「貰った!」
「隣貰うわよサフィオ!させないわよ!ラスターの弟君!」
「防がれた!」
ガっと土壁に当たったのがでた。
「いったいです!何なのですかこの壁!」
「ほら入学生!隙ありすぎよ」
「くぅ~!」
「お先に失礼!」
「頑張ってくださいね~」
「なっ!抜けられた!カルエ!そっちに追加のふたり行くわよ!」
シナエと同時に土壁の上を飛び越え生徒会長の側まで抜けたが…。
「あら?ついに本命が来たわね」
「…6人掛かりでも駄目みたいですね~」
生徒会長に戦いを挑んでいた6人は戦意を奪われていた。
「良く見ろシナエ…あの人は魔族ハーフの人だ」
「じゃあ魔法効かないですね。物理のみですか~」
「あら…良くわかったわね」
「「角隠せてないですよ、先輩(~)」」
魔族の特徴である2本の立派な角が出ていた。
「あら…隠してたのに出てたのね」
「そろそろ終わらせないと学園長に怒られそうね…こちらも本気で行くわよ?」
「指導の方も宜しくお願いします!カルエ先輩!」
「その心意気よろしい!」
「私は援護するね~」
オレは剣を捨て父さんから持たされた刀を取り出し、会長に斬りかかったが防がれた。
会長の技は凄く綺麗で見とれていたら上級生に睨まれた…あの人は…犬耳を着けたコスプレしたオッサンだ…いや…獣人族の上級生か?睨んでくるとは…付き合ってんのかこのふたり?
「どうしたの?本筋アシュクラフトの次期当主君?」
「スミマセン…あまりにセンレイされた技だったので見とれてました」
「えっ!」
会長は顔を赤くしていたが…。
「隙有り~!」
「甘いわ!」
シナエの技は防がれた。
「ならこれなんてどう?【フロストプリズン】」
突然氷の檻が会長を包んだ。
「あら…あなたは木の陰に隠れていた子ね?…しかも無詠唱とは末恐ろしいわね~」
「はい、僕はトレニア・ルミナレスと申します…これからよろしくお願いします…カルエ先輩」
「あらアザレアの……それからルトラウス先生たちのお弟子さんね?」
「ルトラウス様たちは…姉と僕を育て上げたその日に空に旅経ちましたよ」
「そう言えば…新たな【観測者】が生まれたと学園長が騒いでいた時が有ったわね…【星降る奇跡の日】がそうだったのかしら?」
オレもこの学園に来る3ヶ月前に起きた天体ショーはとても綺麗だったのを覚えているよ。
この世界の始まりの時から生きていると言われていたけど…そうか亡くなったのか【影守の剣士】と【光斥の魔導王】に会って見たかったな…それに父さんと母さんも何か悲しそうだったのを覚えてるよ。
「僕と姉は資格が無かったので継ぎませんでしたけどね」
「そうなの…だからか…叱る人が居なくなったからアザレアは平然と授業をサボり始めたのね、全く後で対策を練らないと……さて本気で行くわよ!」
「…魔法で援護するから近距離攻撃を頼めるかい?」
「わかった」
「間を取って中距離にするからビワト頼んだよ~」
そして始まる1対3の攻防が始まったが…さすが学園生徒トップだけあって攻めきれない。
何となく連携を取れているが…途中でふたりして抜けやがった。
「ふぃ~…もう限界です、ビワト後は宜しくお願いします~」
「魔力切れだね…身体が怠いや」
「まだ切り合ってるよ。凄いねアシュクラフトの本筋~」
「彼がそうなの?」
「アシュクラフト姓名は【子育て天使】が居た事で各地にありますからね~本筋は昔から続いている癖にその辺の貴族と違って威張り散らしたりしませんから~」
「確かに…」
「おう入学生…限界か?」
「先輩じゃないですか、私はもう無理ですね~」
「僕も魔力切れです…他の術もありますが…今は出しません」
「そうか…」
「あら…限界来たの?」
「こちらも先輩じゃないですか~」
「アタシも魔力切れだから戦えないわよ……剣術と刀術の合戦凄いわね……って先に倒されたひとり復活してるけどまともに動けてないじゃない」
「それなら僕が動けないように仕掛けたんだ」
「「「えっ」」」
「ふたりの戦いを邪魔しようとしてたからつい…」
…睨んでる…吸血鬼ちゃんがこっち見て睨んでる…オレ何かしたか?…仲良くなれそうにないかもな。
「新入生!よそ見しないのよ!」
「わかってまー」
「タイムオーバーーーよ!それまで!」
学園長が突然仲裁に入ってきた。
「あら…もうそんな時間ですか」
「カルエ良くやったわね…新入生もね」
「はい」
「これにて今回の入学の腕試しは引き分けよ!引き分けなんて何年ぶりかしら?…今年から学園は面白くなるわね。今日は夜になっちゃったから学園で夕食を食べて少し休んでから帰宅組は帰りなさい。
今日は予想外な結果になったから魔法汽車を使い帰宅組を送るわ!薬師学科の子たちあとは頼んだわよ!」
学園長の宣言によって薬師学科の生徒が現れ回復してくれた、そして学園の食堂に案内された。




