転生と学園の伝統の対抗戦
「母さん行ってきます!」
「ビワト!気を付けて行くのよ?」
「わかってるって!行くぞ、ルヴェル」
『心得ましたわ!』
オレはビワト・アシュクラフトとても古い時代からある名門の血筋だ。
何代か前の爺さんが馬鹿をしたが各地に伝承が伝わる剣士【水泡の魔剣士ティルクス】と言う剣士が止めた事で大事件にはならなかったらしい…ホントかどうかはわからないが。
その事もあって一度没落したが悪さをした爺さんはその後は反省し世界規模で起きた【魔獣大発生】と言う出来事で各地を無償で周り沢山の人を救った事で名誉挽回した。
その頃にとある国のロリ姫が爺さんに一目惚れし押し掛け女房をかましひと悶着あったがその国の王は泣きながら許可を出したそうだ。
そんなこんなで世界でも珍しい四大貴族の【自由貴族】に仲間入りした事で五大貴族となったが元の四大貴族どもはいまだに四大貴族と呼んでるよ。
それでも各地を自由に動ける大変名誉な称号を受け取り今日まで続くアシュクラフト家の地盤を作り上げた。
『空の旅は楽しいわよ、邪魔が入りにくいから。それに今年の【シルト街】からの入学はビワトだけだし』
「その代わり来年がとても多いからな?オレの街から学園に行くの。…こちらのアシュクラフト家は魔法の他に竜騎士の家系としても有名だったからな」
『それも結晶ドラゴンの方の家系ですから!ある程度の高さ飛べるわよ』
「そうだな…雲の上の空旅はホントに神秘的だよな」
『この勢いのまま学園に行きますわよ!』
「早めに出たんだ、もっとゆっくり行こうぜー」
『能天気め』
「別に良いだろ?今日が始まったばかりなんだから!」
『仕方ないわね…ビワトの意見を尊重してあげるわ』
「サンキュー、ルヴェル」
空の旅を悠々自適風に楽しみながら学園に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【エイスワイズ学園】
《入学式会場》
「伝統ある我が学園にようこそ新入生諸君!入学おめでとう!この学園は王族、貴族、魔族など…そんな身分や種族は関係ない!全て平等に扱われる!」
この挨拶をしている学園長はこの学園設立当時から学園長をしている賢者【モーリン・タリフェルス】と言う化物ババアである。
「ワタシの事をババアって呼んだの誰かしら?」
オレを含めた入学生半数以上がビクっと反応した。
「今年の入学生は大物になるのが多そうね?…まぁいいわ…ババア呼びは入学式の洗礼よね…。
こほん…まぁ良いわ…さてこの学園で学べる事を沢山学び有意義な学園生活を送りなさい、この学園から何人もの英雄伝説に語られる人物が卒業してるわ。
ここに来たからには知識を深め人脈を作り上げ、より良い人生になるように努力しなさい!この学園では恋人を作ることは認めているけど【不純異性交遊】と【婚前契約】は絶対に許しません!!…この学園での交際を始めるとほぼ100パーセントそのままゴールしますけどね…」
…どっちも同じ意味じゃねぇか隠せよ。父さんと母さんもここで一目惚れして交際開始してそのままゴールしたって言ってたけ…あのバカップル…脳内ピンクどもめ…人前でいつもイチャイチャしやがって。
「これでワタシからの話は終わるわ…生徒会長のカルエ宜しくね」
「おまかせ下さい…この学園のトップをしているカルエ・ルランフェルと言うものよ…新入生たちはこの後に学園の校庭に集まってちょうだい…学園の洗礼を受けてもらうわ」
団体で移動を始めた。
「制限時間は無いわ。隣の人と組んでも良いし…ひとりでやり過ごしても良いし…あなた達の先輩たちは容赦しないわよ?」
キター!…入学式の洗礼…父さんたちから聞いた話だな…在校生と新入生でやり合うんだよな、これに負けると先輩が卒業するまで奴隷生活8年間になるんだよな…これまで鍛えたんだ上手く行くよな。
「では始め!」
するとどこからともなく先輩たちが槍や剣、斧や弓を装備してこちらに攻撃を始めた。
「オラオラ!新入生!気合い入れろ!」
「我々は容赦しませんよ?」
「ここ最近は在学生の勝ち越しがつづいてるからね!」
マジで容赦ねぇ!魔法打ち込んで来る人いるし!
「兄さんに負けてたまるかぁ!」
「ホントに容赦ないのね!」
「ならこちらも本気で行かないと…」
「やってやるです!」
さてオレも…いざ!尋常に勝負!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はぁ……はぁ……ホントにキツいな…はぁ……」
「今年は骨があるわね…!」
「まだ立ち上がって居るのが10人居るのか…今年は粒揃いだな」
「体力持たない…」
「弟よ…見込み甘かったな?」
「何なのですか!…お母様の修行よりきついのです」
「ホントね…」
「足がガクガクしてるよ~」
「ここまで踏ん張ったんだが…な?」
「化け物だらけね」
「いずれあなたたちも化け物の仲間になるのよ」
「分校に行けば良かったよ」
「全くだ」
「もう終わりかしら?なら今回もわたくしたちの勝ちですわ」
すると凛とした声がオレの背中の方から聞こえた。
「いいえ…まだ終わりではありません…私はまだまだ戦えます」
「!…その短剣の紋章は……そうあなたは【シュティーエ】の名門のご令嬢ね」
「ここでは家の事は関係有りません」
「なに言ってんだお嬢…もっと有名な【自由貴族】の血族が居るぜ」
在学生たちがオレを凝視してきた。
「本物なのですねこの【ルミナレスの花の紋章】は……認められた血筋…」
この【ルミナレスの花の紋章】を使えるのはオレの家族と叔母しか使えない…その他の分家の紋章は馬の紋章を使っている…そして従魔も馬の系譜の魔物である。
「何年ぶりだ?アシュクラフトの本家筋が入学したのは」
「生徒会の活動記録だと【青紫の宝石】の入学は約20年振りですかね?」
【青紫の宝石】って何だ?聞いたことないぞ?…確かに瞳の色は青紫色してオレの持つ瞳の色がアシュクラフトの血を引く証でもあるが…。
「あぁ~俺も今年入学したかったな」
「えっ」
「アシュクラフトの本筋が入学すると賑やかな8年間になるのですよ」
「伝統ですわね」
「伝統と言うより約20年周期で繰り返される惨劇の間違いじゃないか?」
一瞬時が止まった感じがした…父さんや歴代当主の爺さん婆さんたちは何したんだこの学園で。
「否定はしないわ」
「それに約20年前のフジトラ様とシアレ様の恋愛物語は有名ですからね!」
「そこ、話しないでさっさと終わらせなさいー」
父と母よ何をしたんだこの学園で………外から野次が飛んできた…化物ババアの。
「この辺の話は時間があったら話してやるよ…今年も俺たち在学生の勝ちだ!」
だか!キーンと防いだ音を鳴り響かせた。
「先輩…オレはまだまだやれます!ご指導の方宜しくお願いします」
「…私の背中をあなたに預けても宜しいですか?」
背中の女子の声…懐かしの様な…不思議な感じがするよ…どこかで聞いた声なのか…いやあり得ないな。
「あぁ…任せてくれ!」
再び戦いのコングがなった。