10年後と旅立ちの前日
シルトフォレスト山 樹海
「ミストルに初めて負けたな」
「僕も10年でたくましくなったでしょう?」
あれからじいちゃんたちに鍛えられる日々を送ってオレたちは十八歳になった…ミストルも最近ひとりでドラゴンを狩れるようになったのでどちらが先にドラゴンを狩れるか競争していた…外の国へ旅立ちの日を明日迎える。
「そろそろ帰らないとか…夕暮れ時だ」
「母ちゃんたち待ってるからね」
「インフェルナドラゴン狩り規制入るかな?」
「今年オレたちだけで20体狩ったからな」
「シェリナに木苺摘んで帰ろうかな」
「オレも手伝うよ」
「ドラゴンを収納魔法にしまってと」
ミストル…たくましくなったな…10年前に初めて獲物を狩った時は泣いてたのに。
「テス行こう」
「あぁ!」
【【ハイブースト!】】
お互い肉体強化を施して村まで競争して帰ってた。
「帰ってきたな、ティルクスとミストル」
「ただいまテムル兄さん」
「お帰り早かったわね、私が渡した薬使ってくれた?」
「うん…使ったけどメリアンヌさんにめっちゃ怒られたよ、カリーナ姉さんの植物成長薬の効果ヤバイよ、村の外に出しちゃダメだよあれ」
「そうなのね…」
「あら、ティルクスとミストルお帰り」
「ラミー姉ちゃんただいま…なにその人面草」
「マンドラゴラよ、カリーナに頼まれて収穫してきたのよ」
「何を作るきなの…カリーナ姉さん」
「ルトラウス爺に秘薬の作り方を教わるの」
「そう…」
「信用してないわね」
「所でシェリナと母ちゃんどこにいる?」
「イシェーラさんとシェリナなら集会所の台所に居るよ」
「ばあちゃんは?」
「サニカ婆ならあなたたちの旅立ちに必要な物を準備してるわよ」
「もうあなたたちが旅に出る年齢になったのね…」
「旅に出てもいつでも帰ってこれるんだ、そんなに心配することはないだろう?」
「テムルにはわからないわよ、素直なふたりが行っちゃうんだから」
「何か嫌な事が合ったら帰ってくるのよ?」
「心配してくれてありがとう、カリーナ姉さんとラミー姉さん…テムル兄さんもね」
「手紙書くよ」
「元気で過ごすんだぞ?」
「うん!」
オレとミストルは村の入り口付近から離れて村の中心に向かって歩き集会所に向かった。
「ただいま、イシェーラさんとシェリナ」
「母ちゃんとシェリナただいま!」
「お帰りお兄ちゃんとティルクスお兄ちゃん!」
「お帰りなさいミストルとティルクス」
「お兄ちゃんは今日は何を狩ってきたの?」
「インフェルナドラゴン(亜種)」
「ミストルがひとりでドラゴンを狩ったのか…それなら外の国に行っても心配なさそうじゃ」
「兄ちゃんたちなら楽勝だよ、お母さん」
「そうじゃな…今日は村でお祝いじゃから…ご馳走をたくさん作るのじゃ」
「母ちゃんの料理美味しいんだよね」
「確かにイシェーラさんの料理美味しいよな」
「誉めてもなにもでないぞ?」
「あと森の果物もたくさん取って来たからデザート作ろうよ、僕も料理手伝うから」
「ふふふ…」
「どうしたの母ちゃん」
「本当に逞しくなったものじゃな」
「へへ…ありがとう母ちゃん」
「シェリナも誉めて兄ちゃん!」
「シェリナもひとりで花畑に行けて偉いね」
「えへへ…わたしもお料理手伝う!」
「オレも料理手伝わせてくれ」
「頼むぞ3人とも」
イシェーラさんの指示の元たくさんの料理を作るのを手伝って村人全員分の料理が完成した、匂いにつられてばあちゃんとじいちゃん以外の村人全員が集まって食事が始まった。
「ついにティルクスとミストルが村から旅立つ時がやって来た、その祝いとして宴を始める…いただきます!」
「いただきます」と村人全員で言った。
「ついに旅立ちが来たのう」
「ありがとうマグナじいちゃん…」
「マグナじいちゃんの作ったミスリルの剣凄い切れ味だよ、今日狩ったドラゴン真っ二つになったし」
「ホッホッホッホ…嬉しいかぎりじゃな…最初の頃は折って折っての繰り返しで怒ったものじゃ」
「ミスリルの剣を折るとは何事だって言ってたよね」
「普通は折れる筈がないミスリルの剣をかなりの本数ボキッてミストルは折ったからな」
「でも簡単にボキッて折れたよ?」
「それが普通はあり得んのだ、この村で育てばこうなるか…ワシも村の外に出て村の連中が異常に強いと知ったからな」
「へぇ~」
「カリス村長の指示のお使いはキツかった」
「最近は襲撃とか頻発しておるからな」
「魔神教の信者怖いよね…目がヤバイよ」
そう、最近魔神教の信者が村を襲撃をするようになってきていたがカリーナ姉さんとじいちゃんの作った護衛用ゴーレムにカツアゲされている。
「最近はめっぽう姿を隠すのが上手くてな」
「でも僕とテスと父ちゃんとラミー姉さんの探索スキルで見つけられるけど」
「そうだな…護衛用ゴーレムが常に見張り徘徊しているから「おらおら、マタ来タノカヨ!変態ドモメ~コリネェナー」って音声が聞こえるからな」
「お陰で村に数多の国の通貨が集まっておるわ」
「潤ってるよね…この村」
「お前たちの旅が円滑に進むように硬貨を作りに行かなくていいから、ワシらも安全だ」
「じいちゃんとばあちゃん戻ってきたみたいだな」
「お前達行ってやれ」
「うん、またねマグナじいちゃんカリス村長」
「また後で」
オレとミストルでじいちゃんたちの元に向かった。
「じいちゃん!ばあちゃん!」
「ティルクスとミストル楽しんでいるかい?」
「うん、楽しんでるよ」
「じいちゃんとばあちゃん何してたの?」
「俺はお前たちの従魔の契約石の加工がようやく終わったから、アクセサリーを作っていたんだ」
「私はお前たちの旅の必需品を揃えていたんだ」
「ほら受け取れ、テスは腕輪でミストルはネックレスだ」
「ありがとうじいちゃん」
「ありがとうございます、ルトラウスさん」
「リュックとマントをそれぞれにね」
「シンプルだけどとても丈夫に出来てる…さすがばあちゃん」
「スッゴいね…このマント繊細な刺繍が施されてる」
そう…ミストルが言った刺繍はとある魔方陣が描かれている物でばあちゃんしか施せない、何故ならこの刺繍はばあちゃんが妖精モードになって縫わないと効果ないから。
前回オレはこのマントにたくさん助けられた。
村を出たときから持っていて裏切った仲間が旅の中盤の頃から後ろから魔法をフレンドリーファイアーしてきたがこのマントのお陰で全然効かなかった、リュックは収納魔法の目眩ましである。
「ばあちゃんもありがとう」
「サニカさんありがとう!」
「腕に縒りを掛けて作ったからね」
「じいちゃんとばあちゃんも宴会場に行こう」
「皆ね宴を始めてルトラウスさんたちを待ってるよ」
「カリスとマグナもう出来上がってるな…俺はカリスたちの方に行ってくるか」
「この宴の主役はティルクスとミストルなんだから…私たちも行こうか」
ばあちゃんとミストルと一緒に宴の中心に向かって夜遅くまで騒いで楽しんだ、途中でラセスとセルクシアとルノカを呼び出して美味しい食べ物をたくさん食べさせて満足させて宴に使ったものを片付けた。
酔いが回ったテムル兄さんやカリス村長たちを酒に強いばあちゃんとじいちゃんとオレとアルーヴさんとシカナさんで回収してさらに村の重要な物を皆で使うカゴに何故か回収してから、ばあちゃんの持ち運びの出来る二軒目の家をばあちゃんが村の中心に出して、村人全員それぞれの部屋に寝かせ、ばあちゃんの魔法で二軒目の家の全ての窓とドア閉めてそれぞれの部屋に向かって寝た。