旅路と誓い2
「トウリ~ご飯ですよ~」
「いま、行きます」
階段を降りトウリが居間に着くと。
「ばあちゃんの勉強は終わったか?」
「ばあちゃまのべんきょうはおわってます」
「ならトウリの誕生日を祝いましょう!」
「勉強会の子供達もそわそわしてたらしいからな」
「…とうさんとかあさんのさぷらいずはよそうしてましたが」
「さぁさぁ…冷めないうちに食べましょう」
「ばあちゃんとじいちゃん特製の…」
「きょうはかあさんのケーキがたべたかったです」
「ティルクスの言う通りケーキ作っておいて良かったですね」
「あるのですねっ!」
「イベリスのケーキ旨いもんな」
「はい…かあさんのケーキはおいしいです」
「もう…ふたりして…」
ゆっくりと夕食を過ごした……何か今日は時間がゆっくり流れるな。
【フォレスト霊峰山】
【星河の平原】
「かあさん…はなしってなんですか?」
「トウリ、母さんは今日でこの世を去ります」
イベリスがド直球で言い放ったよ!もう少しまろやかに言うと思ってたが!
「???」
トウリは混乱している。
「えっあっ……へ?」
トウリの混乱がさらに深まった。
「トウリ…イベリスは今日…旅立つ…今話したい事を沢山するんだ」
「とうさん…じょうだんですよね?」
「こんな時に冗談を言うわけないだろ」
「かあさん?」
「何でしょう?トウリ」
「ホントに…」
「本当に今日と明日の境目に私は星となり生まれ変わるために新たな旅路に向かいます」
息子は何も発しなくなり黙って静に泣きながらイベリスに抱きついた。
「トウリ少しは母さんと話をしませんか?」
「…むりです!…かあさん!かあさん!…いかないで!」
「ここまで長生き出来るのも奇跡何ですけどね?」
「いやだぁ!」
「もう…トウリの泣き顔ではなく笑顔みて行きたいのに…」
「むりです!」
「こんなに泣き晴らしたトウリの顔は貴重ね……ふふふ」
「うぅ…」
「たっくさん話をしましょう?」
「…いじわる言うかあさんとはなすことはないですよ」
「本当に?」
「…………かあさんとはなしを…はなしをしたいです…」
「なら沢山…沢山話をしましょう…」
「どうしてあさのときにはなしてくれなかったんです…!」
「あなたには普段通りで過ごして欲しかったのです…母の我が儘でね」
それからは素直にトウリとイベリスはくだらない事や日常の事も話していた、トウリが眠るその時まで。
「泣いた分…寝てしまいましたね」
「イベリス…満足したか?」
「これからのトウリの成長見られないのが悔しいですね~」
「この5歳のトウリしか抱き締められないからな」
「トウリの事は頼みましたよ…名残惜しいですがトウリを渡しますね」
「あぁ……トウリがこの世を去るまでは残るつもりで居るよ」
「あら子孫を…見守ることはしないのですね?」
「子孫が馬鹿したらじいちゃんたちに叩き直して貰えばいいと思っているが。その頃には何か村無くなってそうな感じがするよ」
「最近村の人たちはそわそわしてますからね……それにこの世界から魔神と言う脅威が消えましたからね」
「じいちゃんたちが見た未来が少しずつ変わって来ているとも言っていたしな」
「これからの未来を見られない……ティルクス、ズルいですよ」
「イベリスにまた会えたらその時に何が有ったか沢山話をしてやる」
「ふふふ…その時を楽しみにしておきます」
「…イベリスを言霊で縛るようで悪いな」
「良いのです…私もあなたを待ってますから…ティルクス…あなたに渡す言葉を言います。
私を見つけ愛しトウリの母にしてくれてありがとうございます…私もあなたを心の底からお慕いしています」
「イベリスこちらこそありがとうオレもイベリスを心の底から愛してる…………もう行くのか」
「はい…サニカ様とルトラウス様に掛けられたこの魔法は神秘的ですね」
イベリスが光に包まれ身体が浮き上がった。
「ティルクス…また私を探し見つけてあなたの…あなたの妻にしてくれますか?」
「あぁ…何度でも見つけてやるよ…オレで良ければな」
「待ってますよ……トウリこれからのあなたの人生に幸が多かっらん事を願ってますね……それでは」
「またな」
「はい…また……ティルクスもこれからの人生を楽しんでくださいね…次の旅路で会いましょう」
そうイベリスは言って夜空に上がって行った。
「トウリ…起きてるんだろ?」
「…ぐすっ……とうさん…かあさんわらって行きましたか?」
「あぁ…笑いながら行ったよ」
「とうさんでもなくことあるのですね」
「今日は泣かせてくれ…また明日から頑張るから」
「しかたないとうさんですね…」
トウリと一緒に静かに泣き…夜が明けるまで空を眺めた。




